歴史・時代小説 - 徳間書店作品一覧

  • 塩谷隼人江戸常勤記 一 還暦
    -
    桜井松平家を藩主とする摂津尼崎藩。長く江戸家老の要職をつとめる老雄、塩谷隼人は、来年還暦を迎える。先頃のお家騒動を自らの手で決着させたことを機に、国元に隠居願いを出していた。心置きなく余生を過ごすつもりが、藩命はまさかの願いお取り下げ。滂沱(ぼうだ)の涙を流す隼人にさらなる追い打ちが。隼人の剣の愛弟子である笠井辰蔵を討て、と。お家騒動の火種がまだくすぶっているのか……。
  • しばられ同心御免帖
    -
    町娘の憧れ、定町廻まわり同心・真十郎は「しばられさま」と呼ばれる超絶美男。冴えない忍法を駆使(?)する、自称「べっぴん改め方」の手下・久吉とともに江戸の平和を守るため、今日もアッと驚く方法で悪をお縄に! 真十郎にベタぼれで「白無垢を持ちなさい!」が決め台詞の女武芸者ゆきわ、火盗改・佐渡谷平八郎&町奉行・根岸鎮衛(やすもり)のドSコンビ、お色気女盗賊お美弥ら、あぶないキャラ勢揃い!掟破りの悶絶時代活劇。
  • 仕舞屋侍
    3.7
    かつて御小人目付(おこびとめつけ)として剣と隠密探索の達人だった九十九九十郎(つくもくじゅうろう)。だがある事情で職を辞し、今は「仕舞屋」と称してもみ消し屋を営んでいる。そんな九十郎の家を、ある朝、七と名乗る童女が賄いの職を求めて訪れた。父母を失ったという七は断っても出て行かず、父仕込みの料理で九十郎を唸らせる。「侍」のもとで働きたいという七の真の目的とは? 九十郎の情と剣が、事件と心の綾を解く!
  • 始末屋卯三郎暗闇草紙(電子復刻版)
    -
    闇から闇へともめ事を始末する、幕府御家人・筧卯三郎――関口無心流柔術の達人で、人呼んで始末屋という。武士は権力に奢り、商人は金儲けにうつつを抜かす時世に厭気がさしながら、さりとて職人の真似事をするわけにもいかず、人間関係のごたごたに首を突っ込んでは収入を得る始末屋稼業、唐棧の着流しに一本差し、今日も江戸の町を行く……。人情の機微を鮮やかに描く時代推理。

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  • 島津三国志
    3.0
    西郷隆盛ら幕末の薩摩藩士たちが尊敬・崇拝していただけでなく、今も尚、鹿児島の人たちに愛される戦国時代の猛将として名高い島津義弘。 信長、秀吉、家康たちが台頭していくなか、鎌倉時代から続く島津家を存続させるだけでなく、広い視野で九州を平定しようとした島津義弘と兄弟たちを描く長篇歴史小説。 序 第一話 敵中突破 第二話 遥かな海 第三話 鉄砲の城 第四話 万里の波 第五話 急ぐなよ 第六話 花の宗麟 第七話 肥前の熊 第八話 闘将と愚将 第九話 おのれ秀吉 第十話 三顧の礼 第十一話 鬼石曼子(グイシーマンズ) 第十二話 燃ゆる桜島 解説 細谷正充
  • 将軍の影法師 葵慎之助 拝命
    3.0
    将軍家と縁続きである〈葵の若〉こと勝田慎之助は、直心影流小太刀の遣い手ながら、父の死により寺の住職となっていた。が、突然、「上様をお守りせよ」との予期せぬ命を拝する事態に──。諸藩をも巻き込み、将軍の座を狙う御三卿の田安宗武と一橋宗尹(むねただ)。〈公人朝夕人(くにんちょうじゃくにん)〉の後見人となった慎之助は御側御用取次の大岡忠光、九代家重を陰で警固する葛西衆らとともに天下の大乱を防げるのか!?
  • 将監さまの橋
    -
    美濃大垣藩の御用所祐筆番頭を務める桃田彦十郎は、友人八坂雅右衛門から隣家に住む同心大隈高蔵の難儀を耳にした。京で質の悪い女に引っかかり、兄と称する男に脅されているという。相手の寺侍は相当な手練。互角に剣を交えられるのは彦十郎しかいない。隣人の難儀を見過ごすか、それとも――。考えた末に彦十郎がとった行動は……。表題作をはじめ、武士の義と情を描く傑作時代小説集。

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  • 湘南太平記<新装版>
    -
    世は闇、されど夜の闇こそ真 馬入川の渡しで何者かに惨殺された小田原藩の奥右筆・大川浄蓮の息子・浄之進は、父の仇討ちのため犬山蓮次郎と名を変え、富山の薬売りと称する謎の女・お静を道連れに諸国行脚の旅に出る。新境地に挑んだ著者渾身の大型時代ミステリー! 本作品は「湘南太平記」を加筆修正した新装版です。
  • 白桔梗 お江戸官能書下ろし
    -
    大奥じゃ反りの入った張形が人気だけど、あんたのも左に曲がってて、すごいよ。娘は洋二郎の若竿をむにむにと握り、秘密の孔に導いた……。浪人でありながら謹厳を貫いて逝った父。その遺言はなんと、「女とやれず無念」であった。まだ見ぬ母を捜す旅に出た洋二郎は、遺書に記された女人たちと次々まぐわう羽目に……。

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  • 師走の扶持 京都鷹ヶ峰御薬園日録
    3.5
    師走も半ば、京都鷹ヶ峰の藤林御薬園では煤払いが行われ、懸人(かかりうど)の元岡真葛は古くなった生薬を焼き捨てていた。慌ただしい呼び声に役宅へ駆けつけると義兄の藤林匡(ただす)が怒りを滲ませている。亡母の実家、棚倉家の家令が真葛に往診を頼みにきたという。棚倉家の主、静晟(しずあきら)は娘の恋仲を許さず、孫である真葛を引き取りもしなかったはずだが……(表題作)。人の悩みをときほぐす若き女薬師の活躍。
  • 新剣豪伝(電子復刻版)
    -
    戦国末期、常陸国江戸崎の郷士・諸岡一羽は、天真正伝の流儀を伝える名人と謳われていた。が、不運にも病に冒され門弟は四散。印可を授けた秘蔵の弟子根岸菟角、岩間小熊、土子泥之助の三人を残すのみとなった。三人のうち一身の出世のみを計る菟角は師を捨て逐電。恩師の流儀名を微塵流と変え隆盛を極めた。師没し、忘恩の徒菟角に天誅を加えるべく岩間小熊は江戸へ発つ(『諸岡一羽の三人の弟子』)。歴史短篇集。

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  • 新選組情婦伝(電子復刻版)
    -
    主導権争いに巻き込まれ、土方歳三らによって新選組局長・芹沢鴨とともに斬殺された女・お梅。賄賂の疑いをかけられ、組を脱走した山南敬介のために自害の道を選ばされた女・おつな。揺れ動く幕末の嵐の中、愛する男たちを追って運命の渦に翻弄された女たちの姿があった。沖田総司、藤堂平助ら新選組隊士たちの裏で華麗に散った女たちの視点から激動の時代を描いた、もうひとつの新選組外伝。

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  • 新兵衛捕物御用 水斬の剣
    3.0
    駿州沼里藩の同心森島新兵衛が、いま目の前にしているのは、狩場川に架かる青瀬橋のたもとで見つかった死骸だ。酷いことに顔は潰され、胴を袈裟斬りに両断されたすさまじい刀傷が残されている。斬ったのは、恐るべき遣い手であることは間違いない――。殺られた者が店の半纏をまとっているため、身許はすぐに知れるので、犯人もたやすく割れるだろうの与力の言に、新兵衛の勘は……。
  • 神変桜姫(上)(電子復刻版)
    -
    朝廷の公家勢力から武家へと権力が移行しつつある鎌倉時代、落ちぶれた名門公卿の血を引く野分姫と地方豪族の領主・鷲尾義治との宿命の出会いがあった。だがその後義治は、京の水で磨かれた白拍子の肌に惑溺し、野分の方を、嫉妬に狂う氷のように美しい夜叉へと変えた。奇しき因縁により生じた宿業の綾は、その後誕生した桜姫を絶世の美女へと成長させ、そして鷲尾家全体を数奇な運命へといざなっていく。

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  • 新まろほし銀次捕物帳
    4.0
    両替商滝島屋の主と手代が下谷広小路で何者かに首を掻き切られて殺された。凶器は匕首(あいくち)とみられた。池之端の岡っ引き銀次には遺体の惨状に見覚えがあった。半年ほど前、浅草田原町で殺された料理茶屋橘屋の主の死に様と酷似していたのだ。そして、二つの事件の繋がりを探っていた佐久間町の岡っ引き平造が斬殺された。銀次は下手人を追うが、やがて魔の手が襲い来る。書下し長篇時代剣戟。
  • 身命を惜しまず 安藤帯刀と片倉小十郎
    3.0
    戦国武士は、俸給のためなら主を変えたが情で結ばれた主君のためには、命を賭けた。家康の抜擢で紀伊徳川家の礎を築いた勇将・安藤帯刀は、諫言も辞さず、切腹覚悟で幼き主君を守り抜く。一方、伊達政宗を奥州の覇者に押し上げた智謀の人・片倉小十郎は、若き主君の器量を最大限に活かすため、主君の病んだ右眼を自ら抉った。己を捨て、主のために戦い抜いた名臣たちの清々しき生き様!

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  • 新・問答無用 凄腕見参!
    4.0
    密命をおびて悪を討つお勤めと引き替えに獄を放たれた幕臣佐久間音次郎。ながき浪々の戦いの日々の果てに役を解かれ、連れあいのおきぬとともに平穏を求めて江戸の町へ戻ってきた。しかし音次郎の機知と剣の腕前を見込む者たちは、彼を放ってはおかなかった。その凄腕が江戸の町人の諍(いさか)いごとを治める権力者、町年寄の目に止まったのだ。音次郎の悪との戦い、修羅の日々が再び始まった!
  • 寺内奉行検断状
    -
    江戸期、京都の東西両本願寺は寺内町を形成し、幕府から自治を認められていた。町内で事件が起きると寺内奉行目付が検断状を携え、どこまでも下手人を追及するのだ。強訴(ごうそ)のため丹波篠山から江戸に向かう農民が町内に投宿しているので捕えよという密命が目付・黒田荘十郎に下った。が、少年も一行に加わっていることを知った荘十郎は一計を案じる……。感動の書下し時代連作!
  • ジパング大乱 伊達・上杉決起す!
    3.0
    上杉謙信の嫡子景勝の重臣直江兼続は、伊達政宗からの使者の口上に我が耳を疑った。東軍に与していたはずの伊達が、関東攻略に打って出る、ついては上杉・直江との同盟を結びたいと驚愕の申し出をしたのだ。この日、関ヶ原では天下分け目の激戦で東軍が圧勝、西軍は壊走した。その報を受けて、伊達政宗が腹をくくったのだ。奥州が連合して関東を制する──ここから歴史の大転換が始まる!
  • 冗談じゃねえや 浮世絵宗次日月抄
    4.0
    江戸一番と評判の高い浮世絵師・宗次。 あえて長屋住まいを続けているが、実父は紀州徳川家の二代藩主。 撃滅剣と謳われた楊真流の遣い手でもある。 宗次の剣は、江戸に渦巻く黒い欲望を斬り捨てるだけでなく、弱き者たちを励ます活人剣。 奉行所同心や見目麗しい女将、長屋の仲間たちとの情感溢れるつきあい。 一転、剣戟場面はページをめくるのももどかしいほどの迫力と凛冽が満ちる。 「お待ちなせえ」「知らなえよ」「冗談じゃねえや」の三篇を収録。
  • 浄瑠璃長屋春秋記 照り柿
    3.0
    青柳新八郎は失踪した妻の志野を探すため弟に家督を譲り、陸奥国平山藩から江戸へ出てきた。長屋に住みながら「よろず相談承り」の看板を掲げ糊口をしのいでいた新八郎は、偶然知り合った浪人八雲多聞の紹介で用心棒の仕事を請け負うことになった。初仕事は評判の占い師おれんの用心棒。彼女は占いに欠かせない亀が盗まれ、さらには脅迫文が届いていた。事件を放っておけない新八郎が走る! 【解説】細谷正充
  • 関越えの夜 東海道浮世がたり
    3.7
    東海道の要所、箱根山。両親と兄弟を流行り風邪で亡くしたおさきは、引き取られた叔母にこき使われ、急峻を登る旅人の荷を運び日銭を稼いでいる。ある日、人探しのため西へ赴くという若侍に、おさきは界隈の案内を頼まれる。旅人は先を急ぐものだが、侍はここ数日この坂にとどまっていた。関越えをためらう理由は……(表題作)。東海道を行き交う人々の喜怒哀楽を静謐な筆致で描く連作集。
  • 戦国無双剣(上)(電子復刻版)
    -
    時は天正。欧州上の山、月岡城主右馬頭満兼殺しの濡れ衣を着せられた芥味弥一郎は故郷を出奔。廻国修行の旅の途中、会津で歩を止めた弥一郎は、実相寺住職残夢和尚を通じて無々道人から吹毛剣を伝授される。一方、父満兼暗殺の主謀者里美越前へ復讐を誓う百代姫は、仇との偽装結婚を謀り越前の命を狙うが果せず、思いを寄せる弥一郎を尋ねて西国へ。戦国の世を舞台に壮大なスケールで描く長篇時代ロマン。

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  • 仙左とお勢 裏裁き 悪逆旗本
    -
    数々の時代小説シリーズを手がけてきた喜安幸夫が新たな主人公で江戸の町の正義を描く!仙左は、穴の開いた鍋釜を塞ぐための道具を長い天秤棒に掛けて、町々を流す出職の鋳掛屋だ。しかしその出自はゆえあって町場に出されて育てられた武家の若君なのだった。主君に諫言して死罪を受けた筆頭家老の血をうけているとはつゆ知らず腕のいい職人として暮らす仙左は、あるとき家移り先の四ツ谷伊賀町の長屋で品のいい三十路女と出会う。お勢というその芸者と仙左は、互いに浅からぬ縁を感じつつ、ある旗本屋敷での騒動に巻き込まれてゆく。武芸の腕を見込まれて徒目付・野間風太郎の御小人目付のようなお役目を受けた仙左は、その松波家の非道な事件のあらましに憤りを強くしていくのだった……。
  • 先生のお庭番
    4.0
    出島に薬草園を造りたい。依頼を受けた長崎の植木商「京屋」の職人たちは、異国の雰囲気に怖じ気づき、十五歳の熊吉を行かせた。依頼主は阿蘭陀から来た医師しぼると先生。医術を日本に伝えるため自前で薬草を用意する先生に魅せられた熊吉は、失敗を繰り返しながらも園丁として成長していく。「草花を母国へ運びたい」先生の意志に熊吉は知恵をしぼるが、思わぬ事件に巻き込まれていく。
  • 潜入、諸国廻り 鬼の首を奪れ
    -
    将軍家斉の御落胤・飛川角之進。 彼は諸国悪党取締出役を任ぜられ、各地にはびこる悪人を、 補佐役の春日野左近と手下の草吉とともに退治している。 若年寄の指示で、みちのくの小藩・陸中閉伊藩に向かった角之進たちは、不穏な噂を耳にする。 この地は、もともと鬼の棲み処だというのだ。 おまけに、一昨年くらいから、藩主の顔を見たら、目が潰れるとまで、領民たちに言われていて……。 書下し痛快時代小説。 【目次】 第一章  江戸出帆 第二章  釜石まで 第三章  鬼伝説の地 第四章  城下潜入 第五章  山城へ 第六章  御前試合 第七章  攻防戦 第八章  念彼観音力 第九章  光と闇の戦い 第十章  最後の砦 第十一章 それぞれの味 終章   次なる雲
  • 千 姫(電子復刻版)
    -
    徳川二代将軍秀忠の長女千姫は、慶長八年、政略により豊臣秀頼に嫁した。齢七.が、義母淀君に疎んぜられ、大坂落城に際しては城を脱出、祖父家康に救われる。後年、本多忠刻に再嫁、この時、戦功に千姫を望んだ坂崎出羽守は花嫁強奪を企図、破れて自刃した。その忠刻もほど経ず逝き、千姫は再び寡婦となった。戦乱と政略の渦中に浮き沈みしながら、愛うすき宿命に従う女の哀れを描く。名作歴史ロマン。

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  • ぜえろく武士道覚書 一閃なり 上
    -
    凶賊一味の残忍な押し込み強殺事件に震え上がる京。 絶世の美と気品を兼ね備えた謎の剣客・松平政宗登場! 娯楽文学の王道を極めた凄み! 門田泰明時代劇場、炎艶の舞! 凶賊・女狐の雷造一味による相次ぐ押し込み惨殺事件に震えあがる京。 絶世の美と気品とを合わせ持つ剣客・松平政宗は東町奉行所同心・常森源次郎の必死の探索に協力を申し出る。 謎を秘めた政宗にも絶えず闇の刺客が襲いかかり、やがて、居合い剣法の手練れ集団によって絶体絶命の窮地に陥る! 剣戟文学の新たな地平を切り拓く撃的ベストセラー「門田泰明時代劇場」の神髄に酔う! 上巻は第一章~第八章。
  • ぜえろく武士道覚書 斬りて候 上
    -
    「ぜえろく」とは江戸者が上方者を嫌って言った言葉。その裏には、間近に朝廷を仰ぎ尊ぶ上方者の商才・政治力に対する江戸者のどうしようもない苛立ちがあるという…。 大衆文学の神髄を極めた凄み! 門田泰明時代劇場、炎艶(ひえん)の舞! 寛文10年(1670)秋、京に続発した押し込み惨殺事件。 東町奉行所の筆頭格同心・常森源治郎が事件の謎を追うが、同心仲間も次々と犠牲になり、探索は難航をきわめた。 そんな中、美と気品を備え、凄まじい剣の腕を持った松平政宗と名乗る男の助力を得て犯人を追った。やがてオランダ人を母にもつ大宮窓四郎という男が浮上するが…!? 大衆文学の荒野を激走する門田泰明時代劇場の神髄!
  • 総司残英抄(電子復刻版)
    -
    秋の終わり、京は壬生の新撰組屯所へ、武州多摩の若者が二人やってきた。入隊志願である。しかし迎え出た土方歳三らには、〈郷党の子弟〉を血みどろの目には合わせまいという思い、畢竟、郷党の人にはよく思われたいという思いがあった。遅れて現れた沖田総司、二人を帰すべく京の町へ出るが……(「卿愿」)。新撰組一番隊組長として足早に生きた沖田総司の、爽やかな素顔と剣の道を描く傑作時代連作集。

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  • 総司はひとり(電子復刻版)
    -
    沖田総司は、その瞬間、なぜ刃を揮ったのか、自分にもわからなかった。神保仙左衛門に斬りかかって躱された武士が、そのまま駆け抜けてきて、総司の眼前に迫った、そのせつな、総司は抜き打っていたのだ。文久二年、春のことだった。総司は初めて人を斬ったのだった。死ぬ時の断末魔の様相をいやというほど見る運命が自分を待っているとは、神ならぬ身の知る由もなかった……。天才剣士の生涯を描く傑作。

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  • 蒼竜探索帳
    -
    江戸深川一帯で悪人たちを震え上がらせているのが、北町奉行所探索方筆頭与力の蒼江竜之介こと「蒼竜」。彼の前に、南蛮歌留多(タロット)占いの命相師六芒道人が現れ…。女たちのからだを貪る男たちへの怒りが炸裂する!

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  • 高瀬川女船歌九 似非遍路(えせへんろ)
    3.5
    わけあって武士を捨て、高瀬川界隈で評判の居酒屋「尾張屋」の主となった宗因は、かつての朋輩を訪ねて淀に出かけた。その帰途見かけた田圃を耕す初老の男が、四国遍路に出かけたはずの塩問屋播磨屋(はりまや)の主であることに気づき問いただすことに。播磨屋が語り始めた予想外のいきさつは……。高瀬川に集う市井の人々の哀歓と人生の機微を描いて深い感動を呼ぶ珠玉の連作集。【解説】大矢博子
  • 高瀬川女船歌七 奈落の顔
    3.0
    鋳掛け屋の太兵衛の葬式に東町奉行所与力がやってきた。かつて太兵衛は奉行所の付同心をしていたという。ある捕物の夜、盗人の隠れ家へ踏み込もうとした時、螢捕りにきた息子の仁助が太兵衛に声をかけ、捕物は失敗に終わった。太兵衛は出仕に及ばずということになり鋳掛け屋となったが、町の情報を番屋に知らせていたのだ。曳き人足となった仁助がとった行動は……。連作シリーズ。
  • 高瀬川女船歌八 偸盗(ちゅうとう)の夜
    3.0
    父は盗賊に惨殺され、母は妖しい笑みを浮かべながら盗賊とともに家を飛び出した……。お琴は、七歳のときの悪夢のような出来事を今でも忘れられずにいる。尾張屋の主・宗因たちが招かれたある祝言に、角倉屋敷の台所働きをしているお琴も手伝いにいくことに。そんな晴れやかな夜、怪しい足音が……。悪夢から十一年後、明らかになる事件の真相とは一体――。大好評の連作シリーズ第八弾!
  • 黄昏坂 七人斬り
    -
    娯楽文学の王道を貫く門田泰明時代劇場の神髄に酔う! 寺音肥前守武念(じおんひぜんのかみぶねん)――神楽坂に無傳一刀流の大道場を構える白皙にして容姿端麗な剣客だ。 門弟は三百人。 拵屋の銀次郎が偶然知り合った美咲・京の母娘は夫と義父を謀殺した寺音を追って長崎から江戸に移り困窮に喘いでいた。 次第に明らかとなる寺音の悪行に、ついに銀次郎の刃が一閃した! 特別書下ろし中篇「黄昏坂七人斬り」他、門田泰明娯楽文学の神髄が堪能できる、待望の中・短篇集成! 黄昏坂 七人斬り 悠と宗次の初恋旅 思案橋 浮舟崩し 苦難をこえて くノ一母情 残り雪 華こぶし の全6編!
  • 第三の浪士(上)(電子復刻版)
    -
    慶応四(明治元)年、鳥羽伏見の戦いに参陣し、敗れた桑名藩は藩主が江戸滞在中に降伏してしまう。人間の節義に生きる吉村杏四郎、硬骨漢大谷大作、梅沢保介ら三人の藩士は降伏の藩論に抗して徹底抗戦を叫び江戸へ走った。その前夜、保介の許婚加代の父理兵衛が何者かに殺害され、骸のかたわらには杏四郎の印籠が残されていた。杏四郎を父の仇と狙う加代は、町娘お琴とともに江戸へ向った。時代小説巨篇。

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  • 千鳥舞う
    4.1
    女絵師・春香(しゅんこう)は博多織を江戸ではやらせた豪商・亀屋藤兵衛から「博多八景」の屏風絵を描く依頼を受けた。三年前、春香は妻子ある狩野(かのう)門の絵師・杉岡外記(げき)との不義密通が公になり、師の衣笠春崖から破門されていた。外記は三年後に迎えにくると約束し、江戸に戻った。「博多八景」を描く春香の人生と、八景にまつわる女性たちの人生が交錯する。清冽に待ち続ける春香の佇まいが感動を呼ぶ!
  • 血の城
    4.0
    天正八年初冬。遠州武田方の高天神城では、徐々に包囲を狭めつつある徳川方を狙う野伏りが跋扈していた。頭領は、家康が濡衣を着せて殺害した嫡子信康に似ているという。一方、近くの沢木村では、多くの百姓が神隠しに遭っていた……。長篇戦国巨編!
  • 忠臣蔵[上]
    4.5
    許せ。それは内匠頭が告げた訣別の呟きであった。殿中松の廊下、内匠頭は愛しい者や愛する古里すべてを備前長船一尺七寸の業物にかけて捨て去った。「上野介、待て!」構想十余年、著者の忠臣蔵は絢爛たる人間蔵ドラマとして描かれた!

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  • 中條流不動剣 一 紅い剣鬼
    -
    満ち足りた日々をおくる日比野左内(さない)と茜(あかね)の夫婦。無双の女剣客であった茜だが、刀を帯びることも絶えて久しい。そんなある日、愛息の新太郎が何者かに拐(かどわ)かされた。背後には、茜の幼き頃の因縁と、将軍家剣術指南役柳生家の影が見え隠れする。左内はもちろん、茜をかつての主君の娘として大事に思う塩谷隼人が、母子のために立ちあがる。中條流の剣が冴える! 好評シリーズ、新章開始!
  • 鎮西八郎為朝(上)火の巻(電子復刻版)
    -
    六条判官源為義の八男為朝は、京での狼藉を権臣藤原信頼にとがめられ、大宰府へ放逐された。しかし為朝を迎える大宰府も大弐藤原実正の悪政に民衆は飢え、豪族たちの思惑渦巻く戦乱の地であった。阿曾忠国父娘の窮状を救い、阿蘇に招かれた為朝は、やがて九州を平定すべく、鎮西八郎として軍を起こし、ついには大宰府までを鎮圧したが……。一代の豪弓為朝の炎の生涯を描く名作歴史大作。

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  • 塚原卜伝(電子復刻版)
    5.0
    足利政権の末期、京に一人の若者が現われた。若者の名は、塚原新右衛門高幹(たかもと)。常陸の国鹿島に伝わる剣技をたずさえて、兵法修行の旅に出た、後の剣聖・塚原卜伝の若き日の姿であった。十有余年後、鹿島に戻った新右衛門は、一朝、鹿島神宮の神木の前で、ついに秘伝“一の太刀”を完成する。新当流の一流をたてた彼は、やがて新たな修行の旅へ出た。剣に命を賭けた男を描く傑作時代長篇。

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  • 剣の舞(電子復刻版)
    -
    生来の気性なのか、あまりの粗暴さゆえに鬼夜叉と綽名された少年夜叉丸は、ある一件から悪徳代官に反逆したために伊豆大島を追われ出ることになった……。元服を機に伊藤弥五郎景久と名を改めたのち、募る剣の求道心のまま、鐘巻自斎門下で修業。一刀流の根本理念を見出したが、自斎の卑怯な闇討ちに遭い、師弟の縁を絶つ――。一切を払捨し一刀斎と名乗った弥五郎は相馬原の野末の彼方に去る。

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  • 天の光
    3.5
    博多の仏師・清三郎は木に仏性(ぶっしょう)を見出せず、三年間、京へ修行に上る。妻のおゆきは師匠の娘だ。戻ると、師匠は賊に殺され、妻は辱められ行方不明になっていた。ようやく妻が豪商・伊藤小左衛門の世話になっていると判明。お抱え仏師に志願し、十一面観音菩薩像を彫り上げた。しかし、抜け荷の咎(とが)で小左衛門は磔(はりつけ)となり、おゆきも姫島に流罪になってしまう。おゆきを救うため、清三郎も島へ…。
  • 天保六道銭(電子復刻版)
    -
    江戸時代も天保まで下ると、諸藩の財政も軒並み火の車。九州松浦藩もその例にもれず、国家老・松浦蔵人は起死回生の賭けに出た。海産物商・森田屋清蔵に禁制の抜荷の罪を着せ、ついでに用立て銀をも帳消しにしようとの算段だが、実は森田屋は海賊を裏稼業の悪党、易々と罠に嵌まる相手ではない。ご存知、河内山宗春ら”天保六花撰”の面々を巻き込んで逆襲に出るのだった。士も悪なら商も悪、痛快無比の対決篇。

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  • でれすけ
    3.0
    父祖伝来、五百年の歴史を護ってきた佐竹義重。今は子・佐竹義宣に実権を譲り隠居した身だ。そんななか、天下統一を成した豊臣秀吉より命が下る。 「常陸を平定せよ」 佐竹家の誰もがなし得なかった夢を我がなし得る。年老いた身でありながら早速平定に取りかかる義重だったが……。 父祖伝来の重み、老いへの恐怖、次世代へと委ねるもの。歴史小説の麒麟児が佐竹義重を活写する!
  • 峠道 鷹の見た風景
    4.0
    財政再建、農地開拓に生涯にわたり心血を注いだ米沢藩主、上杉鷹山(ようざん)。寵臣の裏切り、相次ぐ災厄、領民の激しい反発──それでも初志を貫いた背景には愛する者の存在があった。名君はなぜ名君たりえたのか。招かれざるものとして上杉家の養子となった幼少期、聡明な頭脳と正義感をたぎらせ藩主についた青年期、そして晩年までの困難極まる藩政の道のりを描いた、著者渾身の本格歴史小説。
  • 藤十郎駆ける! 一 さらば刈谷城
    -
    水野藤十郎勝成は三河刈谷城主・惣兵衛忠重の嫡男。勇猛果敢に戦場を疾駆する若武者だ。一騎駆け、一番鑓(やり)が生き甲斐で、短気で荒々しい気性を心配する父とはしばしば対立するのだった。織田信長に伺候するために京に滞在していた藤十郎は、本能寺の変に際し、父と自らの命も瀬戸際に立たされた。援軍手配のために刈谷へ向かう藤十郎の命運やいかに! 風雲急の戦国冒険譚がここに始まる。
  • 徳川家康〈新装版〉
    -
    ベストセラーコミック「シグルイ」の原作者が描く、2023年NHK大河ドラマの世界! 常に選択を迫られた徳川家康の生涯 三歳にして生母と別れ、その三年後には父のもとをも離れ、織田信秀、今川義元の人質として不遇の少年時代を過ごした徳川家康。 だがその境遇は、天下を取るために不可欠な、忍耐と、常に理知的判断を忘れぬ冷静沈着さを与えた。 常に選択を迫られつつ戦国の世を生き抜いた家康は、関ヶ原の戦いに勝利し、ついに武家の棟梁、征夷大将軍となった。 三河の小忰から東照大権現として神の座に上った家康の、七十五年の生涯を描いた傑作長編。 この書物を書き上げたとき、ほんの少しでも家康と言う人間が好きになっていれば、成功したと思ってよいのではないか──そう考えて、筆をとった。(中略) 今、こうして筆を措いてみて、家康と言うオヤジ、そんなに悪くもないな、仲々いいオヤジだな──と思う。 だから、私なりに成功したと言ってよいかも知れぬと思っている。(著者あとがきより) 【目次】 一  三河の小忰 二  青年城主 三  海道一の弓取り 四  冷たき夫・悲しき父 五  信長の客将 六  天下争覇の人 七  失意の人 八  律義な大納言 九  大きな惑星 十  最後の覇者 十一 駿府の大御所様 十二 狸たぬき親おや爺じ家康 十三 東照大権現 あとがき
  • 徳川秀忠 上
    -
    天下分け目の関ヶ原の戦に遅参し、父・家康の怒りを買った秀忠。後継者として認められながらも常に偉大なる父と比較され「凡将」との風評が立った。だが実際は違う。畿内でいまだ勢力を持つ豊臣方の監視を目的とした二条城の天下普請を強行、方広寺への放火、その一方で秀頼と千姫との婚儀をすすめるなど、硬軟取りまぜた深謀遠慮をめぐらしていたのだ。守成の将軍・秀忠の実像に迫る。

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  • 徳川秀忠<上>(電子復刻版)
    -
    慶長五年九月、天下を二分した関ヶ原の決戦に、徳川家康の三男・秀忠は真田氏攻略に時日を費やし遅参、激怒した家康との謁見もかなわず、凡将との風評が立った。だが真相はちがう。万一、家康が敗れた際、温存した秀忠軍で再決戦を挑むという家康の遠謀を察知したうえでの遅参だったのだ。関ヶ原の役後、天下に君臨する家康の背後に隠れながら、秀忠はその本領を発揮しはじめるのだった……。時代大作第一弾。

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  • 特命 前篇 殺し蝶
    -
    突然、寄場詰同心の役を解かれた南町奉行所の帰山貴三郎。小りんという謎の女に連れて行かれたのは、南町奉行の根岸鎮衛配下の与力の元だった。犯科の増大を憂えた奉行は、隠密裡にこれを探索し撲滅せよとの「特命」をくだす。帰山は元門前廻り同心の深草新吾とともに抜擢されたのだ。ある老婆の死に不審を感じて調べると、慎ましい暮らしなのに、どこかに毎月一両もの大金を送金していた。渾身の時代活劇。
  • 特命 残酷な月
    3.0
    南町奉行の根岸肥前守鎮衛(やすもり)から、江戸で起きる兇悪な犯科を隠密裡に取り締まるべく、特命を受けた同心の帰山貴三郎と深草新吾。その活躍を知った老中から、北陸の小藩で起きている不審な動きを探るように命令が下った。探索の補佐をする小りんと丑松とともに潜入した彼らは、私欲のために藩政を牛耳り、幼君を幽閉した家老の悪逆を知る。策謀渦巻く城下に、特命同心たちの正義の剣が閃く!
  • 特命 身代金
    -
    南町奉行でありながら、随筆集『耳袋』などを著し、文人としても有名な根岸肥前守鎮衛(やすもり)。彼は江戸府内の捕縛率が上がらないのを憂慮していた。そこで奉行所内でも、特に一騎当千の強者(つわもの)二人を選び、兇悪な犯科の検挙に当たらせている。ある日、屋台の燗酒屋を営むお島の娘千代が拐(かどわ)かされた。犯人は、お島にではなく、なんの縁(ゆかり)もない当代きっての千両役者嵐菊之丞に千両を払えと言ってきた……。
  • とむらい屋颯太
    4.5
    弔いは、亡くなった者のためにするんじゃない。 遺された者のためにするんだ! 死を蔑ろにするということは、 生を蔑ろにするということだ。 (本書解説より) 文芸評論家 北上次郎 「人の死で飯を食う。それがあっしの生業」 新鳥越町二丁目に「とむらい屋」はある。 葬儀の段取りをする颯太、死化粧を施すおちえ、渡りの坊主の道俊。 時に水死体が苦手な医者巧先生や奉行所の韮崎宗十郎の力を借りながらも、 色恋心中、幼なじみの死、赤ん坊の死と様々な別れに向き合う。 十一歳の時、弔いを生業にすると心に決めた颯太。 そのきっかけとなった出来事とは――。 江戸時代のおくりびとたちを鮮烈に描いた心打つ物語。 【とむらい屋で働く人々と仲間たち】 颯太:新鳥越町二丁目の葬儀屋の店主。十一歳で葬儀屋になると決める おちえ:母を颯太に弔ってもらって以降居座るおせっかい 勝蔵:早桶職人。初めての棺桶は妻のものだった 道俊:寺に属さない渡りの坊主 巧重三郎:水死体を見るのが苦手な医者 韮崎宗十郎:南町奉行所の定町廻り同心 【目次】 第一章 赤茶のしごき 第二章 幼なじみ 第三章 へその緒 第四章 儒者ふたり 第五章 三つの殻 第六章 火屋の華 解 説 北上次郎
  • 豊臣秀吉(『秀吉覇権への道』改題)(電子復刻版)
    -
    天正十年六月、秀吉は本能寺の変から十三日後、山崎の合戦で明智光秀の首を討ち取った。以後、清州会議で根回しの才を発揮し、信長の後嗣を信忠の遺児・三法師に継がせることに成功。この件で柴田勝家と対立するが、賤ヶ岳の合戦で勝家を敗り、ついに小牧山で徳川家康と対決、高度の政治的手腕を発揮し、天下を取る。行動より、行動の基礎となっている秀吉の性格、心理の動きに視点を置いた異色歴史小説。

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  • 鳥見役影御用 闇の華
    -
    鷹狩りの用立てのほか、隠密も兼ねる鳥見役の乾清右衛門が何者かに斬殺された。 探索に動く気配のない道中方や宿場役人に業を煮やし、真相を探りはじめた独り息子の兵庫は、金品を後ろ楯にした田沼の権勢にまとわりつく陰謀を突き止め……。
  • 鳴門太平記(上)(電子復刻版)
    -
    元禄の世、阿波徳島藩勘定役・船越重兵衛は妻を手籠にした奉行・高松主水一味を妻敵討(めがたきうち)して城下を出奔、主水らの遺児は改易追放の遺恨に無頼の徒となり十八(とはち)組を結成して阿波の国に異変をまきおこしていた。一方乳呑み児の重兵衛の一子・長八郎は十八組に殺されかけたところを根来忍者に救われ、蜂須賀藩隠密・村垣玄斎に養育された……。蜂須賀お家騒動を軸に、重兵衛父子の数奇の運命を描く長篇時代小説。

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  • 南国武道(電子復刻版)
    3.0
    関ケ原の合戦に勝利した徳川家康は、土佐・長曾我部盛親を大阪に監禁、井伊・山内両軍を送り長曾我部家の断絶を謀った。徹底抗戦せよ――盛親の密命を受けた竹内掃部は、美貌の誉れ高い美佐姫と供に大阪を脱出、土佐・浦戸城を目ざした。美佐姫の懐中には莫大な軍用金の在り処を認めた密書が隠されていた――。戦乱の世に生きる青年の剛毅な侍魂と、姫への思慕の哀切を描く長篇歴史ロマン。

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  • 日輪にあらず 軍師黒田官兵衛
    3.8
    いずれ劣らぬ勇将が覇を競う戦国の世。播磨で名を馳せし小寺家に仕える黒田官兵衛は当主政職(まさとも)の蒙昧に失望し、見切りをつける。織田家屈指の智恵者・羽柴秀吉に取り入り、天下統一の宿願を織田信長に託した。だが本能寺の変が勃発。茫然自失の秀吉に官兵衛は、囁きかける。ご運の開け給うときでござるーー。秀吉を覇に導き、秀吉から最も怖れられた智将。その野心と悲哀を描く迫真の戦国絵巻。
  • 二刀の竜
    -
    毒を盛られた同門の朋輩を刃にかけてしまった竜崎竜次郎。師匠の悪謀に嫌気が差した竜次郎は剣術を捨て、生まれ持った味覚の才を活かす料理の道に生きることを決意する。戦国の世に「天下一味勝負」の旗を立てて、包丁の腕での仕官の途を求め諸国をさすらう。水、塩、酒を選び、出汁を磨いて山海の食材を目利きするのだ。刀と包丁の二刀で戦国の世を渡る元剣客の包丁人・竜崎竜次郎の味勝負腕試し!〈戦国グルメ小説〉
  • 日本坊主列伝
    -
    仏教が日本に伝来して、千四百年あまり。坊主はただ仏の教えを広め、修行・精進しているだけじゃなかった。 天皇や貴族の側近くに仕え、名だたる猛将・知将の教育係や御意見番を務め、ときには戦いの参謀や自ら戦いに出たり、歴史の狭間で、表と裏に活躍・暗躍していたのだった。名僧、奇僧、怪僧、悪僧たちの本当の実像を知れば、歴史小説や時代小説が、さらに面白くなる。 <目次>1古代~鎌倉 道鏡 行基 空海 蘆屋道満 頼豪 文覚 武蔵坊弁慶 常陸坊海尊 日蓮 コラム:山法師たちの活躍 2室町~戦国 文観弘真 兼好法師 一休宗純 雪舟等楊 蓮如 太原雪斎 顕如 安国寺恵瓊 果心居士 曲直瀬道三 施薬院全宗 胤栄と胤舜 本因坊算砂 コラム:足利学校 3江戸 南光坊天海 以心崇伝 林羅山 教如 沢庵宗彭 天秀尼 列堂義仙 売茶翁 隆光 月照忍岡 武田物外
  • 女人狂乱 延命院事件(電子復刻版)
    -
    谷中延命院の住職・日潤の美男ぶりが江戸で評判になって八年。日潤は大奥の中臈・梅村と情を通じ、以来、寺院に日参する女たちは引きも切らず、夜毎、狂乱の痴態が繰り広げられていたのだ。見逃せなくなった寺社奉行・脇坂は密偵として奈江を放つが、奈江は自らも日潤の性技に溺れてしまう――。関係した女が数百人ともいわれ、十一代将軍家斉の治世を揺るがせたスキャンダルを、濃密な筆致で描いた官能絵巻。

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  • 女人用心帖(上)(電子復刻版)
    -
    “女盗っ人”の風来坊・蜂太郎、今日も両国の雑踏で、武士に追われた若い女スリ・お蝶を助けたはいいが、荒れ寺に連れ込み、手籠めにして悦に入っている。その蜂太郎に奇妙な依頼人が現われた。一両やるから、さるお屋敷に忍び入り、奥方と密通しろというのだ。二つ返事で引受けはしたが、目隠しされ、駕籠で連れられて行った先に待ち受けていた事件は……。某藩お家騒動を舞台の痛快時代長篇。

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  • にわか雨
    3.5
    以前から侍になりたい百姓の平太は、尾張織田との合戦に雑兵として駆り出されたが、初陣が負け戦となってしまい、脱出するも…。 尾張織田家を攻め滅ぼすべく、駿河今川家の雑兵として駆り出された百姓の平太。以前から侍になりたかった平太は、意気揚々と出立するも、初陣が負け戦となってしまう。命からがら戦場から脱け出せはしたものの、一瞬の大雨が惨劇をもたらした…。敵も味方も次々と斃れていく様を目の当たりにした若者の心は折れてしまうのか、それとも―。刀槍と大地、人が選ぶべきはどちらなのか?傑作戦国時代小説。
  • 忍者猿飛佐助(上)(電子復刻版)
    3.0
    甲賀の忍者・猿飛佐助は、主人・真田幸村を敬愛していた。その幸村は、豊臣秀頼の要請に応じ関東方との合戦に備える大阪城に入った。しかし盟主秀頼はいまだ若年、大阪方の人心も腐敗しきっていた。城内は関東方の放った間者が跳梁し、幸村が狙撃され、秀頼も毒殺されんとした。佐助の働きで辛うじてこれを防ぎ、野戦を主張する幸村が城外に出丸を急造し終えるころ、冬の陣が始まった。長編歴史ロマン。

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  • のたり同心落とし噺 こがねもち
    -
    名同心の父をもつ植草平助は、もらい泣きをするほど人が良いが、立身出世に興味なく、とにかく厄介事は御免蒙りたい、一風変わった定町廻りの見習い同心。なんとしても手柄を立てさせ、ゆるい主人を小馬鹿にする同僚どもを見返したいと機をうかがう小者の佐吉におだてられつつ、今日も市中見廻りならぬ、寄席廻りに精を出す。そんなふたりに、ある日とうとう不思議な殺しが降りかかり……。滑稽捕物帖。
  • 野分の朝 江戸職人綴
    5.0
    奉公してから十五年、ようやく自分の店を持つことになった料理人の伴次。店を持ったら女手が必要になる。そろそろ女房を持ってもいいのでは──その時、伴次に苦い思いが湧いた。七年前、一緒になるという約束を破り、他の男と所帯を持ったおつな。だが男に騙され、女郎屋に売られたあげく体をこわして死んだのだ……。己の腕を頼りに懸命に生きる職人の姿を描いた傑作時代小説集。(文庫オリジナル)
  • はぐれ十左暗剣殺
    -
    北町奉行所の隠密廻り同心・鏑木十左は、老中・松平定信から呼び出され、火付盗賊改方への出仕を命ぜられる。急なことに戸惑いながらも、自らの気質を買ってくれる同僚たちにやりがいを感じ、かねてより巷を騒がせていた“葵小僧”という凶悪な押し込み盗賊の探索にあたることになった。着任早々、難事件に取り組むことになった十左の新たな戦いを描く。好評シリーズ、新章第一弾!
  • はぐれ十左暗剣殺 悪の華
    3.0
    下野国の下級武士・由利権八は、常日頃、上級武士たちから、いじめを受けていた。彼は、溜まりにたまった不満を野心に変え、出奔する。その数年後、火付け盗賊改方の同心・鏑犬甘八兵衛が、急死した娘の死因に不審があると、相談にやってくる。探索を引き受けた十左は、本所・深川・両国の貸元の親分たちをも怖れさせる無法者たちの存在を知り…。新章シリーズ代三弾!
  • はぐれ十左暗剣殺 怪盗流れ星
    -
    非道なことは一切せずに、盗んだ金は貧しい人たちに分け与えている“怪盗流れ星”。町方はおろか火附盗賊改め方ですら、捕まえられず、翻弄されていた。同心の鏑木十左は、独自の探索で追い詰める。しかし、そこにいたのは、盗っ人ながらも世情を憂い、正義感に溢れた若い男。おまけに彼は、加賀から江戸に出て父と暮らす娘に一目惚れしていた。そこで十左は、彼を真っ当にするべく……。
  • はぐれ十左暗剣殺 蜘蛛女
    -
    三年前の二月から、毎年同じ時期に、立て続けて江戸の街に出没するようになった女盗賊“蜘蛛女”。必死で探索するも、その正体を掴みかね、右往左往する火付盗賊改方の同心鏑木十左たち。しかし、“蜘蛛女”に身内を殺された商人の家族たちが、復讐の一心で、手がかりを見つけた。同じ頃、十左の元職場・北町奉行所で、彼の後任で隠密廻りになった野呂助左衛門も、ある事実に気づいて…。シリーズ新章第二弾!
  • はぐれ十左暗剣殺 黒刺客
    -
    徒党を組み、大店を襲っては殺戮を繰り返し、金品を奪う兇賊赤不動が江戸を去ったとの情報が入った。その探索のため、火附盗賊改方の同心・鏑木十左が御用旅に出た。しかし、その最中、旅籠に火を放ち、彼に襲いかかる者が次々に現れた。赤不動の手の者か、それとも怨恨か?十左配下の岡っ引きの八十助と、老中・松平定信の命を受けた隠密の紫乃も駆けつけ、未知なる敵に立ち向かう。新章シリーズ第五弾!
  • はぐれ十左暗剣殺 弾丸を噛め
    -
    白昼、日本橋で起きた辻斬り。斬った浪人は逃げる途中で斬殺。そして、殺されたのは、鳥見役に鉄砲箪笥同心、歌舞伎役者に商家内儀。彼らに繋がりはなく、事件の真相は一向にわからず、奉行所から、火附盗賊改め方の鏑木十左(かぶらぎじゅうざ)に探索が委ねられた。若手同心たちとともに、地道に探してゆくなか、殺された鉄砲箪笥同心の妻に話を聴きに行くと、それは十左と浅からぬ因縁のある女だった。
  • はぐれ十左暗剣殺 笑う女狐
    -
    賭場で召し捕られた男の密告から、老中首座・松平定信の暗殺計画を察知した火付盗賊改方の同心・鏑木十左。長官である松平左金吾は、もう一人の長官・長谷川平蔵とともに、暗殺を阻止するべく、探索を始める。そして、十左は国元に向かう定信を守るため、隠密の紫乃らとともに奥州路へ向かった。その頃、江戸では、事件の首謀者を捜索中の平蔵が、怪しげな美女を追っていた…。新章シリーズ第四弾!
  • はぐれ十左御用帳
    4.0
    北町奉行所の敏腕同心だったが、捕物で相手を死なせてしまい、牢屋見廻り同心に左遷となった鏑木十左。が、田沼意次失脚後、治安が乱れ放題の江戸を憂える松平定信に、隠密廻り同心として呼び戻され、相役の老同心と組むことになり……。シリーズ第一弾。

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  • はぐれ十左御用帳 家康の靴
    3.0
    小伝馬町の牢屋敷に捕らわれていた盗っ人の巳之介は、牢抜けを唆され、恋女房の元へと逃げ出した。しかしそれは、老中・松平定信からの頼みで、同心・鏑木十左が仕掛けた探索の始まりだった。江戸城内から持ち出された大御所家康の遺品、そして、事件の背後に潜む失脚した田沼意次の配下たちはどこに? 十左は手下の八十助とお庭番の紫乃らとともに真相を暴く! シリーズ第七弾!
  • はぐれ十左御用帳 狐の穴
    -
    浅草寺界隈で起きた老女殺し。犯人を捕らえるべく、尽力する北町奉行所の隠密廻り同心、鏑木十左は、彼女の遺品から、三十五年前に起きた血腥い事件を知った。老中・松平定信の命を受け、十左は事件を白日の元にさらすべく、探索を開始する。シリーズ第四弾。
  • はぐれ十左御用帳 逆臣蔵
    3.0
    元武士らしき老人絵師は、不忠の臣と呼ばれた男の末裔なのか? 島送りにされたことを逆恨みする暗黒街の顔役が巡らす罠とは? 裕福な家が抱える事情につけ込み、騙りを働く男女を捕らえた奴らの目的とは? 過激な捜査ゆえに左遷されたが、老中に見込まれ、北町奉行所の隠密廻りを拝命することになった鏑木十左。その廻りで様々な事件が…。シリーズ第五弾。
  • はぐれ十左御用帳 女侠
    3.0
    佃新地にある女郎屋の主人からの報せで、偽小判を使った正体不明の男を追っていた北町奉行所の隠密廻り同心・鏑木十左。が、男は殺されてしまった。下手人たちが持っていた提灯に浮かび上がった丸に十文字の紋様から、現将軍の御台所・篤姫の実家である薩摩藩の影が浮かび上がる。それを老中・松平定信に報告するも、意外な返事に十左は……。
  • はぐれ十左御用帳 罪なき女
    4.0
    小伝馬町の古着商たちから、最近開業した店が盗品を扱っている疑いがあるので、調べて欲しいとの訴えがあった。北町奉行所の隠密廻り同心・鏑木十左は、裏に大がかりな組織があると睨み、探索を始める。同じ頃、手下の岡っ引き八十助のひとめ惚れした武家女が、鉄砲洲の大番屋に入れてくれと懇願してきて…。次々と起きる事件に、十左が疾る。シリーズ第九弾。
  • はぐれ十左御用帳 冷たい月
    -
    北町奉行所の隠密廻り同心、鏑木十左は、主君の子息を疵つけた中間の探索を命ぜられた。しかしその裏には…。御定法の網の目をかい潜って生きる非道の者どもを、相役の老同心、犬甘八兵衛と、岡っ引きの八十助とともに懲らしめる。シリーズ第三弾。

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  • はぐれ十左御用帳 情け無用
    -
    蝋燭問屋の主に狙われている武家女と偶然顔を合わすことになった隠密廻り同心の鏑木十左は、なにか不穏なものを感じ、岡っ引きの八十助を張り込ませたが……。相役の老同心、犬甘八兵衛とともに江戸の埃を払うべく、今日も正義の剣を抜く! シリーズ第二弾。

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  • はぐれ十左御用帳 ふるえて眠れ
    3.0
    陸奥国棚倉藩の藩政改革は、任された九鬼大内蔵によって成功した。しかし、九鬼は次第に悪政を布くようになり、疲弊した村々が決起すると首謀者を惨殺。そのことを知った老中・松平定信は密偵に探索を命じた。同じ頃、北町奉行所の隠密廻り・鏑木十左は家族の命を絶ってまで密命を果たそうとした浪人が女刺客に殺されるのを目撃。その真相は? シリーズ第六弾。
  • はぐれ十左御用帳 卍の証
    4.5
    老中・松平定信は、御台所・篤姫から呼び出しを受け、最近、将軍・家斉の様子がおかしいと相談をされた。彼は腹心の部下である北町奉行所の隠密廻り同心・鏑木十左に探索を命じる。早速、大奥に潜入した十左は、家斉を誑かそうとする女中を見つけ、追い詰めた。しかし自害されてしまい、手がかりが消えたかに見えたが、その女の身体には…。シリーズ第八弾。
  • はぐれ柳生殺人剣
    -
    八代将軍・徳川吉宗の母、浄円院の逝去により、にわかに動き出した『お庭番』たち。 薬込役の筆頭格、風間家の新之助が失踪した。 佐賀鍋島藩を脱藩した刀弥平八郎や尾張の松平通春の命をうけた尾張柳生の使い手星野藤馬が奔る。 江戸市中では、雲霧仁左衛門が暗躍する。 徳川政権の謎に挑み、柳生の剣が煌めく。
  • 疾れ、新蔵
    4.5
    越後岩船藩の江戸中屋敷に新蔵は疾(はし)る。十歳の志保姫を国許に連れ戻すために。街道筋には見張りがいる。巡礼の親子に扮し、旅が始まった。逃走劇の根底には江戸表と国許の確執があった。間道を選んで進む道中に追っ手は翻弄される。ところが新たな追っ手が行手を阻み、山火事が迫る中、強敵との死闘が待つ。姫を連れて戻れるのか? 冒険小説の旗手シミタツならではの痛快時代エンタメ長篇!
  • 長谷川平蔵残心帳
    -
    御祐筆見習いの里見梧郎は、元上役で火付盗賊改方の長官・長谷川平蔵宣以が病に伏せっていると聞き、見舞いに訪れた。 平蔵は医者にもかからず、強がりを見せている。そして梧郎に、ケリをつけたはずの事件に残る気がかりを記した残心帳ともいうべきものを見せた。 日々の仕事に飽いていた彼は、その中の七年前の押し込み事件で、捕縛しそこねた犯人に注目し、探索することを請け負い…。
  • 八丁堀同心加田三七(上)(電子復刻版)
    -
    嘉永二年、江戸南町奉行所見習同心・加田三七は御奉行遠山左衛門尉景元に抜擢され、弱冠二十五歳で定廻り同心の大役に就いた。そんなある雨の夜、岡場所の女おきくが殺された。現場の寺裏には足駄の歯跡があり、女の首には黒ずんだ痣があった。三七は岡場所の持主・権兵衛の行方を追ったが、権兵衛もその夕、水死体で発見。首にはやはり黒い痣が(「犬と猫と鼠」)。他十二篇を収録する人情捕物帳傑作。

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  • 花籠の櫛 京都市井図絵
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    奉公先から実家へ戻るため関所破りをした娘・お八重に大津代官所の沖宗弥兵衛は処刑の命を下す。だが彼女は弥兵衛の嫡男の命を救っていたことがわかり、深く罪を悔いた彼は僧侶となる。お八重を軸に、人間の宿業と絆の深さを描いた連作集。

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  • 幕末浪漫剣〈新装版〉
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    勝海舟の父にして、直心影流免許取りの暴れん坊小吉。 北辰一刀流玄武館千葉周作門下で、「お玉ケ池の鬼柘植」と呼ばれるほどの逸材恭之介― 喧嘩の助太刀がきっかけで親交を結んだ血気盛んなふたりは、道場を開くことを夢見て、 一気に資金を稼ごうと、伊勢尾島藩のお家騒動に飛び込んだ。 が、神道無念流撃剣館で当代随一の腕と恐れられる、 無敵の剣客秋山要助が行く手に立ちはだかる。 ※本作品は、「幕末浪漫剣」を加筆修正した新装版です。
  • 番神の梅〈新装版〉
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    いつの世も、貧困に苦しみながら懸命に生きる女性はいた 貧しくとも、凜として生きよ―― 梅の木に帰郷の望みを託し、夫とわが子のために命を尽くした下級武士の妻の生涯を描く 何と美しく〈凛として〉切ない物語であることか。 生きることの哀歓漂い、抒情性に溢れた彫りの深い人物造形に定評がある作家による作品である……(中略) 藤原緋沙子が史料を渉猟し、独自の解釈と着想で、“時代小説”の衣裳を着せつつ、史実を超えた物語を立ち上げていくことを小説作法としている歴史小説作家であることがお分かりかと思う。 ――雨宮由希夫氏(解説より) 桑名藩の飛び地・越後柏崎。 海鳴りと吹きすさぶ風、冬は雪に囲まれる僻遠の地に赴任を命じられた者は、島流しとも噂され、二度と桑名に帰れることはないと言われていた。 渡部鉄之助と妻の紀久は、跡取りの長男を故郷の両親に預け、幼子を抱えて勘定人としてこの地に赴いた。 だが陣屋暮らしは、着物一枚買う余裕もないほど困窮した。 夫と子どものため日々の暮らしを守る紀久の心の拠りどころは、日蓮上人ゆかりの番神堂に植えた、桑名から持参した梅の苗木。 この花が咲いたら故郷に帰れる――そう信じ、ひたむきに生きる紀久だったが……。 下級武士の妻として懸命に生きた女の一生を描いた傑作時代小説。
  • 秘 曲(電子復刻版)
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    世間の悪評高き関白豊臣秀次は、公卿社会へ傾倒していく中、おのれの素養のなさを補うものとして、珍貴風雅なものの収集に熱心であった。しかし、権力で集めた品々に対して公卿らの反応は冷たかった。豊臣家の威光ではなく、関白としてふさわしい者が自然に手に入れる物、それは射干玉(ぬばだま)の笛だというのだ。秀次は早速、目的のためには手段を選ばぬ男・猿丸に笛を探すよう命じる(表題作)。時代小説集。

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  • ひぐらし武士道 大江戸剣花帳 上〈新装版〉
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    雄渾にして華麗! 峻烈にして優美! 撃的ベストセラー・門田泰明時代劇場の原点! 明暦の大火で江戸が灰燼と化し、 復興が急がれる徳川四代将軍家綱の世。 「水野」姓の幕臣が凄腕の何者かに次々と斬殺され、 老中にまで暗殺の手が伸びた。 そうしたなか、素浪人でありながら 念流皆伝の若き剣客・宗重が 事件を探索するため市中を駆け巡った。 やがて、背後に 紀州徳川家の影がちらつき始めた……!? 娯楽文学の王道を貫く 門田泰明時代劇場の原点!
  • 日暮坂 右肘斬し
    3.0
    「門田泰明剣戟文学」の新たなる殺陣の境地、ここに! ささいな喧嘩がもとで無役となった旗本・具舎平四郎。 かつて門弟四百二十六名を誇る一刀流剣法・古賀真刀流総本山で腕を磨き、ともに最高位を極めた芳原竜之助とは竜虎と称された仲。 今は日暮坂道場を主催する竜之助が道場の手伝いを頼みがてら平四郎宅を訪ね、平四郎の妻・早苗を交えて旧交を温めた。 竜之助を送った帰途、夫妻に襲いかかった恐るべき惨劇! 五人の凄腕剣士が二人に襲いかかり、妻をかばった平四郎は惨殺され、妻・早苗は意識不明の重体に!  竜之助は復讐を決意、探索を始めた。次第に明るみに出た古賀真刀流『源流』の無念と悲惨。 竜之助はついに秘剣「右肘斬し」で復讐すべく立ち上がった!  娯楽剣戟文学史上に屹然と立つ「門田泰明時代劇場」の新開眼ここに!
  • 秘剣独眼竜 一心剣
    NEW
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    卒爾ながら一手ご教授願いたい。姓名の儀は梅原才蔵幸行と申す――名を変え、左眼を抉りとって身をやつした霧丸は、道場破りを繰り返しながら路銀を得、江戸に向かった。目指すは柳生宗矩との勝負! 廻国の途上、木刀一本を携えた霧丸を待ち受けるものは…。
  • 日盛りの蟬(第6回大藪春彦新人賞受賞作)
    3.8
    次々と話題の新人を輩出する大藪春彦新人賞、第6回受賞作! ●今野敏 選評(抜粋) 語り口のうまさに圧倒され、受賞作に推すしかないと思った。 ●馳星周 選評(抜粋) 舞台設定、キャラクター造形、ストーリー展開、文章力、どれをとってもプロの作家顔負けの上手さでケチをつける隙がない。 ●徳間書店文芸編集部編集長 選評(抜粋) オーソドックスなネタに、スワッピングという変化球をうまく掛け合わせている点が見事です。 ●あらすじ 蟬の鳴き声が響いている。 女郎のおさきは楼主に呼ばれ、内所の障子を引き開けた。 そこにいたのは見知らぬ顔の若い侍。 用向きが読めないおさきに、藤岡と呼ばれた侍は頭を下げた。 「おさきとやら。厄介をかけるが、よろしく頼む」 藤岡の敵を討つため、おさきは仮初の夫婦を演じることに――。 ※受賞作のほか、選評および受賞の言葉を収録
  • 人斬り彦斎 「斬るな彦斎」改題(電子復刻版)
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    元治元年(1864)夏、京・祇園の料亭に集った勤皇浪士の中に、小柄で色白、剃髪頭の物静かな男がいた。河上彦斎―近藤勇、中村半次郎と並び恐れられた剣客だ。この夜の会合で、《佐久間象山を暗殺すべし》と彦斎は自ら決していた。宴がひけての帰途、彦斎は若い芸妓に声をかけられ、妓の自宅に誘われる。そこで彦斎は奇妙な依頼をうける……。巨匠の時代長篇。

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  • 日比野左内一手指南 一 助っ人剣客
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    長屋を改装した小さな道場で子ども相手に剣を教える日比野左内は中条(ちゅうじょう)流剣術の達人。界隈の人々から愛される好青年である。しかしこの青年剣士には、止むにやまれぬ事情から戦わざるを得ない立場に置かれた者に一撃必殺の技を授けるという裏の顔があった。父の仇討ちのため江戸を訪れて困窮する兄妹に、左内は……。別シリーズでお馴染みの老剣客、塩谷隼人も登場。圧巻の剣戟小説!

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