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Posted by ブクログ
12の短編が1章ごとに薄く繋がり、日本橋から京までに起こる小さな出来事を紡ぐ。人情物や滑稽話が多いが、江戸時代の悲しい真実・世相を反映した話も多い。
20〜30pの中で読者を引き込み、少し意外な展開と変化する主人公らの心情を鮮やかに映し出す作者の筆力には感嘆する。
どの話にも思いところはあるが『「なみき屋」の客』や『池田村川留噺』のように小さな空間に集まった人々が他人の心配をして心を痛めたり助け合ったりする話がシンプルに好きだ。前者は火事で一切を失った家族という悲劇が題材だが、皆がそれを自分の責任と思い、大工に至ってはそのまま酔い潰れて次の日の仕事に穴を開けてしまうなど非常に愛おしい。
澤田先生の作品は『若冲』『定朝』のような絵師物や奈良平安政治史物をよく読んでいたため、江戸の市井物は新鮮に感じたが、この分野でも一つ抜きん出た作家さんだと思った。
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