あらすじ
平和惚けした日本人を震撼させるテロ事件が勃発。中東の過激派組織「イスラム国」の極秘捜査をしていた公安部のエリート刑事・幣原は、突然上司から自宅待機を言い渡される。テロリストに志願したとして逮捕された青年は、なんと同じ家で暮らす息子の秀樹だった。妻や娘からは仕事のために息子を売ったと疑われ、警察や世間からは身内に犯罪者を出したと非難される。マスコミが家族に群がり、心身共に追いつめられる中、さらなる悲劇が――。衝撃的な結末に打ちのめされる、傑作社会派ミステリー!
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Posted by ブクログ
秀樹、おめーは最高の兄貴だよ!!
中山七里先生のリリカルさが好きなんよ。
物語が壮大でなくても登場人物たちの心の機微が表現されてて私はこの作品好きです。
Posted by ブクログ
『テロリストの家』
意外性 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
人間らしさ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
刹那さ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
1.中山七里さんの魅力
私が作家・中山七里さんの作品に惹かれるのは、その緻密な伏線と、読者の予想を裏切る結末にあります。
物語のギリギリまで真実がわからず、明かされた動機が人間の弱さや優しさに通じている点に、いつも感銘を受けてきました。
今回読んだ『テロリストの家』の主人公は、外国テロを取り締まる公安のエリート。
仕事も家庭も波風なく、大学院の息子と高校生の娘を持つ、絵に描いたようや家庭を築いていました。
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2. 崩壊の始まり
そんな彼の日常は、一つの出来事を境に崩れ始めます。イスラム国への志願兵をリクルートする組織の内偵調査が佳境に入った矢先、彼は突然、捜査から外されてしまいます。
そしてその数日後、さらなる衝撃が彼を襲います。なんと、息子の長男が志願兵に申し込んだ容疑で逮捕されたのです。
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3. 父と公安、二つの顔を持つ苦悩
息子は釈放されたものの、それは犯人グループを炙り出すための**囮(おとり)**として利用するためでした。
父として息子を守りたい、しかし公安として監視しなければならないという、二律背反の苦悩に直面する主人公。
彼の見守る中、息子は家から逃亡を図ります。そして、逃亡からわずか2時間後、長男は死亡したという悲劇的な報せが届くのです。この予想だにしない展開こそが、物語を深く、そして切ないものへと変えていきます。
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4. ミステリーの先にある、切実な家族愛
この物語は、単なるミステリーでは終わりませんでした。
読み終えた後に強く心に残ったのは、主人公の「働く目的」や、「組織」と「家族」という対立する概念の間で揺れ動く人々の感情です。
そして、父と母、兄と妹、それぞれの立場から描かれる、深く切ない家族の愛でした。
中山七里さんの真骨頂であるサスペンスの裏側に、人間味あふれる家族の物語が隠された傑作でした。
Posted by ブクログ
もし自分の子供がって考えたら、…耐えられないだろうなぁ…ショックとかっていうより、やっぱり理解してあげられない気がするし。読み進めるの苦しかったけど、家族愛がすごく感じられる。最後もさすが七里先生!
Posted by ブクログ
本書の後ろに書いてあるあらすじとタイトルで即買いし、いよいよ読みました。
公安、テロリストなどの定義については他書でも似たような記載があり、リアリティを感じました。
作者の持ち味も十二分に発揮されており、特に終盤は一気読みでした!
Posted by ブクログ
オーディブルにて。
公安部の刑事だが家庭を顧みなかった父親。
しかし、息子がテロリストとして逮捕され、、、
それぞれの人間性も掘り下げられて、公安や警察の気質も見えつつ、安定のどんでん返しもあり、中弛みせず面白かった。
Posted by ブクログ
この作品もとても面白かった。
「公安刑事の息子がテロリスト志願者」という設定の元進んでいくが、テロリストに志願したことが問題の本質ではないと感じる。
安価な外国人労働者に職を取られ、イジメをしていた側が被害者よりもより普通の生活を送る。
現代社会の問題をこの作品は訴えていると感じる。
Posted by ブクログ
最初から最後まで、まるで崖の縁を歩いているかのような緊張感に包まれた一冊だった。息をつく間もない展開に、ページをめくる手が止まらなかった。
物語の中心にいるのは、公安のエリート・幣原。その息子がまさかのテロリスト志願者として晒されるという衝撃的な展開に、ただただ唖然とした。国の中枢に関わる父親を持ちながら、どうしてそんな道を選んだのか。その謎に迫っていく過程で描かれる幣原の苦悩、そして何よりも母親の切迫した感情が胸に刺さった。
物語の途中、母親の予想外の行動に「ちょっと待ってよ!」とイライラしてしまう場面もあったが、それもまた彼女の必死さの表れなのだと感じた。
そして、ラストに明かされる「息子が実は娘を庇っていた」という真実。あまりにも意外で、思わず読み返して確認してしまうほど衝撃を受けた。すべてが繋がったときの静かな感動と、切なさは忘れられない。
読み終えたあと、「この先は?」「続きは?」とページを探してしまった。それほどまでに、この物語の世界に深く引き込まれていたのだと思う。
Posted by ブクログ
さすが中山七里先生!
最高に面白かった
やっぱり中山先生はすごい(N回目)
主人公が悲しすぎる。余韻がすごい。
公安刑事の息子がテロリスト予備軍で叩かれまくって仕事では邪険にされて……と散々なのに家庭もぐちゃぐちゃで、しかも衝撃のラスト……楽しかった
Posted by ブクログ
主人公の幣原を好意的に見ることはできない。
(内心ずっと悪態ついてた)
『公務』と『家族』の二者択一を終始迫られ続ける立場が、想像以上にキツイだろうことは理解するけれども。
テロリストを志願した秀樹、祖母宅へ避難した可奈絵。
この兄妹を思うと今でも泣きそうになる。
家族間の問題がそう簡単に片付くなんて思っちゃいないけど、もうちょっとどうにかならんかったんか…。
アンハッピーエンドには慣れてる方ですが、今回は心が晴れなかったなあ。
Posted by ブクログ
公安の人たちってそんな酷い世界なのかな?
子供が殺されても???
中山七里さんの本に出てくる嫌悪や憎悪の対象に対する人たちの反応の表現は、
そんなに?!そんなことするかな???
ってくらいにひどく感じることがわたしには多いかもしれない。
実際そうなのかな。小説だからなのかな。
だから読んでると辛くもなってしまう。
お兄ちゃんがいいやつ過ぎてなんで死んじゃうんだーーー。・゜・(ノД`)・゜・。
この家族一生罪悪感に苛まれそう〜。
でもようやく本当の家族になるんですね。代償がデカ過ぎだけど。
Posted by ブクログ
公安刑事の息子がテロリスト志願者なんて、なんというアクロバティックな設定なんだ!と思って手に取ったけど、ハラハラする展開と幣原の心の変化が良かった。
恒例どんでん返しは、本作では気付けなかったので久しぶりにえぇっ!?てなってしまったw
それにしても、息子殺しの犯人の決め手となったセリフは何度読んでも、秘密の暴露には思えないんだけど、あたしだけかな。
Posted by ブクログ
公安刑事の息子がテロリスト志願者と言う社会派ミステリーに興味を惹かれ、本を手に取り一気に読みました。
世間やマスコミからは身内に犯罪者を出したと非難され、さらなる事件も発生していく中で、衝撃的な結末には驚きました。
Posted by ブクログ
中山七里作品読破2作目。登場人物間の緊張感、現場の臨場感がたまらなく心に刺さる。大変読み応えがあったが、最後の最後でどんでん返しに繋がる伏線が少し弱い気がしてしまった。しかし高い評価。中山七里作品どんどん手に取っていきたい。
Posted by ブクログ
公安物は刑事物と違って、秘密主義過ぎて重い。同僚同士も秘密だし、家族にも内緒。
その秘密主義の中でもエリートの公安刑事が突然左遷扱いになる。本人も分からないので、読む方も分からずストレスになってくる。それが息子がテロリストで捕まってしまったことから展開が変わってくる。過激な報道、それを受けての一般人からの誹謗中傷。気持ちが益々重くなってくる。
テロ対応の公安刑事がテロに傾注する家族を持つ。どのように展開するのか、はたまたどんでん返しは如何に。何となく息子の言動がハッキリしないところから違った方向へ。
仕事ではエリートだった刑事が家庭では何も把握していなかったことが露呈する。最後は落ち着くところに落ち着いた感じ。
Posted by ブクログ
話は割と面白かったけど感情移入は出来なかった
公安の情報収集はすごいみたいなこと言って、妹の学校でのあだ名すら押さえてないのはどうなのか…と思ってしまった
でも、歪な家族関係の中、最期まで兄を全うする姿はカッコ良い
過激で身勝手なテロリストも、何かを守ろうとしている点は皆同じなのだろうか
Posted by ブクログ
公安部のエリート刑事の息子が、イスラム国関連のテロリストに志願したとして逮捕された。後に謎の死。
戸惑う家族(母親と妹)と父親。
ことの真相は一捻りあり、さすが中山七里さん。
Posted by ブクログ
公安のエリートがある日突然現場から新人でもできるような事務作業を押し付けられる。
不満に思っていたら自分の息子がテロリスト容疑で捕まってしまい、公安としての自分と父親としての自分に苦難する話。
そこまで話の起伏がないと思ったが、最後はそういうことだったかー!となった。
また、家族感と仕事感、外国人労働、テロと、様々な問題を題材にしていて多少考えるキッカケになった。
Posted by ブクログ
公安のエリート刑事の息子がイスラム国のテロリスト募集に志願した、という作品の舞台設定は異色ですし目を引きます。
せっかく「公安警察」というあまり表舞台に出てくることがないキャラクターだったので、もう少し普通のミステリ作品と違う展開を期待していたのですが、少し物足りない印象もありました。
作中では、数年前に日本人がイスラム国に殺害されたという経緯もあって、志願者の息子だけでなく家族までもが「非国民」と国民全員から(それこそテレビや新聞、SNSで)バッシングを受ける様子は昨今のネット炎上を正しく描いているように思いますが、読んでいて楽しい場面ではありませんでした。主人公は職場でも自宅でも居場所がなくなり肩身が狭い思いをしますし、妻の憔悴ぶりも見るのがつらいです。
ミステリ作品としてはラストに向けた「どんでん返し」も伏線を改修したというよりも唐突だ、という感じがしました。「家族の再生の物語」として読むと、また違った印象になるのかもしれません。
Posted by ブクログ
テロリスト一家VS政府のドンパッチかと思いきや想定と全く違った!
公安の息子がテロリスト!?
公安のエリート刑事の長男がテロリストを志願し、逮捕されるという驚きの設定です。
妻、娘、警察、世間から非難される主人公。
いつもの事ですが、こうした事件に対するマスコミの描き方が相変わらず切れ切れですね。読んでて辛くなります!
公安の刑事の立場と父親の立場、苦悩の日々です。
なぜ、息子がテロリストを志願したのか?
もし、自分の子供がそんなことをしたら...
自分自身が主人公の立場だったら?と考えさせられます。
と、そんな中、息子が殺害されてしまいます。
これもまたショック!そうなっちゃうの?
息子はなぜ殺されなければならなかったのか?
犯人はテロリストを憎む者たちなのか?
といった展開です。
母親の狂気..
そして、明らかになる犯人。
一件落着と思いきや、そこには驚愕の事実!
この結末は衝撃的で辛い..
ちょっと納得いかないところもいくつかありましたが、あっという間に読み切りました。
楽しめました。
お勧めです。
Posted by ブクログ
公安刑事の息子がテロリストに志願したとして逮捕されるストーリー。序盤は良かったけど、しんどい内容も多く結末もあまりしっくりこなかった。読者の好みによる。
Posted by ブクログ
中山七里先生の作品を読むのは2作目ですが
中山七里先生特有の日本語の妙が炸裂していて
読んでいて心地よいです。
序盤の公安刑事の父からだんだんと人間味が出てくるところは見ていて面白い描写だったが、内容的に読み終えてスッキリするものでもなく
真相解明のところがあっさりまとめられて
少し秀樹が可哀想すぎる設定だなと思いました。
父親として勇一郎みたいにならないように
家族に関心を持ってコミニュケーションを取らないとな。と考えさせられた一冊でした。
Posted by ブクログ
テロリストに志願するか大麻所持かの違いはあるけれど、主人公が警察官、奥さんと娘、息子の4人家族、息子の犯した犯罪によって主人公が窮地に陥る、という類似点で、今野敏の隠蔽捜査シリーズ『果断』を思い出した。
家族の再生もテーマの一つだから仕方がないのかもしれないけれど、竜崎家に比べて、とにかく幣原家には家族間に信頼関係がない。窮地に陥った家族の命運を分けるのは、日頃からの信頼関係の構築なのだな、と。
とにかく何もかも父親のせい、と、ヒステリックに泣きわめく母娘に、怒声と暴力で答える主人公…。終盤、父親と大喧嘩した息子を母親が諫める場面があったけれど、普段からそういうことを子供にきちんと伝えていれば、こんな事件は起こらずに済んだのではないかと思わずにはいられない。
テロリストへの志願については、なんと荒唐無稽な!と思いきや、過去に実際に日本で同じことがあったらしくびっくり。
Posted by ブクログ
正直、大きなどんでん返しがある訳でもなかったが、先が気になりスグに読むことができた。
我が子がテロリストに志願した事で、自分の環境が一変し、家族の事を何も知らないことを知るだけだなく、公安という仕事の意義を考え直す。犯人探しだけでなく、主人公の意識が変わっていく過程を描いていたのが印象的でした。
Posted by ブクログ
公安刑事の息子がテロリストに関係して逮捕勾留された?
この奇抜な発想から小説は展開する。ただし、途中までは良いが、終わりのほうは少しダレ気味。もう一歩だと思う。
Posted by ブクログ
テロリストの家
**著者**: 中山七里
『テロリストの家』は、平和惚けした日本人を震撼させるテロ事件が勃発するところから始まります。公安部のエリート刑事・幣原は、突然上司から自宅待機を命じられます。驚くべきことに、テロリストに志願して逮捕されたのは、彼の息子・秀樹でした。
この事件をきっかけに、幣原は妻や娘から「仕事のために息子を売った」と疑われ、警察や世間からは「身内に犯罪者を出した」と非難されます。マスコミが家族に群がり、彼らの生活は心身共に追いつめられていきます。さらに、追い打ちをかけるような悲劇が続きます。
中山七里さんの他の作品同様、この物語も非常に面白く、引き込まれる内容です。幣原の悲しい立場や、仕事と家庭のバランスを取る難しさがリアルに描かれており、公安警察という特殊な組織についても興味深く描かれています。特に最後の結末には驚かされ、読者を打ちのめす衝撃的な展開となっています。
Posted by ブクログ
テロリスト一家の話かと思いきや、違った。重い。
5つの章で構成されているが、それぞれに「見知らぬ」と冠がついている。
中山七里さんの作品は、現代社会への警鐘が見え隠れするが、これもそのひとつだ。
テロリストはなぜテロリストになるのか?身近な人たちはなぜ止められないのか?家族がテロリストや犯罪者になった時、家族はどう対処するのだろうか?さまざまな葛藤がある。
父と母、父と息子、父と娘、母と息子、母と娘の思いと言葉が交錯する。主張と思いやりが入り混じる。無力感からテロリストになる気持ちは、あるのだろう。それぞれの思惑があり、秘めたるが故の不幸がそこにはあった。
ミステリーとしてのミスリードはあるが、それよりも家族の重要性が、私には響いてきた。23歳や17歳の時、父や母に抱いていた感情は変化する。それでも変わらない事があるのも事実だ。少し荒削りだと感じるものの、中山七里さんの描写は私の自己形成の一助となっている。