中山七里のレビュー一覧
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ネタバレ東日本大震災直後に起きた殺人事件。容疑者の加瀬は被害者の家族と親しかった。逮捕後、護送される途中で余震があり、その隙に加瀬が逃亡。何処へ向かったのか ―― 。
阪神淡路大震災時に両親に守られ奇跡的に助かった加瀬でしたが、その後はけして幸せではありませんでした。唯一の肉親の叔父には労働力を搾取され、学校ではいじめで暴力を受けていました。高校を卒業して就職すれば会社が倒産して職を失い…という、何のために助かったのか、助けられたのかと思うような人生だと思います。
被害者の純一もまたついてない男でした。交際していた女性の元彼が性質の良くない男で、純一はつきまとわれ金を巻き上げられ散々でした。そしてお酒を呑んだ時、その男を殺してしまったのです。
加瀬が前科者になった純一を助けて以来家族のように親しくしてきたのに、どうして?
逃亡した加瀬の目的が明らかになりますが、何故彼がその役を負わなければならなかったのか、とてもつらかったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレテロリストに志願するか大麻所持かの違いはあるけれど、主人公が警察官、奥さんと娘、息子の4人家族、息子の犯した犯罪によって主人公が窮地に陥る、という類似点で、今野敏の隠蔽捜査シリーズ『果断』を思い出した。
家族の再生もテーマの一つだから仕方がないのかもしれないけれど、竜崎家に比べて、とにかく幣原家には家族間に信頼関係がない。窮地に陥った家族の命運を分けるのは、日頃からの信頼関係の構築なのだな、と。
とにかく何もかも父親のせい、と、ヒステリックに泣きわめく母娘に、怒声と暴力で答える主人公…。終盤、父親と大喧嘩した息子を母親が諫める場面があったけれど、普段からそういうことを子供にきちんと伝えていれば、こんな事件は起こらずに済んだのではないかと思わずにはいられない。
テロリストへの志願については、なんと荒唐無稽な!と思いきや、過去に実際に日本で同じことがあったらしくびっくり。 -
Posted by ブクログ
犬飼隼人シリーズ。
本シリーズについてはバラバラに読み進めている。
タイトルにある「ラスプーチン」といえば、帝政ロシアの怪僧。
色々な逸話があるため、伝説的でなんとも言えぬ悪の魅力がある。
さて、そんなラスプーチンに例えられたのは…ナチュラリーという民間医療の主宰、織田豊水という男。
怪しげな根気棒なるもので体を叩くと不治の病、癌が治る!
…そんなわけあるかい!
と思うのは、私が健康そのもの(人間ドックが人生の中で一番成績がいい)だからだろう。
苦しむ人が医療以外に救いを求めることを笑うことなどできようか。
けれど、おかしいものはおかしいんだ。
物語は、プロローグがなぜプロローグか、に気付けばミステリーとしてはさほど難しくない。
ただ、物語の本質はそこではなく、宗教や医療、親子の関係まで考えざるを得ない点にある。
「救い」とはなんだろう?
解説ではカルトについて言及がなされている。
もちろんそれも含みつつ、私のなかでは、織田の母親のエピソードが記憶に残った。
子供が手を伸ばした時に私は子供の手を振り払ってはいまいか、と。
信頼を作る時期に私は適切に関われているか?
全てが子供の頃に決まるわけではないとしても、それが始まりと言われかねない点であることに、背筋が伸びつつ同時に背筋が凍るのだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの作品がフィクションであることを理解しつつ東日本大震災後の政治家や東電の混乱、それによって起きた日本の危機を思い出しながら読み進めた。あれから十数年が経ったが、東京にいながらもあの時の恐怖や混乱は忘れられない。
そのため読み進めていく中でも非常に重たい気持ちになりながら、あの時に同じような事が起きないとも限らなかったのだと改めて国にとって重大な危機であったのだと認識した。
加瀬が人知れず英雄になったことや純一がテロに手を貸してしまった行などややご都合主義な面があった事も否めない。しかし最後に助からないと分かっていても加瀬が幸せになって欲しかった