森まゆみのレビュー一覧
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このサイトで著者を見ると勘違いする人もいると思うが、これは、おつまみについていろんな作家さんが書いたアンソロジーである。
どれも私にぴったりで、最後まで楽しく読めたし、つまみの参考にもなった。
あまり手の込んだものつまみは出てこず、なかにはコンビニつまみランキングなるものもあり、かなり参考になった。また、各作家さんの酒との距離感、そして、つまみのポジションが明確で、スッキリ読める。
人それぞれ、酒とつまみの位置付けは様々だが、押し付けがましくなく、自分の日常を赤裸々(?)に語っているのが最高。
さらに、一編ずつが短いのもポイント。
ネックは、つまみを食べたくなり、酒を飲みたくなることだけです〰 -
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谷根千、上野あたりにゆかりの文学者について書いてきた森まゆみ氏だが、最後に子規を書きたい、一番、親愛と共感が深いからとのこと。
私事だが、夏井いつき著の「子規365日」を読んで、子規その人に興味を持ち、子規本人の「仰臥漫録」を通り、最後にこの本に辿り着いた。
正岡子規は幕末に松山の貧乏士族の家に生まれ、大志を抱いて上京、最後に根岸に10年間住んでそこで死去した、その一生が書かれている。思い残すことはないというほどに。
子規といえば「病気なのに大食漢」「病気なのにネアカ」
生涯の親友、夏目漱石の「神経衰弱で胃弱」と、良く対比される。
性格の違いだろう。
生涯、バイタリティーにあふれ、何にでも -
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森まゆみ『東京老舗ごはん』ポプラ文庫。
先に第2弾の『東京老舗ごはん 大正味めぐり』を読んだので、第1弾も読まねばと思っていたところ、最近やっと本屋で見付けた。
この第1弾では明治時代に創業した東京の魅力ある老舗名店27店が素晴らしいエッセイにより紹介されている。森まゆみさんの食のエッセイは趣があり、時代や文化を伝えつつ、食の魅力をストレートに伝えてくれるのが嬉しい。
訪ねたことのある老舗は1つも無いが、神谷バー、かんだやぶそば、たいめいけん、銀座天國本店、ビヤホールライオン銀座七丁目店、中村屋、資生堂パーラー銀座本店、みますやは他のエッセイやテレビなどで知っている。
本体価格620円 -
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ネタバレ国費での英国留学から帰った漱石は、一旦、妻の実家に身を寄せた後、千駄木の借家に移る。
そこは、十年ほど前には森鴎外も住んだことのある家だった。
その、「千駄木の家」で、『吾輩は猫である』『坊ちゃん』が執筆され、漱石は人気作家となった。
少し前に、『硝子戸の中』を読んだ。
漱石の最後のエッセイだが、自身の内面と人生を振り返ったものが多く、千駄木時代のことも多く書かれている。
この作品は、それを外から裏付けているような面もあり、漱石が立体的に浮かび上がってきた。
家族から見たらとても怖い人だった、というのを以前に読んだが、それは漱石の本来の人間性ではなく、どうも「神経衰弱」の発作のためだったら -
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千年以上の歴史を誇る京都とは違い、東京は江戸幕府以降に都市となった土地だ。
でも、明治維新で大変化を遂げ、元大名屋敷だった建物は残り、持ち主が変わった。
その後、関東大震災で壊滅の危機に瀕し、さらに東京大空襲で焼土と化す。
何度にも及ぶ破壊を生き抜いてきたのが、今残る、昔ながらの土地建物なのだろう。
この本の主役はもちろん、東京という土地を通り過ぎていった人々であるが、歴史を生き抜いてきた土地や建物も、人を動とするなら、静の主役であると思う。
土地が変わっていくのは仕方がないけれど、残せるものは残して欲しい、と思うのだ。
最後の、渡辺一族の話は、印象に残る。
短期間に財をなし、昭和二年の買い -
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“シベリア鉄道”というタイトルにロマンを感じて買いました。
加えて、女三人!
勝手に想像した騒々しいおしゃべり旅ではなく、文学と社会主義を感じる紀行文でした。
与謝野晶子については、以前も読んだことあり、この本で注目したのは、宮本百合子。
いずれにしてもこの時代に、言葉もよくわからない異国に旅した女性たちの度胸に脱帽する。
私はロシア人の名前が覚えられず、ロシア文学はほとんど読んでいませんでした。
これからも、ロシア“文学”は読めないかもしれないけれど、この期に興味を持った、シベリア鉄道についての旅行記は、読みあさってみたいと思います。 -
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Posted by ブクログ
西の新撰組・東の彰義隊として、佐幕の忠義に殉じた武士たちの残光は、新撰組が多くの注目を集める一方で、彰義隊はわずか半日で壊滅した烏合の衆という評価になってしまっている。しかし旗本・御家人といった幕臣身分が中心の彰義隊は、人物としての魅力に溢れた隊士がたくさん存在しており、その足跡を辿ると数奇な運命を辿っていることに行き着く。
新一万円札の顔となった渋沢栄一は、欧州視察に行っていなければ彰義隊に参加していた可能性が高く、賊軍の汚名を着せられたならばここまでの栄達はなかったのではないか。実際に彰義隊のリーダーとして従兄の渋沢成一郎がおり、また義弟の渋沢平九郎はこの戦争で亡くなっている。それ以外に