高野秀行のレビュー一覧
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人生には探し物が必要である、と改めて思わずにはいられない。例えそれが、見つかる可能性がとてつもなく低いものでも。
なんでもいいから、私も探し物のひとつやふたつ欲しいと思ってしまった。この作者のように、それを探すために「なんでわざわざそんなことを…」と周囲が呆れてしまうような無茶で面倒くさい行動を起こす軸となりえるなら、最終的に探し物が見つからなくてもいいんじゃないだろうか。
この人の探し物ものは見つけるためのものじゃなくて、その探し物のために自分は何をするのかっていう人格形成のものなんだね。
それにしても、最後の方の「自転車の旅」まで書籍化してるのは笑ってしまった。
冒険家魂しぶとすぎる -
Posted by ブクログ
この本は著書に全くそんな意図が無いにも関わらず昨今のビジネス啓蒙書と全く同じ結論に達しているのが最高に面白い。
・未来志向でなく今が重要
・ロジカルシンキング
・誰もやらないことをやる
まずこの3点だけで、完全に若手ビジネスパーソンが備えるべきマインドセットである。
驚愕なのは著書の高野秀行氏はこのような最新のビジネスマインドを完璧に習得してるにも関わらず、サラリーマンの経験が一度もないばかりか、ミャンマーでアヘン栽培したり、インド不法滞在で強制送還されたり完全に間違った経験ばかりしている。
なのでゲラゲラ笑いながら「なんだこの奇人は」と、楽しく読み進めているとなぜか最近のビジネス感覚を身 -
- カート
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試し読み
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本が分厚くて、読み応えがたっぷり。ソマリ愛溢れ、しかも全く未知の世界、文化。ソマリアというと紛争地帯で治安が悪いイメージだが、その中に存在するソマリランドという平和な民主主義を保つ独立国家。冒頭から沢木耕太郎の深夜特急でも読むようなワクワクが止まらない。その疾走感で突き抜ける読書。ソマリ人の早さ。カートをキメた明晰さ。
ソマリランドから海賊国家プントランドへ。旅を続ける中で、国や文化、氏族主義などの制度を学び、発見する著者。まるで文化人類学の領域。果ては、海賊ビジネスに手を染めようとしたり、地元メディアに登場したり。大麻みたいなカートを食いまくる様は写真の著者からは想像つかない。
そして、 -
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ネタバレずっと気になりつつ未読だった高野秀行さんの本、1冊目。めちゃくちゃ面白かったのですが、他の方のレビューでは「刺激控えめ」と書かれたりなどしていて「こ、これで?」と思いました(笑)。他著もこれから読んでみます。
奄美のケンモンの話が特に好きです。オチが秀逸。三篇どれもUMAに対する現地の方の捉え方が面白いなと思って読んでいたのですが、自分が日本人だからか、ケンモンの存在はなんとなくしっくりくるものがありました。
―私たちの存在にも気づかず、謎の言葉で話しこむ媼二人。寄せ打つ波と、入り江を取り囲む切り立った崖。白いヤギ。ケンモンがほんとうにすぐそこにいるような気がして、ゾクッと鳥肌が立ったので -
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とても面白く興味深いが、長かった。500pページもあるのに、15-20ページ読むと気が散ったり、眠くなったりして読むのに時間がかかった。でも途中でやめようとは思わない魅力がある本。
大人の自由研究だなぁと思いながら読んでいたら、あとがきに「夏休みの自由研究のような内容」と書かれていた。
長かったと書いたが、著者からしたらもっともっと書きたいことはあるのだろうと思うし、冗長というわけではない。知りたいと思ったことをとことん突き詰めていく行動力がすごいし、それを面白く文章にまとめる能力が素晴らしい。
自分は行くことのないであろう辺境の地を旅しているような気分が味わえ、納豆のことを色々知ること -
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高野さんが東京で出会う外国人との交流。
本当に日本の話?と思うほど、
高野さんが色々な人種の人と、濃かったりそうでもなかったたりの様々な出会いをして、助けたり助けられたり、野球を観たり、バイト先を紹介したりというごく普通の日本人の私からすると目が回るような接触をしている。
恩人の息子さんから言われた「あなたの一生は生き甲斐がある」という言葉にうんうんしてしまう。
どの話もジーンとしたり、笑えたり(苦笑いを含む)、不条理を感じたりして、陳腐な表現だが面白かった。
私からすると高野さんは十分変わり者だが、
世間の目を気にせず、興味のあることに時間と体力と適当な額のお金を使えるのは羨ましい! -
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ソマリランドで知られるノンフィクション作家の高野さんと、日本中世史を専門とする歴史学者の清水さんの対談。異色の組み合わせではあるが、これが見事な化学反応を起こし、とても面白い内容となっている。
時間と空間の違いこそあれ、ソマリ社会も中世日本も、現代日本から見ればどちらも遠い異文化世界。むしろソマリ社会と中世日本のほうにこそ共通点が多いかも、という気づきから始まったこの対談。豊かな経験と強い好奇心で高野さんが打ってくれば、該博な知識で清水さんが当意即妙に返してくる。何といっても、お2人が楽しんで対話しているのが伝わってくるのがいい。
古米と新米の話などトリビア的な知識も得られるし、鎖国と現代