中山七里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
YouTube番組『有隣堂しか知らない世界』で見てからの中山七里ファンだ。この本は贅沢だ。超短編とかショートショートと言われるような本当に短い話や小説の解説など、凝縮された中山七里がびっしり入っている。ふふふ、1箇所誤植と思われる箇所も発見した。あの中山七里の、だ。いっきに読むのはもったいない。1話1話、ちびちびと舐めるように読んでいきたい。だけど、美味しいお酒でそんな飲み方ができないように、『中山七里短いお話ほぼ全部』もそんな読み方はできない。ページを繰る手が止まらないのだから。「待て」のできない犬のようになってしまう。電車で読む方はご注意を。
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Posted by ブクログ
ネタバレ初中山七里作品。
社会派ミステリーはその題材を上手く扱えていないものが多い気がするけど、しっかりと死刑制度について考えさせられる内容だった。
被害者遺族の怒りや悲しみは読んでいて苦しくなった。
法曹界の描写も細かくて全く違う世界を垣間見れて良かった。
最後の展開にはもっと前の段階で気付く人が多いのかも知れないけど、渡瀬警部の前振りで本当の目的に気付いた時はゾクっと出来た。
しかし温情判事は嫌な人間だし、共感できなかった。「法廷は復讐の場ではない」とするなら、手前勝手な思想で「牢屋で生き続ける方が苦しむ」と考えて死刑判決を出さないのは矛盾では?
懲役の苦しみに関する話はあったけど、実際に死 -
Posted by ブクログ
夏の真夜中、アパートの隣室から気味の悪い音が聞こえてくる…
この『夏』という季節が、より一層不快感が増していると思う。
舞台は某工業地帯という事で、専門的な薬品等のにおいについて描写が出てきます。何一つ嗅いだ事ないのですが、あぁこれは絶対に嗅ぎたくないなーって想像出来て、嗅覚からも不快度が上がります。絶対夏に嗅ぎたくないタイプのにおいです。
でも一気に読みたくなるストーリー展開で、ミステリー初心者の私は読みやすかったです。
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私の不注意だったのですが、先に解説読もうとした時、最後の1ページをチラッと見えてしまい後悔しました…
そこで少しオチが予想できてしまったの -
Posted by ブクログ
ネタバレ中山七里の小説で久しぶりのヒット。が、「容疑者Xの献身」や「ソウルケイジ」的なトリックでは?と途中で思ったが、まさかの「容疑者Xの献身」だった。トリックのために他人を殺害するには、「容疑者Xの献身」や「ソウルケイジ」の犯人のように、愛する人への愛情やそれ相応の覚悟を持って欲しいと思った。そのように描いているから仕方がないが、残念ながら本作の犯人のそれは薄っぺらい。
それを差し引いても幼馴染の無罪を信じて行動する主人公は熱く、物語は面白い。ミステリーの面白みはトリックの奇抜さでは無い事を実感。
途中で何度も「御子柴弁護士を!」と思うタイミングで、「あの悪辣な弁護士なら」みたいな記述があるが、御子