【感想・ネタバレ】異国トーキョー漂流記のレビュー

あらすじ

「私」には様々な国籍のユニークな外国人の友だちがいる。日本に「自分探し」に来たフランス人。大連からやってきた回転寿司好きの中国人。故国を追われたイラク人etc…。彼らと彷徨う著者の眼に映る東京は、とてつもなく面白く、途方もなく寂しく、限りなく新鮮なガイコクだ。愉快でカルチャー・ショックに満ち、少しせつない8つの友情物語。

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Posted by ブクログ

積極的に謎の企画を立ち上げて海外にいってアホをやらかしてくる多言語話者で貧乏な著者が、逆に様々な境遇で日本にやってくる外国人と東京を歩き、それぞれの国の文化や価値観、そして「トーキョー」という外国人から見た都会を見つめ直していく、笑いあり涙ありのノンフィクション。アメリカを非難しつつもマクドナルドを美味そうに平らげるイラク人や、暗黒舞踏に憧れて貧乏生活を送るフランス人など多種多様な人々と著者が織りなす台本のない喜劇に腹を抱えて笑い、時に鋭い指摘に極東に位置する日本という国の異様さにもハッとさせられる。一筋縄では行かないのに読みやすく、世界についての扉を開いてくれる良著である。

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2025年07月28日

Posted by ブクログ

探検は無いが、高野さんのとてつもない優しさとそそっかしさが満載で面白い。
マクドナルド好きのイラク人の話と、飛行機でたまたま隣に座ってたペルー人の話は、まさにノンフィクションはフィクションより滑稽なりである。またどちらも切ないオチがあって印象深い。

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2025年07月25日

Posted by ブクログ

『語学の天才まで1億光年』をだいぶ前に既読していて。ためになったし超絶!面白かった(ゆえに星五つ)のだけど、何て感想を書いていいものか分からないくらい完結していたので星だけ付けて寝かせていました。
そこに出てくるユニークな外国人たちとほぼリンクしていて少し違うエピソードもありつつ、こちらもまた面白かった。

『語学』のほうはタイトル通り、どのようにして多言語を習得し、それを活かしながら多様な国々人々とコミュニケーションを取ったか。そしてそれがいかに魅力的か。
『異国トーキョー』は、関わった外国人たちの異文化習慣や価値観に触れることで高野氏の中でいろいろなことが芽吹き培われていったこと。
言語、文化、習慣etcが違えど、人間同士のやりとりが微笑ましく…いや、もう、ただただ、

高野氏や外国人たちの純情さが愛おしく切なくなる。

端々に外国人たちの姑息さだったり高野氏が自虐する動機のセコさがチラチラと見えますが。相手に向き合った途端に読んでるこっちが心配になるほど人が好い。

読後、何故だか「じゅんわり」あたたかくなっちゃう。

今のところ(他の既読本も良作だけど)一番好きな高野本です。
ちなみに、サラサラッと読めて(物理的に)薄めなところもまた他の作品と違っていいところ。

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2025年01月22日

Posted by ブクログ

ちょっとググれば知りたい情報仕入れて大抵の言語を多少なり学ぶ術があって、面倒な人付き合いもそこそこにしてあちこち飛び回れる、大層便利な時代になった。もーこんなまわりくどいこと好き好んででもしないと体験できない。真面目で不器用で真っ直ぐな高野青年が、ひとつひとつの出会いの中で、いろんなものの見え方、捉え方を発見しながら国際人となる過程を見届けているようでとても面白い。

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2024年11月11日

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高野さんの他の著作を読んでいると、状況や当時人物に共通しているものがあって、ストーリーを補完してくれる楽しさもある。

高野さんが狂言回しとして、トーキョーにやってきた7人の外国人の物語が綴られる。

スペイン人とペルー人、イラク人の話が好み。みんな、話に少し寂しさというか、ビターな雰囲気があって、そこが良い。

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2024年01月23日

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面白いけど、少し考えさせられる。

人の行かないところへ行く、人のやらないことをやる、というのが辺境ライターたる私のテーマである。
変なところに行ったり変なことをすることで出会える人がいる。面白い話ができる。

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2023年08月17日

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東京も、外国人とすごせば異国"トーキョー"に見えてくる……
登場する日本で暮らす外国人たちがみな個性的でおもしろいのは、(わざわざ日本に来るような人たちだ、)各人の個性も十分あるだろうが、同時に著者の目線のおもしろさもありそうだ。
どのエピソードもおもしろく、また興味深いものだった。
なかなか海外旅行に行けないいま、すこし他人の視点を想像すれば、ここ日本でも異国を感じることができるかも、というワクワクを感じることができた。

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2022年01月10日

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日本に居ながら海外を旅したような気分になれる、高野秀行が出会った面白おかしい『ガイジン』との数々のエピソードを交えた物語。

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2021年11月17日

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2021/01/13

自然消滅していく、お話がものすごーく好きです。

少し悲しかったり、光が見えたり、笑えたり、高野先生の冒険も好きですが、エッセイもいいですね。

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2021年01月14日

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在日外国人との交流を通し、著者のペーソスがかたられる。
著者の得意な冒険記的な作品ではなく、命を預ける相手という濃ゆい付き合いではない。東京という大都市の中で袖擦り合う程度の淡麗な関係であるため、外国人諸氏との付き合いも淡麗である。何度か一緒に飲んだことがある痴人と友達の間くらいの関係、といった程度の濃度である。
長い人生の中で少しの間交わった外国人たちとの交友がテーマであるため、著者の関心は2つに絞られる。在日外国人の東京における生き方と、在日外国人との交友を通した著者自身の生き方である。
個人的には、日本野球に詳しい盲目の青年の話が印象的だった。障害という日本で生活するためのハンデを笑い飛ばし日本での渡世をしてゆく姿は痛快。その痛快さが彼の持つ奇跡的な知性の産物だとしても。
反対に、就労ビザを取れなかった青年の話はとても切なかった。もっと交流すればよかったという著者の後悔はとてもよく理解できる。

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2019年12月06日

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異国の人と一緒に過ごし、慣れた東京が異国トーキョーを見える

高野さんが80~90年代に東京で出会った、外国人との交流を書いた本作は、およそ普通の人は誰一人出てこないが
きっと彼らからは日本や日本人のことを変わった国や変な人と思われたりする事もあるのだろうと思う
日本人にとって日本は普通の国だけど、世界から見ればそうではないということに気づいた

高野さんのように新しい事に恐れずに挑戦できるようになってみたい

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2019年06月23日

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ネタバレ

東京で出逢った様々な国の外国人達を通して高野さんが異国の「トーキョー」を体感!

改めて高野さんの発想のユニークさに驚いた。
辺境を旅するため、その国の言葉を覚えるには現地出身者に習えばいい、と色々な伝を頼りに東京にいる外国人を探しだし教えてもらう。
相手との考え方や風習の違いなんて何のその!
違う方が面白い、と相手の懐にスルリと入って行く。
ただ受け入れるだけでなく、相手や相手の国の情勢等を冷静に見る目も持っている所もさすがだ。

世界には文字を持たない言語が無数にあること、外国人も実は外国語が苦手なこと、そしてマクドナルドの重要さに驚いた。

思わず大笑いしたりしんみりしたりとこの一冊で私も色々な「トーキョー」を体験できた。
高野さんの出逢いの物語をもっともっと読みたい!

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2017年08月17日

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第8章「トーキョー・ドームの暑い夜」が秀逸でした。著者が知り合った盲目のスーダン人留学生マフディは、プロ野球が大好き。スーダンには野球というスポーツがないから、イメージできないはずなのに、ラジオ中継を聴いて独特の興奮に魅せられたマフディ。ラジオのアナウンサーから学んだ彼の日本語は完璧です。

典型的なアンチ巨人ファンで、世界の誰もが知るヒロシマ、そう広島カープの大ファン。でも松井秀喜のことだけは大好きで、「だって、あんなでかいホームランを打つじゃないですか」と言う。東京外国語大学に驚くなかれ一般入試で入学を果たし、日本語の本も実にたくさん読んでいます。三浦綾子、天童荒太、金城一紀。日本滞在たった5年で多彩は小説を読みこなす。「地租改正」をも漢字で書ける彼は、そのことについて「先生も驚いていましたよ。ほら、八番バッターがホームランを打ったらびっくりするでしょ?それと同じ」と笑います。こんなジョークを飛ばせるところも凄い。

「人間は言葉と想像力で『見る』ことができる」。見たことのないものは想像できないなんて、見える者の思い込み。高野秀行のエッセイは、面白いだけではありません。

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2017年04月26日

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辺境作家 高野秀行が東京で会った外国人の話。やはりこの人の外向的さは特異だ。出てくる人は、舞踏家のフランス人、ザイール人、小説家の兄ともつながったコンゴ人、スペイン人、違法入国のペルー人、お父さんがお世話になった教師の中国人、プロ野球広島ファンの盲目のスーダン人(これは本当にすごい)など多様だ。著者が近づく理由は語学(フランス語、リンガラ語、スペイン語)の習得が主だったりするのだが、こうやって日本に在住して著者に言葉を教えるような人は個性的な人が多い。そして、東京はトーキョーになり、日本にいながらにして、海外につながるのだと。そういったエピソードが山盛られている。

自らを振り返れば、こんな自分の周りでさえ、学生のときには、ゲイのギリシア人、女好きで洒落たイタリア人、敬虔なイスラム信者のシリア人、などなど日本でも個性的な外国人との出会いがたくさんあったような気がする。ギリシア人には家に行きたいと言われ(のちにギリシアで妹と会って食事した)、イタリア人とは大相撲を初めて観戦し(のちにイタリアの実家にも寄せてもらった)、シリア人は一緒に銀行口座を開設して市役所に連れて行ったときに駐車場でお祈りをされた。自分にも少しは面白いものが書けたりするかもしれない。やはり東京はトーキョーなのだ。

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2025年11月02日

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20代〜30代前半の高野秀行作品は恋やら愛やらが出てきて趣が違う。ゲラゲラとバカ笑いさせられる中でもちょっと泣けたりする。スペイン語教師の話はムズムズする内容だった。笑
外国人に積極的に関わることでどれだけの人が救われてきたのか。差別や分断に対抗する人の優しさが身に沁みる。
特にイラク人との話では交流の中で「もうこれ以上立ち入れない」という局面に至る。彼の様子からイラク社会が恐怖に満ちていたことが見て取れる。国際的な問題の困難さに打ちひしがれる場面だ。
それでも、次の盲目のスーダン人とプロ野球を見る話では、高野秀行の優しさが彼を助けている。世界平和を実現するためにはこれしかないのだ。

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2025年06月15日

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言語は覚えようとしないのにブトー(舞踏)には夢中になるフランス人。お金に窮してビザの申請用紙に手数料をとるザイール大使館。ウエキと称して日系人となりすますが入管を却下される百一人のペルー人。日本語を話せずバイトの口を断られ続けるイラク人。東京ドームでお手盛りの実況の下、野球を解説する盲目のスーダン人。…国内にいながら異国を旅する。外国人の視点に立って、自国を体験する。必ずしも同調はしなくても、彼らの靴を履いて漂流してみる。いつしか東京はトーキョーになる。移民国家になりつつあるこの国で折り合いをつけていく。

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2025年04月28日

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フランス、イギリス、コンゴ、スーダンなどなど東京にいながら、異国の珍妙な話しが盛りだくさん。

時代背景が”携帯電話がなかったころの東京”、というのもいい。

ずっと読んでいられる幸せな時間でした。

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2023年12月29日

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高野さん6冊目。
高野さんの本は海外に行ってアレコレ面白いことをする者がほとんどだけど、今回は海外から日本に来た外国人と高野さんが関わった中でのお話。
やはり”ヘン”な人は“ヘン”な人と縁があるのだなぁと、高野さん流の外国人との交流を笑いながら楽しく読ませていただいた。
この中に、高野さんが大学を無事7年生で卒業できるキッカケとなったエマニュエル・ドンガラさんも出てくる。高野さんが訳した(卒論にもなった)この方の著作も読みたいなとカチカチ調べていたら、メルカリでドンガラさんの名前で検索すると「ジョニー・マッド・ドッグ」という映画のDVDが出てくる。これは大学の平和についての授業で、先生が映画好きなのか毎回内容に関連しそうな映画を紹介してくれるのだが、実際の内容と日本版の予告があまりにも乖離していて先生が苦言を呈していたものだったので記憶に残っているものだった。どうやらこの映画の原作は未翻訳ふだがドンガラさんの著作らしい。自分にも意外なところで縁があったのだなあと感じた。本の内容とは全然関係ないが笑

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2023年09月17日

Posted by ブクログ

いつものような外国での冒険ではなく、東京で出会った外国人との交流、というかもっと積極的なやりとりな感じですが、異国に来た彼らの感じた日本や筆者との友情をリアルに感じさせる一冊。外国人てこんな感じ、外国人の見た日本ってこんな感じでしょ、という凝り固まった考えを吹き飛ばしてくれる本でした。

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2023年04月27日

Posted by ブクログ

著者の出会った様々な外国人との出会いと別れ。時に笑えて時に切ない。日本人どうしですら関わり合うことを避ける世の中になってきたが、著者と異国人との様々な交流の中に何かすべてを包み込む愛のようなものを感じられて少し感動した。

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2022年02月23日

Posted by ブクログ

高野さんが東京で出会う外国人との交流。

本当に日本の話?と思うほど、
高野さんが色々な人種の人と、濃かったりそうでもなかったたりの様々な出会いをして、助けたり助けられたり、野球を観たり、バイト先を紹介したりというごく普通の日本人の私からすると目が回るような接触をしている。

恩人の息子さんから言われた「あなたの一生は生き甲斐がある」という言葉にうんうんしてしまう。

どの話もジーンとしたり、笑えたり(苦笑いを含む)、不条理を感じたりして、陳腐な表現だが面白かった。

私からすると高野さんは十分変わり者だが、
世間の目を気にせず、興味のあることに時間と体力と適当な額のお金を使えるのは羨ましい!
死ぬ時に、無茶もしたけど記憶に残ることばかり!とニヤリとできそうだな。

もっと若い時に読んでいたら、人生が少し違っていたかも。
今はコロナ禍だし、そうでなくても私の中では911の前と後では海外旅行に対する意識もだいぶ変わってしまった。
それに母親という役割があるからね!

好きな話は
 百一人のウエキ系ペルー人
 大連からやってきたドラえもん
 トーキョー•ドームの熱い夜

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2021年10月31日

Posted by ブクログ

外国に住んでる人は、ちょっと変わり者が多い。
他の国と言語を共有しない日本に住んでる外国人は、さらにバラツキの多い「変さ」があるように思う。
高野氏の文章は実感をそのまま記していく筆致で、「本の雑誌」らしい。それはネット時代には見つけづらくなった堅実なものだ。
意見の押しつけを出さず、感想も偏見もストレートに出してくる向こう側に、社会の寛容性やグローバル化、それぞれの自意識とかが透けて見えてすばらしい。

ヨーロッパ人、アフリカ人、アラブの人と、アジアから遠い、普段馴染みのない人たちがたくさん出てきて面白い。

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2020年04月14日

Posted by ブクログ

○○語を習うために××人と会う、という行動力には
感心させられる。

結婚披露宴のスピーチ、ペルー人ウエキ、盲目のマフディが
よかった。

「平凡で従順な自分は、そういう人間を好むくだらない日本と一緒に、
水洗便所のウンコのようにジャーッとどこかへ流してしまいたかった」
というくだりは、こんなに行動力にあふれている著者にしては
とても意外だった。

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2016年05月29日

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人と接するとき、ものすごく緊張するのはアタシだけだろうか?
特に(あまり機会はないが)外国人とかだったら緊張度は10倍増しだ。
この高野氏のエッセイとも小説とも思える体験記を読むと、その隔たりの低さに感心する。というか、尊敬する。
こんなにいろんな味のある人たちと関わる機会をもつことができるというは、その人が○○人という括りでなく、異文化で育った、いろんな考えや価値観をもった一人の人間として、その人を楽しむ姿勢があるからじゃないかと。
数ある出会いの中から友情というのは、どう育つか判らないものだなぁ。

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2024年04月25日

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外国人から見ると、見慣れた東京の街が異国の「トーキョー」だった。辺境を旅する作家•高野秀行さんがこれまで出会った外国人との邂逅を綴ったエッセイ。

フランス語を教えてくれたシルヴィ先生は『語学の天才まで1億光年』に、盲目のスーダン人マフディさんは『移民の宴』にも登場していた(あちらではアブディンさん)。マフディさんの有能ぶりには舌を巻く。目が見えないハンデの中で、異国の地で暮らす苦労は想像を絶するけど、それを感じさせない明るく陽気なキャラクターで微笑ましい。

「どうして日本人はこんなに英語ができないのか」
「日本人はわかりもしないのにイエスと言う」

先週まで北米出張に出かけていた私には刺さる。
また中国人が日本企業に見切りをつけて外資系企業に転職する「日本離れ」のエピソードも印象に残った。日本も外国人から“選ばれる”国にならないと、豊かにならないのではなかろうか。そんなことを思った。

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

高野秀行さんは若い頃から人と違って視点で世の中をみていて視点が面白かった。
世界の様々な場所へ実際に行く行動力も持っておられ、やっぱり行動することが一番大事だと感じた。

タイトルにもある通り、慣れた東京も外国人と一緒に歩くことで「トーキョー」になるという言葉が印象的だった。

見慣れたはずの場所なのに、別の人の視点が入るだけで全く別の世界に見えてしまう。これは何にでも本や、人の話でも同じ。本当に人によって感じ方・捉え方が違うんだなと改めて認識できた。

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2019年06月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

東京での話なのに、知らない日本を見てるみたいで面白かった。
友人の国際結婚で両家の距離感を埋めるのに一役買った話はあたたかい気持ちになった。形式に縛られず心のこもった、かつ気取らないスピーチができるのは高野さんらしいなぁと思う。人と人を繋げることができるのは長所ですよね。
人生が交差するのを見せてもらう中で、人との仲は会った回数では決まらないんだな、というのはすごく感じる。

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2019年05月22日

Posted by ブクログ

高野さんの著作は結構読んでいるけど、その中でも読みやすかった一冊。読みやすかったということは、時間をかけずともさらっと読めるという意味。異国の人々と高野さんとの出会いと別れが描かれている一冊であるが、その舞台は東京であり、冒険先ではない。ということで高野さんからアグレッシブさはあまり感じられない。素の状態に感じられた。小説とエッセイの中間にあるお話のようだったが、高野さんの本にはよくある形なので、そこまで特筆すべきものはない。しかし、異国の人々を通して、日本を見つめなおす機能は確かに機能していたように思う。

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2019年01月12日

Posted by ブクログ

世界を旅する作家・高野さんが日本で出会った外国人との交流を描いた本書。著者の本は初読だが、ぶっ飛んだ行動原理や出会った外国人たちの奇想天外ぶりで楽しく読めた。秀逸なのはスーダン人マフディとの交流。盲目でありながら日本のプロ野球をこよなく愛し、ハンデを物ともせず人生を謳歌する彼の姿は眩しい。反面、ペルー人ウエキやイラク人アリーの話は国際情勢や違法斡旋ビジネスが暗い影を落とす何とも切ない読後感。自分も外国人と接する仕事だが、メールとチャットがメインで会話はからっきし。著者の言う"国際人"とはほど遠いなあ…。

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2018年06月20日

Posted by ブクログ

自分がその気にさえなれば、東京を一歩も出なくても世界中の文化に触れることができるってことを教えてくれた。

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2016年08月06日

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