【感想・ネタバレ】昭和下町暮らしのレビュー

あらすじ

昭和はよい時代だったのか? 少女の視点から振り返る、昭和30、40年代の東京下町、庶民と家族の生活史。
著者の森まゆみ氏は、地域雑誌「谷中・根津・千駄木」(通称「谷根千」)の編集人として、地域の生活・文化・歴史を掘り起こし、数多くの貴重な証言を記録してきた。
本書では、自らが「語り部」となり、10代までの体験にもとづき、東京下町(主に、居住した文京区動坂下周辺)での生活を回想。
それは、親子関係も含め、戦前から連続する庶民の暮らしの実相を伝える、少女の視点からとらえた記録となった。
『昭和の親が教えてくれたこと』を全面加筆・改稿のうえ改題した。

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Posted by ブクログ

森まゆみ『昭和下町暮らし』中公文庫。

2016年刊行の『昭和の親が教えてくれたこと』を全面改稿改題、文庫化。

2025年は昭和100年にあたるのだそうだ。

著者は1954年生まれということで、幼少期から青春時代を昭和という時代の中で過ごしたようだ。自分も1963年生まれなので、大いに共感出来るところがあるエッセイだった。

昭和は遠くになりにけり。時代は令和となり、昭和の価値観や昭和という時代に育まれた勤勉実直といった日本人の美徳は廃れてしまった。

ワークライフバランスなどという詭弁により、残業や休日出勤などは殆ど無くなり、成果主義は掛け声だけで、成果を出さずとも、そのプロセスだけが褒められるという極めておかしな状況になっている。

男性の育児休暇の取得率は6割を超え、共稼ぎでないと車も一軒家が持てず、下手すると生活も成り立たない甲斐性の無い、情けない男性が増えているように思う。

昭和の時代には、オカマやゲイ、レズといった方々も立場を辨えてひっそり暮らしていたのに、何時の間にか性的マイノリティ、LGBTQ+などと呼ばれ、堂々と表に出て来て、我儘な権利を主張するようになった。独裁者トランプの言う、この世には男と女の2つの性しか無いということも一理ある。

本エッセイにも登場する傷痍軍人は自分が住んでいた盛岡の八幡宮の秋祭りなどでもよく目にし、父親に一体何者なのかと尋ねた記憶がある。

著者も幼少期に長屋に暮らしていたと語っているが、自分も生まれてから2歳まで酒屋が大家を務める長屋に暮らしていた。当時、隣りに住んでいた一家とは引っ越してからも親交が続いる。

豆腐屋がラッパを吹きながらリヤカーを引いて豆腐を売りに来たのも昭和の風景の一つだった。沿岸の釜石に住んでいた時には朝に軽トラックで獲れ立てのスルメイカを売りに来たこともあった。

確かに昭和の時代にはコンビニも無く、大型チェーンのスーパーも少なかった。肉や魚の量り売りの個人商店が多く、プラトレーやビニール袋など無く、商品は竹皮や経木、油紙、新聞紙に包まれて渡された。

給食の時に使われたスプーンとフォークの合の子のような先割れスプーンも懐かしい。学校には給食室があり、そこで調理されたものが昼食になったが、少子化の影響と予算削減のためか、何時の間にか給食センターで作られた昼食が各学校に配られるようになった。

時代が変わっても何も変わらず、当たり前のように存在しているのはNHKくらいか。サービスを低下させ、自分たちだけは数千万の給与を貰っていながら、テレビを持たず、観ない若者が増え、受信料が集まらなくなると、ネットやカーナビも受信料聴取の対象にしようとするのだから恐れ入る。暴力団のみかじめ料よりも酷い。

本体価格900円
★★★★

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2026年01月12日

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