ポプラ社 - ポプラ文庫作品一覧

  • 新宿の猫
    3.3
    何をやってもうまくいかない「ボク」は、明日が見えない闇のなかでもがいていた。そんなある夜、ぶらりと立ち寄った小さな飲食店で、さまざまな猫の特徴がしるされた一枚の紙に心をうばわれる。それは店で料理をつくる夢ちゃんが描いた「猫の家族図」だった。行き場を失った猫に寄りそう彼女は、「ボク」に猫と自分の秘密を打ち明け、ふたりは大切な約束をする――。夜の底からあふれだす優しさ、胸に灯る温かないのちの物語。
  • ずっと名古屋
    4.0
    ドラゴンズもSKE48も名古屋めしもあるのに、行きたくない街No.1!? ナゴヤドームで再会する父と娘、SKE48に憧れてストリートで踊る少女、運転免許試験場でサンタクロースと出会った女性、実直な書店員の一日――名古屋にある16の区を舞台に悲喜こもごものドラマを描く「名古屋16話」、東海・中部の都市が舞台の「8の旅」を収録。 “素顔の名古屋”が見えてくる珠玉のショートストーリー集。
  • 片づきません!
    -
    夫が突然仕事を辞め、北大阪の義実家へ引っ越した珠希。 そこには超マイペースでくせ者の姑、夫と前妻の間のヤンキー娘、その彼氏で気弱なバンドマンとの珍妙な同居生活が待っていた。 おまけに謎の家財道具が家から溢れんばかり。 平穏に暮らしたい珠希は整理に乗り出すが──。 モノも人も全然片づけられない、未熟な大人たちの奮闘はいかに。 すきっと爽快エンターテインメント!
  • 夏休みの空欄探し
    NEW
    4.0
    本に挟まれた暗号。 謎解きに挑む姉妹。 忘れらない夏が始まる。 「役立たたない」ことが好きなクイズ研究会会長の高校2年・ライと、大学受験に向けて効率重視で「役立つこと」が好きな同級生のキヨ。対照的な性格の二人だが、夏休みの間、謎解きに挑む姉妹を手伝うことになる。謎解きの先で待つものとは――。 すべての謎が明かされた時、切なさと温かさが胸を満たす、青春恋愛ミステリー。
  • 謀る理兵衛
    5.0
    元禄時代。日本一の豪商と呼ばれる丹生屋の四代目・重兵衛は放蕩の限りを尽くしていた。重兵衛の散財には理由があった。幕府の大老・酒井忠清が、丹生屋を取り潰し、その血を根絶やしにするため、様々な策を弄していたのだ。このままでは丹生屋は取り潰されてしまう。いつの日か、真の意味での丹生屋を再興するため、完璧な形で丹生屋を潰してみせよう…。大坂商人の意地を賭け、幕府へ反旗を翻した男の大立ち回りが始まった……。
  • 小さな挑戦者たち ~サイコウの中学受験~
    4.0
    現役の塾講師が描く、「東大卒」家庭教師と中学受験に挑む、個性も学力もさまざまな4つの家庭の葛藤と奮闘の感動物語。学力が伸びる条件、成績が上がる必勝勉強法、家庭の心構えなど、中学受験を考えている親世代が知りたかったことが、小説を読みながら学ぶことができる教育エンタメ小説!
  • うしろむき夕食店
    3.6
    二階建てのレトロな洋館に、ステンドグラスの嵌め込まれた観音開きの扉。ドアの両側には二つずつ背の高い格子窓。そこから見える満月のような照明と、おいしそうな香りが漂ってきたら間違いなし。そこが「うしろむき夕食店」だ。 “うしろむき”なんて名前だけど、出てくる料理とお酒は絶品揃い。名物の「料理おみくじ」は、食事も人生も迷ってしまうお客さんに、意外な出会いを与えてくれると評判だが――。
  • お探し物は図書室まで
    4.5
    2021年本屋大賞第2位!! 「お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?」 仕事や人生に行き詰まりを感じている5人が訪れた、町の小さな図書室。彼らの背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。 自分が本当に「探している物」に気がつき、明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。
  • おとめの流儀。
    4.0
    中学1年生になったさと子が入部したのは“なぎなた部”。部員不足によりさっそく廃部の危機にさらされたが、不安しかないメンバーが揃いなんとか回避。だけど部長の朝子さんから告げられた部の目標は、「剣道部を倒す」ことで――!? 13歳、部活も人生も、いざ真剣勝負!
  • アップルソング
    4.5
    太平洋戦争末期、焼け跡の瓦礫の中から助け出された赤ん坊の茉莉江は、十歳になった年に母と二人、船でアメリカに渡るが、その後母を喪い一人きりになってしまう。茉莉江は自らの手で人生を切り拓き、長じて報道写真家となり、人間の愚行と光を目撃していく。激動の時代を生き抜いたひとりの女性の人生とともに、戦後日本、そしてアメリカの姿を描き出す。恋愛小説家として知られる著者が新境地を拓いた、美しく骨太な感動作。
  • 縁結びカツサンド
    3.6
    駒込うらら商店街に佇む、昔ながらのパン屋さん「ベーカリー・コテン」。あんぱん、クリームパン、チョココロネ。見ているだけでほっとするような、そんなお店。一家で経営してきたコテンの未来を背負うのは、悩める三代目・和久。商店街が寂れる中で、コテンを継ぐべきか。人の悩みに寄り添うパンを焼こうと奮闘する和久が、やがて見つけた答えとは――。しぼんだ心を幸せでふっくらさせる、とびきりあったかな“縁”の物語。
  • 花咲小路一丁目の髪結いの亭主
    4.5
    たくさんのユニークな人々が暮らし、日々大小さまざまな事件が起きる花咲小路商店街。 すらりと背の高いせいらちゃんが働く「バーバーひしおか」は、古きよき香りが漂うレトロな<理髪店>。 小柄な奥さん・ミミ子さんが切り盛りし、素敵に髪を整えてくれますが、店主の旦那さんはのんきに暮らしてばかり。 それもそのはず、旦那さんには思いもよらぬ<裏の顔>があって――
  • 夜が暗いとはかぎらない
    3.8
    大阪市近郊にある暁町。閉店が決まった「あかつきマーケット」のマスコット・あかつきんが突然失踪した。かと思いきや、町のあちこちに出没し、人助けをしているという。いったい、なぜ――? だが、その行動は、いつしか町の人たちを少しずつ変えていく。 さまざまな葛藤を抱えながら今日も頑張る人たちに寄りそう、心にやさしい明かりをともす13の物語。
  • ナオタの星
    4.1
    会社を辞めてシナリオ作家を目指す小倉直丈は、新人賞に応募し続けるが落選ばかり。そんな折、プロ野球選手として活躍する小学校時代の級友から、奇妙な仕事を頼まれる。蟹座のB型、おなじ星のもとに生まれながら圧倒的な差がついてしまった同級生の「頼みごと」、それはある身近な人物の「尾行」だった――。20年ぶりに再会した級友が、それぞれの場所でもがきながら新たな希望を見出していく、胸がいっぱいになる青春小説!
  • 黄金の丘で君と転げまわりたいのだ 進め マイワイン道!
    3.4
    お酒は大好きだけど銘柄や産地なんて覚えられない! そんな超初級者・三浦しをんがワインのスペシャリストに入門。「ワインの味が3割増しになるグラスとは?」「どんな料理とも相性バツグンの万能ワインって?」「好みのブドウの品種を見つけたら、大ハズレはない!」など、目からウロコのレッスンを通して自分好みのおいしいワインを見つけられるようになる、面白くて役に立つ一冊。巻末には著者ふたりによる対談を収録。
  • たばかり稼業の六悪人
    -
    幕府の金で私腹を肥やす中野碩翁の隠し財産十万両を奪え――。 密命を帯びたのは、「騙りごと」の天才・河内山宗俊。しかし金蔵には危険な罠が仕掛けられ、生きて戻れたものはいない。命懸けの大勝負に謎めく花魁やからくり技師ら曲者達を呼び集めたが、影では更なる謀略が──。
  • ダイナー
    4.1
    ほんの出来ごころから携帯闇サイトのバイトに手を出したオオバカナコは、凄惨な拷問に遭遇したあげく、会員制のダイナーに使い捨てのウェイトレスとして売られてしまう。 そこは、プロの殺し屋たちが束の間の憩いを求めて集う食堂だった―― ある日突然落ちた、奈落でのお話。
  • 夕闇通り商店街 コハク妖菓子店
    3.8
    1~3巻836~858円 (税込)
    神社の境内の先に、突然見えてくるのは「夕闇商店街」。 そこは幽世と現世の境目にある、あやかしたちが営む商店街。現世との境界があいまいになったときに、心が不安定な人間が導かれたように訪れるのだという。 眉目秀麗な店主がいとなむ『コハク妖菓子店』には、いっぷう変わった名前のお菓子が並び、迷い込んだ人間たちはついお菓子を手にしてしまうのだが――
  • 死にたがりの君に贈る物語
    4.5
    全国に熱狂的なファンを持つ、謎に包まれた小説家・ミマサカリオリの訃報が、人気シリーズの完結目前に発表された。同時に作品は批判に晒され、さらに作家に心酔していた高校生・純恋が後追い自殺を図る。未遂に終わったが「完結編が読めないなら生きる意味がない」と語る純恋。やがて山中の廃校に純恋を含む作品のファン、七人の男女が集まった。小説をなぞる生活をし、結末を探ろうとしたのだが、ありえない事件が起きて――。
  • ぐるぐる、和菓子
    4.3
    ランチの煮魚を食べながら、その作り方を科学的に検証してしまうほどの理系大学生・涼太。変わり者の彼が出会ったのは、あまりに美しい和菓子だった。そのおいしさにも魅せられた涼太は、大学院に進まず和菓子職人になることを決意して製菓専門学校へ。個性豊かな仲間とともに和菓子作りにのめり込むが、餡子ひとつとっても一筋縄ではいかず――和菓子の魅力あふれる、温かくて心においしい物語。【解説/坂木司】
  • 花咲小路二丁目の寫眞館
    4.0
    たくさんのユニークな人々が暮らし、日々大小さまざまな事件が起きる花咲小路商店街。 新米カメラマンの樹里が働くのは、商店街に昔からある<久坂寫眞館>。 店主の重はカメラの腕がいいはずなのに、写真を撮ろうとしない。それもそのはず、重が撮影をすると、<奇妙なもの>が写真に写り込んでしまうというのだ。 写り込んでいるものが過去のものだとわかったことをきっかけに、昔の花咲小路商店街へタイムスリップしてしまうふたり。 しかも偶然その場に居合わせたセイさんも巻き込んでしまっていた! 3人は、その時代に起きた事件……謎に包まれたままの火事の真相を探ろうとするが、そこには大きな秘密が隠されていて――。
  • 死人の口入れ屋
    4.0
    ある事情から仕事を辞めた久瀬宗子は、お世話になった人の紹介で『古物商 阿弥陀堂』に面接を受けに来た。 しかし、阿弥陀堂はただの骨董品屋ではなく、幽霊がとりついた曰くの品である【忌物】を貸し出しているという――。 人には言えないような怨みや憎しみを持つ客たちが、幽霊の力を借りに来る。その先にとんでもない結末が待ち受けているとは何も知らずに……! 『ナキメサマ』『贋物霊媒師』で話題の著者がおくる、どんでん返し×ホラーミステリ―連作短編集!
  • 天の雫 鳳の木
    4.0
    八穂島は東、天壺国において薬の技術を守る場所、鳳山。そこでは、薬草への鋭い感覚を有する小さく短命な種族「雛子」が、生涯を薬道に捧げて生きていた。 雛子の中でも優れた能力を持つイトナは、薬師を助ける特別な存在である「匙子」……それも、鳳山の主である斎宮にして王族の娘・未央の匙子に任命される。未央の悲願は「一を癒し、一を殺す」と言われる伝説の秘薬「天の雫」を復活させ、その権威をもって、東方の国々の混乱を鎮めること。イトナは未央の考えに賛同し、力を尽くすことを約束した。 隣国の日向国も巻き込んで、熾烈になる戦。それを先導していると思われる日向国王子・安曇や、彼と対立する異母兄弟・六連の存在。イトナは天の雫を巡って、大きな歴史の流れに巻き込まれ、やがて国の深部へと踏み込んでいく。
  • ヨンケイ!!
    4.7
    たった40数秒に秘められた、最高に熱い青春ドラマ! 慢性的な人数不足に悩む離島・大島の渚台高校陸上部に、奇跡的に男子4人のスプリンターが揃った。インターハイ予選を目前に控え、4×100mリレー(四継)に挑むことになるが、メンバーの人間関係はサイアク……。それぞれが悩みを抱えるバラバラのチームで、リレーのバトンは繋がるのか――? 青春小説の旗手がおくる、感動の傑作スポーツ小説!
  • 呪われ少将の交遊録
    3.0
    <第11回ポプラ社小説新人賞・奨励賞受賞作> ときは平安。清川尚成の見合い相手である鶴姫が、人ではない何かに殺害された。心を病んだ尚成を見かねて叔母が呼び寄せたのは、凄腕の呪術師・福治。都の伝説ともいえる福治は尚成を引き連れて謎の解明に乗り出すが―― クールな凄腕呪術師と、お人よしの少将が繰り広げる、平安あやかし物語!
  • 女優の娘
    4.0
    アイドルグループ「YО!YО!ファーム」の一期生・斉藤いとに届いた、伝説のポルノ女優だった母親の訃報。母の存在を隠してアイドルになったいとだが、そのニュースで一躍時の人になる。一方、人気ランキングに振り回され、ウケるキャラづくりを求められ、恋愛が罪になる世界に翻弄されるメンバーを見て、いとはある決意をする――。世界の不条理とたたかうすべての人に贈る、傑作青春小説!
  • お師匠様、出番です! からぬけ長屋落語人情噺
    3.0
    堅物娘の伊予が「からぬけ長屋」の大家から聞いたのは、腕はいいが店賃をまったく入れない「困った店子」こと落語家・烏亭邑楽の話。同じ剣術道場の仲間である大家の力になるべく長屋に殴り込み、邑楽に店賃を払わせるため押しかけ弟子になることに。ぐうたらな邑楽のしりを叩きながらも弟子として落語の練習に励むが、実は邑楽に弟子入りした本当の理由があり――。笑って泣ける、愛と人情たっぷりの時代小説。
  • えんぎ屋おりょうの裏稼業
    -
    江戸・神田。おりょうは、表向きは全国津々浦々の縁起物を取り扱う「えんぎ屋」を営んでいるが、己の進退に窮した者たちの切実な「祈り」を叶えるために奔走する「代参屋」という裏の稼業を持っている。ある日おりょうの下に「大一番の勝負断じて敗れたくなく候」と書かれた護符が届いた。依頼人は、なんと年若き女性だった……。
  • 人間やめたマヌルさんが、あなたの人生占います
    4.1
    喫茶店「マーヌル」には、言葉をしゃべるずんぐりむっくりの猫がいる。マヌルさんと名乗る猫は人間をやめてマヌルネコになり、喫茶店の片隅で占いをやっているらしい。しかし占いの腕はなく、気の赴くままに占い、適当なアドバイスを繰り広げるだけ。にもかかわらず、迷える人々は今宵もマヌルさんの元を訪れる……。 がんばりすぎて疲れがちなあなたのために、マヌルさんが「人生をちょっと気楽に生きる方法」を教えてくれます。
  • あの夜を覚えてる
    4.3
    ラジオに救われた経験から、新人ADとして働く植村杏奈。自身が担当をするオールナイトニッポンでは、俳優・藤尾涼太がパーソナリティを務めて100回目という大きな節目を迎えていた。しかし植村は仕事に身が入らない。なぜなら、藤尾が女性と深夜デートをしていることが雑誌に取り上げられ、事件になっていたからだ。ラジオで何かしらの言及があるのでは、と期待する植村。しかし、事態は思わぬ方向に転がり始め――?
  • おしょりん
    4.2
    明治三十八年、福井県麻生津村。増永五左衛門は、この地に農業以外の産業を根づかせるべく苦闘していた。そんな時、大阪へ出稼ぎに出ていた弟の幸八が、当時はほとんど普及していなかっためがねに着目、村でのめがね製造を提案する。村人たちの猛反対の中、輝く地平を求めて、二人は困難な道を歩み始めるのだった――。「金の角持つ子どもたち」等で注目を集める作家・藤岡陽子の新たなる代表作の誕生!
  • 二木先生
    4.0
    どうしたら普通に見えるんだろう。どうしたら普通に話せるんだろう――。いつもまわりから「変」と言われ続けてきた高校生の田井中は、自分を異星人のように感じていた。友だちが欲しいなんて贅沢なことは言わない。クラスのなかで普通に息さえできたなら。そのためならば、とむかしから好きでもない流行りの歌を覚え、「子供らしくない」と言われれば見よう見まねで「子供らしく」振舞ってもみた。でも、ダメだった。何をやっても浮き上がり、笑われてしまう。そんな田井中にとって唯一の希望は、担任の美術教師・二木の存在だった。生徒から好かれる人気教師の二木だったが、田井中はこの教師の重大な秘密を知っていたのだ。生きづらさに苦しむ田井中は二木に近づき、崖っぷちの「取引」を持ち掛ける――。社会から白眼視される「性質」をもった人間は、どう生きればよいのか。その倫理とは何か。現代の抜き差しならぬテーマと向き合いつつ予想外の結末へと突き抜けていく、驚愕のエンタテインメント。2019年ポプラ社小説新人賞受賞作。
  • かがみの孤城 上
    4.3
    学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。 輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。 そこには“こころ”を含め、似た境遇の7人が集められていた。 なぜこの7人が、なぜこの場所に―― すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。  受賞歴:2017年啓文堂書店文芸書大賞・大賞、『ダ・ヴィンチ』BOOK OF THE TEAR特集 小説ランキング部門・1位、『王様のブラインチ』ブランチBOOK大賞2017・大賞、第11回神奈川学校図書館員大賞(KO本大賞)・大賞、埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2017・1位、熊本県学校図書館大賞2017・大賞、第15回本屋大賞・1位、第6回ブクログ大賞 小説部門・大賞
  • 夏空白花
    3.9
    1945年夏、敗戦翌日。 昨日までの正義が否定され、誰もが呆然とする中、朝日新聞社に乗り込んできた男がいた。全てを失った今だからこそ、戦争で失われていた「高校野球大会」を復活させなければいけない、と言う。 「会社と自分の生き残り」という不純な動機で動いていた記者の神住は、人々の熱い想いに触れ、全国を奔走するが、そこに立ちふさがったのは、高校野球に理解を示さぬGHQの強固な拒絶だった……。
  • 花屋さんが言うことには
    4.3
    24歳、ブラック企業勤務。身も心も疲れ果てていた紀久子が深夜のファミレスで出会ったのは、外島李多と名乗る女性だった。彼女は「川原崎花店」という花屋さんを駅前で営んでいるらしく、酔っぱらった勢いで働くことに。 やたらカレー作りがうまい青年や、おしゃべり好きの元教師、全体的に適当な李多。バラエティに富んだ従業員と色とりどりのお花に囲まれながら、徐々に花屋さんの仕事に慣れていくが――。
  • 近松よろず始末処
    -
    時は元禄、大坂は道頓堀の竹本座。人気浄瑠璃作者・近松門左衛門に命を救われた虎彦は、彼の裏稼業「近松万始末処」に引っ張り込まれる。「悩める町の者の人助け」とうそぶく近松にこき使われるまま、失せ人捜しにお犬さま騒動、井原西鶴の幽霊退治など、さまざまな事件の解決に奔走する虎彦だが、近松にはある思惑が――。正体不明の美貌の剣士に賢い忠犬、からくり細工師見習い少女ら始末処の面々が繰り広げる人情時代小説。
  • ぼくが消えないうちに
    3.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ラジャーは、アマンダが想像してつくり出した親友だ。 ふたりはいつも一緒に、楽しい時間をすごしていた。 しかしある日突然、アマンダがいなくなり、ラジャーはひとりぼっちになってしまう。 アマンダに忘れられると、ラジャーはこの世から消えてしまうというのに。 さらに、子どもたちの想像力を盗む、不気味な男もあらわれて…。 大切な友だちを探すため、ラジャーの旅がはじまった! 愛と友情、喪失の物語。
  • 跳べ、暁!
    4.3
    母親を病で失い、会社を退職した父親と実家のある田舎へ越してきた14歳の暁。バスケットに情熱を燃やしていたものの、転校先に女子バスケット部はない。そこで暁は、学年イチの秀才で運動神経ゼロの欣子、不法滞在の身でほとんど学校に来ていないタンザニア人のブミリアたちと女子バスケット部を立ち上げる。初心者の集まりだったチームに苦心する暁たちの前に一人の少女が現れる。それが、暁と本田薫との出会いだった。
  • シークレット・ペイン 夜去医療刑務所・南病舎
    4.0
    はからずも医療刑務所へ期間限定の配属となった精神科医の工藤。矯正医官となった彼が見たのは、罪を犯しながらも民間と同等の医療行為を受けている受刑者たちの姿だった。自身の過去から受刑者に複雑な感情を抱く工藤。さらに彼の気持ちをかき乱したのは、医師を志望するきっかけを作った男との鉄格子越しの邂逅だった……。いま最注目の新鋭が放つ、心揺さぶる傑作社会派エンターテインメント。
  • 偽鰻
    -
    「リコール」「大変、申し訳ありませんでした」の保坂祐希が贈る、食の不正を暴く、社会派エンタメ企業小説! 絶滅危惧種でありながら日々食卓にあがり続ける、身近な「ウナギ」。いまだ生態に多くの謎が残る高級食材の流通をめぐり、巨大スーパー・ヴィアンモールと裏社会の人々、そして元総会屋が暗躍する。しかし、その裏には国が躍起になって隠蔽する戦慄の真実が隠されていた――。ひろゆき氏推薦!!
  • リコール
    5.0
    隠蔽された事故原因の証拠を探し出せ――。 キャピタル自動車社員のエンジニア・藤沢美希は、工場勤務から役員秘書へ突然、異動の辞令を受ける。理不尽に思いながらも、新しい上司、専務・谷原勇人の正義感溢れる姿にやりがいを見出していく。やがて経営陣が主力車種「バレット」の事故原因を隠蔽していると疑った谷原は、美希に調査を依頼するが……。社員たちの熱い真摯な想いが奇跡を起こす! エンタメ企業小説の傑作。
  • セゾン・サンカンシオン
    4.0
    アルコール依存症の母親をもつ柳岡千明は、退院後の母親が入所する施設「セゾン・サンカンシオン」へ見学に行く。そこは、さまざまな過去を抱えた女性たちが共同生活を行いながら、回復に向けて歩んでいくための場所だった。迷惑をかけ続けられた母親に嫌悪感を抱く千明だが、入居者のひとり・パピコとの出会いから、母親との関係を見つめなおしていく――。人間の孤独と再生にやさしく寄り添う感動作!
  • 沼にはまる人々
    4.0
    沼とは何か?……ある特定のことにはまったり、収集がやめられないことを「沼にはまる」と言います。アルコール、セックス、自傷、ギャンブルなど「依存症」とは異なり、クラファン、SDGs、通販など、コロナ禍の影響も考えられる新たな沼も出現しています。これまで500人以上を取材してきた著者が、実際に「沼にはまった人々」のインタビューを紹介しながら、さまざまなデータを駆使し、沼の正体を初めて明かす。
  • 名もなき王国
    4.3
    「あの時以来、僕は伯母の『王国』の住人でありつづけているのです」 売れない小説家の私が若手作家の集まりで出会った、聡明な青年・澤田瞬。彼の伯母が、敬愛する幻想小説家・沢渡晶だと知った私は、瞬の数奇な人生と、伯母が隠遁していた古い屋敷を巡る不可思議な物語に魅了されていく。なぜ、この物語は語られるのか。謎が明かされるラスト7ページで、世界は一変する。深い感動が胸を打つ、至高の“愛”の物語。

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