中山七里のレビュー一覧
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『護られなかった者たちへ』の宮城県警シリーズ、
第二弾となるヒューマンミステリー。
『境界線』というタイトルがまさにピッタリだった。
東日本大震災を機に人生観が変わった人、被害の程度差から、失った人や物の大小、置かれる立場や境遇の違いなど、本当にたくさんの目には見えない境界線があるのだと思う。それらが一つ一つ丁寧に描かれている本作。
ラストまで一気読みしたが、とても物悲しい余韻だった。自然の猛威は時として人の夢や希望を飲み込み、生き方まで変えてしまう。
結局、本当に悪い人間は居なかったのだと思う。
五代と鵜沼の友情は、これからも続いて欲しい。
今年は東日本大震災から15年
節目になると -
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昨年来、AIの話題に夜も昼も開けられないかのような今日この頃にタイムリーな小説を、著者は著した。
AI裁判官(法神2)が中国から提供され、その検証を高円寺円が命じられた。
裁判記録を入力すると、裁判官の思考で判決を出力するという。
膨大な業務に忙殺される裁判官にとっては、福音ともいえるが、円は疑念を抱いていた。
やがて、実際の裁判で使用されることになり、その真価が問われることになる。
司法判断に感情が必要か否かの問題とともに、AIに対し人間の尊厳とは、を問いかける一方で、覇権主義の中国に対し、一矢を報いるような痛快な場面もあり、さらに著者の代名詞とも言える「どんでん返し」もあるリーガルミステリ -
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ネタバレハングマン 鵜匠殺し
中山七里の長編ミステリー。
前作「祝祭のハングマン」がとても面白く、過去にアンソロジーで取り上げられていた物語もとても良くて(今作の第一章)長編続編を心待ちににしていた次第だ。
今回は詐欺グループがテーマになっており、敵の概要が全く見えてこない不気味さがある。悪には悪の人生がある、それを鵜飼と重ねて進められるストーリーはとても重厚だ。
途中、詐欺グループのリーダーに感情移入してしまう場面がある。どんな人達にも幼少期があり、親がいる。そして彼らには現在、お互いに信用している親友がいる。もちろん、彼らは最低辺の人物達なのだろうが、本人達の描写にもっと怖さや醜さが滲み出る様な描 -
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王様のブランチで紹介され、今っぽい話だなと思い、なんとなく気になり手に取った。
最新鋭のAIが搭載された介護ロボットN365・リタからの連絡で実家に戻った浅沼秀雄は、ベッドの上で死んでいる父・啓造を発見する。死因は虚血性心疾患。啓造に埋め込まれていたペースメーカーが外部から意図的に停止された疑いがあるという。そして、死亡推定時刻の直前に、リタが高周波の電磁波を発振した記録が残っていた…
製造元の業務上過失致死傷ではなく、リタ本体を殺人容疑として起訴する前代未聞のリーガル・ミステリ。
AIは感情や人格を持つことがあるのか。感想を書き過ぎてしまうとネタバレになりそうなので差し控えるけれど、以 -
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「知識が偏って社会的常識にも疎くなった人間が最初にする行為は、部外者の排斥だ。自分たちのしている行為が正義だと思い込んでいるから、何をしても正当化できると信じている。人間っていうのは、それほど馬鹿じゃないけど、それほど賢くもない。」
そんなことないって思いたいのに、
関東大震災の朝鮮半島出身者の虐殺事件とか、
甲府のサリン事件とか、
何よりコロナ禍で自分自身がマスク警察化した瞬間がひとときもなかったかと言われたら黙り込む。
「ワルツを踊ろう」と「犬神家の一族」のミックスっぽい冒頭は少し読み辛かったけど、一気読みに近かった。
裕也くん、いい子なんだけどな。
これからどうやって生きていくのだ -
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どんでん返しという訳ではないが、そこに繋がるの!?という驚きがあった。
前作では御子柴がもしかしたら猟奇的な男なのかという疑惑があったので、穿ちながら読み、結果いい意味で印象が変わった。
今作はただの冷淡な男として読んでいたので、この事件を担当した理由が分かった瞬間時にはすごい芯がある男だったんだと少し感動すらした。
岬検事の話も、息子の件が出てきた時になんだか聞いた事がある...と思ってびっくりした。
御子柴シリーズは、「嗤う淑女」から興味を持ったので、色んな話が同じ世界線であることがわかると、かなりテンションが上がる。
こうやってまんまと中山七里先生の作品に手を出してしまうんだなと思った