高野秀行のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
【韓国語版】私小説は日本の伝統かも知れないが個人的興味はない。ましてや腰痛闘病記?実は私も高3の卒業登山でギックリ腰になり大学の山岳系同好会に属しながら山が地獄のように思えた1年がある。だから共感はできる。但、韓国語多読という目的がなければ一生読まなかった類の本だ。だがだが!これが実に面白い。日本語原書未読にも拘わらず私がのめり込んだ最初の外国語本となった。分らない単語があるにも拘わらず先を知りたくて頁を捲る。忘れていた幼年期の読書感覚!私の読書生活のターニングポイントになるかも知れない強烈な体験だった。
【韓国語版】韓国語多読第3弾!気のせいか韓国語を読むのがちょっぴり早くなったような気がする。でも高野氏の書く日本語がムチャクチャ簡単、いや失礼、簡潔平明だという可能性もある。本書を含め後2冊読みきり、他の作家本に挑戦すれば事実が判明するであろう。怖いけど(^_^;) 2013年03月24日 -
Posted by ブクログ
UMA(未確認動物)探索を語るのは難しい。その歴史と分類を小辞典風に纏めたものならJバルロワの『幻の動物たち』等の秀作がある。フィクションなら作家の想像力次第では如何なる世界でも紡ぎ出せる。但、自らが関わった探査行を描く場合、発見できなかったという事実が先にあるのが普通である。万が一発見されていたら当然大ニュースになっている筈。発見のない探検を如何に描くか?『幻獣ムベンベを追え』は眩いばかりの青春群像だった。『怪魚ウモッカ~』ではカフカの城的不条理な手法を使った。本作では?何と筆者は未知と遭遇してしまう!
『さていよいよ出発だ。勝負だ。本年四十歳の私は、Tシャツにビニール袋をまきつけ、下は短パンに裸足、右にパドル代わりの板切れ、左にカメを抱えて、水辺に浮かべた幼児用ボートに乗り込んだ。』φ(.. ) ジャナワ―ルの潜み住むというワン湖へと漕ぎ出す筆者。これぞ男のロマンかな?(2013年04月01日)
”~記”のつく題名でざっと思い付くのは、古くは「方丈記」、海の向こうでは我が偏愛の「さすらいの記」(ヘルマン・ヘッセ)、近くは直木賞作家・葉室麟氏の「秋月記」及び「蜩ノ記」。このラインナップに並べるとひときわ異彩を放つ高野秀行氏の「怪獣記」。いやあ、実にシュールで良い。^^;2013年03月28日 -
Posted by ブクログ
あははは、おもしろーい!高野さんは何を書いても面白いなあ。自身の腰痛体験をつづった「腰砕け巨編」、まさにこれは高野さんが目指しているという「誰も書かない本」だよね。
読み終えて思ったのは、高野さんって本当にまじめなんだなあということ。よい治療を求めて東奔西走、いくつもの整形外科や整体、整骨院、果ては心療内科まで渡り歩き、その都度そこの腰痛への考え方をとことん知ろうとし、感化され(そこがおかしい)カラダについて、ついには人生についてあれこれ考える。あとがきで高野さん自身が書いているように、腰痛に執着し、とりつかれている。
でもそこはそれ高野さんのこと、サービス精神満点で、いつものように笑わせてくれる。残り三分の一くらいを一気に読んで満足して本を閉じていたら、同じ部屋にいた夫が「その本面白かった?」と聞く。「うん、とっても!なんで?」と尋ねたら、私は読みながらずーっとニヤニヤしていたそうだ。むう。
とりわけ笑ったのは…
なかなかわからなかった腰痛の原因としてついに難病を指摘された高野さん、病名がついて「少し嬉しいがほとんど絶望的という、片思いの相手が自分のことを好きだと書き残して死んでしまったような異常に複雑な気持ちにとらわれた」。そりゃ確かに嬉しくて絶望的だ。
PNFという療法のホームトレーニングとして「四つんばいになって、手足をぷるぷるさせていると、必ずダルマ(著者の愛犬)が『お、何おもしろそうなことやってんの?』という顔で飛んでくる」。ビジュアルを想像するとかなり笑える。
心療内科の医師に「あなたはストレスに弱くて、いつも人の顔色をうかがっている」と言われ、むかついた高野さん、「家に帰ると、妻に向かって喚いた。『じゃあ、もっとわがままに生きろってことか!?』『え、今より!?』妻は仰天した」。これがいちばんおかしかった。
自分自身、ここ何年かしつこい肩の痛み(世に言う五十肩…)や目の不調(光視症ってヤツ)にかなり悩まされてきたので、高野さんの苦闘にはすごく共感した。本当に体の不調、とりわけ痛みは人を支配してしまう。これさえなければ…と、あるべき姿を取り戻そうと必死になる。高野さんの言うとおりそれは「幻想」だ。「まあ、今はこんなもん」と思い「前に歩き続ける。期待せず、諦めず」。本当にそうだなあとしみじみ思いました。 -
Posted by ブクログ
ブータンに存在するといわれる雪男を探しに行くという名目でブータンを巡り、その時の旅を通して著者が感じたブータンという国、ブータン人について書かれています。
著者の本の魅力は、面白可笑しく軽いタッチでコミカルに書いている文章の中に、はっと気がつかされることが必ずある事。
例えはブータンの殺傷感の件、
「ブータン人にとって、大きくても小さくても命は命」
「体の大小より命の数」
日本人(のみならず欧米人)は「可愛い」という理由で判断しがちだけどブータン人は違う。外見がどうであれ、命の重みは同じ。
ブータンというこの小さな国から学ぶべきことがまだまだ多くあるのではないかと著書を読んで思いました。 -
Posted by ブクログ
「あぁ、旅行記が読みたい」と思ったところ、書店で見つけた「イスラム」×「飲酒」のタイトル。宗教や世界情勢に詳しくない自分でも、「イスラム教では飲酒禁止」という意識があったので惹かれた。
最初のあたりで見覚えのある、けれどTVスペシャルでも「ムー」でも聞いたことのないUMAの名前が出てきた時点でハッと気付いた。あとがきを見ると例のサークル名。というわけで、高野秀行氏が著作であることが分かった。
酒と料理に関する旅行記は大好物なので、2回にわけで一気に読んだ。2回に分けたのは酒が入ってしまったから。こういう酒が飲みたくなる酒に関する本は素晴らしい。そして何やら酒飲みの自分が許された気分になるから不思議なもの。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ高野 秀行 『怪魚ウモッカ格闘記 インドへの道』
(2007年9月・集英社文庫)
探し物中毒の著者は、ある日、インドの謎の怪魚ウモッカの情報を入手、「捕獲すれば世紀の大発見!」と勇み立つ。ルール無し、時間制限無しの戦いが始まった。
次々と立ちふさがる困難を砕き、著者は進む。
地元漁民の協力を仰ぐための現地語学習、捕獲した時の移送ルートや鑑定できる学者の確保。
ついに怪魚探しの秘密兵器を手にインドへ。
しかしそこには予想を超えた展開が!奇想爆走ノンフィクション。(裏表紙より)
ああ、また出会ってしまった・・・。
今年の運命の出会いは万城目さんで間違いないと思っていたのに、これだからツンドク山は侮れない。
え~い!別に運命の出会いが年に二回あってもいいじゃないか。
ひょっとしたら深津絵里と中谷美紀から同時に告白されるかも知れないじゃないか(どっちもねーよ)。
というわけで、高野秀行氏を今年出会った運命の作家第2号に認定!
なんだこの驚異的なまでのくだらなさはっ!!
そしてなんだこの熱さは!あまりにもアツすぎるぜ高野秀行!!
ウモッカを知る。サイトの責任者に会う。ウモッカの発見者に会う。専門家の意見を聞く。
現地語を覚える。現地での探索方法を決める。必要な物資を用意する。パートナーを探す。
ウモッカを捕獲した場合の輸送手段を考える。・・・・。
お~い、いつ出発するんだい?
ウモッカタウンに着くのはいつになるんだい?
若さにまかせてとりあえず出発、ってのも良いが、この人なかなかどうしてしたたかである。
インドに着いてしまえば出来ることは限られてしまう。
だから日本にいるうちに考え得る限り最大限の準備をしておかねばならない。
うん、そうだその通りだ。
この辺までも普通に面白かった。
しかし中盤からもっとすごいことになろうとは・・・。
この高野さんという人、日ごろの行いが相当悪いのか、はたまた前世でどえらいことやっちゃったのか、向こう三軒両隣分ぐらいの厄を背負っていらっしゃる。
本人のみならずパートナーのキタ氏にまで、笑っちゃいけないと思いながら爆笑級のハプニングが続出。
そうそう、このパートナーのキタ氏のキャラがまたスゴい。
ウモッカの存在は頭ごなしに否定し、やる気のカケラも感じられないこの人をなぜパートナーに??
でも読み進むうちに非常に魅力的に思えてくるし、なぜか憎めないそのキャラは出色である。
ウモッカがよりもこの人が実在するかどうかのほうが気になるわい(笑)
そんなこんなでこのウモッカ話はまだ続くらしい。
高野さん、ウモッカのためになぜか自転車に乗って日本中を走り回っているというから、さらにオバカ度がアップしている模様である。
ああウラヤマシス・・・。
80点(100点満点)。 -
Posted by ブクログ
酒飲み冒険者が「禁酒」の地、イスラーム諸国で酒を求めて右往左往するルポ。
行き先はパキスタン、アフガニスタン、チュニジア、トルコ、マレーシア、シリア、バングラデシュなどなど。
なんともすごい行動力です。たいてい男2人ってのが機動力の源でしょうか。付いて行ってみたい。
そんなこったろうと思ってましたが、やっぱり全く飲めない国というのはないのです。
ただ、酒を飲もうとすればするほど、地元民と隔たってホテルのバーや高級料理店に行かざるを得ない(表面上)という二律背反はおもしろい。
文章はツボを押さえ厚みがありながらも平易で、すぐに読めてしまいます。酒を意味する「アラク」という言葉の伝播と変遷などのちょっとした考察、「イスラーム諸国での飲酒は日本でいう未成年の飲酒のようなもの」「ドラッグみたいな扱い」「公共の場では顰蹙を買う暗黙の了解」みたいな実感のある描写が興味深かったです。
何より、イスラームに無関心な日本で、日本人によってこんな突っ込んだルポが出されているのが何よりすごいし、それだけで読む価値があると思う。
日本で働いていたことのある人々もちょこちょこ出てきます。すごかったんだな、バブル。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本当に、誰もやらないようなことをやって
面白可笑しく文章を書くという
ご自身で仰っているとおりで、非常に面白い。
この本は、酒が公に認められていないエリアで
普通なら無理だと我慢しそうなところを
様々な苦労もしくは取り越し苦労をして
酒を手に入れたり入れなかったり
兎に角イスラムでの飲酒をテーマにまとめられている。
酒好きの自分ですら、もう今日は諦めればいいのに、と思ってしまうほどの苦難の道のり続き
ここまでの酒への情熱に、ついには感動すら覚えるほど。
確かに酒さえ飲めれば良いのならアル中かもしれないが
地元の人と外で和やかに飲むのが楽しいというのは成る程立派な酒飲みである。
そうすることで理解出来ることも勿論ある。
テレビや教科書で語られる民族のイメージや社会事情が全く嘘とは言わないが
こうして体当たりで生の等身大の文化に触れ
それを本と写真という形で知らせるというのは
本当に凄いことだと思う。
印象的だったのは、不浄の動物である犬を筆者が写真を撮ろうとしていたというので
捕まえてカメラの方を向かせようとしてくれる人がいたというエピソード。
新渡戸稲造氏が武士道を書くにあたり、
日本は宗教なしにどうやって道徳を教えるのか
という異国の人からの疑問からはじまったそうだが
日本の宗教というものへの寛容さ
外国の宗教というものの文化への色濃い影響について
色々と考えさせられた。
酒飲みなら、思わず酒が飲みたくなるだろうし
お酒に興味のない人でも十分に楽しめる内容だと思う。
イスラムが好きな人は勿論、偏見のある方にも是非ともお勧めしたい。
相変わらずの高野式行動パターン。もはや定番の様なバタバタ。それがたまらなく面白い。
ブログにあった土下座写真もこれか!と思わず。