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Posted by ブクログ
罪人に医療を提供することは是が非か。
その葛藤の狭間で揺れ続けながらも、医師という職業柄、受刑者に対しても治療を続ける主人公。彼が抱え続ける過去の傷が、受刑者である患者との関わり合いの中で鮮明になる過程、そしてその想いが少しずつ変化していく様子が読んでいてじっくりと心に沁み渡ってくる。
罪を犯し、他人を傷つけた者は、本当に医療を受ける価値のない、死すべき存在なのだろうか。被害者側の立場に寄り添えば言語道断だろうが、その間違いを犯した人間が更生する場を与えないことは、あまりに非情ではないだろうか。
どちらの考え方も誤ってはいないと思うし、だからこそ答えは見えてこない。それでも今、目の前に苦しむ患者がいれば手を差し伸べざるを得ない。きっと永遠に囚われ続けるこの葛藤に、真正面から向き合い、自分の答えを見つけ出す主人公の姿に胸を打たれる。
Posted by ブクログ
医療刑務所で治療に当たる医師が、「受刑者に(国民の税金を使って)医療を提供することは正しいのか?」という悩みを抱きつつ、刑務所での勤務を始めるところから物語は始まります。
半年という限られた期間だから、という理由で勤務を引き受けた工藤医師でしたが、通常の病院と同じように治療をしたり緩和ケアをしたりする同僚に不信感を抱いたり、精神疾患からくる症状も相まって被害者への悔恨の情を抱かない受刑者に嫌悪感を抱いたりと、精神的に負担を感じながらの勤務が続く中、幼なじみが収監されてきます。
幼なじみとの再会を通して、悩みはさらに深まり、工藤医師自身の過去の「キズ」も明かされることになります。
幼なじみに会い、揺れ動く工藤医師は医者として未熟であるのかもしれません。実際の刑務医官としは不適切なのでしょう。こんなに、登場人物全員がつらい過去を秘めている、という事も現実にはないかもしれません。
それでも、読後には人間の「崇高さ」のようなものを感じさせてくれます。
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小説・文芸
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