あらすじ
明治40年夏、与謝野鉄幹が北原白秋、木下杢太郎、平野萬里、吉井勇の若き四詩人を連れて九州を旅した。「五人づれ」という連名で「東京二六新聞」に連載された紀行文『五足の靴』には、その後活躍する詩人たちの才能の萌芽を見ることができる。2018年に世界遺産に指定された長崎、天草の地も踏んでいた彼らの足跡を、森まゆみが10年以上かけて歩き、追体験した詩情と旅情あふれるノンフィクションは、知られざる名著の解説書、歴史を体感できる旅へと誘う極上のガイドブックでもある。世界遺産(文化遺産)「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を巡る付録つき。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
森まゆみは、森鷗外関係で親しみのある作家。
特に谷根千関係は好きな分野。
与謝野鉄幹ら五人は鷗外との関係性もあり旅路にも鷗外の縁の作品が登場してくるところは新しい発見(著者の知見によるところ)。
あまり強調されていないのだが、当時の自由主義的な考え方、欧米文化への憧れと当地のキリスト教との関係性がこの旅路のメインテーマではないかと推察する。
何れにしても、九州の旅、同じような旅路を訪ねてみたいと思う。
Posted by ブクログ
●は引用、その他は感想
●「九州人は原という字が下に来る地名をすべて『ばる』という。島原も『シマバル』だ。風俗の淫靡なことは有名なものだ。良家の処女といえども他国から来た旅客が所望すれば欣々として枕席に侍する、両親が進んでこれを奨励する。他国人と一度関係を結ばぬ女は縁附きが遅いというほどだ」。通婚を繰り返すことによって村の血が濃くなることを避けるため、旅人を「まれうど」として接待する。「御胤頂戴」のことと思われる。明治の若い旅人たちも、実行はいざ知らず、こうした願望を含んだ記載になったものであろう。
平戸、佐世保、長崎、島原、天草へ行ってみたくなってきた。