高野秀行のレビュー一覧

  • イスラム飲酒紀行

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    一般に飲酒がタブーであるイスラム教国で、酒を求めて徘徊する紀行文。酒好き、旅好きとしては「イスタンブールのゴールデン街」、「ムスリムの造る幻の銘酒を求めて」といった章題を追っていくだけでもわくわくする。

    訪れる国はプロローグも含めて、カタール、パキスタン、アフガニスタン、チュニジア、イラン、マレーシア、トルコ、シリア、ソマリランド〈ソマリア〉、バングラデシュ。

    酒に対する筆者の欲求は同じ酒飲みから見ても度を越しているようにも思えるけれど、その執念が生むエネルギーこそが、異国におけるタブーという建前の向こう側を覗くエネルギーになり、そこから垣間見える本音はステレオタイプのイメージを塗り替えて

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    2013年11月19日
  • イスラム飲酒紀行

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    私は酒飲みである。休肝日はまだない。

    すてき!!あたしこの著者と旅したいーー!!
    イスラム圏やインドにいたとき、酒が容易に手に入らないところでは「我慢する」という手段しか知らんかったわ…まだまだ甘いな。
    高野さんの執念に敬意を覚える。
    どんなところでも人がいるところに酒はあることを学びました。

    酒を切り口に、宗教やイスラム圏の生活を知ることができる本。
    人って「後ろめたさ」を共有することで、何か深い絆で結ばれるような気がする。
    お酒って美味しいのと酔えるのに加えて、「後ろめたさ」を伴うのがいいのかも。
    宗教についても、改めて興味が湧いた。

    また、本の中に度々登場する森さんの写真がすきです

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    2013年11月18日
  • アジア未知動物紀行 ベトナム・奄美・アフガニスタン

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    ベトナムに猿人フイハイを追い、奄美に妖怪ケンモンを求め、アフガニスタンで凶獣ペシャンクパラングを探す、そんなノンフィクション。未知動物もさることながら、世界の土地土地の風土や生活が面白く描かれているのが良い。

    高野秀行の作品では、大昔、『幻獣モケーレムベンベを追え』を読んだが、まだまだ広い世界には未知の動物がいるようだ。

    高野が、あの船戸与一に三日いたら、絶対見られると言われ、ベトナムにフイハイを捜しに行くというクダリが面白い。

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    2013年09月16日
  • イスラム飲酒紀行

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    なぜか感想をアップしていなかったことに気づき、この機会に再読。高野さん、飲み過ぎでしょ!と突っ込みつつ、やっぱり笑ってしまう。ほんと、酒飲みってこうだよなあ。お酒のため、とりわけうまいお酒のためなら、いそいそと大抵のことは面倒に思わない。他のことにはズボラでも。

    表向き飲酒が禁じられているイスラムの国々だが、人々はやっぱりお酒を飲んでいる。高野さんはなんとか地元の人と一緒にワイワイやりたくて、ずいぶん怪しげなところにも足を踏み入れていく。読者も一緒にその場にお邪魔しているような臨場感たっぷりのエピソードを読んでいくうちに、イスラム社会の姿がぼんやり見えてくる。そこが最大の読みどころだろう。

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    2013年09月11日
  • 【カラー版】未来国家ブータン

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    ●「ブータン方式とは、国民の自発性を尊重しつつ明確に指導すること、もう一つは巧みな保管システム」
    企業にも当てはまる。こんな組織を作りたいな~
    ●未来国家ブータン 私たちがそうなったかもしれない未来

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    2013年08月18日
  • 【カラー版】未来国家ブータン

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    『謎の独立国家ソマリランド』が非常に面白かったので、そこで「似てる!」と高野氏が評していたブータンを書いた本書にも挑戦。

    相変わらず面白い!
    今回は自らの疑問を確かめに、というのではなく、仕事として依頼を受けての旅だったようだ。え~、なになに、生物資源調査…?医薬品や食品を作るための研究開発と。政府の公式プロジェクトで、本格的に始めるための第一弾調査ということらしい。
    ご本人も、そんな専門知識もないのに調査なんて!と思いつつも、「雪男、いるらしいですよ」の一言にほだされて行くことしたとかなんとか。
    う~む、さすが高野氏。

    幸福の国ブータンにも被差別民はおり(政府としては解放されたとしている

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    2013年08月15日
  • 【カラー版】怪魚ウモッカ格闘記 インドへの道

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    古本で購入。
    高野作品3冊目。

    自身のブログに寄せられた
    「インドの『謎の怪魚 ウモッカ』を探してください!」
    というコメントをきっかけに、怪魚ウモッカ調査計画が動き出す!

    それは確か。間違いない。
    でもこの本のすごいところはそこじゃない。

    それは…
    ウモッカ目撃地たる「ウモッカタウン」にたどり着けないところなんです。

    なぜたどり着けないかは読んでほしいんだが、そんなの本にするか?普通。
    結局、現地を歩いたのは高野の相棒のキタ。
    高野はキタとのメールのやりとりでウモッカタウンの様子を知る。

    そんなドキュメンタリーはなかなかないなぁ…

    しかし「看板に偽りあり」と言うべからず。
    確かに

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    2013年07月22日
  • イスラム飲酒紀行

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    『酒』を切り口に、イスラム文化圏の国々のムスリムの人々の生活を面白おかしく伝えてくれる。旅につきものの失敗や事故も、実に楽しくつたえてくれる。本人は機嫌が悪いとか、怒っているとか言っているが、文章をとおしては、それ自体が面白く感じられたりする。高野氏が幾多の旅で関わってきた人間の多用さ、それによって養われた寛容さ?がそう感じさせるのかもしれない。
    一度も行ったことがないイスラムの国々を楽しく旅させてもらったし、心もトリップできた。『謎の独立国家ソマリーランドーランド』を次には読んでみたい。

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    2014年06月23日
  • 【カラー版】未来国家ブータン

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    いや~面白かったです。

    ブータンという国のイメージは、あの震災後に日本に来てくれたワンチュク国王の凛とした様子、また龍の国であるという話しなどなどから、大変尊い素晴らしき桃源郷のような国であろうというように思っていた。

    そうしたら、高野さん、人口はだいたい八王子と一緒くらいときた。雲の上の素晴らしき国と思っていた所が、急に身近と言うか、下世話な感じがしてきた。

    今回の高野さんの表向きのミッションは国家プロジェクトの基礎調査。しかし本当の(!)調査は雪男をはじめとする不思議生物の存在を確認することだ。

    いまどきはグーグルマップなどで世界中のどこでも家にいて見られるようになっているのだから

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    2013年05月31日
  • 【カラー版】怪魚ウモッカ格闘記 インドへの道

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    やっぱりこれは空前絶後。だって、未知動物探しに「行ってない」のにこんなに面白く読ませるんだものね。普通なら失敗として葬り去られそうなものだが、転んでも(思いっきりすってーんと転んでる)タダでは起きない、というより、転び方こそが素晴らしい。

    とにかくインドに行くまでの準備が周到ですごい。現地の言葉を習得してから行くことが辺境旅の秘訣だと、他の著書でもしばしば触れられているが、なかなか難しいことだと思う。高野さんはいったい何カ国語をしゃべれるのだろうか。

    また、準備の過程で調査のために会いに行く人たちが、それぞれに個性的で楽しい。ネットでなんでも調べられちゃうご時世でも、顔を合わせてナマの声を

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    2013年05月17日
  • 【カラー版】神に頼って走れ! 自転車爆走日本南下旅日記

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    東京から沖縄まで、インド再入国を神様に祈願しながら自転車で走破した旅を、日記と写真でつづったもの。まあ、高野さんにとっては軽めのトライではあるけれど、結構なペースで走ってるんだよね。ムベンベ探索を共にした野々山さんの言葉「俺は好きなことしかしないけど、好きなことは必ずしも楽なことじゃない」は実に名言で、これもまた「楽しいけどラクじゃない」旅だ。

    行く先々で待ち受ける知り合いの方々や、民宿のおばちゃんたちなんかとのやりとりも、さらっと書かれていて楽しい。基本的に一人でする旅だからこその味わいなんだなあと思う。高野さんの旅は、集団でする探検行の場合でも「一人で」という感じがする。そこがいい。ご本

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    2013年05月11日
  • アジア新聞屋台村

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    てんこ盛りのドタバタなエピソードは読んでて楽しい。それにしても、このアジアの人たちのバイタリティはどうだ。屋台は鍋ひとつで始めれる。思い立ったが吉日。すぐ行動。やっぱり、それいいわ。

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    2013年05月08日
  • 世界のシワに夢を見ろ!(小学館文庫)

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    著者自ら「最高の『バカ度』を誇る」「バカ最長不倒距離」という本書。文庫版あとがきの「今後これを上回るバカな本は書けないだろう。少なくとも、そう願いたいところだ」に笑ってしまった。

    ついに朝日読書欄にも登場し、認知度がぐっと高まった高野さん。我が事のようにヨロコバシイ気持ちになりながらも、こんな変な本も書いてるんだよ~んと、これとか「アヘン王国潜入記」とか引っ張り出してきたくなったりする、妙なファン心理なのであった。

    この文庫版は何と言っても解説が素晴らしい!井原美紀さんの鋭い観察力と洞察力に恐れ入る。辺境の旅を好む体質について述べられているくだりにはたいそう納得した。
    「探検家と普通の人と

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    2013年04月22日
  • 【カラー版】辺境中毒!

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    「辺境の旅はゾウにかぎる」の文庫版。文庫化にあたって編集し直されているというので読むことにした。うんうん、やっぱり面白い。高野さんの書くものを好きになった人は、さかのぼって色々読みたくなるだろうから、文庫になって読みやすくなるのはとてもいい。

    デビュー作「幻獣ムベンベを追え!」が最近増刷になったそうだ。最初の二年ほどはまったく売れなかったらしいが、ちゃーんと生き残ってる。当然と言えば当然だとしても、なんだか自分のことのように嬉しかったりする。

    増刷と言えば、「謎の独立国家ソマリランド」も三刷が決定したそうだ。いやあ素晴らしい。あの分厚さや価格、決して一般的ではない内容からしてこれは快挙では

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    2013年04月18日
  • 【カラー版】未来国家ブータン

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    国土の津々浦々まで足を運び民の話しを聞く現場主義の国王。純真な瞳と素敵な笑みを絶やさない官僚たち。選択の自由を尊重されつつ迷う場面には明確な指導を受ける国民。民主主義というより専制君主国家のようだけど、それが高いGNHを生むしくみならそれでもいいのかも。古き良き時代を失わず独立を守るため世界に認められる国家への道を模索するブータンでは雪男は見つからなかったけど、いつか行ってみたい。

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    2013年04月17日
  • 腰痛探検家

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    【韓国語版】私小説は日本の伝統かも知れないが個人的興味はない。ましてや腰痛闘病記?実は私も高3の卒業登山でギックリ腰になり大学の山岳系同好会に属しながら山が地獄のように思えた1年がある。だから共感はできる。但、韓国語多読という目的がなければ一生読まなかった類の本だ。だがだが!これが実に面白い。日本語原書未読にも拘わらず私がのめり込んだ最初の外国語本となった。分らない単語があるにも拘わらず先を知りたくて頁を捲る。忘れていた幼年期の読書感覚!私の読書生活のターニングポイントになるかも知れない強烈な体験だった。


    【韓国語版】韓国語多読第3弾!気のせいか韓国語を読むのがちょっぴり早くなったような気

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    2013年04月06日
  • 腰痛探検家

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    ネタバレ

    腰痛持ちの身としては,治療体験は興味津津.
    かなり重症な筆者があらゆる治療を試しながら抱く,いろいろな妄想?。
    腰痛持ちにはお勧め.

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    2013年03月29日
  • 怪獣記

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    UMA(未確認動物)探索を語るのは難しい。その歴史と分類を小辞典風に纏めたものならJバルロワの『幻の動物たち』等の秀作がある。フィクションなら作家の想像力次第では如何なる世界でも紡ぎ出せる。但、自らが関わった探査行を描く場合、発見できなかったという事実が先にあるのが普通である。万が一発見されていたら当然大ニュースになっている筈。発見のない探検を如何に描くか?『幻獣ムベンベを追え』は眩いばかりの青春群像だった。『怪魚ウモッカ~』ではカフカの城的不条理な手法を使った。本作では?何と筆者は未知と遭遇してしまう!


    『さていよいよ出発だ。勝負だ。本年四十歳の私は、Tシャツにビニール袋をまきつけ、下は

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    2013年04月02日
  • 腰痛探検家

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    あははは、おもしろーい!高野さんは何を書いても面白いなあ。自身の腰痛体験をつづった「腰砕け巨編」、まさにこれは高野さんが目指しているという「誰も書かない本」だよね。

    読み終えて思ったのは、高野さんって本当にまじめなんだなあということ。よい治療を求めて東奔西走、いくつもの整形外科や整体、整骨院、果ては心療内科まで渡り歩き、その都度そこの腰痛への考え方をとことん知ろうとし、感化され(そこがおかしい)カラダについて、ついには人生についてあれこれ考える。あとがきで高野さん自身が書いているように、腰痛に執着し、とりつかれている。

    でもそこはそれ高野さんのこと、サービス精神満点で、いつものように笑わせ

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    2013年02月23日
  • 腰痛探検家

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    腰痛探検家。腰痛になっちゃった探検家でもあり、腰痛の世界を彷徨う探検家、でもある。
    本物の探検の予定も控えているし、チャッチャと治してしまいたい作者の願いとは裏腹に、腰痛という密林は作者を捕らえて逃がさない。
    その密林で出会うプレデター、じゃなくて腰痛治療の専門家たち。鍼、マッサージ、気功、西洋医学、どれもがもっともらしく、どれもが胡散臭いが、痛みが消えることだけはない。
    意表を突く想像の斜め上の結末まで含めて、腰痛って不思議なものですね。

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    2013年02月17日