すべての高評価レビュー
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Posted by ブクログ
『店長がバカすぎて』シリーズ一作目!
2020年の本屋大賞ノミネート作品。
笑いとミステリーが絶妙に組み合わさった物語で、吉祥寺の書店で働く28歳の契約社員、谷原京子が主役だ。
店長の山本猛は、人を苛立たせることにかけては天才的。
彼と谷原の間には、常に意見の食い違いや考え方の違いの葛藤があり、時には衝突や対立を生むこともあるが、そのやり取りは、物語を面白くする要素になっている。
どこかコミカルでありながら、谷原は時には深刻な状況にも直面する。
笑いが溢れる一方で、物語にはミステリーが隠れていて、伏線がうまく回収されていく様子も楽しめる。
登場人物たちの本への愛情が、物語全体を通じ -
Posted by ブクログ
初出ベースで考えると10年間の幅があるとは思えないほどテーマに連続性を感じる短編集。とくに一作目の「二匹の虎」と三作目の「君の代と国々の歌」がよかった。
表題の「恋恋往時」からはすぐに、ノスタルジーという情動のことが思い浮かぶ。しかし、本書における追懐は、過去をいたずらに美化することでも、現在を甘やかに肯定することでもなく、過去の時間に折りたたまれていた人間同士の関係性の襞を押し広げ、そこにかかわる歴史=政治の対立と葛藤とを受け止めたうえでなお、その時間の堆積が連累していった結果として「いま・ここ」の現在を引き受けようとする厳しい覚悟によって支えられている。その覚悟は、台湾と日本という境界だ -
Posted by ブクログ
強烈な小説だった。
17歳の沙智は、放漫な金遣いをし妻の介護に無頓着な父親を見切り、難病を患った母親の介護を否応なく引き受けていた。
難病である母親の悍ましい口臭や糞尿の匂いが、家族の過ごす万年布団の八畳間に漂う描写に、沙智の介護の異常な辛さが嫌というほど突きつけられる。
地元企業へ就職させたい母親の妨害のため、オンラインでの番組制作会社の一次面談に割り込んできた母親の醜態や、エントリーシートに付いた母親の便など、沙智の置かれた環境に絶望的な悲哀を感じてしまう。
しかし沙智も母親を簡単に切り捨てられない複雑な思いがある。
身内に便を垂れ流し徘徊する老いた母親の介護をする者がいるだけに、17歳の -
Posted by ブクログ
わたしの人生は、わたしの唯一の財産。
前作「爆弾」を読んでから、この本を読むことを強くお薦めします。前作を凌ぐほどの面白さで、冒頭数ページで世界に入り込めます。
ストーリーもキャラクターも全然違うのに、「羊たちの沈黙」のレクター博士が、なぜか頭に浮かんだ。試しに「爆弾」「羊たちの沈黙」で検索してみたら、作者の呉勝浩さんのインタビューがヒットした。「爆弾」は、「ダイ・ハード3」のクイズと爆弾テロという骨格に「羊たちの沈黙」の圧倒的な悪役を組み合わせたものということでした。なるほど納得、深く腑に落ちました。
前作に続き同じ登場人物たちが出てくるところもいい。また続編がありそうなので、次回も期 -
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Posted by ブクログ
幽霊屋敷を中心とした連作短編小説。
不穏で幻想的な世界観が好みでした!そこまで怖くないのでさらっと読みやすいと思います
話が進むごとにこのお屋敷で起きた事件やその周囲の出来事の真相が少しずつ浮かび上がり、繋がっていくのが楽しかったです!
「私の家では何も起こらない」→小説家の住む家に本物の幽霊屋敷を探す男が訪れる話
「私は風の音に耳を澄ます」→ある視点から屋敷の住人やその生活が描かれた話。最後はゾワっとしました。
「我々は失敗しつつある」→幽霊屋敷に行く男女のお話。このお話だけあまり分からなかったです
「あたしたちは互いの影を踏む」→キッチンで殺し合った姉妹の話。どうして事件が起こっ