中山七里のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
犬養隼人シリーズ第3弾
記憶障害を患った少女が街中で忽然と姿を消した。誘拐事件として捜査が始まった矢先、第二の誘拐が起きてしまう。
子宮頚がんワクチン接種の副反応によって奪われてしまった少女たちの未来を思うと、胸が痛む。悪いと分かっているならやめればいい。製薬会社・産科学会・厚労省といった大きな組織と利権が絡まると、悪いならやめるというシンプルなことが通らない現実を突きつけてくる。ワクチン接種の弊害について、知ることができた。
個人的に一番の印象に残ったのは、捜査員たちが70億円の現金を抱えて大阪の繁華街を駆け巡るシーンだった。調べると10億円の現金が約100kg、確か捜査員10数名での運搬だったので、1人当たり50kgを抱えて東西、南北に全力疾走させられたことになる。誘拐された人質を助けるためとはいえ、あまりの重労働に思わず「もうやめて上げてよ」と声が出てしまった。 -
Posted by ブクログ
“色”に関係したキーワードを持つ7つの事件を描いている。それぞれの事件は単独だが、最初と最後の事件にはつながりがあって、物語に一体感を持たせていた。
完全な善人もいなければ、完全な悪人もいない。その人の中に善い面・悪い面があるだけだというようなフレーズが印象に残った。高瀬は、相手の心を読み、読んだ心をうまく誘導して相手の行動を操ることに長けていた。相手の心を思いのままに操るという点では、「嗤う淑女」の美智留と共通する。高瀬の場合は、心を読み操る才を持ちながらも根は善人だった。
1人の人間の中に、善と悪が同居する。善を積めば徳となり、悪を積めば毒となる。なるほどねと手を打ちたくなるような言い回しだと思った。
一つずつの事件は短編的に読めるので、切り裂きジャックのときほどの深みはないなと思っていたが、善と悪、徳と毒という7つの事件への共通点に気づいて考えを改めた。