中山七里のレビュー一覧
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【未曾有の人災、誰が責任を取るのか】
舞台は3.11東北震災から5日後の福島。石川警察署に一件の殺人事件が持ち込まれる。刑事課係長・仁科は容疑者の加瀬を連行中、余震に乗じて逃走を許してしまう。逃げる加瀬を追う中で、仁科は公安の刑事と接触。彼らもまた加瀬を追っていることを知る。
やがて浮かび上がるのは、加瀬の逃走が単なる逃避ではなく「明確な目的地」を持った行動であるという事実。その先にあるのは、福島の原子力発電所だった。加瀬が「逃げる理由」ではなく原発へ「向かう理由」とは――
震災、原発事故、そして人災。政府や電力会社の対応、被害者遺族の感情など複雑に絡み合う社会問題を背景に、本作は「責任 -
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ショパン・コンクールで入賞し、現在はモスクワ音楽院で客員教授として教壇に立つヴァレリー。
ロシアは国際情勢の影響で文化的鎖国ともいえる状況にあり、学生に様々な音楽に触れさせたいヴァレリーはもどかしさを抱えていた。
そんな折、ショパン・コンクールで共に競った岬洋介がロシアにいることを知る。
ヴィレリーは、院内で演奏してもらう約束をとりつけるが、ロシア大統領と親しい学部長のボリスは「他国の音楽は不要」と猛反対。
その晩、ボリスは密室状態の宿舎で殺害された。
我らが岬洋介様の出番は少ないが、最後の学内コンサートの描写は、相変わらず、圧巻。
国制だとか親大統領側だとかの理由で、外国の音楽を排斥する -
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主人公の穂刈慎一は中学校の教師だ。
生徒の女子からいじめを受けている者がいて、その証拠を画像に撮っているとの申し出があった。
しかし穂刈は積極的にいじめ問題に対峙せず、一つの画像だけでいじめの存在を認めることはできないと、相談した生徒を宥めるだけで解決するための行動はしなかった。
そんな事なかれ主義の穂刈が授業中に、妻の里美から電話があり、小学六年生の長女・由佳が校舎の3階から飛び降りて救急病院に搬送されたと伝えられる。
穂刈が病院に着く早々、坂東と名乗る刑事から由佳がいじめを受けていたという証言が出ていると伝えられる。
由佳の担任に話を聞こうとするが、歯切れの悪い言葉が返ってくるばかりで -
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ふと読んでみた(オーディブルで聴いた)「カエル男」。そこから「カエル男再び」「カエル男完結編」一つ戻って「嗤う淑女二人」を聴いた。「救われなかった者たちへ」は一連の作品を聴く前に、中山作品とは知らずに聴いた。
そんな中山七里、どんな作家?ということで日記エッセイである本作を聴いた。
創作とは小説家とは、が赤裸々に描かれる。作家が売れない、作家志望者が賞に応募しても受賞しないのは何故か?筆力がないから、とばっさり切り捨てる。本人は出版社や担当のために身を粉にして働いているのだが、なぜそんなに書くのか?依頼があるうちに書かないと、というのが中山七里の答え。
作家のリアルがかなり見える