あらすじ
東日本大震災直後に起きた殺人事件。原発作業員として働いていた被害者と加害者の間に何があったのか? 逮捕された容疑者の加瀬は、殺された男の親友だった。ところが彼は余震の混乱に乗じて逃走。福島県石川警察署の仁科は加瀬を、そして彼の生い立ちを追う。やがて、加瀬がある場所へと向かっていることが判明。彼の目的は何なのか? 浮上する驚愕の事実とは? 怒涛の社会派サスペンス!
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Posted by ブクログ
これほどに、信念を持ち、貫き通す人間の姿に目頭が熱くなった。自分の薄っぺらい、揺るぎまくりの気持ちが恥ずかしくて情け無い。
嘲笑うアポロンの顔が浮かび、ゾッとした。
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加瀬が魅力ある人物だった。
当時あれだけニュースで流れていた原発のこと、考えなかった、というか、考えないようにしていた。
今ならわかる、現地で最前線を張っていた人たちのこと。ありがとうございます。
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3.11か…
私は、西日本なんで、直接、影響はなかったけど、テレビの映像を見ても、何か映画を見ているのか!フィクションやんな?って思うぐらい、すぐには現実を受け入れる事が出来なかった。
阪神大震災の方は多少なりとま経験したけど、でも自身には、ありがたい事に何もなかった。まぁ、仕事が流れた程度。
舞台は福島。
殺人犯とされた彼も、被害者の家族も阪神大震災から立ち直るために、ここに。
両者とも福島原発の曽孫請け、玄孫請けみたいな過酷な環境で働いてる。もう、放射能なんか気にしてたら仕事にならん!って感じで。現実もそんな感じって聞いた事あるし、その辺の人らみんなが、原発で働いてるから文句言えん。
上(東電とか霞ヶ関)は、遠くから、現場知らんと偉そうに指示。ヤバくなれば、保身…
ほんまに、どうなってんの?って憤るんやけど、あちこち責任転嫁の嵐だけで、見苦しいわ〜
その殺人犯が、何故か福島原発に向かう。
不信に思う刑事 仁科さん。
そこには、メルトダウンした原発だけでなく…
アルマゲドンやん!
良く中山七里さんの作品タイトルでは、ギリシャ神話の神さんが出てくる。
ここでは、アポロン、太陽の神さん!
太陽の代わりに原子力を使えるようになって、調子に乗って…
その結果がこれ。
で、アポロンさんに嘲笑される。
黙祷 (-人-)
Posted by ブクログ
皆さんの星の数から、どうかなと思いながら読み始めましたが、とても考えさせられる小説だと思いました。日本人が安全神話を信じ込みたいと思い、見て見ぬふりをする横でアポロンの嘲笑が聞こえる。そんな話でした。
ストーリー展開にところどころ無理があるな〜と思うところもありましたが、ハードボイルド小説の体もあり、ここから日本の持つ構造的な問題に目を向けるようになれば、すごいなって素直に思いました。
全然中身は違いますが、子供の頃に見た「野生の証明」の、高倉健の姿が目に浮かびました。
Posted by ブクログ
中盤に入るくらいから一気に引き込まれました。
某国についてはさておき、社会のあり方に対しても問いを投げかける作品として読みました。
大きな光と、すぐ隣にある大きな影。
ギリギリのところで護られない人の存在。
絶望と希望。
護りたいと思える人と出会えたことの幸せ。
極限状態に追い込まれたとき、人は何を選ぶのか。
頭の中に映像として記憶に残る物語でした。
Posted by ブクログ
逃げる被疑者と追う警察官。ただの逃亡劇という訳ではなく、東日本大震災、原発事故、過去に起きた阪神・淡路大震災によって、様々な人の様々な心情がありました。
中山七里さんは、話の構成が凄い上手だなと毎回思います。視点があちこち変わりますが、それによって頭が困惑することも無く、視点の切り替えによって飽きずに読めるのだと思います。
Posted by ブクログ
とても面白かった。
中山さんの作品の中でもかなりの上位だと思う。数々の作品が映像化されているので、映像化されているものと思ったが、されていないようで、それは、震災だったり、原発だったりするからなのかなと思った。読んでいるだけで、迫力のあるシーンが容易に想像できる。
Posted by ブクログ
クライマックスはまるでブルース・ウィリスの『アルマゲドン』。
それにつけても純一の身勝手さよ。邦彦に託したものの大きさを思えば、刺されて死んでしまうことのなんと楽なことか。信頼と守るべきものを得た歓びの代償はあまりにも大きく、邦彦の人生の悲惨さにやり切れない思いが募る。
***
改めて放射能の恐ろしさと、そこで命を切り売りしながら働く末端の作業員の実情に震えた。実際、国の基準をきちんとクリアして稼働していても、想定以上の地震や津波によって一瞬のうちに多くの命を脅かす存在となってしまう原発。現在は、3.11以前以上の厳しい基準に則って稼働していると聞くが、南海トラフ地震、首都直下地震など、近い将来発生すると考えられている地震を思えば安心などしていられない。
国のエネルギー基本計画では、廃炉に置き換える形での原子炉新設が認められており、それだけ聞くと、国内の原子炉の総数は減りこそすれ、これ以上増えないように思える。しかし、廃炉に時間がかかるため、敷地内でなら同時進行で新設できる。つまり、結局は危険を孕む原子炉の増設を現在でも認めていることになる。さらに世界的にみても、電力を大量消費するAIブームが、廃炉作業中の原発の再稼働を促しているというから驚く。そんな中で原発に頼らず、となると、世界的な天然資源の値上がり、脱炭素の動きに伴う再生可能エネルギー発電促進賦課金の値上がりで、電気代金の高騰はますます加速する。脱原発で電気料金の負担が日本の3倍以上のドイツのように、エネルギー貧困層が日本でも急増するだろう。
3.11以降、あれほどの惨劇の後で、脱原発は緩やかなりとも進んでいるものと、勝手に思っていた。あれだけのことがあったのだから、あれほど非難の声があったのだから、なんとなく、ちゃんとしてくれるはず。熱しやすく冷めやすい国民性、と言われるものにすっぽり私も収まる。政治家や企業が、のらりくらりの対応でやり過ごすのも、それを承知の上でのこと、と捉えるのは偏見に過ぎるか。
もはや今日の社会を持続させるだけの安全・安定した電力供給とお手ごろな電気料金負担は両立し得ない。何を優先するべきか自ら判断をし、国や企業の動きをしっかりと注視し、声を上げ続けなければならないのだと思う。
Posted by ブクログ
いやこれ映画とかで観たい……めちゃくちゃ大スクリーンでしっかりと事の顛末を見届けたい。
そう思わせてくれる壮大な物語でした。
中山七里さんの小説は本当に映像化と相性がいいよなと読む度に思います。
こう、読んでいる時に文章から映像が自然と頭に浮かぶんですよね。
頭の中に風景が浮かぶし、そこで登場人物がしっかり生きて動いてる姿が見える。
だからこそこの話は読んでて辛いシーンも多かった。
ていうか本当に加瀬……こんな事ってあるか?いくら何でも神様は加瀬に無慈悲すぎんか???もう少し優しくしてあげてもいいんじゃないのか???
もうね、本当に加瀬がね、話が進むにつれてどんどんどんどん印象が変わっていくんですよ。
その加瀬を追う仁科も相当辛かったのではないかと思う、二重の意味で辛かったのではないかと。
でも逆にその経験をしたからこその最後のシーンなのかもしれないとも思うけど、でも、でもやっぱり神様はもう少し加瀬に優しくしてあげてもいいと思うんですよ。
読み終わった後「嘘やん」って言っちゃったからね私は本当に。
何と言うかそこも含めて映像で観たいなぁと思う部分もあるのですが、やっぱり震災やら原発やら扱ってる話は難しいのかなぁ……結構批判も込められてる感じがあるし。
あとこれは余談なんですけど、凄くベテルギウスが加瀬に似合うなと思いました(実際読んでる時ずっと頭の中で流れてた)。
Posted by ブクログ
“それは、街の死骸だった。”
東日本大地震、原発と重い題材なのだが、テンポの良さとスピード感のある展開でページをめくる手が止まらなかった。
とくに震災後の原発の描写は、作者が丹念に調べ上げて物語として落とし込んでいるのでほぼ真実なんだろうなと思った。
震災が起こった場所で暮らしていたこと、原発で働く選択をしたこと。
自己責任で片付けるには、割り切れない気持ちになってしまう。
とはいえ、地震大国で暮らし電気がないと暮らせない生活を送っている身としては何もできないのも事実なのだが。
このような社会派サスペンスを読んだあといつも思うのだが、今まで責任ある立場で受けた恩恵もあるのだから、問題が起きたときは誰かに転嫁するのではなくきちんと責任をとって欲しいと願う。
世の中の不条理がつまった一冊だ。
こんな人におすすめ.ᐟ.ᐟ
・社会派の作品が好きな人
・どんでん返しが好きな人
・震災に関する話が読みたい人
・世の中の闇に焦点があたる話が好きな人
・冒険譚が好きな人
Posted by ブクログ
2024年2作目の中山七里作品。
震災から数日間の物語。
まるでその場にいるような描写。
最後はスケールが大き過ぎてびっくり、
加瀬の幼少期体験が辛い。
そりゃあ、働けどはたらけど楽にならないってやつだなと思った。
護るものができた時かけがえのない宝になる。
自分の命を賭してでも失いたくないと思うようになる。
Posted by ブクログ
扱うテーマが“震災”と“原発”なので、正直読むのを躊躇していた。
でも読み始めたらあっという間だった。
物語の構成が秀逸だと一気に作品の世界に引き込まれてしまう。
全くのフィクションではないことが、作中の情景や人物の心情をより一層想像しやすくする。
面白くて緊迫感もある。
なのに、何度も泣きそうになる社会派小説でした。
Posted by ブクログ
殺人事件が発端だが、その後の原発をめぐるハードボイルドな逃亡・突入劇がメイン
描写がどこまで事実に基づいているのかは知る由もないが、震災で身近な人を亡くした人が多数おられ、どうなるか分からない原発の周りで日夜緊張を強いられた方々がおられたのも間違いないところであろう。
野犬との対決や飢えとの戦いなどの描写が迫真的で凄い。結末は予想がつくからこそ、そこへの運び方が素晴らしいし、最後が変にだらだらしないのもよかった。
Posted by ブクログ
原発に対するメッセージ性が強い物語
東野圭吾の「天空の蜂」を思い出します
東日本大震災と原発事故を下敷きとした社会派サスペンス
東日本大震災の5日後に発生した殺人事件。しかし、加害者の邦彦は被害者の淳一とともに、原発で働いていた人物。家族ぐるみの付き合いをしていたにもかからわらず、なぜ邦彦は淳一を殺害したのか?
そして、邦彦は一度逮捕されながらも、逃走
その逃走先は?
サバイバルのように、邦彦が向かう先は?
あまりの展開にちょっとやりすぎ感を感じます。邦彦は不死身ですか?(笑)
一方で、徐々に明らかにになる邦彦の半生、原発の作業実態、淳一の過去
これ、ちょっと重い
とはいえ、このベタなストーリ展開は好き
お勧めです。
Posted by ブクログ
東日本大地震後に起きた福島第一原発での事故。原発で働く1人の男の死から物語が始まる。なぜ殺さなければならなかったのか、犯人が護りたかった者とは。事実と空想が交差する社会派サスペンス。
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大変面白く読ませていただきました。設定.主人公.登場人物中々良く考えて有ります。只、残念と言っていいのかわかりませんが、主人公の紹介の部分は せっかくいい流れで物語が進んでいる時 主人公の紹介が 挿入されるところが残念です。中々その部分のテクニックは難しいでしょうが今後に期待したいと思います。
Posted by ブクログ
爆弾云々の件は、フィクションなので、冷静に読めたけど、それ以外の震災の描写、逃走犯の生い立ちは生々しく読んでいて辛かった。
でも、こういった自己犠牲をもってでも為すべきことをやり通すって話には弱いのです。
終盤は込み上げるものがありましたよ。
Posted by ブクログ
東日本大震災直後に起きた殺人事件。容疑者の加瀬は被害者の家族と親しかった。逮捕後、護送される途中で余震があり、その隙に加瀬が逃亡。何処へ向かったのか ―― 。
阪神淡路大震災時に両親に守られ奇跡的に助かった加瀬でしたが、その後はけして幸せではありませんでした。唯一の肉親の叔父には労働力を搾取され、学校ではいじめで暴力を受けていました。高校を卒業して就職すれば会社が倒産して職を失い…という、何のために助かったのか、助けられたのかと思うような人生だと思います。
被害者の純一もまたついてない男でした。交際していた女性の元彼が性質の良くない男で、純一はつきまとわれ金を巻き上げられ散々でした。そしてお酒を呑んだ時、その男を殺してしまったのです。
加瀬が前科者になった純一を助けて以来家族のように親しくしてきたのに、どうして?
逃亡した加瀬の目的が明らかになりますが、何故彼がその役を負わなければならなかったのか、とてもつらかったです。
Posted by ブクログ
この作品がフィクションであることを理解しつつ東日本大震災後の政治家や東電の混乱、それによって起きた日本の危機を思い出しながら読み進めた。あれから十数年が経ったが、東京にいながらもあの時の恐怖や混乱は忘れられない。
そのため読み進めていく中でも非常に重たい気持ちになりながら、あの時に同じような事が起きないとも限らなかったのだと改めて国にとって重大な危機であったのだと認識した。
加瀬が人知れず英雄になったことや純一がテロに手を貸してしまった行などややご都合主義な面があった事も否めない。しかし最後に助からないと分かっていても加瀬が幸せになって欲しかった
Posted by ブクログ
フィクションではあるけれど、政府の対応や東電の対応などは、当たらずとも遠からずなのではないかと感じた。
今の文明で人類は本当に原子力を使いこなせていると言えるのか…
Posted by ブクログ
震災直後の福島を舞台に、逃走した殺人犯が命懸けで原発へのテロを防ぐ。2回の震災を経験した人たちの運命がとても苦しい作品でした。
自分も阪神大震災を経験したので、自然の力の前で感じた人間の無力さを思い出しました。
Posted by ブクログ
加害者として拘束された犯人が移送車両から脱走、という展開に何故だろうと読み進めて行く。
途中から公安が顔を出してきたり、犯人も高放射線量の中心に向かうというヒントもあり、早めに落ち着き先の想像が付いてしまった。
社会派サスペンスとして原発危機に対する東京電力や政府の対応に付いて相当厳しい内容だが、確かにそう思うが、かと言って現実を見ると・・
残念な国、ニッポン。
Posted by ブクログ
雪深い地域で余震が起こる中での容疑者の逃走劇がリアルにかかれていたし、何故原発に向かうのか疑問で先が気になりどんどん読み進められた。実際のモデルがある中での架空設定が面白かったけれど、終わり方はちょっと残念。
実際に三陸地方の消防や警察の方々は、実際に身内を亡くしたり、行方不明でも探せもせずに業務を遂行しなければならなかったんだろうなと思うと頭が下がる。
Posted by ブクログ
東日本大震災と原発事故を題材とした社会派サスペンス。
とても重苦しい作品でした。
殺人事件の被疑者の逃亡劇で、壮絶な半生が明らかになっていきます。
震災直後の福島の町の様子の描写が凄まじく、臭気まで伝わってくるようで、当時見た映像などを思い出して身震いしました。
原発事故について背景など詳細に語られ、この問題も根深く、改めて難しい課題を突き付けられた思いがしました。
物語としては壮大で、某映画のようなラストが私にはイマイチでした…
★3.5
Posted by ブクログ
3.11の原発事故を土台にした社会派ミステリー。殺人事件の犯人として逮捕されながら逃亡した男と追う刑事、そこに浮上する驚愕の事実。逃亡者の思いと事実を追う刑事の思いが交錯していく展開に引きずり込まれていきます。それにしても大地震、そして原発事故を巡る記述が詳細で恐ろしい。
Posted by ブクログ
3.11の震災直後の福島を舞台に起きた殺人事件。
犯人は簡単に逮捕されたが、連行される途中で逃げ出す。
その犯人を追う刑事は、彼の人物像を知り次第に
逃走しているには何か訳があると考えるようになる…。
運悪く阪神淡路大震災に遭い、家も仕事も失った人達が
仕事を求めてやってきた福島原発で
再度被災する。
運命というには過酷すぎる。