あらすじ
恩師と向き合う悪徳弁護士・御子柴礼司。「贖罪」の意味を改めて問う、感涙のリーガル・サスペンス。少年時代の凶悪犯罪が暴露され、悪評が拡散する弁護士・御子柴。勝率九割の敏 腕も依頼者が激減、事務所移転を余儀なくされた。そんなとき少年院時代の教官が殺 人容疑で逮捕され、御子柴は恩師の弁護を力尽くでもぎ取る。罪を自ら認める教官だ ったが、御子柴の弁護法廷は驚愕の展開に!
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御子柴礼司シリーズ3冊目。
3巻目まで全部レベチで面白い。この先生すごい。しかも今回は今までのものと毛色がちょっと違って、突然変化球を食らったみたいだった。
悪徳弁護士が主人公なのに、やや切ない気持ちになるこの作品、圧倒的星5です。
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御子柴礼司シリーズ。本作も面白かった。
他作でさんざん悪徳弁護士と書かれているけれど、きちんと人間的心を持っていて、なんだったら普通の大衆以上に真摯な心の持ち主として描かれているように思う。
本作の魅力は、解説に端的に示されている。解説より2か所抜粋。
「中山作品の読み心地は、囲碁の対戦を見ているときのそれに近い。囲碁の布石というものは門外漢には理解不能なもので、序盤の展開が後でどのように効いてくるかはまったくわからない。黒白交互に石が置かれていくのを見るのはそれだけで気持ちいいが、ぼうっと見とれていると、あるとき突然決着が訪れるのである。」
「フェアプレイの精神が良きミステリーの必要条件である。」
いずれも全くそのとおり!
最近話題のミステリーの一部は、このフェアプレイ精神に欠けるものがるように思う。そういう作品は読み終わっても騙された気持ちがしてあまり気持ちがよくないのだ。
中山作品は、鮮やかなどんでん返しで、さわやかな読後感があり、本作もそれに漏れない一作だった。
次巻も楽しみ。
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恩師、少年院時代の教官が加害者となり、
御子柴が弁護をするシリーズ第三弾。
反社会関係で進むのかと思ったが、
最初のくだりだけだった。
すんなりとは進行しないと思っていたが
その通りでいくつものドキドキやそうくるか、
えーみたいなのがあり面白い。
恩師との法廷でのやり取りは、思い通りに行かず
今までとは違った御子柴に会えた。
人により償い方も違う、想い、考え方も違い共感できる。
最後のりんこの手紙には、泣けたね。
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3作目。
今回は、医療少年院にて御子柴の担当教官だった稲見武雄が殺人を犯した事を知り、無罪を勝ち取ろうと奮闘する話である。
冒頭にて語られたのは、ブルーオーシャン号事件。転覆していく船の上で、救命胴衣を着た女性を男が殴り救命胴衣を奪い殺人罪に問われたが、結果として「緊急避難」というもので無罪になったという事件。
この事件が今回稲見が起こした事件に深く関わってくる。
この世界には人を殺しても無罪になる事がある。
《戦争、死刑、少年犯罪、刑法39条(心神喪失)、刑法37条(緊急避難)》
上記のブルーオーシャン号での事件は37条が適応され無罪となった。
稲見の事件を知るや否や、御子柴はすぐに動く。
稲見教官から、贖罪の意味を教えられた。
自分の人生に一条の光を見出せたのは稲見のお陰である。
あの稲見が人を殺すなんて到底考えられない。
いつもの御子柴らしくない心情だが、今の御子柴を作り上げた人物の人生がかかっているとなればこうもなるだろう。
例えそれが元・死体配達人だろうと。
相変わらずな方法で担当弁護を代わり、稲見の無罪を何とか立証しようと奮闘する御子柴だが、
稲見本人が法廷にて、「自分は明確な殺意を持ってして栃野という男を殺した。被害者にも護られる権利があり、そしてどんな人間にも償う権利がある。罪の大きさに見合った罰を与えてくれ」と言う始末。
普通は被告人と弁護士は二人で一つ。な筈だが、裁判を行う度に御子柴vs稲見の構図になる。
稲見が入所していた伯楽園にて犯行が行われた時一緒にいた人に話を聞き、矛盾点に気づいたこと。
伯楽園では日常的に暴力が奮われていたこと。
稲見が殺した栃野という介護士の本性。
その他にも沢山、稲見の罪を無罪に持っていく為に証拠集めに走る御子柴。
栃野の実家に赴いては、栃野は稲見に出会わなかったもう一人の自分だと感じ。
稲見の別れた妻の所に赴いては、稲見は自分にとって父親以上に父親であった、稲見の足は自分が負わせた傷であると謝罪する。
謝罪なんてするなと稲見に言われたのに、そう口に出していた。そして自分は謝りたかったのだと御子柴は悟る。
公判での発言、証拠集めに動き回る御子柴はこれまで以上に躍起で、それだけ稲見に思い入れが深いのだろうと節々で感じる。
事が動くのは後半。
妻から教えられた稲見の息子、武士の死について。
そしてブルーオーシャン号で救命胴衣を奪われた女性の父親である日浦家を尋ねた時に見つけた一枚の写真。
なぜ稲見がある入所者を庇い殺人を犯したのか。
稲見にある入所者を助けてあげて欲しいと懇願し続けた老婆。
2人は同じような理由で伯楽園に集まった。
稲見に助けてあげてと懇願した老婆は、何も法律に違反していない。検察も立証することは不可能だろう。
「私は何かの罪に問われるの?」そう微笑む老婆に御子柴は「法で裁かれる方がよっぽど幸せな事もある」と告げる。
それは御子柴自身、法に裁かれなかったから出た言葉だろう。
苦しみ、許しを乞う事も許されない。
謝罪なんてもっての他だ。
院を出る時に誓った。
「奈落から手を伸ばした者を生涯かけて救い続ける」
それが御子柴の罪への向き合い方だった。
でも今回の事件を通して、法の限界を感じてしまった。
自分が恩師にしたことは役に立たなかった事なのか。
稲見は言う、お前の贖罪の仕方と俺の贖罪の仕方が違っていただけの話だと。
稲見は満足そうにして去っていったが、御子柴にとってはどうしようもない感情に囚われて。
大事な人を護れなかった。その為にこの道を選んだのに。
打ちひしがられる御子柴の元に倫子から手紙が届く。
「テレビで見たよ。ずっと一生懸命だったね。ずっと応援してるよ。大きくなったら先生みたいな弁護士になりたいな。頑張ってね」
倫子の手紙を読んだ御子柴は瞳を潤ませた。
兎に角必死な御子柴先生と、自分を許さないでくれ、罰を与えてくれと懇願する稲見教官。稲見教官の罪との向き合い方には脱帽する。果たし罪を犯してこんなに冷静で居られるのか。長いこと医療少年院の教官という特殊な仕事についてきたことからくるものなのか。
倫子ちゃんの手紙で涙を見せるような描写にはこちらもグッと来てしまった。
面白かった!
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オーディブルにて
被害者が暴力的になってしまったきっかけは、
やはり船の事故だったのだろうか。
事故以降の被害者の気持ちも知りたくなった。
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御子柴シリーズ3作目
ラストの稲見教官の無罪にならない展開はなんとなく予想できたが、人間らしくなってきた御子柴の魅力が際立った作品だった。
最後の凛子ちゃんの手紙はグッとくるものがあり、御子柴は救われてよかった。
凛子は御子柴のような弁護士を目指し、御子柴はこれからも奈落から手を差し伸べる人を助け続け、お互いの存在を糧に生きていくと素敵だと思った。
将来凛子が弁護士になった作品ができて欲しいと思った。
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御子柴礼司シリーズ。前作て自身の過去の犯罪歴を暴露した御子柴礼司は、少年時代の恩師が殺人の容疑で逮捕されたと知る。弁護士の役を無理やり奪った御子柴礼司は弁護のため奔走する。
ミステリーとしてなら前作のほうが面白い。御子柴礼司という人間を深掘りするための回といったところ
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シリーズ3作目
今回もものすごい大どんでん返しの連続だった。
恩師を救うはずだか、その恩師な対応が難渋。
御子柴礼二が珍しく熱血っぽい。
とても格好よいヒーローだ
この本のおかげで、Audibleだけでなく、このシリーズ、すべての文庫本を買った。
Posted by ブクログ
弁護士御子柴シリーズ3作目!
これは響くなぁ。
恩と讐が渦巻いて渦巻いて…
とりあえず言いたいことは
毎度タイトルが秀逸☆
贖罪、追憶、恩讐…
次が楽しみすぎる♪
今作は絶対に一作目から読むことを
強くおすすめ!
というか、そうしないと全然楽しめない。
一作目から読んでるからこそ
響いてくるものがありまくり。
今作では冒頭から責めるなぁと
驚かされまくり。
国が国だし、事件が事件だし。
そんな責めまくりの一手からの展開が
華麗すぎる。
因果応報。
綺麗すぎるブーメラン。
今作で印象に残ったのはこの台詞。
「罪も罰も、
それに相応しい人に
相応しい形で
与えられるべきです。
そうは思いませんか?」
Posted by ブクログ
久々に内容の重い本。
原田マハさんや小川糸さんの「ツバキ文具店」「キラキラ共和国」などの
ほっこり優しいホロっと系が続いていたので
余計に中山七里さんの本格ミステリーにある大どんでん返しにまんまとハマり、ビンタされた気分。笑
そこ繋がるかー!
最後の一枚の写真が気になりすぎて、
睡眠時間を削って最後の一文まで駆け抜けた。
検察官や弁護人の主張、抗弁、裁判の進み方、判決の言い渡しも本当に精緻で
中山七里さんも知見が本当に広い…
だからこそ、底なしに面白い。
Posted by ブクログ
御子柴シリーズすごい!
緊急避難の解釈は目から鱗。
「目には目を」的な弁護方針に、「やるじゃん!」と思わず呟いてしまった程。
色んな裁判小説を読んできたけれど、今まででBestシリーズ。
おもしろかった
やっぱり御子柴シリーズはすごい。本当に大好きな作品。どうしてこんなに面白いのだろうか。どうしてこんなにも考えさせられるのだろうか。是非ともいろいろな人に読んでもらいたい。また次回も読みたいし、読み返したいと思う。
問題山積
孫達を思うと 弁護士 御子柴 礼司は
今後何をどうしようと 救われようの無い ロクデナシだと
贖罪の奏鳴曲 追憶の夜想曲 恩讐の鎮魂曲 と読み続け
それでも 何処かで 5歳の女の子が殺されねばならなかった理由の 欠片でもと 心待ちしながら 最後の一行 迄。
(やがて文字がぼんやり滲んできた)
女の子 その母 を思えばこう書くことも胸苦しいが
はまり込んで読んでいたのを あっ読み物!と抜け出せれた時 その一行で 憎みきれないろくでなし といえる
認めたくない無罪
認めたくない無罪の理由がある。
それと同じ理由で自分が無罪になるとしたら
無罪となる自分が許せるだろうか?
無罪となった奴を許せるだろうか?
自分を無罪になるよう弁護してくれた人に感謝できるだろうか?
また、中山七里さんから難しい問いかけをいただいた。。。
Posted by ブクログ
御子柴弁護士シリーズはいつも、加害者の目線で悪事を働くシーンから始まるのでソワソワして冒頭から心が掴まれます。
ここまで、悪事を働く際の人の心理を描いているものってあまりない気がします。
Posted by ブクログ
本作品もとても面白かったです。
スッキリ終わらせないのが、この作者の憎い所ですが、それもまた現実的で良かったです。
この弁護士は生い立ちにいわくがあるので、他の作品とは異なる味わいを感じさせてくれます。
続編も早めに読みたいと思います。
Posted by ブクログ
シリーズ物とは知らずに手にとったが、御子柴の特殊な成り立ちから前作があることはわかった。
完全自白した被疑者を無罪にするべく、御子柴が事件の裏にある真実を追っていく。しかし、例え無罪になったとしてもこれは勝訴なのか?と考えずにはいられない。
前2作「贖罪の奏鳴曲」「追憶の夜想曲」も読みたくなった。
Posted by ブクログ
御子柴シリーズ3作目。今回の弁護は少年院時代の恩師。最初に語られる事件はどう絡んでくるのか?
恩師が入所していた老人ホームで介護士を殺害し、本人も認めている。目撃者である入所者たちは証言や記憶もあやふやな中どう弁護していくのか!?
いつもとは違う御子柴を見れた気がした。
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少年時代の凶悪犯罪が暴露され、悪評が拡散する弁護士・御子柴。勝率九割の敏 腕も依頼者が激減、事務所移転を余儀なくされた。そんなとき少年院時代の教官が殺 人容疑で逮捕され、御子柴は恩師の弁護を力尽くでもぎ取る。罪を自ら認める教官だ ったが、御子柴の弁護法廷は驚愕の展開に
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御子柴シリーズの第3作。なかなか読み応えがあった。かつて殺人を犯した御子柴と被害者の対比。殺人を犯さなければ命が危ぶまれた?被害者と加害者の対比。自分の犯した罪に対してどのように正対するのか、それにより人間性が決まるような気がした。
Posted by ブクログ
御子柴礼司シリーズ3作目。
今回も面白かったのでほぼ一気読み。
前作の終わり方が衝撃的で、御子柴礼司大丈夫か?ってとこからのスタートでした。
今回は老人ホームでの殺人事件。
入居者が介護士をって事件で、被疑者は御子柴の知人で、、、。
今回も国語のお勉強になりました。
無聊(ぶりょう)と託つ(かこつ)
→何もすることがなくて暇なこと
趨勢(すうせい)なりゆき
知悉(ちしつ)、躱す(かわす)、罅(ひび)
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恩讐の鎮魂曲(レクイエム)
中山七里(著)
### あらすじ
少年時代の凶悪犯罪が暴露され、悪評が広まった弁護士・御子柴礼司。勝率9割を誇る敏腕ぶりも影を潜め、依頼人は激減、事務所の移転を余儀なくされる。そんな中、かつて少年院時代に世話になった教官が殺人容疑で逮捕される。御子柴は恩師の弁護を強引に引き受けるが、被告人本人は罪を認め、自ら罰を受ける意志を貫こうとする。果たして御子柴は、法のもとで正義を貫くことができるのか。驚愕の展開が待ち受ける法廷ミステリー。
### 感想
今回も見応えのある裁判シーンが展開されます。「緊急避難」をめぐる弁護が焦点となり、御子柴は恩師を無罪にしようとしますが、本人は罪を認め、正当な罰を受ける意志を貫こうとします。そのため、御子柴にとって思うような弁護ができない難しい事件となっていました。
法律用語が多く、すべてを理解するのは難しいですが、ストーリーの流れの中で自然と法律と感情の関係が見えてくるため、とても興味深い内容です。法廷ミステリーとしての完成度が高いのはもちろん、罪と罰、正義とは何かを深く考えさせられる内容になっています。
終盤にはおなじみのどんでん返しがあり、物語の展開とともに御子柴の感情も揺れ動いていきます。これまでの彼とは異なる一面が見えますが、これが本来の御子柴なのか、それとも新たな変化なのか___次の作品の展開が楽しみです!
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シリーズ第3弾
悪辣な弁護士 御子柴がどんどん人間臭くなっていく(褒めている)
韓国のセウォル号の悲劇を彷彿とさせる
海難事故からどう展開していくのかと思いきや
伏線に次ぐ伏線の回収がおもしろい!!
渡瀬刑事のちょこっと登場も憎い。
恩師をただ助けたかった御子柴の無力感、焦燥感
倫子の手紙で少し救われたと思いたい。
毎回ちょこっと泣かせに来る。
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今回は御子柴が少年院のときにお世話になった稲見教官が被告人。必死に稲見教官を無罪にするために焦ったり、イラついたりしている御子柴の様子を見るのは新鮮で、魅力的な一面が見れて嬉しかった。老人ホームで残虐な暴行が繰り返されており、その悪行を露わにする…だけで終わらないのがさすが中山七里!って感じで今回も読みごたえあって良かった!
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シリーズ3作目。一貫した構成とページ数で慣れてくると非常に読みやすく感じる。3作の中では最も御子柴が感情を出し、3作読んでいる読者を裏切る終わり方で面白かった。これまで描かれた過去に決着をつけるようで付けない展開と、ラストシーンがどう物語を続けていくかを気になる終わり方だったので必然的に4作目に向かわせる上手さがあった。
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まさかの恩人稲見教官が被告人。
御子柴に任せてたら情状酌量有りになって何なら無罪も勝ち取れてたかもしれないけど、
弁護人に協力するどころか、性根が真っ直ぐで曲がったことが大嫌いという稲見教官らしく「罰を与えて下さい」の一点張り。
「犯した罪には相応の罰をもって償う」そう教えてきた自分が無罪になるのは今までの自分を否定すること、かつ無罪の為に〈緊急避難〉の適用になるのはあの悪辣な獣と同じになるから耐えられないーーー。
…という稲見の気持ちもわからんでもないけど、極悪非道の輩から他人を助ける為の行為だったんだから無罪とまでいかずとももう少し減刑を望んでもいいはずでは…?と思わずにいられないなぁ…
でも御子柴が思う贖罪と稲見が思う贖罪の意味が違うと言われてしまうともう何も言えないな…
贖罪とは?
改めてその意味を考えさせられる…
Posted by ブクログ
オーディブルにて。
すっかり御子柴弁護士の虜になって3作目。このシリーズは毎回出し惜しみなく重要人物が被告人になるのが面白い。今回は父のように慕う恩師。1作目で描かれた御子柴弁護士の医療少年院時代を思い出しながら読んだ。
冒頭の韓国船沈没事件による「緊急避難」の適用事例から、リーガルサスペンスの面白さが詰まった作品。これまでのヒーロー弁護士作品にありがちな、警察が見逃した決定的な物証を弁護士が見つけて突きつけるというよりは、御子柴弁護士は弁論によって相手の心証を操作するという、どちらかというとリアルな弁護士であるところがこのシリーズの面白いところ。本作はまさにそんな巧みな弁論が見所だった。
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敏腕だけれども高額報酬を要求することで知られる「悪徳」弁護士、御子柴礼司を主人公とした法廷ミステリシリーズ3作目。
本作では御子柴が少年犯罪で収容されていた少年院時代に御子柴を矯正した指導教官・稲見が被告となる。入居する老人ホームで殺人を犯し、周囲の証言も、稲見の自白もあるという中でまたしても無罪を主張する御子柴。
恩師に対する情から過去作以上に見切り発車的に着手するも、公判準備の過程で独自に捜査を続ける中で隠蔽された事実が明らかになり…という展開はこれまでと同じ。さすがに3作目ともなれば展開が読めてしまうし、作者はフェアに伏線をちりばめてくれているので真相の大枠は浮かんできてしまう。周囲の証言もあり、被告が自白もしている状況をいかにしてひっくり返すかというか、そのような状況が起こる妥当性を担保できる真相を導くための設定、構成の妙味に舌を巻く。