中山七里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ東京地裁に、中国で開発されたAI裁判官、法神2が試験導入された。
裁判官の仕事は激務で、なり手が伸びない割に職務は増えているという。証拠を調べたり、判決文を書くだけではない。例えばサイバー犯罪だったら界隈のことを知らなければ、適切な判断が下せない。そのためには勉強するしかない。
そんな中導入されたAIは劇的に作業量を減らしてくれるため裁判官たちに喜ばれていた。今まで、苦労して書き上げていた判決文も、AIは完全に同じ文章が再現できそうだ。だが、主人公の高遠寺円は人を裁くときにAIに頼ることに抵抗を感じる。
そんな時、一件の父親殺し事件が舞い込む。物証もあり、本人の証言もある。あとは量刑だけ、というところ、AIが出した判決は「死刑」。
裁判長も、裁判員も、AIが出したその判決に乗っかってしまおうとするが…。
巷で言われる「AIは間違ったことを言う時もある」「AIに偏ったデータを入れたら偏った答えを出す時がある」の究極形だと思った。AIのこの一言によって、被告の生命が左右される。AIの中身がブラックボックスであるなら、どんなデータからその結論が導かれたのか、誰にも分からない。
また、AIには過去のデータしか入っていないため、新しい発想は決して出てこない。
作品中では、親を殺したときに罰則が通常の殺人より重くなる「尊属殺人」が重要なテーマになった。
昭和48年、「尊属殺重罰規定違憲判決」である。要するに、「尊属殺人を重罪とする」という刑法自体が憲法違反のため無効、と判断した。これにより、それまであった法律は無効化された。このような判断は、前例から答えを出すAIには決してできない。
それが悪いと言っているのではないが、そういうことが必要になりうる現場にはAIは入るべきではなく、AIが活躍できる場には入ったらいい、と改めて感じる。
解説は、話題の「チームみらい」党首の安野貴博参議院議員。
著者の中山さんが提示したAIの瑕疵を見事にスルーして、「AIは合理的判断をするけど、人間が感情的に受け入れない」「納得しない」など、話のすり替えがひどい。結末まで読んだのか?
開発者が恣意的に不都合なデータを学習させない、ということが起こりうるという危険性は認識できたのか?
本編は面白いです。
AIに対する問題意識の一つを、「もし裁判所にAIが実装されたとしたら」という創作で表現している。
そして、みんなが「これいいじゃん!」となっている中の言語化できない違和感も、なんとなく持っている人は多いと思う。
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ネタバレ千葉県で相次ぐ東トルキスタン人(ウイグル人)の不審な失踪事件と、日本で暮らしていた彼らの一人が殺害される事件が発生。日本の警察が被害者の友人やパートナーへ聞き込みを進めるうちに浮かび上がってきたのは、中国の公安局が国境を越えて日本国内で暗躍しているという恐るべき疑惑だった。そして、彼らが命を奪われた理由が「新疆ウイグル自治区の人間だから」という、あまりにも理不尽な理由であった。
本作を通じて最も心をえぐられたのは、背景に描かれる苛烈な人権弾圧の実態だ。2010年代という現代社会において、まるでナチスを再現したかのような強制収容所が実在し、民族浄化や女性から子どもを産む権利を強制的に奪うような非人道的な処置が行われているという。あまりにも酷い話に絶句すると同時に、「これが社会主義の国のスタンダードなのだろうか」と暗澹たる気持ちになった。
国として独立したいという気持ちが本当の意味で理解できる一冊だった。 -
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主人公の美智留自身が直接手を下して人を殺めるわけではない。彼女がするのは、人生に行き詰まったり、心に小さな歪みを持ったりしている人々に寄り添い、ほんの少しの「アドバイス」を与えることだけ。
借金に苦しむ人、承認欲求に飢えた人、容姿にコンプレックスを持つ人――。美智留は彼らの心の隙間を正確に見抜き、本人が心の奥底で望んでいる「悪意」や「欲望」を肯定して解放してあげるのだ。
美智留に背中を押された人々は、自らの意志で一線を越え、破滅の道を突き進んでいく。その姿を見て、私は「もし自分が人生のどん底にいる時に美智留に出会ったら、拒絶できただろうか」と考えずにはいられなかった。
彼女は悪魔のような存在だが、破滅へのトリガーを引いているのは、紛れもなく自分自身の弱さとエゴなのだ。
タイトルに含まれている「嗤う」という漢字には、あざ笑う、見下して笑うという意味がある。
中山氐はそこまで考えてたことに再度感動した。 -
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一旦解決した事件、裏に隠されていた事実真相を法医学が暴いていくさまを、若き解剖医の目線で描く物語。
加えて、現代社会が抱える命を軽んじる課題も突きつけてくる作品だ。
「ヒポクラテスの誓い」に続けて読むことで、若き解剖医が意思意志を持って解剖に向き合っており、その成長にたくましさを感じた。
「いつも有るものを見ようとするのではなく、そこに無いものを探すこと」が真実追求の根本なのだな。
本作は、解剖シーンがあっさりしている気がしたが、自分で何を期待しているのか真相は探らないことにしよう。
なるほどと思った一文
•ある事実があったことは証明できても、なかったことを証明するのは困難である。(悪魔の証明として、品質保証と同じだな)
•本来、宗教というのは人間を救うもの。人を貶め、殲滅しろと命じる教えなど健全な宗教ではない。単なる独裁者のスローガンである。
•胸の中で曖昧になっていた感情が言葉にした途端、明快なかたちになる。明快になれば是非の判断もしやすくなる。
•一緒に暮らす人間がいると、嫌でも観察力が養われる。 -
Posted by ブクログ
中山七里先生の作品は微妙に繋がっている世界線のことが多いので、またどなたか出てくるのかと思っていたが、私の知っている人は出てこなかった気がした。
また、恥ずかしながらヒポクラテスの存在自体をこの本を通して初めて知った。
海外では解剖自体が身近というか、やって当たり前のことという認識なのも驚いた。
光崎先生の傍若無人の部分は、何か理由があるとは思っていたが、こんな上手くいくかなという部分と、こんなふうにされたら嫌だなと遺族側の気持ちも考えて、どうしようも無い気持ちにはなった。
フィクションとわかっていても、やはり抵抗があるから、今後日本の医療はこの抵抗をこういう本の題材などから減らしていく必要があるなと思った。 -
Posted by ブクログ
ヒポクラテスシリーズ第二弾。
「全ての死に解剖が行われないのは、わたしにとって好都合である」
埼玉県警のホームページに、「コレクター(修正者)」と名乗る人物から謎の書き込みが投稿されるところから話ははじまる。「今後、県下で発生する自然死や事故死に企みがないかどうかを見極めろ」という犯行予告とも取れるメッセージ。その直後、アイドルの転落死や、病死に見せかけた不可解な遺体が次々と発見される。
関係者しか知りえない情報が含まれていたことから、捜査一課の刑事・古手川は浦和(うらわ)医大法医学教室に協力を依頼。
今回も光崎教授を筆頭に、法医学教室の真琴、キャシーのメンバーにより真実が明らかになっていく。
コレクターとは一体誰なのか?なんの目的なのか?
事件性のない死体を解剖することで明らかになる真実。ページめくる手が止まらない。このシリーズはサクサク話も進むし読みやすいし、好きです。