高野秀行のレビュー一覧
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面白い。ノンフィクション作家の高野氏が世間に発見されかけている?
世界の辺境に赴き、現代日本とは異なる感覚で生きている彼らを紹介してきた高野氏と、室町時代の学者が話す事で生まれるケミストリーが凄い。
高野氏には前々から目をつけて、いつかもっと良い仕事をしてくれると思っていた。高野氏の性格なのだろう、本書でも語っているように難しく、固く文章を書かないのだ。しかしその文章やおふざけの中に深い洞察や見識も感じられており、いつか日の目を見るはずだと思って応援してきた。系譜としては近年ではその名は地に落ちたが本田勝一氏のような作家だと思っている。
室町時代を想像する際に現代の日本人から彼らの生活を想像するのには限界がある。そこで本書で取り上げたテーマのように世界の殺人や略奪が日常として残っている辺境との比較をすることで日本の室町時代が見えてくる。
本書は非常に知的好奇心をくすぐられる内容が多く含んでいる。また読書好きにはたまらないような数々の関係図書を紹介してくれているのが嬉しい。また本書で高野氏が読書家である事も披露されている。
作家は固い文書を書かないと評価されない世界だ。高野氏にはそろそろそちらの世界に飛び立って欲しい。 -
謎の独立国家ソマリランド
- カート
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試し読み
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Posted by ブクログ
事実は小説よりも奇なり。
深夜のテンションで砂漠のフルマラソンに挑戦し、民族独立運動に思いを馳せる。謎のおじさんに優しくされ、男性と女性について考える。名前を変えるためにあらゆる手を尽くし、名前という制度に物申す。
表題作の「世にも奇妙なマラソン大会」は西サハラでおこなわれるマラソン大会。動きがない西サハラの難民問題をアピールするための大会である。そこにスペイン語が響く理由とは。砂漠なだけに蜃気楼のオアシスのようなマラソン大会の印象をもって終わるが、西サハラのことはしっかりと心に刻まれた。
著者の毎日は、出会いと発見の日々だが、それは著者がいわゆる辺境へ行くからではない。どこであっても、著者の目から見ると、常識を揺さぶられる発見があるのだ。「ときどき意味もなくずんずん走る」著者の持つ「間違う力」によるものである。
著者が指摘するテーマは、いまだに世界が解決できていない大きな課題につながっている。しかし、そのような重さを感じさせない文章が読者を引っ張り、ずんずん読み進めていくことができる。 -
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将棋ウォーズ初段です。
ほとんど既知で理解していた内容を復習の意味で読めたのは良かった。
「おすすめの棋書」の紹介と肝に銘じておきたいテクニック格言を列挙しておく。
「おすすめ棋書」
3手詰めハンドブック(浦野真彦著)
5手詰めハンドブック(浦野真彦著)
寄せの手筋200(金子タカシ著)
駒落ちのはなし(先崎学著、読み物として)
ホントに勝てる四間飛車(先崎学著)
上達するヒント(羽生善治著)
◆振り飛車(四間飛車);居飛車の7五歩の仕掛けには
①仕掛けの筋(歩がぶつかった筋)に飛車を動かす(5段目に相手の銀を出させない)
②6五歩で角筋開けて角交換(7七飛車で取る)
③角交換、そして飛車交換(駒損しないように交換していく)
→駒の損得無くても囲いが堅いので十二分
◆囲いが元に戻せるならば戻す
◆王手より詰めろ
◆常に「と金」を考えよ
◆盤面の馬と手持ちの角が同じくらいの価値
◆矢倉 6筋の歩をつく前にカニ囲い→矢倉崩ししてこないなら矢倉に囲う
◆横に利く駒は受けに強い
◆玉は下段に落とせ 「玉の位置の法則」;詰まされる玉の段数と、詰ますのに必要な金の枚数は同じ
◆攻めのときは、すっきりさせないよう、どこかに種駒が残るように指す。受けのときは、駒損してもいいから早めにすっきりさせる手がないか考える
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Posted by ブクログ
ーーアウン・サン・スー・チーをどう思う?オレは、彼女が政権をとっても国を運営することはできないと思うんだけど。(p.140)
ーー民衆がスー・チー千姫を熱狂的に支持している理由は……彼女がアウン・サン家康の娘だからだ。……このように幕府対倒幕派は……「お家騒動」の側面もあるのだ。そして、そのいちばんの証拠は、スー・チー千姫が少数民族問題について、何一つ具体的な提案をしておらず、少数民族のリーダーたちとそのテーマで議論をすることすら拒んでいる現状だ。(p.66)
なるほどねー、と思った。
何の知識も先入観もなく(映画『ビルマの竪琴』を小学生の時に見たくらい)「なんかまたミャンマーがよくニュースに出てくるなぁ。よし、読んでみるか」くらいの感覚で読んでみた。結果、大変に面白く、勉強になった。
かつて、スー・チー氏は自由の女神みたいに報道されていた。のに、国のトップに立つや否やロヒンギャ問題で叩かれるは、カレン族の動きは不穏だわで「わけわからん。何でそうなる?」と思っていた。そういう理由だったか。
つまり、彼女にはアウン・サンの孫娘という血筋と西側の思想はあるけれど、ミャンマーの多民族国家を多様性を保ったままに舵取りするプランは最初からなかったわけね。本書は15年前に初版が出てるけれど、今の混乱ぶりを見ると、現在も冒頭の指摘とさほど変わらない感じなんだろう。
大手新聞や国営放送は「民主主義の危機でござる‼︎」と喧伝するのに忙しそうだけれど、内幕のところは語ってくれない。セイギノミカタを演じることでお金もらってるのだから仕方ないけど。 -
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ネタバレ恋するソマリア
著者 高野秀行
集英社
2015年1月30日発行
早稲田大学探検部出身のノンフィクション作家、高野秀行氏のソマリアもの第二弾(たぶん)。探検家でノンフィクション作家の角幡唯介氏の、早大探検部先輩にもあたる人。
「アフリカの角」と言われるソマリアは1991年以降、無政府状態となって、海賊たちが通過する船を襲っているという印象がある。アメリカが介入しようとしたが、悲惨な戦いとなって撤退。その壮絶なる様子はリドリー・スコット監督の映画「ブラックホーク・ダウン」で観た人も少なくないだろう。
しかし、そんなソマリアは、実は今、実際には3分割されていて、そのうちの一つがソマリランドという複数政党による「謎の民主主義国家」になっている。ただし、国際的には認められていないため、グーグルマップなど普通の地図にはソマリアは1つの国として描かれている。
北のソマリランドのほか、角の部分プントラントは海賊の国、南部ソマリアでは暫定政府軍とイスラム過激派の戦闘が続いている。国際的社会での首都は南部ソマリアにあるモガディショだ。
ソマリ人は、これら3分割された国と、隣接するジプチ、エチオピア、ケニアの一部にも住んでいる。著者が最初に訪問したのが2009年、次が2011年。ソマリアに魅せられ、人脈も掴んできた2回目の帰国後、著者は必死にソマリ語のネイティブを日本で探した。ソマリ語は非常に難解で、フランス語やアラビア語ですら文法構造が単純に感じるほどだという。やっとの思いで早稲田に留学している兄妹から習えることになった。
今回は、2011年10から2012年12月までの滞在を、4パートに分けてリポートしている。一応、ソマリアのケーブルTVの東京支局長の立場をもらい、ジャーナリストとして入国した。平和なソマリランドでの話と、イスラム過激派と暫定政府軍が対立する南部ソマリアでの体験を書いているが、生々しいノンフィクションというより、なにもかも日本と違いすぎるソマリアに魅了され、よそ行きでないソマリアが見たいと思い始めた著者が、結局、皮肉な状況で最後にそれを達成するというドキュメントだ。
クライマックスは、最後。南部ソマリアのある知事が、著者を含めたジャーナリストたちを引き連れて故郷に凱旋する。半日で戻るはずが、知事のそうした気まぐれ、思惑により、何日も引っ張り回され、帰国便にも乗れなくなった。これまでイスラム過激派がいて危険だったが、やっと多国籍軍がなんとか制圧するようになった知事の故郷、そして、さらなる奥地。荷物もなにも持ってこず、着替えも風呂もない。大量の蚊になやまされる。おまけに、現地の人が食べるカート(和名アラビアチャノキ、日本では合法)という弱い麻薬作用のある葉っぱの食べ過ぎにより、極端な便秘に悩まされる。
もう最悪の状態の中、皮肉なことにそこで著者自身が望んでいたソマリアの「素の姿」を見ることができる。
便秘にいいとされるラクダの乳を飲み、上からは下痢、下は岩のような糞づまりで一晩苦しんだ後、ついに「ツチノコのような便」が2つ出るシーンがあるが、読者としてもその瞬間がなんとスッキリ爽快感を感じることか。
しかし、知事の気まぐれが終わってやっと戻れるようになった帰路、イスラム過激派により待ち伏せされて襲われる。著者と知事は装甲車に乗っていたが、防弾ガラスにもひびが入り、頭から血を流した知事が悲鳴を上げて倒れ込んできた。ただただ伏せて待つしかない著者。結局、援軍が来て九死に一生を得るが、難を逃れた後に、ジャーナリスト仲間達が彼を囲み、お前も戦闘に参加したんだ、やっと仲間だと彼を迎え入れる。
そして、頭から血を流していた知事は、撃たれたのではなく、混乱して自分で頭をぶつけていただけだということが分かる。
まるで映画のようなエンディングだが、やはり心打つものがある。
高野秀行氏の本は、たぶん、これまで読んだことない。いや、あるかも知れないけど、忘れている。もちろん、新聞や雑誌では読んだことがあるが。
角幡唯介氏同様、早大探検部出身ノンフィクション作家、とても面白い。
冒険系ノンフィクション、今年3冊目。いずれも傑作。
今、一番おもしろい。 -
Posted by ブクログ
最近、高野さんの作品にハマっている。かなり遅いかもしれないが、「恋するソマリア」を初めて読んでから、その圧倒的な体験と描写のうまさ(臨場感というか自分も探検をしている気にさせてくれ、時にはハラハラし、時にはクスッと笑ってしまう)に惹かれて、同著者の作品(アヘン王国潜入紀、本作)を次々と読んでいるが、どれもぶったまげる内容ばかりだ。非現実的すぎて、ノンフィクションでありながら、一種の「冒険小説」のような楽しみがある。一生に一度こういう冒険をしてみたいと夢想してしまう。
実際は過酷な探検の日々だと思うが、それを感じさせない楽しそうな描写がそう思わせてくれるのかもしれない。
とにかくものすごくおすすめである! -
謎の独立国家ソマリランド
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