中山七里のレビュー一覧
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読書録「ヒポクラテスの誓い」4
著者 中山七里
出版 祥伝社文庫
P23より引用
“「死体は文句も言わんし、嘘も吐かん」”
目次より抜粋引用
“生者と死者
加害者と被害者
監察医と法医学者
母と娘
背約と誓約”
不本意ながら法医学教室へと配属された
研修医を主人公とした、短編連作ミステリ。
同社刊行作文庫版。
法医学教室に来てすぐに、死体が好きかと
たずねられた主人公・栂野真琴。研修医から
医師になるために、上役から放り込まれたの
だが…。
上記の引用は、法医学教室のボスの台詞。
生きている患者と比較した、死体との付き合
いについて。
こんな風に言われたら、確かに気は楽かも知
れないなと思ってしまいます。
しかし、そこそこの大きさの動物の死体に
出会った事がある人は、解ると思います。
罠にかかって死んだ鹿とか、イノシシとか。
腐りかけた死体の臭いは、近くにいてはいけ
ないと体が嫌がるような臭いがします。
余程の人でないと、続けられない仕事なので
はないでしょうか。
主人公が他の登場人物に対して、なんだか
地味。そんな彼女が、法医学教室の面々の
影響を受けて変化して成長する。
朱に交われば赤くなるを小説にしたような感
じです。
それに加えて、一つ一つの話がバラバラであ
るようでありながら、一つの結末へと収束す
る、良いミステリでした。
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Posted by ブクログ
犬養隼人シリーズ第5弾。
早朝犬の散歩中に公園の林の中から埋められた子どもの遺体の一部が見え、
発見してしまう。その子どもには、縫合された跡があり、
調べると肝臓が半分取られている。
犬養は、その子どもの身元と、肝臓が取られている理由を捜索開始するのだが。
第一弾の、切り裂きジャックの告白ほどの臓器搾取ではないものの、
何のために臓器を切り取っているのか、そして子どもの理由は?
ってことで、いろいろあって犯人や理由ってのが分かるにつれ、
医療としての日本と外国での違いなど見えてきますが、
最終的に・・・おっとこれを言うのはネタバレであり、しかも今回の犬養は、
第4弾の事件を引きずっているため、葛藤しつつの捜査である。
なんだか煮え切らない終わり方だったので、第6弾がどうなるかな。 -
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ネタバレヒポクラテスシリーズ第5弾
浦和医大法医学教室に運び込まれた遺体は、30代から50代の引きこもり中の子どもや、引きこもりの子を庇護している親。そして、老老介護中の介助者。
一見、問題がなさそうな死に、古手川刑事と真琴先生が疑問を呈し、光崎教授のメスが真実をあばく。
親が元気に働いている間はなんとかなっていても、老いた時、子どもは長期の引きこもりで変化のタイミングが難しく「自分たちが逝ってしまった後の我が子」を思う親心が痛々しく、読んでいて切なくなりました。
子どもが何歳になっても親は親であり、責任感という名の親心を捨てられず、子どもを自立した大人とみられない。それが家庭での呪縛の一つになってしまうのが考えさせられました。
それぞれの家庭の事情と辛さを知るほど、ラストは苦く、ずっしりと重たかった。
キャシーが語るアメリカでの引き籠りの現状も興味深かったです。 -
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能面検事シリーズ4作目。過去の挫折エピソードから御子柴弁護士との対決へ。
単純にエンタメとして面白く読めました。御子柴だけでなく氏家京太郎など別作品のキャラがちょい役で登場しますが、不破と御子柴を対立しながら共通の思考を伺わせる同族嫌悪的な敵対関係にした結果、最後の後半がとても緊張感のあるものでした。
結論としては「負け」ですが、感情的には「勝ち」であるような、いいところに落とし込む終わらせ方は前作を思わせるところでもあり、うまいなと思いました(完勝のような勝ち方では御子柴弁護士のほうに工夫が必要になるため)
どんでん返しのトリックについては、1つは早々に気づいてもののもう1つは見逃していました。中山七里作品、スイスイ読めてしまう読みやすさによって、読者に犯人像を考えさせる時間を与えないように設計されてるのかなと思います。とてもいい意味で「いつもの中山七里」でした。
一方、悪い意味での「いつもの中山七里」要素としては、美晴がいつまでたっても感情先行でやや間の抜けた狂言回し役として描かれるにとどまっているところ。もう少し彼女の活躍で展開を見せる場面とか見てみたいです。 -
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ネタバレ【全体を通して】
過去作より事件のスケールが上がり、ショパン・コンクールという舞台にふさわしく複数人のピアニストの個性が描き分けられていて、事件と音楽双方の勢いが凄かった。登場曲が多くて聴きながら読むのは大変だった(笑)。
今までは「先生」だった岬洋介が主人公ヤンの「ライバル」となり、海外にいるせいか少し幼く感じられたのも新鮮。ライバル関係やテロを通して成長していくヤンを見守るのは切なかったけど、尊敬できると感じた。
【岬洋介、ついに戦争までも止める】
前作はヤクザ相手で驚いたけど、今回は爆破テロ相手に推理し、ノクターンで戦争を一時的に止め、黒幕の犯行も直前で阻止……。幼く感じたとは言え、25歳にして逞しすぎる。
最後のカミンスキを抑えた時は凄すぎて笑った。
【主人公ヤン・ステファンスの成長物語】
ヴィトルドとカミンスキの下で育ったヤンが、他の演奏を分析して自分の音楽に疑問を抱いていく展開が良かった。
特に榊場隆平の演奏を聴いた直後、文章自体が乱れて動揺を表現していたシーンは斬新で面白かった。威風堂々としていたヤンの取り乱しぶりも意外。
マリーの死を抱え、ドロドロした感情を音楽へと昇華させて「ヤンの音楽が開花した!」と壮大な拍手を浴びるシーンは、残酷だと思いつつ泣きそうになった。
【死ぬリスクを抱えてまで音楽を聴きに来る人々】
近くでテロが起きているのに、「抵抗」と称してコンクールを続行し客も集まる状況はかなり狂気的。「兵士」とも言えるのでは...
街全体がショパンの音楽に狂わされているのは格好良いと思ったけど、死んでしまっては元も子もない。
【何人もの演奏の書き分けが凄い】
各国奏者の個性が活きたピアノ表現の幅広さに驚いた。自分が聴けば全部「上手なピアノ」になっちゃいそうなのに、ヤンたちには豊かな情報として届いているのが羨ましい。作中の演奏を再現した音源を聴いてみたい。
【ヴィトルドに同情する余地が無い】
マリーの惨死直後のヤンに「どうでもいいからピアノを弾け」と声をかけるシーンは最悪だった。これでテロの犯人でないなら逆に救いようがないし、どんな過去があっても押し付けは見ていられなかった。
それでもヤンが才能と努力で優勝したことで、ヴィトルドは思い上がるだろうし、ヤンが離れても一生過ちに気づかないんだろうなと思った。
【残酷なテロ被害の表現】
今回は人間が起こした爆破テロの生々しさが際立っていた。ホールの中心で起きた事件にヤンが負傷しなかったのは奇跡だったし、「かつて人間だったもの」の描写には吐き気がした。
その後、夢中でお風呂に入りピアノの練習に向かうヤン。事件を忘れたい一心なのは分かるけど、テロと日常が隣り合わせな状況にゾッとした。
【番外編での入間登場】
気になっていた入間が番外編で再登場して嬉しかった。過去作の主人公2人の登場も熱かったし、読者を喜ばせるファンの塩梅がちょうど良かった。 -
Posted by ブクログ
なかなかの悪女ぶりで読んでて気持ちのいい物でありませんでしたが、それを上回る面白さと緻密さがありました。最後のどんでん返しのまたどんでん返しは天晴れでした。恭子が再生不良性貧血で美智留から骨髄移植を受けた事が最後にこう繋がるのかぁ!と感心しました。
元々ヒポクラテスシリーズで中山七里作品を読む様になり、そこに出て来た渡瀬警部のシリーズ、古手川刑事のシリーズを読み、更にそれらのシリーズに出て来た御子柴弁護士のシリーズ、そして古手川刑事の宿敵だった有働さゆりが登場したこの美智留のシリーズまで繋がりました。
中山七里の術中にハマっている様な気もしますが、この様にシリーズを跨いで多くの登場人物がオーバーラップするのは読んでて楽しいです。 -
Posted by ブクログ
以前読んだことありそうだなと思いながら読んだが、全く覚えてなかった。
確か前は途中で連載ものなのに単独で読んでしまったなと思ったのだが、今回はちゃんと前作も読んでいたので犬養のことを知っていたからか、しっかり読むことができた。
個人的には「青い魚」と「黄色いリボン」が好きだった。
「青い魚」は騙されていることに気づいてないのかと思ったが、やはり得意なフィールドに立った時に人の本領は発揮されるんだなと思った。
ただ、今まで寂しいと感じてなかったが、人と生活をして「自分は寂しかったんだ」と気づいてしまったこの章の主人公が、寂しさをこれからどう埋めていくのかなと思った。
また、犬養シリーズには割と「罪には問われないが、悪いことはしてる」というような微妙な立場の人もいて、警察としては逮捕できないが、犬養個人としては気づいてますよという忠告をする場面があるが、その後が描かれていたので興味深かった。
男性の嘘だけはわかるが女性の嘘が分からない理由が「女性は天性の嘘つきだから」というのが心に残った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ憲法39条や少年法を理由に殺人犯を弁護して無罪を勝ち取った人権派弁護士が無惨な殺され方をする。
蓮田サービスエリアから長距離トラックに引きずられ原型を留めなくなった死体。廃ラブホの屋上のカラスの棲家に生きたまま括り付けられカラスに啄まれた死体。70度の食品乾燥機の中で12時間乾燥させられカラカラになった死体。
殺され方が残虐すぎてゾクゾクするのは相変わらずのカエル男。有働さゆりの最期が人格が統合されかけるも贖罪の意識で古手川にわざと射殺されるようにしむけたのもしんみりする幕引き。
自分を殺人鬼に仕立て上げた御前崎教授をボーガンで射殺するけじめも良き。 -
Posted by ブクログ
泣いた
矢口の大雑把な励まし方に
泣けた
シリアルキラー…
読めば読むほど隣人の描写が
怖さを煽る
友哉の事情も絡めて
どうなっていくのか
ハラハラしながら読んだ
後半はスピード感がたまらない
思いがけない場面に
やっぱり中山七里作品にハズレなし!
と思った
ただ怖いだけじゃない
人間の心情や世間の風潮に対して
考えさせられる
寄り添う気持ちはあれど
なかなか難しい所もあるよなぁ…と
その人の人となりによって
変わる
物語の中に登場する
葛城が殺伐とした中で
中和剤的な役割をしてくれた
読後感は 思いのほか爽やかだ
爽やかという言葉は不適切かもしれないが
嫌な気持ちで読み終えることはなかった
彼らの心が救われますように…
生き直せますように…