中山七里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『テロリストの家』
意外性 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
人間らしさ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
刹那さ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
1.中山七里さんの魅力
私が作家・中山七里さんの作品に惹かれるのは、その緻密な伏線と、読者の予想を裏切る結末にあります。
物語のギリギリまで真実がわからず、明かされた動機が人間の弱さや優しさに通じている点に、いつも感銘を受けてきました。
今回読んだ『テロリストの家』の主人公は、外国テロを取り締まる公安のエリート。
仕事も家庭も波風なく、大学院の息子と高校生の娘を持つ、絵に描いたようや家庭を築いていました。
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2. 崩壊の始まり
そんな彼の日常は、一つの出来事を境に崩れ始めます。イスラム国への志願兵をリクルートする組織の内偵調査が佳境に入った矢先、彼は突然、捜査から外されてしまいます。
そしてその数日後、さらなる衝撃が彼を襲います。なんと、息子の長男が志願兵に申し込んだ容疑で逮捕されたのです。
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3. 父と公安、二つの顔を持つ苦悩
息子は釈放されたものの、それは犯人グループを炙り出すための**囮(おとり)**として利用するためでした。
父として息子を守りたい、しかし公安として監視しなければならないという、二律背反の苦悩に直面する主人公。
彼の見守る中、息子は家から逃亡を図ります。そして、逃亡からわずか2時間後、長男は死亡したという悲劇的な報せが届くのです。この予想だにしない展開こそが、物語を深く、そして切ないものへと変えていきます。
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4. ミステリーの先にある、切実な家族愛
この物語は、単なるミステリーでは終わりませんでした。
読み終えた後に強く心に残ったのは、主人公の「働く目的」や、「組織」と「家族」という対立する概念の間で揺れ動く人々の感情です。
そして、父と母、兄と妹、それぞれの立場から描かれる、深く切ない家族の愛でした。
中山七里さんの真骨頂であるサスペンスの裏側に、人間味あふれる家族の物語が隠された傑作でした。 -
Posted by ブクログ
犬養シリーズ第7弾
うわ〜!めっちゃ面白いやん!!
でも、ドクターデスの前作とか、他のシリーズ読んでる人限定かもしれん…
また、ドクターデスが!
まぁ、模倣犯なんやけど、今回は、報酬額が1桁高い!
JKギルドという(女子高生ではない!)
もう、金儲けの手段になってしまったか…
安楽死の問題は、考えさせられる。日本では認められてない積極的安楽死。
でもなぁ…
もう自分の体の自由もきかなくなってきて、そのうち天へ召されるって自覚してたらどうなんや?って考えるわな。
今回は、報酬額が高いから、金儲けしてると批判あるにしても…
重たいテーマ…
はぁ…犯人候補だけでも、何十万人とおる!
この犯人を見つけ出す為の究極の方法は、
「雛森めぐみ」(ドクターデス)
とコンタクトを取って、同じ思考の人を見つける。
公判前で、拘置所にいるけど、元気!しかも、女性なんで、犬養さんの神通力が効かない…
更に、協力する条件が!
減刑を前提とした司法取引を取るか
or
弁護士を御子柴さんに交代させるか
めっちゃや!無茶苦茶や!
甘んじて条件呑むけど、更にめっちゃな大どんでん返しが!
あまり書くと楽しさ半減するので、やめとこ!
なかなか、実現はムリっぽいけど、楽しませて貰いました〜!!!
しかし…犬養さん、振り回されまくり(^^;;
女性にも神通力使えるようにしないと! -
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ネタバレヒポクラテスシリーズ5作目。
冒頭は妻と娘を無差別殺人で殺されるシーンから始まる。
犯人は長らく家に引きこもっていた30代の男だった。
1、7040
40代の自室に引きこもっていた女性がミイラ化して死亡。遺体の状態からは餓死。同居していた両親は長い間、亡くなった女性とは没交渉だったという。しかし近隣の聞き込みから女性と両親が言い合う声が聞こえていた。疑問に感じた古手川は解剖を要請する。
2、8050
50代の自室に引きこもっていた男性が餓死状態で死亡。同居していた両親。亡くなった息子に暴力を振るわれていたことにより、母親が入院していたので、付き添いの父親も共に留守。密室状態の中で死亡していた。餓死による自殺か、と思われたが…
3、8070
10才年上の認知症の妻をかいがいしく世話をしている夫。しかし妻が寝てしまうと風俗街に通っていた。妻が死んで風俗で贔屓にしているフィリピン人女性と結婚することを夢見る夫。しかしその夫が浴槽で溺死した。事故死かと思われたが…
4、9060
矍鑠とした90代の老人。元警察官で民生委員も務めていた。毎日散歩をしているのに、なぜか現民生委員が連絡すると会えない。散歩しているところを古手川が質問すると90代の老人ではなく、60代の息子が父を演じていた…
5、6030
もうすぐ60で定年間近の経産省の官僚。同期入省の男の息子が無差別殺人を起こし、騒然となる。息子同士も同い年で息子の環境もよく似ていたことから、不安に駆られる。息子はロスジェネ世代と呼ばれ、就職に失敗し、長らく引きこもっていた…
今回も素晴らしい仕上がりの小説だったと思う。しかし、身につまされることが多く、一気読みはしないように心がけた。飲まれてしまいそうで。
冒頭のシーンが全体を淡く包むような仕立てになっている物語が多い著者だが、今回もそうである。犯罪とまでは言えない見えない意志の支配というものに興味があるのかなあ。こういう話で思い出すのはクリスティ「カーテン」である。
引きこもりを家から出す、引き出し屋や不登校児を家から出すサービスなど需要があるところに商売の種があるのだなあ、と感じることはニュースを見ていて思うことだ。どのような手法でアプローチしていくのかは千差万別でどの方法が正しいかは多分、結果論でしかない。十数年前まではOKとされていたことが現在は駄目だということもたくさんある。必要としている人は藁にもすがる気持ちだろう。それでも人は見たい物を見、聞きたい物しか聞かない部分がある。大変だと思うこと、長くかかり、効果が見えづらいものを避け、自分が出来そうで単純に苦境から脱出できそうなことを試しがちだ。それが犯罪であるなら、よっぽど追い込まれているに違いないのだ。解決策がすぐには思い浮かばないのが、とても悔しい。
5の6030で判野啓一が起こした事件は多分2019年に川崎で起きた事件を参考にしたものだと思う。当時、やり場のない怒りが沸いた覚えがある。「ヒポクラテスの悔恨」で最後に光崎が言った「己の欲求を満たそうとして何の抵抗もできない弱者に牙を剝く。その時点で、お前はお前の姉を殺めた人間のクズと同等に堕ちたんだ」という言葉に深く頷きたくなる。
加害者家族の問題もあるかと思う。TEDという動画サイトがあるが、そこに銃乱射事件を起こし事件後に自殺した少年の母親が演説しているのをチラリと見たことがある。米国では加害家族でも守られることもあるのだと(そうでない場合もあるのじゃないかとも思う)知った。日本でも、そうなれば、また違った選択をとる人もいるのではないかと考えることがある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレヒポクラテスシリーズ4作目。
テレビ出演した光崎教授が、「解剖が十分に行われないのは死体の声を聞こうとしない警察と検屍官、そしてカネがないのが問題」と発言したことから、「一人だけ人を殺す、自然死にしか見えない状況で。死体の声とやらを聞いてみるがいい」という犯行予告がされる。コレクター事件で苦い思いをしている埼玉県警だが、この事態にどうするのか。
1、老人の声
老衰死と判断された老人。古手川の勘だけが老衰でない、と告げていた。なんとか解剖までこぎつけたが…
2、異邦人の死
ベトナム人技能実習生の死。鋳鉄をしている工場で腹を押さえて倒れたベトナム人。解剖することなく、CT検査から肝臓がんでの死亡、とされたが、古手川は納得しない。死んだ日の朝、死んだ実習生が中国人技能実習生に囲まれていたのも見られていた。川口市は外国人が多く、一部の外国人が事件を起こし、それを快く思っていない人間がいる(警察内部でも)。しかし新法解剖を盾に解剖をすることに…
3、息子の声
改造バイクを乗り回していたイチゴ農家の長男がバイクの自損事故で死亡。交通捜査の小山内は事故多発地点のため、カーブを曲がりきれなかった事故と結論づけたが、古手川がこの事故に疑義を挟む…
4、妊婦の声
フィリピンパブで働いていた女性が死亡。嘔吐とアスファルトに小さな血だまりが出来るほどの出血にもかかわらず、熱中症で死亡とされる。生理の出血だと言われたと言う古手川。真琴とキャサリンが異議を申し立てる…
5、子供の声
浦和医大、産科教授吉住の初めての子、真矢が生後5日で死亡。SIDS(乳幼児突然死症候群)とされるが、吉住教授は光崎と因縁のある人間だった…
今回も大変面白かった。川口の事件が少し多めか(外国人のお話が多かったためか)。クルド人でないのが、ちょっと前に書かれた話なんだろうなあ、と思える。光崎教授も万能ではなく、解剖をしたくても出来なかったこともあり、矢面に立たされたこともある、という巻だった。著者のレイシズムへの憎悪がよく分かる話。レイシズムが取り沙汰されるのは現在もだけれど、やはり実際に迷惑を受けている人、何かに対して狡いと感じている人(健康保険とか生活保護とか)がいることから沸き起こってくるものもあると思う。カネの問題というのは多分その通りで、例えば健康保険などは保険料を払う人よりサービスを受給する人が爆発的に増えているように感じるから危機感を覚えるのだろう。それでぼんやりと思い出すのは友人の従兄弟の話。アメリカに住んでいたが、グリーンカードがやっと手に入れられた、と思ったら、湾岸戦争への出征が決まった、という話だった。日本にはそういうことがないが、この先どうなっていくんだろう、という不安は自国民にはあるだろう。そう簡単に解決策はないだろうけれど、今のままでは駄目ではないかとは思ってしまう。
真琴が捜査協力に近いことをしているのが気がかり。なんか責任負わされるようなことはないのか。時津風部屋の暴行死の話が掲載されていて、解剖がしっかり出来ないことの弊害を実感する。 -
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能面検事 第2弾
学校法人に対する国有地払い下げに対する、相場より破格であることから、
近畿財務局職員の贈収賄を疑い、大阪地検特捜部が捜査を始めるが、
担当の検事に文書改竄の疑いが浮上し、最高検から調査チームが派遣される。
そこへ、不破検事にも参加するよう命令が下る・・・。
今作では、数年前にニュースを騒がせ、超大物政治家の夫人が関係していた
可能性が示唆された、学園設立に際しての国有地払い下げの問題を元にして、
著者の得とする方向へと展開されていきます。
なぜ、担当検事に疑いが掛けられたのか、そして、本当ならその真意は・・・。
著者である中山七里さんの作品には、いくつか感動する作品がありますが、
今作でも、感動しそうな場面が!?。
2025年8月ドラマ絶賛放送中!!!!! -
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ネタバレ朝の通勤列車の社内でメイクをする母親と横でパンを食べる娘。公共の場でのマナー違反を見かねて注意した神尾舞子。その母親の身勝手な言い訳に、臆することもなく理路整然と順序だてて説教する彼女は、幼稚園教諭だった。どちらかというと、優秀なビジネスウーマンのように思えたのに、実は幼稚園の教諭だって…。
普段、子供たちにとってどんな先生なのかなぁと思った。
彼女は以前勤めていた幼稚園での不祥事がきっかけで(彼女は関係ない)、経営母体の会社が、改善の一環として大規模な人事異動を行ったため、新しい幼稚園へ転任の初日だった。
就任直後、都会の閑静な住宅街ならではの、地域住民への騒音問題、待機児童問題、どこにでもあるだろうがモンスターペアレント対応などに大忙し。
幸いにも、前職場で同僚だった池波智樹も同じ配属だったため、どこからかそつなく仕入れてくる情報通の彼と協力しながらそれぞれの問題に対峙していく。しかし、事なかれ主義でできれば穏便に見て見ぬふりをする園長、一年ごとの査定の判定を握られて園長に意見できない同僚たちにいらいらしながらも、舞子は自分に課された課題に対し最大限能力を発揮していく。
そんな中、クラスの園児が何者かに殺されるという事件が起こる。
その前兆を感じさせるようなちょっとした異変が続いたものの、園長、警察さえあまり熱心に動いてくれない中、起こったのだ。その責任問題の渦中に立たされた舞子は、池波とともに、犯人を捜し始める。
誰が犯人なのか、グレーな人は何人かいたが、最後にえ?っと意外な人物が・・・。
小説でありながらも園児の待機問題や、地元住民への騒音問題は、両者まみえることが難しく、根の深い問題だなぁと思った。
最後の解説に、彼女は、『おやすみラフマニノフ』に、オーボエを専攻していた学生で登場していたと書かれてあった。読んだはずなのに、すっかり内容を忘れてしまった。そこには、今の彼女の性格を彷彿させる片鱗がすでにあったみたい。もう一度読んでみよう。
それとは別に、また、舞子と池波コンビの小説を読んでみたいと思った。