中山七里のレビュー一覧
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ネタバレ
今回も前回同様聴ける曲は聴きながら読んだ。
そして今回は岬先生の高校時代の話で岬洋介シリーズ0みたいで楽しく読めた。
鷹村くんとのやり取りは岬先生の初めての理解者が出来たみたいで嬉しかった。あんなにも理解して守ってくれる人がいるなんて素敵。それなのにあの別れ方は辛すぎる。せめて学校を出ていくことくらいは伝えて欲しかったけど伝えないのが岬洋介なんだよな。
そしてびっくりしたのが岬はこの時から突発性難聴を発症していたと言うこと。そして諦めたはずのピアノの世界にまたいること、次作はピアノとどう向き合うのか気になる。
・「楽聖と比べるのはおこがましいけど、彼と同じ立場になって改めて思い知らさ -
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犬養隼人刑事シリーズ第7弾「ドクター・デスの再臨」です。この作品は同じシリーズの「ドクター・デスの遺産」の続編であり、そちらを読まれてからのこちらを読むことをおすすめします。ついに、このシリーズの最新刊まできました。キタ━(゚∀゚)━!
ということで、この作品も“安楽死”がテーマになっています。事の発端は、ALSを患っていた母がネットを通じて安楽死を何者かに依頼したようだとの、娘からの通報によります。その手口が、ドクター・デスこと雛森めぐみの犯行と同じであったことから、犬養隼人刑事と高千穂明日香刑事が捜査に乗り出します。
今回はちょっと先がよめた感じもして…でも、面白かったですよ♪ド -
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「夜がどれほど暗くても」の志賀が、元と部署の「週刊春潮」に返り咲き、反コロナワクチンで部数を上げていた。
SNSの反ワクチン主義者から集団ができ、信者たちが病院の待合室で迷惑行為を繰り返すようになり、そのうち死者が出る。
その死者が乗り込んだ病院が、志賀の友人が勤務する病院で…。
宮藤と葛城の2人が追い詰めたのは…。
この宮藤刑事の地味な執念は相変わらずだ。
諦めることなく最後まで的を絞って突き進むのは、凄いのだが愛想がない。
その分葛城の優しさが際立つ。なかなかいいコンビだと思う。
コロナ禍の頃を思い出してしまった。
いったいワクチンは何回接種したのだろうか…と。
あれから5年経つ -
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昔俳優をやっていた事から、人の嘘を見抜く力がある刑事・犬養隼人が主人公のシリーズ第二作。
二作目から読んでも問題なく入れました。
赤い水・黒いハト・白い原稿・青い魚・緑園の主・黄色いリボン・紫の供花
と七篇の事件が収録されている。
それぞれに性質の違う、一筋縄ではいかない事件ばかりで、それぞれに仕掛けがあり面白い。
一話と七話が繋がりがあったりというお楽しみ要素も。
文学賞のやらせをテーマにした白い原稿が、物書きの怨念が籠もっているようで印象的。
人の嘘を見抜くが、女の嘘は見抜けない、という主人公の設定も面白い。
私も演劇の人ですが、嘘は見抜けないなぁ…。 -
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ネタバレパイセン本。
中山七里著『祝祭のハングマン』は、法の網をすり抜ける悪を裁く「私刑執行人=ハングマン」という、ダークヒーロー的存在を核に据えた作品である。その設定は単なる勧善懲悪の枠を超え、人間の心に潜む復讐心や正義への渇望を鮮やかに照らし出す。主人公たちの姿は、理性と激情のはざまで揺らぎながらも、許されざる者を断罪するという一点に収斂していく。その過程は倫理観を鋭く突きつけると同時に、読む者に強いカタルシスをもたらす。序盤の静謐な展開から、後半にかけての昂揚は見事であり、闇に潜むハングマンの存在が現実に顕現したかのような迫力を放つ。正義と悪の境界が溶解する中でなお、人はなぜ「裁きたい」と願う -
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タイトルの「静おばあちゃん」は『テミスの剣』の高円寺静裁判官。
ストーリーはともかく、『テミスの剣』を先に読んでいたからこそ、心に響いた静おばあちゃんの言葉。
「どんな行為にも言い訳がある。どんな人間にも正義がある。でも、それは本人以外の目で測ると歪んでいることがままあってね。しかも組織という枠組みの中にいるともっと頑迷に、もっと歪んでしまうの」
「正義というのはね、困っている人を助けること、飢えている人に自分のパンを分け与えること。定義なんてそれで充分」
「権力を握った人間は自分が正義だと思い込んで、その正義を揺るがすものを赦そうとしない」
「仕事の価値はね、組織の大きさや収入の多 -
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ネタバレ作中、刑法39条が再三取り沙汰され、それを盾に無罪を勝ち取る凶悪犯。(この刑法を下敷きにすれば『凶悪犯』と言う呼称も適当ではないだろう)
この国の法曹界では更生の名の下、加害者の人権を手厚く擁護することがままあるが、亡くなった被害者の人権は『死人に口なし』的に甚だ蔑ろにされている様に思える。
まぁ、死者は公にクレーム言えないからね。
例えば、
声高に39条堅持を唱える方々の可愛らしいお子さん達が異常者の歯牙にかかり無惨な死体となった時、果たして同じロジックを展開出来るのかね?
高いところからもの言ってないで、まずは自身の身に置き換えるべきと痛切に思う。
39条の内容については恐らく類 -
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ネタバレ『作家刑事毒島の暴言』は、「文壇の闇」を題材にした短編連作で、炎上商法に手を染める新人作家、インフルエンサー書評家と若手作家を煽って対決企画を仕掛ける編集者、実績がないのに小説教室で荒稼ぎする講師、身の丈を超えて直木賞を渇望する作家、宗教法人に雇われる代筆作家――といった“承認欲求モンスター”が次々と登場する。
①炎上でバズりを狙う作家の自己演出が破綻する過程、②“文学系インフルエンサー”と老害文学評論家の対立を煽る編集の倫理、③看板だけ派手な小説教室の搾取構造、④受賞願望が現実認知を歪める心理、⑤信仰とビジネスが絡んだ代筆のグレー――いずれも「評価されたい」という承認欲求が犯罪や破滅へ接続