あらすじ
法が裁けないのであれば、誰かが始末しなければならない――
警視庁捜査一課の瑠衣はゼネコン社員の不審死を追うが、自身の父にも疑惑の目を向け始め…。予想を裏切る衝撃のミステリー!
解説・中江有里。
単行本 2023年1月 文藝春秋刊
文庫版 2025年5月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
ミステリーというより、架空小説といった感じ。
謎解きの要素はなく、ただ空想小説として楽しめた。
他の作品では脇役だった人物に焦点を当てる作風は、中山七里先生ならでは。なので中山先生の作品を読み込めば読み込む程、楽しめる。
次は妃倉くんを主人公にした作品が読みたい。
Posted by ブクログ
これまで読んできた中山七里さんの作品と少し違う感じが新鮮でした。
何が違うのか思うに、最後までハラハラドキドキだったことかと…
どんでん返しで、もしかすると手を出さずとも制裁が下されるのではないか、そうなれば喝采なのに…とずっと思いながら、でも結局…
中山七里さんの作品、本当に読み応えがあって、楽しい読書タイムでした。
Posted by ブクログ
もし自分が被害者家族になってしまったら、そして、現行の法律では裁ききれないとしたら、同じ行為に走るのか❓
泣き寝入りするのは絶対嫌だけど、納得できない結末ならハングマンを探してしまうかもしれない。
でもそんな勇気は出せそうにない。
Posted by ブクログ
パイセン本。
中山七里著『祝祭のハングマン』は、法の網をすり抜ける悪を裁く「私刑執行人=ハングマン」という、ダークヒーロー的存在を核に据えた作品である。その設定は単なる勧善懲悪の枠を超え、人間の心に潜む復讐心や正義への渇望を鮮やかに照らし出す。主人公たちの姿は、理性と激情のはざまで揺らぎながらも、許されざる者を断罪するという一点に収斂していく。その過程は倫理観を鋭く突きつけると同時に、読む者に強いカタルシスをもたらす。序盤の静謐な展開から、後半にかけての昂揚は見事であり、闇に潜むハングマンの存在が現実に顕現したかのような迫力を放つ。正義と悪の境界が溶解する中でなお、人はなぜ「裁きたい」と願うのか――本作はその根源的な問いを私たちに突きつける。重厚なテーマと緊張感ある筆致により、ダークヒーロー小説の醍醐味を存分に味わえる一冊である。
Posted by ブクログ
全てが手に入るわけじゃない。仕事柄倫理観で理性を抑えようとする反面、どうしても犯人を許せず鉄槌を下したくなる遺族としての気持ちのせめぎ合いが細かく描かれています。
しかもそれが言葉に出せなくて叫んだり、物に当たったり、誰にも理解できないもどかしさが事件の進展とともに表現されて苦しい感情になります。
誰にだって怒りに身を任せて法律を破る瞬間があるかもしれない。でもそれを行動に移すか移さないかは大きく変わる。
その人の心の中の何かを失ってしまっても後悔はしないのか、抑えられた気持ちの行き場として正解だったのか問われているような感覚になりました。
そして世間がハングマンを支持しているかどうかも、遠回しにみんなの心の中にもハングマンがいるのかを囁かれている気がします。
Posted by ブクログ
ハングマンってなに?
調べてみたら「絞首刑執行人」
読み終わってからカバーに私刑執行人とルビがあるのに気がついた
では「祝祭」は?
読み終わるとわかります
法で国の事を決めていくという道が選ばれている以上、法に規定のない私刑はダメなんだろうな。
でも でもだよ 上手にすり抜けて旨い汁を吸ってる奴らは許せないと思うのですよやっぱり。
殺すかどうかは当事者になってみないとわかんないけどね
Posted by ブクログ
てっきりハングマンを捕まえる刑事の話かと思い、スッキリした終わり方を予想していたのですが、全く違っていて驚きでした。
ですが、倫理観と正義感のある主人公が、殺人犯という全く逆の行為を行うに至った心情が中々細かく描かれていてとても良かったです。殺害を決めた後も何度か揺れ動く気持ちも、その事に対して優柔不断だと嫌悪する気持ちも、殺害により達成感や喪失感が同居する感覚、殺害後の虚無感…きっと普通の人間が復讐で殺害したとしたら、こんな気持ちなのかもしれないなと追体験させられた気分になります。
実際、私が主人公ならば、復讐を取るかもしれないと考えてしまったから尚更です。非常に不快で、そんな気持ちにさせるこの本はやはり凄いのだとも思います。
何度も自分の信念を捨てて、決意を固める事は辛いと思うが、きっと復讐後の方が重く辛いのではないかと思います。警察という場所にいるなら特に、自分は警察官としても人としても外れた事をしている罪悪感と、今までの自分では無くなった喪失感で潰されてしまうのではないかと予想します。
誠也は望んでいない結末であっただろうとは思うのだけど、もしも法で裁けないと分かっていたら、目の前に今なら復讐できる機会が転がっていたのなら、きっと多くの人が手を伸ばしてしまう気がするのです。
倫理観は、親しい人を奪われた憎しみに比べればと軽い様に思いました。
ただ、ハングマンさえ現れなければ、彼女は憎しみの中でも警察官でいられたかもしれないので、ハングマンが正義のヒーローにはやっぱり見えません。
Posted by ブクログ
中盤まではダラダラと話しが進んでたが終盤でのハングマンと接触しクライマックスまでハラハラした展開でスカッとした。昔のドラマの必殺仕事人を思い出した。
Posted by ブクログ
解決困難な事件を主人公が見事に解決に導く、というようなこれまでの中山七里さんの作品とは違って、解決しないまま主人公が復讐をする。今までとは違った新鮮な作品でした。
口コミでは主人公の瑠衣に魅力を感じないとありました。確かに他の作品の主人公は、複雑な過去を持っていたり、猪突猛進な性格であったりなどはなく、まだ未熟なキャラクターだと思いましたが、その人間味のある性格が作品に感情移入させてくれたと感じます。
普通の生活のちょっとした描写が、父親が亡くなってしまったのだと実感させられ、切なさにうるっときました。
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捜査一課の刑事である春原瑠衣。
父親が勤めている会社で不審死が3件発生した。
事故なのか殺人なのか、物的証拠も目撃情報も乏しく捜査も難航していた。
そんな中、元刑事の鳥海があらわれ事件の真相に近づく。
復讐はだめだが法律では裁けない悪人が生きているのは許せるはずもない。
瑠衣の気持ちの揺れが今後どうなっていくのか気になります。
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ヤジマ建設の社員が不審な事故死を遂げるが、裏に隠された真実が明らかになる時あなたならどうする。
私刑の是非が主題。建設業の裏金からの隠蔽、さらにズブズブとなり…
オチ的にもあっさりな感じだから読みやすいけど物足りない感は否めない。
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新しいタイプだと期待していた分、主人公の葛藤が長い…。いや、長くないといけないのかもしれないけど、その割に最後はアッサリしてる。シリーズ化を見越した1作目というとこかな。
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中山七里さんの作品は好きだけど,この作品はあまりしっくりこなかった。ストーリーに面白みが欠けるような。ラストもやっぱりそうなるのか,という感じ。
この後,主人公がどう生きていくのかは気になる。
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犯人、事件の起きた深層を探っていくストーリーが多い中、これは違った。
被害者遺族でもあり、刑事でもあり、ストレスを持って揺れていく主人公。
展開は面白い
けれど、もう少し掘り下げて欲しい部分もあったかな。共感できないまでも、この人物に寄り添える、もっと追いかけたいといったものがなかった。
Posted by ブクログ
父親を殺された女性刑事が元刑事の私立探偵と共に復讐する話。といいつつ復讐するまでの過程が長すぎて途中まで正統派の警察小説だと思ってた。いわゆる「法の代わりに我らが裁く」的な勧善懲悪ものなのでそれなりに面白かったけど、システムに侵入してうんたらかんたら、ってちょっとありがち過ぎてちょっと物足りなかった。
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ストーリーとしては面白かった。会長に対して刃を突きつける場面は、ヒーローが怪獣を倒すなんて洒落た演出だと思ったし、悪いことした奴に対して被害者家族がきちんと復讐する構図が描かれている。
司法には委ねられない。国がやらないなら自分でやる、“私刑”というやり方でしか悪に立ち向かえないところに、モヤっと感が残った。
Posted by ブクログ
主人公の父親の会社で不審な死亡事故が起こり、父親の様子に疑惑を持ち始めたところ、次の死亡事故が起き…父親に疑惑を向けるところからの主人公の心理描写に引き込まれた。
ただ結末は、やりきれず後味が悪い。
Posted by ブクログ
中山七里といえば、私の中では東野圭吾と並んで凄いリーダビリティの作家です。それがたとえ個人的にはイマイチと感じる作品であったとしてもグイグイ読まされるのが常だったのに、なぜか本作は読むのに異様に時間を要してしまいました。
角川文庫の字の大きさが私に辛くなってきているのかしらと思うけれど、主人公のことがあまり好きになれなかったのがひとつの理由かと思います。
毎度最後の最後に驚かされるドンデン返しもなくて。というのか、えっ、彼女がそのまま仕置き人になるのねという展開は逆に新鮮か。道徳観を振りかざされるよりは良いかもしれませんけど。
Posted by ブクログ
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嗤う犯人を
許さない。
刑事・瑠衣は死亡事故の真相を追ううちに、
奇妙な探偵と巡り合って…。
“ハングマン”がついに動き出す!
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著者はずっと気になっていましたが、
なかなか手に取る機会がなく。
新刊の本書は表紙とあらすじで気になり購入しました。
主人公の瑠衣の心情にも、事件の真相にも、
どちらにも気持ちが入り込めず、
2時間サスペンスドラマを見てる気分でした。苦笑
それでも、
瑠衣が事件を追ううちに
瑠衣自身も事件に巻き込まれていくんですが
どんな結末を迎えるのかが気になり、
一気読みでした。
Posted by ブクログ
中堅ゼネコンの社員3人が続けて不審死をとげた。3人目は警視庁捜査一課の女刑事・春原瑠衣の父親だった。警察の捜査は進まない。私刑執行人が動きだす。まだキャラ立ちしてないのはあるが、中山氐の作品にしてはイマイチ物足りなかった。
Posted by ブクログ
中山七里『祝祭のハングマン』文春文庫。
世の中には悪事を働きながらも警察にも捕まらず、のうのうと暮らしている奴らが多数居る。政治家の連中からして、国民の生活を蔑ろにし、裏金や賄賂を集め、税金で夜な夜な美食を堪能しているのだから腹立たしい限りだ。
本作は、そんな警察に捕まらずに悪事を働く奴らに正義の鉄槌を下す私刑執行人、ハングマンを描いているのだが、どうにも爽快感に欠ける。
一つには私刑執行人が超人的な能力を持っている訳でもなく、私刑執行も大胆さに欠ける点がスッキリしない。
二つ目には私刑の対象となる悪人がごくごく普通に居そうな奴らである点が、共感出来ないのだ。
三つ目は3人もの同じ会社の社員が立て続けに変死を遂げているのに関わらず警察がその会社を怪しみ、徹底捜査することを見送っている点だ。もしも、自分がハングマンであるなら、警察に鉄槌を下すであろう。
建設会社の社員が何者かに押され、トラックに轢かれて死亡するという事件が発生する。警視庁捜査一課の春原瑠衣は、死亡した社員が働いていた会社が、瑠衣の父親も働いているヤマジ建設であることを知り、父親に死亡した社員について質問するのだが、父親は明らかにおかしな態度を見せる。
数日後にヤマジ建設から2人目の犠牲者が出るのだが、殺人とも事故とも判然としない状況で、警視庁捜査一課の捜査では何も手掛りは掴めなかった。さらに数日後、瑠衣の父親が建設作業中にクレーンで吊り上げた鉄骨の落下により死亡する。
瑠衣は父親の葬儀を終えると直ぐに現場に復帰したのだが、被害者が身内であることを理由にヤマジ建設社員の死亡事件の捜査から外されてしまう。
本体価格730円
★★★