中山七里のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
【無関係の第三者の残酷さと、逆境で手を取り合うことのできる強さ】
主人公は雑誌『週刊春潮』の敏腕副編集長・志賀倫成。順調にキャリアを積み上げていた彼のもとに、ある日一本の電話が入る。大学生の息子がストーカー殺人を犯し、その直後に自殺したという警察からの連絡だった。
追い回す側から、追い回される側へ。
加害者家族となった倫成はマスコミに連日追われ、ネット上では正義の名を借りた憂さ晴らしの標的となる。妻とは別居状態となり、仕事も思うようにいかず、精神をすり減らす日々が続く。
そんな中、息子の事件の被害者遺族である奈々美と出会う。彼女もまた、妬みやあらぬ噂、心ない言葉にさらされ、友人を失い嫌がら -
Posted by ブクログ
読みはじめは、ソ連冷戦時代の古い話かと思いきや、時間が一気に飛んで、世情の不透明不安定な現代に。
登場人物とほぼ同じ時を生きているだろうと思うと、平和ボケした自分が恥ずかしくなった。
それにしても、自分もホールで聴いている錯覚に陥るような、終盤のチャイコフスキーのオーケストラ演奏の描写、情景が目の前に浮かぶようで、感覚を麻痺させてくれた。
衝撃的なエピローグが、早く現実になってほしいと願う。
ったく、国というコミュニティ、国民主権であれ、そうで無かろうと、どんなに人類が進歩しても、治める為政者たちの大義に勝る倫理は何処?。
心がささくれてザラついた一文
▪大いなる不安や恐怖と対峙したと -
Posted by ブクログ
ネタバレ【法で裁けぬ悪に、裁きの鉄槌を下すには】
能力は平凡ながら犯罪を憎み、悪を許さない真っ当な正義感を持つ刑事・春原瑠衣。
建設会社のサラリーマンがトラックに轢かれる事件を追ううちに、同じ会社の社員が被害者となる第二の事件が発生する。
捜査の過程で、瑠衣は同社に勤める父にも疑惑の目を向けることになる。さらに、法では裁けない巨悪と、どこか胡散臭い私立探偵との出会いが彼女の運命を大きく変えていく。
本作は、中山七里作品の代名詞とも言える強烈などんでん返しや緻密なトリックは比較的控えめ。その代わり、法の限界を前に揺れる刑事の心理が丁寧に描かれている。
正義を守るべきか、それとも法を越えて悪を裁くべき -
Posted by ブクログ
AIとの向き合い方のヒントを与えてくれた一冊。ラストの大どんでん返しでスッキリしました!
AIを経済界、文化界など様々な分野で目にすることが増え、世界に浸透していくのを感じる今日この頃。
そして、まだまだ発展途上ですが、日本の裁判手続のデジタル化も徐々に進みつつあります。
いずれ、裁判にもAIが使われるようになるかもしれない。そんな風に漠然と考えていたところ、ネットでこの本と出会いました。ミステリー作家さんの書く法廷小説、しかもAIが題材なんて面白そう!と、すぐに近くの書店で取り寄せました。
主人公は若手の裁判官です。裁判官の忙しい仕事ぶり、とくに法定外の業務についても触れられていて興味深 -
Posted by ブクログ
もはや私たちの日常から切り離すことができないほど浸透したAI。もしもそのAIが、人を裁く「法廷」の場に導入されたらどうなるのか。フィクションではありますが、決して遠くない未来に起こりうるリアルな危うさを突きつけられる作品でした。
作中で描かれるAI裁判官〈法神〉。過去の膨大な判例を学習し、一瞬で導き出される「最適解」は、激務に追われる裁判官たちにとって救いの神となるのか。しかし、AIに判断のすべてを委ねたとき、人間は思考を停止し、ただの結果を受け入れるだけの「怠惰な生き物」へと成り下がってしまうのではないか――。そんな鋭い問いかけが胸に刺さります。
特に、自分と同じ思考回路を学習させ -
Posted by ブクログ
読み終わると、蒲生美智留って文字を見ただけでなんだか落ち着かなくなるくらいだった。
何よりもミステリアスに感じるのは、蒲生美智留自体の思っていることというのが最後ぐらいしか出てこないので、あくまで周りの人の蒲生美智留への気持ちしか書いてないからなんだと思う。
別に確信に触れる発言をしているわけでもないし、暴力的なことがある訳でもないし、マインドコントロールというものは誰にでもという言い方はおかしいのかもしれないが、できなくは無いことなんだと思った。
ちょっとサイコパスな部分が見え隠れするのも蒲生美智留の魅力になってしまって、自分もとらわれつつあるのが怖いと思う。