高野秀行のレビュー一覧
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ネタバレお気に入りの高野さん。著者の辺境ルポタージュを読む度に思う。もう “冒険者” と言ってもいいのではないかと…。
本書を読むまで恥ずかしながらブータンという国について全くの無知でして、興味深く読みました。
ブータン「国立生物多様性センター」と政府公式プロジェクトとしての生物資源調査の様子を綴った本作品。
…ですが、著者には「雪男」調査という大きな目的があり「むしろそっちがメイン?」と思えた。
中盤までは「雪男(ミゲ)」について。過酷なわりになかなか収穫がなくて何だかちょっと気の毒になってきた…。生物資源調査も然り。
世界の秘境を訪れ多数著書を出されてますが、こんなに過酷で身体は本当に大丈夫な -
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7人の作家によるエッセイアンソロジー。
もともと『考えるマナー』『楽しむマナー』という本の中からエッセイを抜き出して、子どもの悩みや質問に対する回答という形式で再編集されている。
サブタイトルに「迷回答」とあるが、そもそも質問に答えるために書かれた文章ではないため、答えになっていない「迷回答」になるよね、とは思う。
子どもの素朴な質問に対して作家が答えてくれた本だと思えば肩透かしを食らうし、一方で様々な作家たちの気軽なエッセイだと思えば楽しめる一冊。
好きなエッセイは
三浦しをんの「ボウリング最弱王決定戦」
高野秀行の、ありがとうを言わない民族と褒めることについて。
角田光代のクヨクヨしてし -
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高野さんの原点であり、早稲田大学探検部の伝説となった探検の一部始終。
後の作品の核となる、現地の人との現地語での遣り取りへのこだわりや、「誰も行っていないところに行き、それを面白おかしく書く」という高野さんのコンセプトの萌芽が読み取れた。
『語学の天才まで一億光年』を読んで色々と気になったことのピースが嵌ったと同時に、『飼い喰い』を書いた内澤旬子さんと高野さんが気が合う理由が垣間見えた気がする。
今、どこの大学でも探検部は存続が難しいと聞いている。探検は壮大な回り道だから、タイパ重視のデジタルネイティブには敬遠されがちなんだとか。もったいないなぁ。 -
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ネタバレしつこい腰痛と悪戦苦闘の約1年半。読んでいると自分も腰が痛むような気がしてくる。
整形外科、整骨院、整体、謎の治療院、鍼灸院、理学療法、東洋医学、心療内科までフルで受けているのにこれといった結果が出なかったのは不思議だった。治療法を探して途方に暮れる気持ちがよく分かる。
高野さんの場合は荒療治っぽい感じで水泳に通い続けて次第に良くなっていったということだが、筋力がついたと同時に時が経ったことも多少影響してるだろうなと予想。
何度も声を出して笑ったはずなのに具体的に何で笑ったのか覚えてない。腰痛についてしか書いてないのに面白かったなぁ。 -
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ネタバレこの本では、
「現代の辺境地域」と「日本の中世」に共通する
行動や習慣を面白がる所から
対談が繰り広げられていきます。
日本の中世と
アジア・アフリカ諸国の共通点で
興味深かったのが、
1.倫理観
日本の中世では複数の法秩序が重なっていたように、
現代のアジア・アフリカ諸国でも
近代的な法律と伝統的・土着的な法や掟が
ぶつかり合い、それが相反しながら社会で成立している。
2.未来の概念
日本語の【先日・後回し・先々・後をたどる】は、
「アト」「サキ」を使った言葉で
未来と過去を指す正反対の意味がある。
ソマリ語でも同じように使う「アト・サキ」に当たる言葉がある。
日本の中世 -
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ネタバレブータンに雪男を探す目的で行ったのだが、いつの間にかブータンという国を明らかにしようとしていたのは面白いなと感じた。
ブータンに伝わる雪男の話から、ブータンという国を理解するように行動が変わっていったという。
高野秀行は元々未確認生命体を探検していたが、どんどんテーマが大きくなりいつの間にか国家をテーマにするようになったと思われる。
ミスチルの桜井が歌う内容が「個人的な恋愛→精神→世界について」と変遷したのと似た感じがする。
人は探求を続けていくうちに、テーマが大きくなっていくものなのだろうか。
あと、高野秀行は豊富な知識から国について明らかにするのが得意なようだ。ただ国を観察するだけでな -
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また高野氏(笑)
今回は「雪男」につられて旅に出られた。本来の訪問目的は違うけど、誘う側の二村氏もまた巧みだなーと感心してしまう。(今回は一から公用語のゾンカ語を勉強されていて、気合が入っている、さすがだと思った)
(少なくとも当時は)半鎖国体制だからか民話と現実が混同したような世界観で、本当に実在しているのかと何度も首をひねった。読む前も未来国家というより未知国家だったけど、何故か奥地に踏み入れるほど現実から遠ざかり謎が深まっていく…
「雪山に囲まれたこの天井の楽園にいると何もかもありえそうで、信じるとか信じないという問題ではないような気さえする」
表紙も印象深い。東京と思われるビル群 -
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読書順として~
「西南シルクロードは密林に消える」⇒「河畔に標なく」⇒「ミャンマーの柳生一族」
正当な順だったと納得☆彡
高野さん、船戸さん、何れも読んできた内容はほぼ外れなく、楽しませてくれた。
船戸さんの作品がもう、読めないのが淋しいけれど。
日本軍の統治、ビルマの竪琴、収容所の実態は一つ前の世代なので詳しく知らないが、アウンサンスー・チーさんは何かとニュースで耳にしたくらいの知識しかなかったビルマあらためミャンマーという国。
不安定な政権と言う位しか解らなかった内情が1作目でかなり頭に入り、位置的に、不安定な情勢に絶えず悩まされ揺れ続いてきたという事が見えた。
この作品の最期に -
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早稲田探検部高野さんの活動記録。
大学生なのに科学的、建設的分析といったつまらないリアルは無視して冒険に没頭するところがすごくいい!!
この時代(80年代)、自分が子供だったというところがありますが、神秘的な謎がまだまだ多くて世界がわくわくだらけだったなあ。
そして時代が進み当時は自分の足と頭でしか獲得できなかった情報の多くが、インターネットの出現によって1クリックで確認できるようになってしまい、半端なくたくさんのことが知れるようになった一方で、定量化できない”わくわく”がごっそり奪われてしまったことに気づく。。。
とはいえ人生一度きり、地球に対して自分自身はちっぽけな存在なので、いい年