中山七里のレビュー一覧
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ネタバレ早速2作目も読ませていただきました。前作もそうだったけど、スラスラ読ませる感じがものすごく心地が良い。もちろんおもしろかったし、悪女っぷりを遺憾無く発揮されていてすごく伸び伸びと生きてらっしゃるなと尊敬すらしております。
前作とは違い、一つの大きな目的に向かってその周囲から陥れていくさまはその中心にいる人物からするとさながらホラーのようで、と言ってもそいつは最終盤になるまで全然気づいてなかったようなんだけど。それと今回はその動機がいまひとつ判然としないまま話が進んでいくのも不気味だったりもする。
関わる人たちの端から端まで全方位不幸にしていくのは最早お約束的ではあるけど、それが楽しみで読んでいるからこっちとしては「よっ!待ってました!」てなところで、蟻地獄にハマって抜け出せずにもがく被害者たちを上から眺めているような優越感すら感じちゃうよね。ワタクシもずいぶんと悪に染まってきておりますなぁ。
前作を知っている分、衝撃度は少々物足りない部分もあったのと、警察がもっと真相に肉薄してくれればさらにスリリングだったのになと思わないでもないけど、総じておもしろいのでまあヨシ!
今作の総評としては「悪女のサクセスストーリー」と言ったところか。もちろんサクセスというのは通常想像するような悪女から善人に改心して幸せになる、とかではもちろんなく、悪女としてその頂に上り詰め、唯一無二の悪の華として君臨するという意味合いですよ。 -
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読書録「ヒポクラテスの誓い」4
著者 中山七里
出版 祥伝社文庫
P23より引用
“「死体は文句も言わんし、嘘も吐かん」”
目次より抜粋引用
“生者と死者
加害者と被害者
監察医と法医学者
母と娘
背約と誓約”
不本意ながら法医学教室へと配属された
研修医を主人公とした、短編連作ミステリ。
同社刊行作文庫版。
法医学教室に来てすぐに、死体が好きかと
たずねられた主人公・栂野真琴。研修医から
医師になるために、上役から放り込まれたの
だが…。
上記の引用は、法医学教室のボスの台詞。
生きている患者と比較した、死体との付き合
いについて。
こんな風に言われたら、確かに気は楽かも知
れないなと思ってしまいます。
しかし、そこそこの大きさの動物の死体に
出会った事がある人は、解ると思います。
罠にかかって死んだ鹿とか、イノシシとか。
腐りかけた死体の臭いは、近くにいてはいけ
ないと体が嫌がるような臭いがします。
余程の人でないと、続けられない仕事なので
はないでしょうか。
主人公が他の登場人物に対して、なんだか
地味。そんな彼女が、法医学教室の面々の
影響を受けて変化して成長する。
朱に交われば赤くなるを小説にしたような感
じです。
それに加えて、一つ一つの話がバラバラであ
るようでありながら、一つの結末へと収束す
る、良いミステリでした。
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犬養隼人シリーズ第5弾。
早朝犬の散歩中に公園の林の中から埋められた子どもの遺体の一部が見え、
発見してしまう。その子どもには、縫合された跡があり、
調べると肝臓が半分取られている。
犬養は、その子どもの身元と、肝臓が取られている理由を捜索開始するのだが。
第一弾の、切り裂きジャックの告白ほどの臓器搾取ではないものの、
何のために臓器を切り取っているのか、そして子どもの理由は?
ってことで、いろいろあって犯人や理由ってのが分かるにつれ、
医療としての日本と外国での違いなど見えてきますが、
最終的に・・・おっとこれを言うのはネタバレであり、しかも今回の犬養は、
第4弾の事件を引きずっているため、葛藤しつつの捜査である。
なんだか煮え切らない終わり方だったので、第6弾がどうなるかな。 -
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ネタバレヒポクラテスシリーズ第5弾
浦和医大法医学教室に運び込まれた遺体は、30代から50代の引きこもり中の子どもや、引きこもりの子を庇護している親。そして、老老介護中の介助者。
一見、問題がなさそうな死に、古手川刑事と真琴先生が疑問を呈し、光崎教授のメスが真実をあばく。
親が元気に働いている間はなんとかなっていても、老いた時、子どもは長期の引きこもりで変化のタイミングが難しく「自分たちが逝ってしまった後の我が子」を思う親心が痛々しく、読んでいて切なくなりました。
子どもが何歳になっても親は親であり、責任感という名の親心を捨てられず、子どもを自立した大人とみられない。それが家庭での呪縛の一つになってしまうのが考えさせられました。
それぞれの家庭の事情と辛さを知るほど、ラストは苦く、ずっしりと重たかった。
キャシーが語るアメリカでの引き籠りの現状も興味深かったです。 -
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能面検事シリーズ4作目。過去の挫折エピソードから御子柴弁護士との対決へ。
単純にエンタメとして面白く読めました。御子柴だけでなく氏家京太郎など別作品のキャラがちょい役で登場しますが、不破と御子柴を対立しながら共通の思考を伺わせる同族嫌悪的な敵対関係にした結果、最後の後半がとても緊張感のあるものでした。
結論としては「負け」ですが、感情的には「勝ち」であるような、いいところに落とし込む終わらせ方は前作を思わせるところでもあり、うまいなと思いました(完勝のような勝ち方では御子柴弁護士のほうに工夫が必要になるため)
どんでん返しのトリックについては、1つは早々に気づいてもののもう1つは見逃していました。中山七里作品、スイスイ読めてしまう読みやすさによって、読者に犯人像を考えさせる時間を与えないように設計されてるのかなと思います。とてもいい意味で「いつもの中山七里」でした。
一方、悪い意味での「いつもの中山七里」要素としては、美晴がいつまでたっても感情先行でやや間の抜けた狂言回し役として描かれるにとどまっているところ。もう少し彼女の活躍で展開を見せる場面とか見てみたいです。 -
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ネタバレ【全体を通して】
過去作に比べ事件のレベルが上がり、
音楽描写もショパンコンクールとのことで
複数人のピアノ奏者の個性がかき分けられており、
事件と音楽の双方の勢いが凄かった。
登場する曲の数が多いので、読みながら聴くのが大変だった。笑
今までは岬陽介が「先生」という立場だったのから
主人公ヤンの「ライバル」という位置づけで、
更に母語の日本ではなく海外にいることから
岬陽介がすこし幼く感じたのも新鮮だった。
ライバルやテロを通して成長していくヤンを
見ていくのは辛かったけど、尊敬できると思った。
【岬陽介、ついに戦争までも止める】
前作「おやすみラフマニノフ」では
ヤクザを制したシーンに驚いた。しかし今回
人が死ぬようなテロ事件を相手に推理をし
終盤ではノクターンで意図せず戦争を一時的に止め
その後は黒幕の犯行の実行直前に止めるという......
さっき岬陽介が幼く感じたと書いたが
やっぱり彼は25歳にしては逞しすぎると思った。
カミンスキを制した時はさすがにヤバすぎて笑いがこぼれた。岬陽介って呪術廻戦の世界に転生したら五条悟と肩を並べてるかもしれないとか意味不明なことを思った。クラッシック巨匠たちの怨霊を後ろに据えた呪術とか......強そう......(この話を広げるのはやめます)
【主人公ヤンステファンスの成長物語】
ヴィトルドとカミンスキの下で育ったヤン......
最初はショパンの音楽に囚われているが
他のコンテスタントのピアノを素直に分析し
自分の音楽に疑問を持っていくのが凄い
特に榊場隆平の音楽を聞いた直後の気持ちの乱れが
文章として表現されていたシーンはすごく面白かった。あの分かりやすく文章が乱れているような表現を私は初めて見たし、今まで威風堂々だったヤンがあそこまで気を取り乱すのが意外だと思った。
そしてマリーの死を抱えながら音楽に昇華していく気の持ち方も凄かった。今まで譜面通り指示通りの演奏だったのから自分の気持ちをドロドロに溶かしこんで表現することで、ヤンの音楽は開花された!と壮大な拍手を送られていた時には泣きそうになった。
【死ぬリスクを抱えてまで音楽を聴きに来る人々】
近場がテロで狙われているのに抵抗と言ってコンクールは続行するしお客さんは来るのが、全然やばいなと思った。形が違った兵士と言ってもいいのでは...。でも街全体でショパンの音楽に狂わされているのは、SNSに狂わされるより全然かっこいいし誇れることだと思うけど、死んじゃったら意味無いよ
【何人もの演奏の書き分けが凄い】
複数国の奏者の個性が活きたピアノの表現の幅が広くて豊かで驚いた。私が聞いたら全部「上手なピアノ」になってしまいそうだけど、ヤン達が聴いたらここまで情報に富んで聴こえるのはすごく羨ましい。作中のピアノを再現したピアノが聴きたいと思った。
【ヴィトルドに同情する余地が無い】
マリーの無惨すぎる死を目の当たりにした直後のヤンに「よかったじゃんそんなのどうでもいいからピアノやれ(大意)」って声かけるの人間じゃ無さすぎた これ読んでる時、ヴィトルド犯人臭すぎて多分犯人じゃないけど犯人じゃないなら逆に救いようが無い、この後なにがあっても覆せないと思った......
ヴィトルドの報われなかった過去を踏まえても、無理やりヤンにショパンのピアノを押し付けてるのは見てられなかったが、それでもヤンには才能と困難を乗り越える力があって、ショパンコンクールで優勝を収めたから、ヴィトルドは思い上がるだろうし、ヤンが自分の元を離れたあとでも自分の過ちに気づくことは無いんだろうなと思った
【残酷なテロ被害の表現】
過去作では火災や洪水の被害描写の残酷さが印象に残っているが、今回は人が意図的に行った、テロによる爆発被害の描写が生々しかった。ホールの真ん中で怒った事件は、ヤンが巻き込まれなかったのは奇跡だったし、床中に肉片や髪の毛、人だったもの......が落ちてる表現を読んだ時は吐き気がした。その後家でむちゃくちゃにお風呂に入って、ピアノの練習にいくヤン、事件を忘れたい一心という気持ちはかなり分かるにしてもテロと日常が隣り合わせすぎてゾッとした。
【番外編での入間登場】
前作読んで気になっていた入間が番外編で再登場したのが嬉しかった。入間に限らず過去作の主人公2人が出たのもアツかったし、「過去作読んでる読者の喜ばせかた」の塩梅がちょうど良いなと思った。 -
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なかなかの悪女ぶりで読んでて気持ちのいい物でありませんでしたが、それを上回る面白さと緻密さがありました。最後のどんでん返しのまたどんでん返しは天晴れでした。恭子が再生不良性貧血で美智留から骨髄移植を受けた事が最後にこう繋がるのかぁ!と感心しました。
元々ヒポクラテスシリーズで中山七里作品を読む様になり、そこに出て来た渡瀬警部のシリーズ、古手川刑事のシリーズを読み、更にそれらのシリーズに出て来た御子柴弁護士のシリーズ、そして古手川刑事の宿敵だった有働さゆりが登場したこの美智留のシリーズまで繋がりました。
中山七里の術中にハマっている様な気もしますが、この様にシリーズを跨いで多くの登場人物がオーバーラップするのは読んでて楽しいです。 -
Posted by ブクログ
以前読んだことありそうだなと思いながら読んだが、全く覚えてなかった。
確か前は途中で連載ものなのに単独で読んでしまったなと思ったのだが、今回はちゃんと前作も読んでいたので犬養のことを知っていたからか、しっかり読むことができた。
個人的には「青い魚」と「黄色いリボン」が好きだった。
「青い魚」は騙されていることに気づいてないのかと思ったが、やはり得意なフィールドに立った時に人の本領は発揮されるんだなと思った。
ただ、今まで寂しいと感じてなかったが、人と生活をして「自分は寂しかったんだ」と気づいてしまったこの章の主人公が、寂しさをこれからどう埋めていくのかなと思った。
また、犬養シリーズには割と「罪には問われないが、悪いことはしてる」というような微妙な立場の人もいて、警察としては逮捕できないが、犬養個人としては気づいてますよという忠告をする場面があるが、その後が描かれていたので興味深かった。
男性の嘘だけはわかるが女性の嘘が分からない理由が「女性は天性の嘘つきだから」というのが心に残った。 -
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ネタバレ憲法39条や少年法を理由に殺人犯を弁護して無罪を勝ち取った人権派弁護士が無惨な殺され方をする。
蓮田サービスエリアから長距離トラックに引きずられ原型を留めなくなった死体。廃ラブホの屋上のカラスの棲家に生きたまま括り付けられカラスに啄まれた死体。70度の食品乾燥機の中で12時間乾燥させられカラカラになった死体。
殺され方が残虐すぎてゾクゾクするのは相変わらずのカエル男。有働さゆりの最期が人格が統合されかけるも贖罪の意識で古手川にわざと射殺されるようにしむけたのもしんみりする幕引き。
自分を殺人鬼に仕立て上げた御前崎教授をボーガンで射殺するけじめも良き。