中山七里のレビュー一覧

  • 翼がなくても

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    フォローしている方のレビューを読んで「読みたい」に入れていた本。

    陸上200m走でオリンピックを狙う市ノ瀬沙良は交通事故に巻きこまれ左足を切断せざるを得なくなる。加害者は隣家の幼馴染みの相楽泰輔だったが、沙良が隣家で引き籠る泰輔に恨みを募らせる中、泰輔が部屋で殺害された姿で見つかる…。
    ここから物語は二つの流れに。
    ひとつは、泰輔の事件を追う警察の捜査。こちらには、犬養隼人刑事と御子柴礼司弁護士が登場。完璧なポーカー・フェイスを操る御子柴に食い下がる犬養。丁々発止のやり取りが楽しめる。
    もうひとつは、沙良が義足のランナーとして再び200m走に挑んでいくお話。パラアスリートを巡る世界を描いて、こちらもまた面白いが、二年先までスケジュールが詰まっているような著名な義肢製作者が時間を割いてくれたり、その縁で東大の研究所がサポートしてくれたりと、うまく行き過ぎるのがやや不満。身体をライバルと同じにしてライバルと同じ走法に変えるというのも、ちょっと無理筋じゃない。
    二つの話が交わるところ、トリックは分からなかったが、沙良がどうして高価な義足を手に入れることができたかは想像の範囲。いつもは悪辣さが目立つ御子柴がなんだかいい人に見えた。

    今年の4月から障害者差別解消法の改正により事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されたが、268頁の『鬼怒川は自分の眼鏡を指差した。「これがなければ日常生活にも事欠く有様ですけど、自分では大した障害だとは思っていません。それと一緒ですよ」』という文章は、合理的配慮が障害のある人もない人も同じようにできる状況を整えることが目的であり「特別扱い」ではないということを伝えるための、とても分かり易い例示だった。

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    2024年07月07日
  • ラスプーチンの庭 刑事犬養隼人

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    ネタバレ

    本作はカルト団体の取り巻く実態を社会に提起するような作品である。
    欧米諸国ではカルト対策法案を策定している。一方で、日本はどうか。その疑問をノンフィクションとフィクションも交え、我々に問いかけている。

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    2024年06月30日
  • おわかれはモーツァルト

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    シリーズものだと知らずに読んでしまったが、登場人物も少なく、シンプルなストーリーでわかりやすかった。
    前作なども読んでみたい。

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    2024年06月29日
  • 笑え、シャイロック

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    融資をする営業部、債権を回収する渉外部。
    銀行の見方が変わった。
    確かに融資あれば回収あり、回収できないから貸倒とはいかないとだろうが、こんな時、債務者のほうが割と開き直って返せないもんは返せないとあっけらかんとしているのも、妙にリアル。
    半沢直樹よろしく決め台詞は欲しかったが、シャイロックの異名を継承しモチベーションばっきばきの主人公が、融資側の営業に移ったストーリーも見てみたい。

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    2024年06月22日
  • 静おばあちゃんと要介護探偵

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    元判事の静と車椅子で強きな地元の重鎮の玄太郎のコンビの短編集。
    独立した短編集ってよりは、時系列に沿って5個の事件が起こるって感じかな。
    それぞれのキャラが立ってて面白かったけど、どうしても短編集って私的には長作を超えない…
    2は時間あったら読んでみようかな、という感じ。

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    2024年06月21日
  • スタート!

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    映画の作成はこのような順序を辿っていくのかと、初めて知った。
    映画本編のストーリーも、「なんか聞いたことのあるストーリーだな」と思っていたが実際に著者の『連続殺人鬼カエル男』であることを解説を読んで知った。こちらも読みたいと思う。

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    2024年06月08日
  • 警官の道

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    柚月さんのファンで、手に取りました。
    柚木さんの作品はもちろん最高でしたが、初めて読んだ長浦さんの作品が、意外にもハマりました。短編ですが、まるで長編を一冊読んだような満足感でした。

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    2024年05月24日
  • 翼がなくても

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    企業の陸上部でオリンピックを狙っていた主人公だったが、交通事故で脚を失ってしまった。犯人がよりによって、幼馴染だった。左脚を失ったが絶望の淵から這い上がり、義足を作りアスリートに戻る事を決断。そして、パラリンピックを狙うプロ選手と出会いその人に勝つ為に、走りまでも変えてしまう情熱。幼馴染の犯人は殺されてしまう。2個目の義足を作ったが金の出どころを刑事に怪しまれながらも見事に、プロ選手に勝ち越す!中々面白かった。

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    2024年05月21日
  • 境界線

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    東北大震災の凄まじさを思い出した。
    行方不明になったままの人たちの身分を借りないと生活が送れなかった人たち。
    災害を期に家も人も大事な物を失ってしまった人。生き残っても心を失ってしまった人。
    読んでで辛くなる。
    震災により大切なものを失った同級生の境界線はどこだったのか、、、

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    2024年05月11日
  • セイレーンの懺悔

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    面白かったです。確かに、少し先が読める展開ではあったけど、今回はそこが主題ではないですからね。
    マスコミ、SNSも含めて、人の不幸をめしのタネにしている、というところもあるでしょうが、正しく機能すれば犯罪の抑止力にはなると思います。
    一般市民より政治家の不正にも、もっと抑止力を発揮してほしいなぁ

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    2024年05月07日
  • 静おばあちゃんにおまかせ

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    元裁判官である静おばあちゃんが、五つの事件の謎を解く、安楽椅子探偵ものの連作短編集です。

    タイトルと装画のイメージで、日常の謎を扱ったものなのかなと思ったのですが、内容は不可能犯罪を取り上げたものが多く、本格ミステリの雰囲気が感じられます。

    設定は緩めながら、他人だけじゃなく自分にも厳しい静おばあちゃんのキャラクターは、中山さんのこれまでの作品に通じるものがありました。

    最後に見られる趣向には驚きましたが、個人的にはサプライズなしのエンディングでも良かったような気がします。

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    2024年04月27日
  • 静おばあちゃんと要介護探偵

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    静おばあちゃんと玄太郎のコンビ。
    齢で言えば老老コンビなんだけど
    2人ともエネルギッシュでアクティブ。
    キレ者コンビ過ぎて侮れない( ¨̮ )
    2人に怒られそうだけど夫婦漫才のようで
    シリアスなストーリーもコミカルになってしまう…
    良い意味で!
     
    玄太郎の言動はなかなかヤヴェエところもあるんだけど
    これだけ的確にモノを言える御年寄も珍しいし、
    こういう歳の取り方は万人受けはしないにしても憧れるなぁと思う。

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    2024年04月25日
  • 闘う君の唄を

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    年少さんはそんなに大人びていないよ…

    というのはさておき、お仕事系の話かと思いきや渡瀬刑事が登場し、中盤で大きく方向性が変わる展開に。

    いや、あの展開は予想外。
    一気に違う雰囲気の小説になったね。

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    2024年04月23日
  • おわかれはモーツァルト

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    盲目の人気ピアニスト・榊場隆平に因縁をつけた
    フリーライターが銃殺される。容疑者にされ窮地に
    立った榊場を、彼と同様ショパンコンクールの
    ファイナリストに名を連ねた岬洋介は救えるのか?

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    2024年09月05日
  • 禁断の罠

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    ネタバレ

    【収録作品】「ヤツデの一家」 新川帆立/「大代行時代」 結城真一郎/「妻貝朋希を誰も知らない」 斜線堂有紀/「供米」 米澤穂信/「ハングマン -雛鵜-」 中山七里/「ミステリ作家とその弟子」 有栖川有栖

    いずれも2022年~2023年に雑誌に掲載されたもの。世相を反映しているものが多い。

    「ヤツデの一家」 父親の後継者として政治家になった娘の、後妻の連れ子である兄と実妹への執着を描く。
    「大代行時代」 代行業者の話。新入社員の一人は退職代行を依頼。もう一人が依頼したことは。
    「妻貝朋希を……」 迷惑動画で炎上した男について、記者の取材に周囲の人間が答える形で事情が説明される。ファンタジー要素なしの実録ドキュメント風ミステリ。気が滅入る。
    「供米」 小此木春雪という詩人の遺稿集を出版した未亡人の思惑。盟友の目から語られる詩人の姿と二人の育んできた友情が美しい。
    「ハングマン」 シリーズものの一篇。メンバーの一人で情報収集担当の凄腕ハッカー・比米倉内記の視点で語られる。闇バイトがらみの事件。これで終わりではなさそうなので、単行本化が待たれる。
    「ミステリ作家と……」 ミステリへの皮肉、というか自虐かな。スランプ気味のミステリ作家の下に弟子入りした男の思惑は。ミステリ講義として持ち出される話が面白い。

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    2024年04月19日
  • 禁断の罠

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    「ヤツデの一家/新川帆立」
    「大代行時代/結城真一郎」
    「妻貝朋希を誰も知らない/斜線堂有紀」
    「供米/米澤穂信」
    「ハングマン/中山七里」
    「ミステリ作家とその弟子/有栖川有栖」
    6話収録の短編集。

    一番インパクトがあったのは新川作品。
    不器量な長女と美男美女の兄妹が織り成す歪な三角関係が描かれる。
    長女の視点で進行しイヤミス感満載。
    完璧だと思っていた計画は崩れ落ち、悲哀を感じるラスト。

    結城作品も良かった。
    伏線に全く気付かずしてやられた。

    斜線堂作品は実際に起きた炎上を下敷きに描いたドラマ。
    タイトルが絶妙にマッチしていた。

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    2024年04月18日
  • 禁断の罠

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    ※
    ー禁断の罠ー
    ヤツデの一家  新川帆立
    大代行時代   結城真一郎
    妻貝朋望を誰も知らない 斜線堂有紀
    供米  米澤穂信
    ハングマンー雛鵜ー  中山七里
    ミステリ作家とその弟子  有栖川有栖


    ボリューム不要、濃度に魅せられる
    読み応え十分の短編集。

    個人的に
    後味の良さなら、『大代行時代』『ハングマン』
    ひねりを求めるなら、『ミステリ作家とその弟子』
    物悲しさと悲哀なら、『ヤツデの一家』『供米』
    やるせなさと憐憫なら『妻貝朋希を誰も知らない』

     

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    2024年04月09日
  • ラスプーチンの庭 刑事犬養隼人

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    ネタバレ

    犯人とか繋がりとかは思ってた通りやったけど
    そういう復讐の仕方か〜ってなった

    いつも通り題材が凄いのはもちろんで
    それに絡めてるけど
    今回はその中でもミステリー要素は少なく感じた

    このシリーズはいつも自分ならどうするやろうって考えさせられる永遠に答えの出ない問題を突きつけられる感じがする

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    2024年04月08日
  • 作家 超サバイバル術!

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    それなりに売れている作家さんの、業界で生き延びる知恵。
    三人の著者なのだが、各々がそれぞれの十のテーマについて書いていて、対談みたいになっているのは最後の章だけだった。

    業界の裏っぽいところとか、死ぬほどサバイバルな荒野で、新人賞取ったって、ライバルがアマチュアからプロになるだけで、ほぼ絶滅していくとか、この世界で生きていきたい人にも、単に小説が好きな人たちにも、面白く読めると思う。

    が。

    どなたかも書かれていたが、結局生き残っている人たちの「生存者のバイアス」からは逃れられない。
    生き残っている人たちが自分たちの体験を振り返っても、その何がポイントだったのか、生き残れなかった人たちと何が違ったのか、全然わかんないのだ。

    思い込み以外には。
    ギャブルの必勝法を語るギャンブラーみたいな感じもしたな。

    三人が三様、違うタイプを持って来て、それぞれ言ってることが違ってそこも面白いのだが、共通してるのは。

    兎に角沢山書け。
    心折るな。
    早く自分のスタイルを見つけろ。

    それだけだ。あと、思い上がるな、かな。

    昔は漫画家になりたい人向けにこういう本いっぱいあったな。
    今はむしろ漫画家になる方が簡単かもしれない。発表の場が増えたし、普通に、上手い人が増えた。漫画は、まず絵が描けないと漫画家になろうとも思わないだろうが、「文章」だけなら、日本人なら取り敢えず誰でも書けるのが違いかなと思う。それで、漫画と違って、読む方にも「読解力」がそれなりに必要だし。

    まあ色々感心したりそうかなあと思ったりしながら読んだが、絶対に間違ってるのは、当選の確率を上げるのは、宝くじをたくさん買うこと、って言ったとこだな。
    確率はあがんない。買えば買うほど、損をする確率が上がる。
    要は、平均を狙いたいのか、大きく当てたいのか。大きく当てたければ、大損する確率も上がる。コツコツやれば大損しないが、絶対勝てない。

    小説家としても、小説を書きたいのか、商業ベースで食って行きたいのか、超ベストセラー当てたいのかで、戦略も変わるのだろうが、例え悪すぎ。

    基本的には、デビュー直後の作家さん向けの内容なのだが、この業界ってどれだけ才能があろうが、いい作品が出ようが、購入者の資金が限られていると考えれば、一定以上パイは広がらないんではないか。
    業界が萎縮すると食えなくなるが、自分たちの足元脅かされても食えなくなるのはないかね。

    新人は生かさず殺さず。
    そんな本だと考えれば、怖い。

    編集者と出版社と読者は、新しい才能がどんどん出て来てほしいところだろうが、作家自身は微妙だなあ。

    もっとも1番の大問題は、この三人の作家さんの誰一人も知らないし、どの作品も知らないし、挙げられてる大家先生の誰も面白いと思わないことかもしれない。

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    2024年03月28日
  • 禁断の罠

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    6人のトップ作家さん達によるアンソロジー。これはどれも面白かった。特に結城真一郎さんは初読みでしたが、いかにもありそうな・・・。

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    2024年03月20日