高野秀行のレビュー一覧
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ノンフィクションを書く二人の作家の対談本。ノンフィクション作家の苦労や「あるある」が語られる。
ノンフィクションとニュース、ジャーナリズムの類似点、相違点が語られるところがとても印象に残った。
どちらも事象を観察して出来るだけありのまま伝えるが、やはりそこにはストーリーや所謂「盛り場」が必要で、嘘にならないように、一方で面白くなるように書くことが求められる。綱渡りのような危うさがある。
ノンフィクションはあることが起きるまでの変化を描くことが出来るが、ニュースは起きないと描けない(まだ起きていないことはニュースとしての価値がない)
物書きのマネタイズについて触れられていたり、色んな悲哀を感 -
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若い頃から、コンゴやビルマなどの秘境に興味を持った著者の言語習得のエッセイ
圧倒的な興味と習得に向けた熱量により、どの言語も根性で身につけていく様が面白かった。
また、いくつかの言語習得方法が記載されている。
・ネイティブスピーカーの例文を復唱暗唱する。シャドーイングかな?
これが著者曰く身につきやすいとのこと。
これからITなどが発展し、情報を伝えるための習得は必要性が低くなるが、親しくなるための言語習得はそれでは賄えないというのが筆者の意見であり、同意する。
文化理解や文化の伝承・発展を考慮すると、話し手のキャラクターや村の風習なども大事であり、これらが組み合わさって言語が生成・消 -
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小説家や歌人などによる子どものお悩み相談会。
子どものお悩みというのが、子供側の事情を詳しく書いたものではなく「謙虚になるにはどうしたらいいですか?」「遅刻グセがなおりません」といった一行のみ。
だから、お悩みに対するアドバイスというより、それをテーマにしたエッセイのようなものだった。参考になるかどうかは、微妙だった笑。
作家さんたちの多くは、自分の経験について語っているのが、大人として読む側はおもしろかったな。
子どもと大人、どっちが読めば共感できたり面白く感じたりするんだろう。
一番最初に「夏休みの宿題ぎりぎり派はだめ?」というテーマについての角田光代さんの回答で、小学生の時絵が好きで美 -
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思っていた内容と違って、少し期待外れだった。
チグリス・ユーフラテス川の下流アフワールは、エデンの園のモデルでもあり、人類文明の揺りかごのような広大な湿地帯である。
そこに興味を抱いた著者が、冒険よろしく、探検冒険家の山田氏と一緒に赴く。
で、最後が伝統的な船に乗っているシーンの写真を撮ってもらうところで終わっているので、これが最終目的だったのか。
通訳に頼る旅が多かったし、特に危険なめに会った訳でもない。もちろん苦労はしたはずだが、イラクの人たち(と言うか、イスラムの人たちかな)は、とても親切で、食事を中心に旅人を施してくれることに隠れてしまって、わがままな旅行記にも感じられた。
ただ -
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外国から日本に移住した人たちは普段どんなものを食べているのか。全国の町に溶け込みながら、食を通じて日本と生まれ故郷を行き来する人びとに取材したルポルタージュ。
本文に入る前に口絵の写真を見ているだけでお腹が空く。著者は執筆当時主夫になったばかりで料理の心得がなかったらしく、料理の詳しいレシピが紹介されていないのが惜しい。
取材期間中に東日本大震災が起こり、それが全体を通して大きなトピックになっていく。つてを辿って疎開したり自国に一時帰国する人も多いなか、フィリピン人女性たちが残る東北の漁師町に食材を持っていく章の明るさは泣けてくるほどだ。文化の違いや差別的な視線を乗り越え、長い時間をかけて