【感想・ネタバレ】彷徨う者たちのレビュー

あらすじ

シリーズ累計50万部突破!社会派ヒューマンミステリーの金字塔、ついに最終章へ

在りし日の友情と恋。立ちはだかる悔恨と贖罪。
選ぶべき自分は刑事か、友か――

災害公営住宅への移転に伴い解体作業が進む仮設住宅の一室で見つかった他殺体。発見場所は出入り口がすべて施錠された完全密室、被害者は町役場の仮設住民の担当者だった。宮城県警の笘篠誠一郎刑事と蓮田将悟刑事は仮設住民と被害者とのトラブルの可能性を想定し、捜査にあたる。そこで遭遇したのは、蓮田にとって忘れがたい決別した過去に関わる人物だった――。

生活保護制度を題材に、佐藤健さん主演で映画化された第一作『護られなかった者たちへ』、震災からの復興とその闇ビジネスを描いた第二作『境界線』に続く、シリーズ累計50万部突破*の「宮城県警シリーズ」最新作。復興が進む被災地に根ざす人々の間で激しく揺れ動く心情と人間模様を描きながら完全密室トリックの謎に迫る、著者渾身のヒューマンミステリーにして、人気シリーズ三部作、堂々の完結編。

あの日、流された絆があった。


*単行本・文庫・電子書籍を含む。

【内容】
一 解体と復興
二 再建と利権
三 公務と私情
四 獲得と喪失
五 援護と庇護
エピローグ

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

かなさんからお薦めされた作品ですが、ようやく、読むことができました。

舞台は東日本大震災後の宮城県、主人公は笘篠刑事ですが、今回は相棒の蓮田刑事がメイン。
事件に蓮田の幼馴染が絡んできて、これまで以上に蓮田の人となりがわかる内容でした。

このシリーズは震災後の問題やそこに暮らしている人々の苦悩をフォーカスしており、それを真摯に向き合っている二人の刑事の姿がとてもお気に入りです。特に今回は笘篠に比べてまだまだ未熟な蓮田がメインなので私情が入った苦悩する姿がまた違った面白さでした。

残念ながら、三部作の完結となっていますが、また、続編がある事を期待したいです。








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2025年10月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今回は笘篠ではなく蓮田が主人公。
宮城県警三部作、これがラストらしい。
笘篠の相棒、蓮田は震災で家族を失うことはなく、本当の意味での共感ができず、罪悪感を感じていた。南三陸の仮設住宅で男が死体で見つかる。その男は仮設住宅にまだ残っている人の家を訪ねて公営住宅に移住するように勧めている人だった。そしてこの死体は密室で見つかった。蓮田の幼馴染たちが事件に関わってくる…

このシリーズも最後かあ。
笘篠推しだったので、蓮田は少し物足りないかなあ。

このシリーズ、笘篠の妻子が震災で亡くなっていることが前作、前々作でわかるのだけれど、笘篠と妻の最後の会話が描写されていて、笘篠が悔やんでも悔やみきれない思いを抱えていることが分かる部分がある。
同じようなことを私も経験していて(震災ではないが)、最後だと分かっていたら、あの時あんな風に受け答えしなかったのに、と今もなお後悔している。
そういう思いが重なるから、このシリーズ応援していたのだけれど、最後なのかあ。またも出てきた五代。彼も美味しいところを持っていくよなあ。前作のほうが関わりが多かったけれど。
今作に関しては沙羅の気持ちがいまいち納得いかない。貢と添い遂げる、っていうのはいいとしても、父親が歪んでいるのを認識しながら貢を放置していて、それについて何か罪悪感を抱えたりはしないのか?いや抱えているなら、なおのこと貢と別れる選択をするのではないのか?と思ってしまう。
知歌と沙羅は元カノと今妻だけれど、知歌が呼び出して、すぐに来る貢に関しては両方とも、思うところはないのか?

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2025年08月19日

Posted by ブクログ

震災・幼馴染・境界線と、すごく複雑に絡み合っている。
主人公蓮田刑事の振り回される様子が痛々しいし、主人公に対して優位に立つ幼馴染にはあまり共感持てなかった。
最後は安定の大どんでん返し。

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2025年05月30日

Posted by ブクログ

中山七里さんの「宮城県警」シリーズである『護られなかった者たちへ』『境界線』の続編・完結編になります。

完結編と言っても、このシリーズのファンである私はまだまだ続いてほしいと思っています。それはやはり宮城県民としては、まだ復興は完了していないと感じているからです。

しかし、その後におきた「能登半島地震」の経過を見ていると、東日本大震災よりもさらに復興が遅れているようでモヤモヤしています。

日本は地震大国であり、日本中のどの場所が被災地になってもおかしくない状況です。そんな時、被災地がどのように復興していくか、言い換えれば政府がどのように復興を進めるかということは、今後新たに災害が発生した場合に被災者の生活がどのようになっていくのかという一種のモデルケースでもあります。他人事ではなく注意深く見守っていく必要があると考えます。

さて、災害後には復興への槌音だけではなく、問題・課題も発生します。この「宮城県警シリーズ」は、そのような問題点を丁寧に描かれていると思います。

一作目では生活保護について。
二作目は復興と闇ビジネスについて。
そして今回は災害公営住宅への移転に伴う問題点を取り上げた作品です。

*****
ストーリー

災害公営住宅への移転に伴い解体作業が進む仮設住宅の一室で見つかった他殺体。発見場所は出入り口がすべて施錠された完全密室、被害者は町役場の仮設住民の担当者だった-。

*****

この物語の根底にあるのは、生き残った人・被災しなかった人の中に流れる『罪悪感』のような気がします。

実際に、被災地に暮らしていても、たまたまその場にいなくて助かった人、家族が無事だった人は、なぜか罪悪感を持つと聞いたことがあります。

今回は笘篠誠一郎刑事の後輩である蓮田将悟刑事が中心でストーリーが進みます。失った人と失わなかった人との間には目に見えない溝があり、蓮田刑事は、その罪悪感と対峙しながら捜査に向き合っていくのです。

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2025年05月04日

Posted by ブクログ

宮城県警シリーズ完結編というから、覚悟して読んだけど結構重くない感じだった。
『護られなかった者たちへ』のインパクトが大きかったんだろうな。
読みやすくてサクサク読めるけど、いまいち感情移入できず。

震災で家族を亡くした人や仮設住宅に入居した人たちが読んだら共感できるのだろうか?

読んでいてずっと思っていたのは、蓮田は何も悪くないんだから引け目を感じる必要はないのでは?ということ。
蓮田父のやったことだって蓮田が捜査したことだって、当然のことをしたまでだし、震災で家族を失わなかったことだってズルをしたわけではないのにね。

それに仮設住宅から公営住宅への移転を渋るのは、どうなんだろう。
困っていることが震災の結果だからいつまでも自分の主張が許されるのはちょっと違うんじゃないかな。
コミュニティが崩れてしまうと言うけれど、うーん。
あまりここで語らないでおこう 笑

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2025年02月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「被災地の復興は政府の方針であるばかりでなく、国民の総意といっていい。撤去される瓦礫、誕生する新しい街、戻って来る住民、よみがえるにぎわい。どれもこれも活気に満ちた事象だが、新しいものが生まれる影にはいつも破壊と消滅がある。そして大抵の者は消え去るものを歯牙にもかけない。」

被災者の心理的経過は、被災直後の「茫然自失期」、被災者同士が強い連帯感で結ばれる「ハネムーン期」、被災者の疲労や忍耐が限界に達してやり場のない怒りにかられたり、落ち込んで喪失感を抱いたりする「幻滅期」、そして、地域作りへの参加により自信が向上する「再建期」の4つに区分されるそう。「幻滅期」に自殺者が増えることは過去の震災研究から言われていることであるが、東日本大震災の被災自治体ではこの「再建期」においてもまた自殺率が全国平均を上回ったことが、精神面で被災者/支援者支援に携わる中、宮城県沿岸部の市区町の自殺死亡率の推移について研究を続けていた精神科医・大類真嗣さんにより明らかにされた。その理由を「経済的支援が終わり、生きづらさを抱える人の精神的負担が重くなった可能性がある。仮設団地でできたコミュニティーが分断されたことも大きい」としている。

この作品では、まさに多くの被災者が前を向き、また歩き出そうとするこの再建期に精神的負担を抱え立ち上がれないもの、まだ前に歩みを進められない者など、復興の陰に黙殺される「消え去る者」にスポットを当てている。
国や自治体が本来の役割に則り大局的見地に立ってハード面の再開発・復興を最優先することはやむを得ないこと。ただ、国や自治体では行き届かないソフト面(生活面・精神面)でのサポートを民間のボランティア団体の善意と持ち出し頼みにせず、それを担う専門知識を持った人員の育成や金銭的なバックアップを行うこともまた国や自治体にしかできないこと。

地震大国日本において、東日本大震災の被災は誰にとっても明日は我が身。にもかかわらず、阪神淡路大震災から何度大きな地震が起きようとも、その度に浮上するのは同じような問題ばかり。台湾地震の際、台湾の防災体制の確立ぶりには、日本の体制との差をはっきりと見せつけられた。その鍵となるのが災害時に備えた平常時からの官民協力、連携。 頻繁に災害時の研修や避難訓練を実施しているそう。その中で各ボランティア団体の強みを把握し、災害時状況に合わせた団体をピックアップ、派遣するという非常に合理的な仕組み。平常時からの連携は、被災地を食いものにする悪辣な団体を浮き上がらせ、排除することの一助にもなるだろう。

日本の地方自治制度下で、台湾の国家規模の防犯体制をそのまま取り入れることには様々な弊害があるのだろうけれど、大災害時には結局は国が主導を握らざるを得ない現状、他国の良い政策を何とか取り入れて一日も早く、大災害に強い国になってほしい。

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2025年02月08日

Posted by ブクログ

宮城県警シリーズ第3弾(完結なんや…)

仮設住宅から、ちゃんとした住宅に移動して欲しいのは分かるけど、仮設住宅、それ以前のご近所の繋がりを無視して移動させてるの?
そんな事したら、箱物としての復興は進むかもしれんけど、箱だけで中身が空っぽになるやん!
個別に対応もしんどいのかなぁ…
ホントのとこは、経験ないから、分からんけど、被災者には寄り添って欲しいな。

仮設住宅で、死体発見!
それも鍵かかってて密室!密室殺人か!
被害者は、役所の人で、立ち退きを進めてた人。
仕事に、熱心で、生真面目な人。

犯人は誰や?

う〜ん…刑事になって、幼馴染を容疑者として疑うのはツラいなぁ…
しかも、とある事情で仲違いしてるし。
その原因が間接的でも自分にあるとしたら…
刑事というか、警察官としての職業意識が保てるんかな?私なら、ムリなんで代わって貰いそう…

最後の大どんでん返しは、良かったけど、めっちゃ冷静に考えると…

さぁ、今後、幼馴染との友情は取り戻せるんかなぁ…
でも、自身が思っているより、絆は深そうなんで… ( *˙ω˙*)و グッ!


******************
10連休初日に映画館へ

「ジュラシック・ワールド/復活の大地」

前作の続きになるんかな?
もう、昔の「ジェラシック・パーク」とは無関係。
スカーレット・ヨハンソンさん出てるしええか!
今回は、Dolby Atmosで鑑賞。やはり、巨大な恐竜とか出て来ると迫力ある!
内容はね。
お決まりみたいな気がせんでもないけど。
画期的な薬作る為に、恐竜の組織取る為に、立入禁止のとこ行くという…
監督も「GODZILLA」の監督やし、細かい内容より、恐竜の迫力重視?

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2025年08月09日

Posted by ブクログ

オーディブルにて。

宮城県警シリーズ第三弾。
今回は蓮田刑事の幼馴染たちも重要人物となり、刑事としての自分が幼馴染だからこそできること、できないこと。
安定のどんでん返しもがあり、面白く読めた。

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2025年07月03日

Posted by ブクログ

東日本大震災後の被災地で起こる事件を追う宮城県警・笘篠刑事シリーズの第三作。(『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く)

簡単に言えば第一作目は生活保護の問題、第二作目は被災した行方不明者の個人情報事故の問題、そして今回は仮設住宅から公営住宅への移転に関して、復興を進めたい行政と利権に絡む県会議員、似非NPO団体を巻き込んだ殺人事件だ。

そこに若手刑事の蓮田(第一作の映画では林 遣都が演じている)の幼なじみ4名の関係が絡んでくる…

シリーズものは登場人物がかぶっていたりするのも面白さのひとつではあるが、ミステリーの場合はトリックとか大どんでん返しとかで『やられた〜』となるのも面白い。
しかしこのシリーズは、やはり第一作目の『護られなかった者たちへ』が一番面白かったかなあ。

なんだかんだ言っても、もしシリーズ4作目があったは読むだろうけど…

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2025年06月16日

Posted by ブクログ

中盤、似たような展開が多く見られるものの結末は読ませる。
東日本大震災はすでに終わり、復興の目処もついている。そんな訳はない。地震で何もかも失った者たちと、失わずに済んだ者たち。中山七里の事だからラストに何か仕掛けてくる、それは分かってはいたがこの結末は苦い。その癖奇妙な爽やかさがある。291頁と短いが濃密である。

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2025年05月30日

Posted by ブクログ

宮城県警シリーズの完結編との事で、3シリーズの中で1番被災者の悲哀にスポットが当たっていると感じた。
本作でもやはり境界線の問題が重く伸し掛る。
被災しなかった負い目を感じてしまう蓮田の姿が悲しい。
刑事としての使命を全うせねばならないが、懐かしい友情に揺さぶられる姿が印象深い。

復興を進めたい行政と、思い出深い家を流されて傷付き仮設住宅に住み続けている被災者とのベクトルがこんなにも違うのは辛いの一言だ。

被災地では無遠慮なボランティアが問題になる事もあるらしいが、本作のように怪しいNPO法人も世の中には幾つも存在して来たのだろう。
弱った人間を食い物にするこの手の輩はどうしても湧いてくるのが痛ましい現状だ。

3作を通して壮大なドラマを感じる事が出来た。
うるとらまんさんとゆーき本さんのお勧めだが、流石、現代小説を沢山読まれている方のお勧めだ。

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2025年05月22日

Posted by ブクログ

宮城県警シリーズ最終作
復興とは何か。
あの未曾有の大災害で護れなかった者、そうではなく護られた者それぞれが何かを失った。表面上だけでない何かを今作の登場人物たちはずっと探しているのかもしれない。

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2025年03月02日

Posted by ブクログ

東日本大震災後を描いた『護れなかった者たちへ』のシリーズ最終章。
震災によって、大切な何かを失った者失わなかった者。両者の間にある隔たり。
皆、震災によって変わってしまった。
今尚残る震災の爪痕。
復興とは何なのか。
考えさせられる物語。

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2025年01月30日

Posted by ブクログ

宮城県警シリーズ完結編
護られなかった者たちへ、を読んですっかりハマってしまいました。
今回も東日本大震災後の社会的な問題がテーマになっていて読み応えがありました。

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2024年12月19日

Posted by ブクログ

彷徨う者たち
著者: 中山 七里

**あらすじ**
シリーズ累計50万部突破の「宮城県警シリーズ」最終章。
災害公営住宅への移転に伴い解体が進む仮設住宅で発見された完全密室の他殺体。被害者は町役場の担当者で、捜査を進める刑事たちは仮設住民とのトラブルを疑う。しかし、その捜査線上に、若き日の蓮田刑事の過去と因縁深い人物が浮かび上がる――。
生活保護制度の闇を描いた第一作『護られなかった者たちへ』、復興に絡む闇ビジネスを追及した第二作『境界線』に続き、復興が進む被災地の複雑な人間模様を背景に完全密室トリックの謎に挑むヒューマンミステリー。著者渾身の三部作、堂々の完結編。

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**感想**
宮城県警シリーズ第3弾にして三部作の最終回。本作では、災害公営住宅からの追い出し問題がテーマとなり、東日本大震災後の宮城県を舞台にした物語が描かれています。取材や調査を基に構成されたと感じられる内容で、社会派ミステリーとしての重厚感があり、読むほどに現実の厳しさを感じさせる内容でした。

シリーズを通じて、生活保護制度の闇、復興と闇ビジネス、そして災害公営住宅の問題と、社会的弱者を取り巻く深刻な現実がリアルに描写されています。本作を通じて、災害や不条理な出来事で人生が崩れる弱者が存在すること、その背後に暗躍するビジネスがあることを改めて考えさせられました。

特に心に残ったのは、人間の弱さとその中で生じる不条理を正面から描きながらも、救いの可能性や助け合いの重要性を示唆している点です。この物語は、ミステリーとしての面白さ以上に、社会の闇に対する問題提起としての意味が大きく感じられました。三部作を通じて、どの作品も質の高い社会派ヒューマンミステリーとして、非常に満足度の高いシリーズでした。

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2024年12月11日

Posted by ブクログ

 「護られなかった者たち」「境界線」の宮城県警シリーズ第三弾にして完結編です。この作品にも前作にも登場した人物が描かれていることと、背景には東日本大震災が大きく関わっていることなどは共通してます。前作では宮城県警の笘篠のことが、この作品では蓮田のことが大きく取り上げられています。

 宮城県南三陸町の仮設住宅において、同地区役場職員掛川が殺害された。国は仮設住宅から災害公営住宅への転居を推奨しており、現場となった部屋は空き部屋だった。それでも費用面や慣れない環境で今後過ごさなければならないことに難色を示し、現在も仮設住宅で3世帯が暮らしていた。宮城県警の笘篠と蓮田が捜査にあたる中、浮上したのは蓮田と過去につながりのあった友人たちだった…。

 震災などなければ、その前に色々あったとしても再会を単純に喜び合えた4人だったんじゃないかな…そんな風に思いました。国や行政は復興に前のめりになって、肝心な被災者さんの思いを蔑ろにしていることはすごく問題だと思いました。ここまでできるか??と問い詰められたような読後を持ってしまいましたね…。この作品で完結してしまうのは、なんだかちょっとさみしいかな…。

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2025年06月20日

Posted by ブクログ

震災で、家族が無事だった人が、そうでない人に負い目を感じる気持ちもしかなないのかな。

14年後に、イヤな形で友人と再会することになったけど、顔を見てちゃんと話せてよかったと思う。

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2025年11月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

三陸の魚を専門に扱う魚屋さんでランチしたあと読んだ一冊。宮城県警3部作の最後。
中山さんが講演会で「このシリーズは被災してない自分が書いていいのかと思っていて、自分から今回で終わりにしてほしいとお願いした」ようなことを言っていた。そう言いたくなる気持ちが少し分かるような作品。
ミステリーとしてどうかよりも、被災した人たちの置かれた状況や心情がひたすら心に残る。

被災地が舞台だからか、シリーズ通して、殺した人・殺された人よりもっと悪い人というか存在がいる気がしてちょっとモヤモヤする。
制度って、こぼれる部分もあるし完璧じゃないけど、外に出てしまえば「大いなるもの」と同等のパワーを持つんだなと改めて戒める気持ち。

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2025年11月17日

Posted by ブクログ

大きな風呂敷を広げて、小さく終わったなあと感じました。ヒロインのひとり(知歌)の心情も、あまり理解できなかったです。ただ、被災地にいて、家族を誰も失っていない蓮田くんの罪悪感は、すごく感じ取ることができました。

苫篠さんのシリーズですが、主役は蓮田くん。ちょっとスピンオフ的な雰囲気です。

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

東日本大震災を記録するシリーズものなんですかね。『護られなかった者たちへ』につづく作品でしょうね。
ミステリの体は取っているけど、復興とは何かを問う作品と言えるかも。
ミステリとしてはちょっと「何だかなぁ」。

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

宮城県警シリーズ第三弾。東日本大震災の復興を題材としているが、設定や展開に共感できる内容があまりなかった。父親の悪事をバラされて恨むとかただの逆恨みではと設定とはいえずっと引っかかった。それでもストーリーとしては楽しめるしさすがだと思う。

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2025年08月03日

Posted by ブクログ

「護られなかった者たち」「境界線」に続く宮城県警シリーズの第三弾。前2作では笘篠(とましの)刑事が主人公でしたが、本作は蓮田刑事が主人公となり、これまでの作品とは一線を画す、全く新しい物語という印象を受けました。

中盤で描かれる与野党の議員同士の駆け引きは、リアリティがあり非常に引き込まれました。一方で、物語の核となる密室殺人事件や、シリーズの魅力であった社会問題への鋭い切り込みという点では、個人的には少し物足りなさを感じました。

特に、本作のキモである終盤のどんでん返しについては、これまでの伏線や登場人物の行動と照らし合わせると、少し唐突で不自然さが残るように感じたのが正直なところです。シリーズのファンとして期待していただけに、少し残念な読後感でした。

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2025年07月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

話としてはまあ面白かった。 が、いくら親身になっていたとしても、赤の他人の殺人を庇うかなと疑問。被害者の妹も天涯孤独に
若歌が貢を利用したのも後味悪い おカネの為に別れた腹いせにもとれなくもないし
それにしても苫篠さんはすごいな 頑張れ蓮田

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2025年07月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

東日本大震災から7年経った仮設住宅のお話
役場の復興事業担当職員の遺体が仮設住宅の密室状態で発見、仮説撤去スケジュールをすすめる仕事がら住民とのトラブルか?
笘篠刑事の感じている「被災者で無事だった後ろめたさ」(共感は難しいが)いつまでも囚われ捜査の最中もぐるぐると痛々しい刑事だったが、ストーリーの中心テーマだった、笘篠と幼馴染の関係にヒビが事件を複雑に・・・読むべし
それにしても震災後の復旧に関わる行政のが「復興」と言い出すことで被災者ではなく利権に予算が吸われて、暮らしを取り戻すべき人には何も当たらない理不尽さに怒りを覚える作品だった

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2025年06月26日

Posted by ブクログ

「護られなかった者たちへ」「境界線」に次ぐ、震災三部作のラスト。うーん…徐々にパワーダウン。いやこの作品がちょっと差がついちゃったかな。三部作にするためのやっつけ感と言うか…笘篠と蓮田の活躍は健在ですが。

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2025年02月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

宮城県警シリーズ、好きなんだよなぁ。
東北の震災という大きなテーマが走りつつ、シンプルに殺人事件を解決する部分もおもしろい。
登場人物も味があって、いい奴もいれば悪い奴もいる。
必ずしもハッピーエンドだけでは終わらないというのを、登場人物たちにまつわるエピソードだけでなく、震災の存在がひそかにずっと示し続けている。

今回のお話では、震災で家族を亡くした者・そうでない者の間に存在する溝に着目していた。
家族がみんな生き残ったから、という申し訳なさは感じなくてもいいのではと思うが、実際にはそうはいかないのだろう。
失ったものの唐突さについて、到底納得いかない。あまりにも運の要素が大きすぎる。
こう思うと、人なんていつどんな形で分断が生まれるかわからないものなのだと思ってしまった。

中山さんが描く殺人事件に関しては、一筋縄では犯人に辿り着かないところがやっぱり好きだ。
そして、最後は人に対してポジティブな感情で終われるところも。

このシリーズは最終章ということで、笘篠さんにもう会えないかと思うと寂しいが、中山さんの描く素敵な人物との新たな出逢いに期待したい。

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2025年02月22日

Posted by ブクログ

うまくいかなくなったと思っていても、年月が経っていても、古くからの絆の強い友人との繋がりは切れていなかったんだ。いいような悪いような。

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2025年02月11日

Posted by ブクログ

宮城県警シリーズ第3弾。
今回は主人公笘篠とタッグを組んでいる蓮田にスポットを当てた物語。
震災で大切な人を失った者と、何も失わずに済んだ者。後者が肩身の狭い思いをする状況は読んでいて切ない。
各々が行き場のない怒りや悲しみを彷徨わせながら必死に生きようとする情景が胸に刺さった。

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2025年02月03日

Posted by ブクログ

こちらへ、こちらへと誘導されるから、
こちらではないんだろうな、と思いながら読むのは
中山七里ならでは、か。
サクサクと読んでしまいました。

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2025年01月17日

Posted by ブクログ

宮城県警シリー三部作のサイン本買いました。サイン本って、有名書店とか古本屋でしか入手したことがなかったが、今回初めて通販で買ってみた。なんと三冊箱入りで来た。なお、本書以外は既に購入している。サイン本って高く売れるのか?一応、46/200 というシリアル番号付きだが、中山七里って都内のいろんな書店でサイン会やっているから、あまり希少価値は無いのかもしれない。

さて内容だが、東日本大震災関連の作品なので、当事者としては複雑な思いで読み進める。後半最後の方では地元の石巻の話も設定として出てくる。昨年、荻浜・桃浦地区に行く機会があったが、まだ湾岸工事中・仮設住宅もあり、震災からだいぶ時間も経っているのにも拘わらず完全に復興しているとは言えない状態である。更に能登半島でも、やる気のない、それどころではない脱税党のお陰で災害復旧は遅々として進まない。遅れれば遅れる程、人間関係の修復なんてできるわけがない、自ずと先送りになってしまう。この様な状況が、本作の様な推理小説にネタを提供してしまう。

今回のどんでん返しは、返し方がかなり強引で、勿論勝負は負けました。そんな中、これもかなりのこじつけだが、貢の将ちゃんへの心意気、親友への信頼がせめてもの救いとなった気がする。明らかなこじつけだが、少しだけ雲の合間に日の光が差し込んだ。

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2024年05月01日

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