中山七里のレビュー一覧
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シリーズ全てを振り返ると、ストーリーとしてはやはり第1作目が突出して面白い。カエル男の目的はさっぱり分からず、展開も読めず、メインキャラは曲者揃いで魅力的。本作は言わば「まとめ」の回で、締めくくりの一作と受け止め、読んだ。なるべくしてなった、こうするしかない、そんな哀しいラスト。読者からすれば、有働さゆりの父親こそ惨たらしく断罪されるべきだと怒りが湧く。
全ての登場人物を使って言いたいことを全部語らせた感があり、そこまで厚くない本なのに満足度は高い。人権派弁護士と呼ばれる一派をどう解釈するか、これまでの人生で犯罪とどう関わってきたかで意見が分かれるところだろう。被害者側か、加害者側か、両方か、全くの無関係か。
いずれにしても、性犯罪者の再犯率など調べればこの国の司法制度について疑問を持たない方が珍しいはず。制度が追いつかず後手に回っているのに、なぜ根本的な部分を改めないのか?
考え出すと、またシリーズ全てを読み返したくなる。渡部警部の考えは、思慮深く、篤く、憤る心理に適度に冷ましてくれる。
テーマが非常に重いため、お馴染みの登場人物が時折交わす軽妙なやり取りが唯一の救いになる。
「初めからそこにいただろ」には笑った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレAIに興味があったこと、そして自分自身が業務で少しAIを使用していることもあり、強い関心を持って読み始めた。
冒頭では司法制度や裁判の仕組みなど専門的な内容が多く、理解するのに苦労して読み進める速度が落ちたが、その難しさが逆に物語のリアリティを支えているようにも感じた。
物語の中心にあるのは、日中技術交流によって中国から供給された「AI裁判官」という存在だ。
このAI裁判官を巡って展開される出来事はフィクションでありながら、実際に起こり得るのではないかと思わせるほど現実味がある。
AIが司法の領域に踏み込む未来は、遠い話ではなく、すでに社会のすぐそばまで来ているのだと実感した。
私自身、AIに触れて日々感じていることがある。
それは、AIはあくまでも人間の作業を補助するためのツールであるべきだということだ。
AIが出力した結果をそのまま採用するのは危険であり、必ず人間がチェックし、採用するか修正するか判断して最終的なアウトプットを作り上げる必要がある。
ハルシネーションの可能性がある以上、ノーチェックでの運用はあり得ない。
しかし現実には、組織のトップに近い人ほど「AIにすべて置き換えたい」と考えているように感じる場面もあり、その危うさを本書の展開がより強く意識させた。
AI裁判官がもたらす混乱や倫理的な問題は、近未来の社会で実際に起こり得ると考えられる。
未来をフィクションとして描きながら、私たちが直面するかもしれない課題を鮮やかに提示している。
読み終えて、単なる物語以上に「AIと人間の関係をどう築くべきか」という問いが胸に残った。
全体として、近未来を強く感じさせる作品であり、AIを業務で使う自分にとっては特に考えさせられる内容だった。
AIの進化がもたらす可能性と危険性、その両方を冷静に見つめる必要があると改めて感じた。 -
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成田国際空港に新しく赴任してきた航空警察の新所長の仁志村
空港内のトラブルに自分から関わっていく
空港内の人間模様も面白いですが、一見腰が低い話し方や態度の一方で、犯人に対しては厳しい態度で臨む
市民の財産や生命を守ることが警察官の使命って、当たり前すぎて言われた方も恥ずかしい
残した動物のことが気になって、飛行機をUターンさせた犯人に始まり、最後の章ではハイジャック犯に対して取った驚きの方法。目には目をですね。
職業倫理か出世への上昇指向かを尋ねられて、迷った仕草が唯一、本音のようなものが見てとれた瞬間でした。
目的を達成するために手段を選ばないダークヒーロー的な活躍この先も見たい気もします。 -
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『有罪、とAIは告げた』の続編。AI(高遠寺円)シリーズの2作目。
前作では裁判官側の立場にAIがいましたが、今作では被告人として法廷へ。罪状は、最新AIを搭載した介護ロボットN365・リタが、利用者を殺害したとする殺人罪。介護ロボットを開発したME社の責任ではなく、AIロボットの"殺意"の有無を問う内容なのが面白い。
AIロボットを被告人とする裁判。それに一番最初に抱くイメージは高度な科学と論理なのに、どう話が進んでも最終的に哲学的な疑問に辿り着く。萬田さんの「知性を得たAIとヒトとの違いは?」という問いは、めっちゃ考えさせられる...。
"思考がほぼヒトに近いAI"は機械が発展・進化したものだから、ヒトとは別の知的生命体だとまだ言える。でもこれが科学が進歩して、機械ベースの体にヒトの記憶や感情を移植出来るようになったらどうだろう?それはヒトなのか機械なのかを考え始めると、「ヒトがヒトである定義とは?」という問いにシフトして頭が爆発しそうになりました笑
さらには結末のあれこれもあって、"ヒトとAI"について最初から最後まで考えさせられるストーリーでした。裁判内容はそう遠くない未来で現実になりそうなものだし、リタの存在が興味深くて読むの楽しかった。でも、同時に哲学的な問答に思考割かれてめちゃめちゃ疲れたー。前作もそうだけどこのシリーズ、カロリー高め(苦笑)
『作家刑事毒島』シリーズに登場した犬養刑事が登場して、しかも前作に出てきた円さんの彼氏の葛城刑事の先輩で二重にびっくり。中山七里さんの作品って、同一世界線上のものが多いのかな?犬養刑事のシリーズも気になるし、来月は葛城刑事が主人公の新シリーズが発売されるみたいだし、中山七里さん作品だけでも気になる本多すぎるー。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ倉科恵子
警視庁本部内の通信司令センターに所属。
馬籠大地
悪い医者がお父さんを殺したと通信司令センターに連絡する。八歳。
高千穂明日香
刑事部捜査一課。倉科と同期。
犬養隼人
捜査一課。
馬籠健一
大地の父。自動車部品を扱う工場を経営していた。四年前から体調を悪くした。肺がん。
馬籠啓介
健一の甥。
小枝子
健一の妻。
麻生
班長。
蔵間
准教授。東大本郷キャンパスにある方医学教室の主。
村瀬
管理官。
津村
捜査一課長。
巻代
健一の臨終を看取った医師。
紅林
馬籠家の隣人。
高梨
麻生班の一人。
ドクター・デス
禿げていて背が低い。〈安楽死を請け負う〉という惹句のサイト「ドクター・デスの往診室〉。の管理人。
ジャック・ケヴォーキアン
〈ドクター・デス〉の異名で知られる病理学者。
三雲
サイバー犯罪対策課。班長。
増渕耕平
ドクター・デスの往診室のコメント投稿者。
桐乃
増渕の長女。増渕がサイト訪問時の半年後に死亡。全身性エリテマトーデス。
沙耶香
犬養の娘。帝都大附属病院に入院中。
北園深雪
通信司令センター。
安城邦武
西端病院で死亡している。川崎にある西畑化成の工場で起きた爆発事件で重症で入院していたうちの一人。作業主任。事故後の調査では、工場の出荷原因は安城のミスと推測されている。
立花志郎
二十代。西畑化成の作業員。
宇都宮
西端病院の勤務医。安城の主治医。
冴美
安城の妻。
英之
安城の長男。
久瑠美
安藤の長女。
小菅仁一
西畑化成で事故のあった第二プラントの工区長。安城の直属の上司。
岸田聡子
大田区に住む主婦。四十七歳。
岸田正人
聡子の息子。二十四歳。死亡診断書に心不全と記載。拡張型心筋症。
砺波達志
市川市の自動車工場に勤める。五十五歳。
多津
砺波の母。死んだのは一昨年。新十日間を患い自宅療養を続けていたが、砺波が朝起きてみると既に冷たくなっていた。
犬養結衣
ドクター・デスとコンタクトを取るための架空の人物。
真境名
沙耶香の容態が一番ひどかった時の当時の主治医。
法条正宗
家族が見守る中、静かに息を引き取った。享年九十歳。卒寿を二日後に控えた矢先の大往生。総資産四百億、傘下に二十三もの企業を従える法条グループ総帥。
英輔
法条正宗の息子。
山岸加寿子
英輔の母親亡き後、法条家に入り込んだ。
惣一
加寿子の一粒種。妾腹だが、経営手腕に長けている。
帆村
正宗の主治医。
古舘
法条家の顧問。
御厨
検視官。
静江
英輔の妻。
孝之
英輔の息子。
雛森めぐみ
ドクター・デスの看護師の似顔絵そっくりの元看護師。三十七歳。五年前に勤めていた病院が潰れてからスーパーや衣料量販店でバイトをしていた。両親とは死別。兄弟もいない。結婚歴あり。
寺町亘輝
仲間のホームレスからテラさんと呼ばれている。
土屋
鑑識課。
柳原正也
西畑化成の第二工区の作業員。
葛城公彦
巡査部長。桐島班の若手だが、ひどく穏やかな目をしていて風貌も真面目なサラリーたちにしか見えない。
サダさん
ホームレス。
ブライアン・ホール
無国籍医師団のアメリカ人医師。
久津輪博信
四十八歳。出雲市在住。末期がんで床に臥せっており、本人自ら安楽死を要請。 -
Posted by ブクログ
メインの登場人物が頭に入っている分、内容に集中できる点がシリーズもののいいところ。文句なしに面白い。登場人物を介して、作者の思いが伝わる。
「刑法第39条が胡散臭く思われる理由は、実はシステムが不備だからじゃないのか」
「被害者遺族の心は二度殺される」
「不特定多数の生命の安全を犠牲にしてまで、犯罪者ないし虞犯者の人権を尊重すべきなのかどうか」
「何のために国民から税金吸い取ってやがんだ」
「健常者と障碍者を隔てる壁は思うほど高くも厚くもない(中略)そもそもそんな壁があるのかどうかさえも胡乱」
被災した時、コロナ禍、そしてホルムズ海峡が事実上封鎖され生活の全てに影響が出ると知った時、いつもパニックになった身に渡瀬警部の言葉が沁みる。
「切迫した感情に打ち克てるほどの論理性を備えた人間なんてのはごく少数」
結末を知りたくて急ぐあまりおざなりにしていた細部を、再読でねちねち読み込んで確かめて味わう…そんな一粒で二度美味しい読み方ができる社会派ミステリー。
ただ、さらっと説明されるネタばらしに、それはさすがに無理があると膝から崩れ落ちた。そりゃ東京周辺は確かに多いけどさ、ちょっと都合がよすぎないかい……
1点だけ納得がいかないものの、終盤まで十分楽しませてもらった。完結編に期待。 -
Posted by ブクログ
グロさは相変わらず。
一作目と二作目読んでから随分経ってるので、覚えてないだけかなと思いつつ過去の犯罪歴に全然ピンと来なかったんだけど、それもそのはず、別シリーズの三作目が、本シリーズの三作目でもあるとのこと。
なんだよそれ。せめてサブタイトルにカエル男つけてくれや。
出版社が違うらしいけど。。。
俺は純粋に三作目として読んだら四作目だったなんてな。
これも叙述トリックなのか笑
中山七里は自作のクロスオーバーさせるからそれも魅力の1つなんだけど、一冊丸々をクロスオーバーさせちゃうなんてな。。。
結局、カエル男の前二冊と別シリーズ(嗤う淑女)の三冊、計五冊読まないとじゃん笑
ラストの御子柴はキュンです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ高校生の頃に電車で読んで体調崩した記憶が強烈に残っていたので再読したけど、中山七里のイメージが変わった。
本作は刑法第39条についてフォーカスされ、精神疾患等抱える者の殺人についての問題提起が香る。
最近別作品読んだけど、この作家は法律?に長けてる方だったんだなあという印象。
幼少期に父親から性的虐待を受けていた男児が、心の歪みを抱えて大人になり、猟奇殺人を繰り返す殺人鬼になったものだと記憶を歪めて覚えていたけど、ここまでどんでん返しが繰り返される物語だったのか……と目まぐるしさに少々めまい。
保護司の有働さゆり(旧 : 嵯峨坂夏緒)、そして自閉症の当真勝雄少年が犯人かと思いきや、真の黒幕は精神科医の御前崎でした、という話。
そして過去に気分が悪くなったのは、飯能市民がパニック起こして警察署に暴動を起こした時の生傷を抱えた古手川(しかもその直前だか直後には当真ともバトってて既にかなり負傷済み)が、有働邸の防音室でさゆりと暗闇バトるシーン。
果物ナイフや松葉杖で生傷もろとも執拗に攻撃されまくって、非常に生々しい激痛描写が続くところだった。。今回は体調崩さなかった。成長。