中山七里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
AIが引き起こした事件と、その責任を誰が負うのか、事件〜裁判までをAIや周りの人々の心情の変化とともに描いた物語。
特に興味深かったのは、事件後、AI介護ロボットのリタがさまざまな人との対話を重ねる中で、徐々に人間に近い反応を見せるようになっていく過程。困惑したり、期待したり、怒りのような感情を認識したり。そして「自分は何者なのか」「人間と何が同じで、何が違うのか」と自ら問い、葛藤しながら理解を深めていく。
答えのない抽象的な問いに向き合い、自分自身について思索することそのものがとても人間らしく感じられた。AIに自我や心は生まれるのか。そもそも、自我や心とは何なのか。物語を読みながら、いつの間にか人間について考えさせられていた。
途中で展開が少し読めてしまったのが惜しいところ。それでも、AIと人間の境界について考える物語としてとても面白かった。 -
Posted by ブクログ
以前、わたしの母がどんでん返しがすごい作品をとある書店員さんに伺った際、紹介された作品の一つです。
連続猟奇殺人事件を新人・古手川刑事とその先輩・渡瀬刑事が追う物語が展開されます。
まだ幼い子どもが、どのような辛い目にあって精神が崩壊し、生き物を殺すことに興味を持つようになったのかの一例が書かれており、読んでいると気が滅入ってくる方もいるかもしれません。
しかし、この凄惨なシーンの数々を乗り越えた先に、驚くべきどんでん返しが待っています。
感じ方には個人差があると思いますが、わたしには夕木春央さんの『方舟』と同じぐらいの衝撃的なラストでした。
文章が少し難しく感じるかもしれませんが、残酷な描写が無理でなければ、ぜひ秋の夜長にゆっくりと読んでみてほしい一冊でした。
印象に残ったセリフ(長いので一部省略しました)
「この世には完全な健常者もいなければ完全な異常者もいない。
どんな人間も心の奥に狂気を飼っている。
道を往く人々も、オフィスの中で働いている連中も、グラウンドで汗を流している連中も皆そうだ。例外はいない。
ところがその奥底に隠れている狂気が何かの弾みでひょいと表に出る時がある。
そして、それを見た周りの人間がこいつは異常者だとレッテルを貼って自分たちから一刻も早く遠ざけようとする。
どうして、そんな大騒ぎするのか。
答えは簡単、自分もそうなる可能性があることを知っているからだ。
だから、人はその狂気を飼い慣らそうとして努力する。」
ここから先はネタバレになりますので、真相をご存知の方のみお進みください。
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ちなみにわたしの推理ですが、この殺人が起こって誰が得しているのか?と考えると、序盤でテレビ番組への出演が増えたあの教授ではないかとまず予想しました。
そして物語の真ん中あたりのページで、被害者の3人を結ぶ環があると渡瀬刑事が気がつきますが、ページを遡って考えてみても全く思いつきませんでした
( ๐_๐)〣ガーン
その後、勝雄くんの変貌に驚き、突如として夜叉の顔に変わったさゆりさんに心の中で悲鳴を上げΣ(||゚Д゚)ヒィィィィ
全てが終わったと安堵したのも束の間、渡瀬刑事の推理を聞いて古手川刑事は耳を疑いましたが、わたしはしばし目をぱちくりさせて呆然としました( ゚д゚)ポカーン
そして次回につながる伏線。
終盤の畳みかけが素晴らしい物語で、感服いたしました。
ただ一点だけ、古手川刑事の身体はとても頑丈すぎやしないかとツッコみたい衝動に駆られました。
勝雄くんとの闘いで既に満身創痍だったのに、さゆりさんとの闘いでも割と動いてるイメージがあったので、もし敵に回したら恐ろしく、もはや人間ではなくターミネーターです(((=ω=)))ブルブル
続編はあと2作品あるみたいですが、彼の心の奥にある狂気が出てこないといいなと願うばかりです。 -
Posted by ブクログ
『貧困層でも決して犯罪に手を染めない者がいます。逆に富裕層の中にも救いがたい犯罪者がいます。(…)どう言い繕おうが、経済的貧困や教育的貧困は決して犯罪行為の言い訳にはならないと思いますよ』ーー仁志村賢作
七里先生の文庫で見た事なかったやつがあったから購入。
短編がいくつか入っている感じでとても読みやすかった。サクサク読めるし面白いから一気読みしてしまう…
今作はミステリー、推理があって探偵的に話が進むというよりも事件と警察(仁志村)!って感じ。
空港内の詳しいことも書かれてて、七里先生は一体どこまで手広く扱うつもりだ…とびっくりした。
そして、中山七里の真骨頂と言えば社会問題×ミステリー。作品を楽しみながら勉強になるという贅沢…今作では「三里塚闘争」について知れたし、1番印象に残った。
「三里塚闘争」について、自分は今作で初めて知った事が多かった。まずそんなことが過去に起こったのも知らなかったし、内容も内容で「本当にこんなことがあったのか」と信じたくなくなるような事件で、今まで全く知らず生きてきたのが恥ずかしく思った。
今作がきっかけで「三里塚闘争」についてもっと知るべきだと思って、それについて詳しく語られた本を購入。たくさん知って、風化させない事が大事なのかなと思う。
実際読んでいてとても勉強になるし、ミステリー作品を通してこういった社会問題に興味を持つきっかけができて良かった!