高野秀行のレビュー一覧

  • 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

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    辺境と歴史がテーマの図書を提示しての対談。
    高野のあとがきが実に良かった。
    教養とはと云う事なのだが
    「今自分がいるところ」を把握するには「ここではない何処か」を時間(歴史)と空間(旅もしくは辺境)という二つの軸で追求することが有効な手段で、その体系的な知識と方法論を人は教養と呼ぶのではないか。
    全体的に楽しんで読めたが最後のこの文章にはグッと来るものがあった。

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    2018年07月29日
  • 間違う力

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    高野氏の作品はかなり読んだ、どれもハズレが無く非常に面白い。なぜなら絶対に誰も選ばないテーマを、異常なくらい真面目に探究し、そしてわかりやすく伝えてくれるからである。そんな高野作品誕生の裏側を少し垣間見ることが出来た。

    本作にも記されていたが、事前に周到な準備を行うのが、日本人に多いタイプなのかもしれないが、高野氏の場合はあまり先々を考えずに、怪しい人にはどんどんついて行き、何度も痛い目に遭いながら、結果的に作品として成立してしまう。そんな彼の真剣に間違う姿に、僕等読者は中毒的なワクワク感を覚えてしまうのだ。

    でもきっと作品の中で、誰よりもワクワクしているのは高野氏本人なのだと思う。高野作

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    2018年07月14日
  • 謎の独立国家ソマリランド

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    ソマリ世界の事象はとても複雑だが、作者が確認がてら同じような内容を何度も言及してくれるので、大きな混乱もなく読み進められて、なんかありがたい。
    どの内容も新鮮な驚きにあふれていたが、「海賊を雇う際の損益計算」の具体例は圧巻。
    実際に現地に行って生で見ないことにはわからない、というのは本当に仰る通りだと思います。

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    2018年06月29日
  • 世界の辺境とハードボイルド室町時代(集英社インターナショナル)

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    先に「辺境の怪書 歴史の驚書 ハードボイルド読書合戦」という同じ著者同士の対談の本を読んで、それがあまりにも面白かったので第一弾のこの「世界の辺境とハードボイルド室町時代」を手に取った。そもそものきっかけは、ちょうど出版されたばかりの「辺境の怪書〜」が話題の本のランキングの中にあって装丁がその中で断トツにかっこよくて目を引いたからだった。それプラス高野秀行さんをTBSの「グレートジャーニー」で観て興味が湧いたので読むことにした。本文の中で場所や人種などは全く関係なく人間が進化?変化?する過程で多くの共通点があるというのはとても興味深かった。人間が自ら変わっていくのではなく自然にあるいは必然的に

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    2018年06月23日
  • 幻獣ムベンベを追え

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    ヘタしたら死人が出るような探検。
    今の時代だったら大問題になっていたかもしれない。

    それにしてもタフだ。

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    2018年06月14日
  • 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

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    ネタバレ

    前著ほどの驚きはなかった
    日本史の話が多かったからか
    ゾミアは面白そう
    それとあとがきが素晴らしい

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    2018年06月11日
  • 謎の独立国家ソマリランド

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    ソマリランドの存在は昔から知っていて、当然気になっていて読んでみました。

    当たり前だが、日本の常識、欧米の常識が人間の常識ではない。
    「氏族社会」、この本で初めてそれを知りました。
    決して分かりやすく説明されてはいないけど、今のソマリアを知るうえでの信頼できる相当量な情報が書かれている一冊であることには間違いないだろう。

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    2018年06月09日
  • 移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活

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    なんて面白いんだーっ。
    日本に住む外国人コミュニティの宴会に潜入! 食べ物、酒、旅、好きなものすべてがそろってる!
    国民性、適応のほど、嗜好の多様さよ。それらを尊重し、みんなが住みよい日本でありますように。

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    2018年06月03日
  • 間違う力

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    ソマリランドやアジア納豆の研究で著名な高野秀行さんの本。ソマリランドの研究をしつつ、納豆の研究もする、という事に対して割と疑問だったんだけど、この本を読んでかなり謎が解けた気がする。
    要は、高野さん自身の生存戦略の結果、このような事になった、という事なんだよね。
    本の名前や章タイトルは割とショッキングな物が多い。まねすると危険な物もあれば、まねすると良いこともあり、劇薬と言えば劇薬な本ではあるけど、きちんと使い訳ができる分別のある人は、まねをしてみると良いと思う。高野さんの本は個人的に非常に波長が合うので、他の本も読んでみたいな、とそんなことを思ったり。

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    2018年05月28日
  • 世にも奇妙なマラソン大会

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    ネタバレ

    読友さんにお借りした旅エッセイ。真夜中のラブレターのごとき意味のわからないテンションで申し込んでしまった西サハラのマラソン大会、ブルガリアで岩のようなおじさんから優しくされ女性の気持ちになったこと、インドへの再入国のために改名を目論む話、などなど、全部おもしろかった。こんなに失敗してる話なのに、読むと何だか旅はいいなあ、マラソン大会気になるなあ、とか思ってしまう。

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    2018年05月15日
  • 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

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    とりあげられている本はどれも読んでいないし、もともと歴史苦手だし、で、けっこう難しかった。やっぱりとり上げられている本を読んでないとぴんとこないのかも。でも、「ギケイキ」(これ、なんとなくタイトルはきいたことあったけど、まさか「義経記」のことだとはぜんっぜん考えもしなかった)をすごく読んでみたくなった。(「ピダハン」もおもしろそうだけど、高いなあ……。)

    いやでも高野さん本当に頭よさそうだし、めちゃめちゃ本も読んでいて教養あると思うんだが。お相手の清水氏は教授だから当然だろうけど。
    高野さんのあとがきの、教養が大切なのだっていう話になんだか感動した。この本でふたり読書会のようなことをして、体

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    2018年05月06日
  • 【電子特別カラー版】恋するソマリア

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    その昔、映画ブラックホークダウンでこの国の事を知り、それ以来なんだか気になってた。

    入ってくる情報としては、海賊とか未だ無政府状態なんていう危ない情報ばかりだったが、その内面の一部を垣間見ることができた。


    一番の感想としては、人間逞しいという事。
    先頭が未だ続いているものの、そこに人が日常生活を送っているという当たり前の事を改めて認識させられた。
    本著は作者の書き様から(というよりは性格?)日本では考えられない様な世界ながら、明るい面にスポットが当たってるのでとても読み易い。
    読みながらクスッとする場面も多々。

    カート(麻薬?)、氏姓制度など普段馴染みの無い世界観も著者の正に身を呈した

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    2018年04月22日
  • 世にも奇妙なマラソン大会

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    ちょっと日常に疲れて休憩したい時、著者高野さんの本以上にうってつけの本は無いのでは。そんな思いを新たにした本でした。面白くて読みやすい文章ですし、中篇3つ+短編いくつかと、ボリュームも手頃です。

    表題作は、誰しもがやっている?夜中のネットサーフィンで「アフリカ・中東 マラソン」と検索したコトをきっかけに、15km以上走ったコトのない著者がサハラ砂漠のマラソン大会に出場する、というとんでもない話。
    しかも「西サハラ」からの難民キャンプで行われ、参加者もボランティアの位置づけとなると、凄い大会になるのでは…と思うのですが、著者はライターとして、どうやって西サハラ(隣国モロッコから弾圧を受けて難民

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    2018年04月15日
  • 間違う力

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    高野さんの本なので面白いことは面白いんだけど、やはり散発的だし人生訓も高野さんにしては常識的過ぎる。

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    2018年04月02日
  • 【カラー版】巨流アマゾンを遡れ

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    ネタバレ

    軽妙な語り口で楽しく読み進められた。
    「つくづく旅というのは、何もその人が行った場所の時間的連続性だけではなく、その土地の歴史とその旅行者自身の歴史が縦横無尽に織りなしたものである」「肝心なのは、いかにその土地を自分が通りすぎ、いかに自分の中をその土地が通りすぎていったか」とある通り、行き先で起こる独特な人々との出会いはこの著者でなければ起きなかったことだろうと思う。あとがきにあったが探検のために言葉をマスターしていくとは……自分も見習わなければ。
    南米一の大道芸人サッソンの話とピラルクの話が好き。

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    2020年01月24日
  • 世界の辺境とハードボイルド室町時代(集英社インターナショナル)

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    多岐に渡る興味深い話題満載でとても面白かったです。清水氏の著作は読んだことがないので、今度読もうと思います。

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    2018年01月15日
  • 移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活

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    日本に移り住んだ外国人の生活や考え方、その中でも特に食事に焦点をあてた移住者ルポ。
    外国人の方々はすっかり日本の日常に溶け込んでいるにも関わらず、いざ生活の姿となると急にモヤがかかったように想像が難しくなります。
    日本に住む彼らがどこに集い、どんなものを食べ、どのような考えを持ちながら日本で生活しているか、興味深い世界を覗き見させてもらいました。

    成田に鎮座するタイの巨大寺院でお坊さんへのタンブンに勤しむ人々、南三陸で被災者への炊き出しを振る舞う底抜けに明るいフィリピン女性たちなど。
    印象的だったのはイランの女性です。イラン人の女性は著者へ、仕込みに17時間を要する絶品の家庭料理を振る舞いま

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    2017年12月30日
  • 【カラー版】辺境中毒!

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    僕の1990年代と2000年代は野田知佑氏と供にありました。どれが名作とかではなく存在が自分にとって重要な人物でした。2010年代は野田知佑氏も老境に差し掛かりあまり書籍が出なくて寂しい思いをしておりました。誰か心しびれさせてくれる冒険野郎は居ないものだろうかと思っていたら、知らないうちに完全に心を鷲掴みされた人物。それこそが高野秀行氏です。
    かなりの冊数を読んだので大分残り少なくなってきて寂しくなってきましたが、まだ50才とお若いのであと20年は頑張って頂けるのではないかと期待しています。
    いつもいつも思いもよらないテーマで面白おかしく書きつつも、意外と学術的価値もあったりと油断のならない作

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    2017年11月20日
  • 謎の独立国家ソマリランド

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    今までこうゆう本をあまり読まなかったけど、面白かった。情勢がころころと変わる場所なのだろうから、時々、ソマリランドはいまどうなってるのだろうと思いながら読んだ。

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    2017年11月05日
  • 【カラー版】ミャンマーの柳生一族

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    ネタバレ

    ミャンマーに興味を持った人が最初に読む本としてお薦め。
    世界の秘境ハンターとしてすっかり有名になった著書が、船戸与一の取材旅行の案内にとしてミャンマーに向かう。
    タイトルがいかにも怪しげなのはいつもの癖。軍事政権下で鎖国政策を取る、ってことは開国前の日本とそっくりじゃないかということで、ミャンマーを江戸期日本に見立てて説明していくのがこの本の趣向。
    取材は10数年前のこと、ジャーナリストビザはなんとか貰えた、ただし条件として軍情報部の旅行会社のお膳立てに従うこと。情報部の元締めキン・ニュンは首相でもある。彼のような人物を日本で探すと、江戸初期の柳生但馬守が一番しっくりくる、小説やドラマの中では

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    2017年10月28日