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はからずも医療刑務所へ期間限定の配属となった精神科医の工藤。矯正医官となった彼が見たのは、罪を犯しながらも民間と同等の医療行為を受けている受刑者たちの姿だった。自身の過去から受刑者に複雑な感情を抱く工藤。さらに彼の気持ちをかき乱したのは、医師を志望するきっかけを作った男との鉄格子越しの邂逅だった……。いま最注目の新鋭が放つ、心揺さぶる傑作社会派エンターテインメント。
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Posted by ブクログ
これから読む人には、是非あらすじを読まないまま手に取って欲しい。もしも、十代の頃、まだ間に合う頃、この本に出合っていたら、私の生き方は変わったかもしれない、そう思えるほど「渾身の」一作だった。
この作家さん、看護師なんや… なので、医療の事詳しいんかな? 医療刑務所って、複雑やな… 何で、罪を犯した人を国民の税金使ってまで、治療せなあかんねん…とか… この主人公の精神科医 工藤さんもそんな感じ… でも、自分の罪と本当に向かい合うには、病に侵されたままではあかんのかもね。 更に、精神科なんで...続きを読む… でも、主人公も、旧友の罪人も、同僚の先生方も他の人も何か訳ありな人ばかり… なんぼなんでも、こんなに辛い過去とかある人ばかりで構成したら、逆にそれだけで病みそうな気が…(−_−;) 周りが闇過ぎて… 自身の不幸とか、言えん… そんな事で悩んでんの!って怒られそう。 刑務所には、そんな人ばかり集まるのかと勘違いしそうなシュチエーションには多少の???はあるが… 主人公は、旧友と会い、自身の考えは変わっていく。これが成長なんか、変化なんかは、微妙な気はする。 人それぞれの考え方であるから… 自分なら、どう考えるかな? 考えさせられる(u_u) リアルな感じとは思ってしまうのは、看護師さんという職業だけやなく、参考文献一覧が、何ページにも渡ってる! それだけ、取材とか、勉強して作品として昇華してるやろな((((;゚Д゚)))))))
なぜ工藤はこんなに頑ななんだと、偏見に満ち溢れているのだと、思いながら読み進めた。医療刑務所という場所の異様さ、受刑者たちの事情、罪と向き合うということ、彼らを診る医者や看護師たちの思い。取材を重ねて描かれたであろう本作はリアルで、重かった。 p.202 「私、思うんです。誰かと向き合う時って、...続きを読む愛情優しさだけじゃダメだって。ときには、嫌悪やもどかしさも必要です。この波と同じように、ときには近づいて、ときには離れて。その繰り返しの中で、相手を知っていくんです」 p.322 「工藤先生が、滝沢さんに厳しい言葉を伝えている時、先生の瞳が少しだけ潤んでいるんですよ。誰かを本気で叱る時って、意外と自分も辛いんですよね。だから、この人は、本当に相手のことを思って気持ちを伝えようとしているんだって感じたんです」 p.342 「罪人は、苦しみながら最期を迎えなきゃいけないんだ。それが正しい」ずっと隠していた本音を、言い当てられたような気がした。脳裏に窓辺に置かれた空の水槽が浮かぶ。そこにあの青はいない。壁の中にいる僕と同じように。 p.356 「お前のやっている行為は、贖罪なんかじゃない。緩やかな自殺だよ」 p.377 「医療は、あの高い塀を越えて、鉄扉を通り抜けなければいけない。僕のような医者がいるのも、自分自身と深く向き合う時間や、被害者の苦しみを考える機会が病で塗りつぶされないようにするためなんだよ。そんな日々の積み重ねが、再犯防止にもつながっていくと思うんだ」
病院からの指示で、期間限定で医療刑務所の配属となった精神科医の工藤。そこでは、受刑者ながらも、民間と同等の医療行為を受けている光景に工藤は複雑な感情を持っていた。 さらにそこには、かつての友達だった滝沢が受刑者としていた。蘇ってくる昔の記憶、工藤が抱える「ある罪」に対する罪悪感。工藤は、様々な受刑者...続きを読むとどう向き合っていくのか? 医療刑務所を舞台にした物語でしたが、医療刑務所自体あまり知らなかったので、その実態やそこでの事情などについて知らないことだらけでした。 民間と同等の医療行為を受刑者が受けるということについて、さらに税金が使われていることに複雑な気持ちがありましたが、それも含めて難しいテーマだなと思いました。 その状況の中で、工藤がどう成長していくのか。 前と後との心の成長が垣間見えて、作品として読み応えがありました。 その要素となるのが、友人だった滝沢との縁。最初は毛嫌いしていたのに工藤の中の心の氷が段々と溶けていく過程は、心を揺さぶられました。 病気になったとしても、受刑者である前に一人の人間です。そのあたりはなかなか難しいところですが、医師としての責務が発揮されていて、「医師」としては、輝いて見えました。 滝沢との縁だけでなく、工藤の過去も少しづつですが、明らかになっていきます。家族間で発生した「罪」、そこから派生する工藤の人生に壮絶ながらも、より良い人生を歩んで欲しいなと思いました。 サスペンスで見る犯人の「その先」。なかなか描くことはありませんが、罪と向き合っていく受刑者たちの姿に果たして自分はどう考えたらいいのか。 自分なりの答えはなかなか出しづらいですが、いずれにせよ、この作品を通じて、考えさせられたことに感謝したいと思いました。
幼い頃に過ごした町 夜去市の医療刑務所で 派遣医師として勤務することとなった精神科医の工藤。 「僕が相手にしているのは患者ではなく受刑者」と頑なに 受刑者に対して心を傾けない。 塀の外の過激なシュプレヒコール 「受刑者に専門的な医療は必要ない!国民の税金を無駄にするな!」 「被害者に対して贖罪の...続きを読む気持ちはあるのか?」 と受刑者に問う工藤。 医療は 人権は 高いコンクリートの塀を超えるのか…。 工藤が受刑者に対して強い嫌悪感を持つのには、工藤の過去にも関係があった。 そこへ、夜去市で共に小学校時代を過ごした幼なじみの滝川が 殺人犯として収容されてくる。 滝川と過した思い出。そして、自身の過去の出来事を振り返りながら 工藤の心に少しづつ変化があらわれる。 ✍︎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 作者の前川ほまれさんは看護師さん(元?) 参考文献の一覧も凄かった! やたら受刑者に厳しい工藤には何かあるな、とは思ったし、反省の色も見られない受刑者の心に寄り添った医療を提供するってどんな気持ちなのか…とも考えさせられた。 しかし、何度も睡魔に襲われ なかなか読み終わらなかった〜。
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