高野秀行のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
タイトルから勝手に、その地域の環境に適応するために、お酒を飲むようになったのでは?と思っていたけど、そうでもないらしい。
→
彼らは決して「遅れている」わけではない。「自然と共生している」わけでもない。コンソ人もデラシャ人も強烈なデベロッパーであり、自然と作り替え、コントロールしようとしていた。酒を主食とする食生活もやむおえずそうなってしまったわけではなく、意識的につかみとったものだろう。その意味では現代の日本人や西洋人と同じだ。ただ、「進んだ方向性が違う」のである。だから、西洋文明が世界基準になってしまった今、「遅れている」ように見えるだけだ。
こういう見方ができるようになりたいと思 -
-
Posted by ブクログ
外国人から見ると、見慣れた東京の街が異国の「トーキョー」だった。辺境を旅する作家•高野秀行さんがこれまで出会った外国人との邂逅を綴ったエッセイ。
フランス語を教えてくれたシルヴィ先生は『語学の天才まで1億光年』に、盲目のスーダン人マフディさんは『移民の宴』にも登場していた(あちらではアブディンさん)。マフディさんの有能ぶりには舌を巻く。目が見えないハンデの中で、異国の地で暮らす苦労は想像を絶するけど、それを感じさせない明るく陽気なキャラクターで微笑ましい。
「どうして日本人はこんなに英語ができないのか」
「日本人はわかりもしないのにイエスと言う」
先週まで北米出張に出かけていた私には刺さ -
-
Posted by ブクログ
ミャンマーの辺境•ワ州に世界で初めて長期滞在した経験を持つ辺境ノンフィクション作家の高野秀行さん。その経験を買われたのか、今回は冒険小説作家の船戸与一さんの付き添いとして“合法的に”ミャンマーを訪問。二人は早大探検部の先輩後輩という関係だったのは驚き。
高野さんらしくユーモラスなエンタメ系ノンフィクションに仕上がっている。ミャンマーを江戸時代の日本に見立て、国軍と情報部を徳川幕府と柳生一族と対比して描いているところは、わかりやすくて面白い。アウンサンスーチーは千姫かよ(笑)
こういった例えは後に『謎の独立国家ソマリランド』や『イラク水滸伝』でも用いられ、いまや高野さん流の表現手法として定着し -
Posted by ブクログ
ネタバレ未来国家ブータン
これで4冊目のブータン本。ちょっと一端のブータンファンの竹蔵であります。
国王のフェローとしてブータンの公務員を務めた令嬢、御手洗珠子さんの「ブータン、これでいいのだ」がとても勉強になる本だったので、世界の珍獣ハンターの高野氏のこの本もとても期待して読みました。
高野氏は優れたエンターテイメント小説家でもありすが、世界の不思議な生き物を追いかける探検家でもありまして、今回は生物多様性の調査を隠れ蓑にした雪男(イエイティ)の探索のルポであります。
ほぼ全編にわたって、ブータンの辺鄙な村のルポルタージュですが、表題にもあるように、氏のブータンに対しての考察(=未来国家)が語ら -
Posted by ブクログ
初めて読んだのがアヘン王国潜入紀。
信じられないくらい面白くて、他の書籍も色々読んだが、様々な辺境にも言語は存在する中で、著者の野性的かつ本質的な言語習得能力はタイトルが謙遜過ぎるくらい。
非母語(外国語)の文章を読んで理解するということは「情景が浮かぶ」ことである。
単語一つひとつの意味がわかってもそれが像を結ばなければ理解したとはいえない。
言語によって階層化され、話者同士で上下関係が無意識に形成されていくのは納得。
コンビニでカタコトの日本語で接客する留学生は私なんかより全然優秀だが、日本人東大生を前にする気後れがないのが言語の受け止め方。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今までブータンという国がどんな所なのか、殆ど知識がなかったので勉強になった。今はこの本が書かれた頃からだいぶ年月が経っているので、どんな風になっているのか興味がある。
最終章で、殆どの国は欧米の影響を受け、近代化に邁進し、自由、人権、民主主義が推進される。個人の自由は広がるが格差は広がり、治安が悪くなる。環境が大事だ、伝統文化が大切だという頃にはそれは破壊されている…
ブータンはこの道を辿らず、先進国の良い所だけを取り入れて、独自の国を作っている、という考察が印象的だった。ブータンだっていい事ばかりじゃないだろうけど、今の日本を見ていると、ブータンの国のあり方をもう少し参考にしたらいいんじゃな