高野秀行のレビュー一覧
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ネタバレ「謎の独立国家ソマリランド」に続く、高野さんのソマリア本第2弾。
「内戦が続いているソマリアで平和な独立国家があるってどういうことなん???」という色んな謎や疑問点、そして今まで映画「ブラックホーク・ダウン」と「何か海賊?がおって日本の石油とか積んだ船が通られへんらしいで?」というイメージしかなかったソマリアという国が少しづつ明かされて行く過程が面白かった前作とは違い、今回はソマリアに関する知識がそこそこある状態で読み始めたので、インパクトはトーンダウンしてるんやけど、ワイヤッブやハムディの後日談として楽しく読めたと同時に、日々変わりゆく情勢を見るに少し寂しい読後感もありました。
高野さ -
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辺境作家高野さんの腰痛との闘いというか、オブセッションの記録。1回6,000円の治療院に通い詰めることができるとは三畳の部屋に一人で住んでいるころから比べるとかなり羽振りがよくなったなあ、とはじめのエピソードを読んでまず思った。結婚もしているし。
実はそれは手始めで、その後の高野さんの腰痛治療の道はあちらに行きこちらに行き行先も定まらないまま迷走を続ける。最後は、心療治療にまで行き着き、うつ病の薬を処方されるまでになってしまう。薬の服用は睡眠にまで影響して明らかにおかしいのだが、高野さんは何かをやらないと不安なのかそれでも薬を飲み続ける。アヘンもカートも中毒になるくらいやっていたので薬に抵抗 -
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高野秀行のフィクションは、基本的に体験に基づくもので、取材して書いたものではないと思う。勿論このままではなく、色んな体験を合わせて一つの物語にしたのだろう。だからフィクションだけど語り手は高野秀行なのね。
『またやぶけの夕焼け』は少年期の物語で、あれも良かったが、青春期の物語はほろ苦さと切なさがいい。朴さんとの恋愛未満の関係は、今どきの青春ものにはない上品な哀感がある。
アジア人の魅力、日本人の特徴もよくわかって、若者に積極的に薦めたくなる。ろくに外国に行ったこともなければ、外国人と深く関わったこともない奴に限って、近隣アジア人を貶めるようなことを言う。そんなつまらない、嫌な大人になる前に、高 -
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感想:ワセダ三畳で有名な高野さんの本。多国籍新聞社ASIANでの日々を綴った濃密な内容。
まず、この多国籍新聞社そのものが魅力的。タイ、台湾、ミャンマー、マレーシアの新聞を発行しているけど、内容はめちゃくちゃ杜撰。システム化なんかされてなくて編集会議すらやらない。でも、毎月ちゃんと発行されて、利益も出ている。
そこで働いてる人達もかなり個性的。子犬的姫的社長の龍さん、敏腕だけど乙女チックな朴さん、インドネシアの大富豪バンバンさんなど、個性豊かな登場人物がたくさん登場する。
その個性的な題材を高野さんの個性的な文章で料理しているのだから、面白くないわけがない。
高野さんの作品に共通することだが -
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決して地理的、エネルギー資源的に恵まれている訳でもないのに国民が幸福であるという。
本書では、その幸福の理由が国王にあるとらしいと指摘している。全国行脚を行い、国民から絶大な信頼を得ているブータン国王にリーダーシップのあり方を学ぶべきかも知れない。
まず置かれた状況が幸福であるというところからスタートしているのがポイントだろうか。そして目指すビジョンを先進国とは別の軸で定義している。非常にビジョナリーなリーダーだと思う。
また、ブータン国王同様に著者の高野氏も幸福な考え方を持っている様に感じる。どんな辺境に行っても現地の人と交わり、状況を受け入れる姿勢が素晴らしいと感じる。
もしかして、 -
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世界各国の辺境の地を好んで旅する著者のエッセイ、対談などをまとめた一冊です。著者の旅する場所は、もちろん観光地などではなく、危険すぎてあまり外国人が近づきたがらない土地ばかり。ゲリラに同行したり、アヘン中毒になったり、違法に国境を越えたりと、一般常識を逸脱することもしばしば。こんなことしていて、よく生きて帰ってこられるなぁと感心してしまいます。けれどご本人は、旅をすこぶる楽しんでいらっしゃる。タイトルに〝中毒〟とあるとおり、もはや普通の旅では満足できないのでしょうネ。旅には憧れるけれど、できればのんびり温泉にでも浸かっていたいという自分のような凡人には、とてもまねのできないことです。こうした読
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今回のテーマは「愛」。
うすぐら~い印象になりますね、怪談のテーマが愛だと。そういう印象持つのは、愛っていうハッピーなイメージと同じぐらいに、どろどろした憎しみのイメージがあるからでしょうね。
そんな恋愛したことないですが。
全話通じて、過ぎたるは及ばざるが如し、っていうのが思い浮かびます。なんかもう、気持ち悪いさが酷い。
怪談って、怖さなんだけども、今回は気持ち悪さです。
そういうお話になるきっかけの心の動き自体は、理解できないものではなかったりするので、余計に。
行き過ぎた愛欲の気持ち悪さ。異性・同性・家族・他人問わず。
「犬小屋のこと」が一番怖く。
「ある姉妹」「隣のベッド」で人の -
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「辺境」をこよなく愛する。先進国という「出来上がった場所」にはない意外性と、想像もつかない非常識に出会うワクワク感。ミャンマーのアヘン栽培三角地帯からタイへの帰還後。「ターミナルのそばにはセブン-イレブンがあり、つい2週間前ほど前までは世界の果てみたいなところにいた私は、その過剰としか思えない豊かさに呆然とした。」。そう。そうやねん。日本も、過剰やねんよなー、あまりみんなそう思ってないみたいやけど。
探検部つながり秘境つながりの作家との対談。
また、辺境ノンフィクション本の書評。短い文章から著者の視点の独自性と読ませる力が伝わってくる。次は長編を読んでみよう。