高野秀行のレビュー一覧
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バイオベンチャーの代表、二村氏からブータンの生物資源探索のミッションを受けた高野氏。最初はあまり乗り気ではなかったが、ブータンにはイエティ(雪男)というUMAがいるとの情報で色めき立つ。
ノープランで現地に入り、道中、おばちゃんの猛烈なお酒の接待に二日酔い。高山病で死にかけるが、ブータンのあまりの桃源郷さに天国を感じ、死を受け入れ始める。
これほどブータン人に世話になる人はいないのだろうが、これこそ高野氏の為せる術。
インドと中国に境を接しながら、未だに半鎖国的国家なるブータン。
西洋医学と伝統療法。国家主導の経済発展と鎖国的体制。ダブルバインドな要素を持つ国家でありながら、登場するブータン人は皆とても幸せなのだ。
これまでのUMA探索本とはやや趣を変え、辺境ハンターならではの国家観や、比較文化論が語られ、興味深い。新たなテーマになるのだろうか。
中尾佐助「秘境ブータン」(岩波現代文庫)も読みたい。 -
Posted by ブクログ
文学と哲学の交錯と融合が示される"はじめに"で、早くもわくわくが高まる。
なるほど、オートエスノグラフィーは当事者の確かな違和感から始まるのだということが、よく分かる。
外部からの観察のみによるラベリングだけはもちろん不充分かつ不正確というのは間違いなく、そこに当事者の分析が統合されることで高まる学究的な価値はとても大きいだろう。
病跡学なる分野があることを初めて知り、また、発達障害や精神疾患に関する診断において、白か黒ではないスペクトラムという捉え方が広く敷衍していることも不勉強ながら本書で教えられたが、実情に即した合理的な考えで、非常に良いことだと思った。
私はかねて、理系・文系で人のタイプをざっくり分けたり行動を分析したりすることを甚だナンセンスだと感じているが、本書で言及されているカントやニュートン、ライプニッツといった近代科学の礎を築いた巨人たちの名を見て、またプラトンやアリストテレスが生きた古代に思いを馳せ、人の思弁はそのように峻別できるものではないと、改めて思いを強くする。
時代が下るごとに分業化が進んでしまっているだけで、文学も哲学も物理学も医学も、突き詰めた先の到達点は同じところなのではないか。
この本の真骨頂は、横道誠氏と各人との対談パートにある。
何気なく交わされる彼らの言葉の中に、深い気付きに至る金言がどれだけ溢れていることか。
私も診断こそ受けていないが、きっとASDでありADHDであるだろう、と自認して50年以上生きてきたが、本書を読んで「うーんまだまだ甘いかも…」と変に自信喪失(?)してしまった。
苦言ということでもないが、石原真衣氏との対談で横道氏は"文化人類学はまず難解な議論を先出しし、後から読み物がやってくるという構成が衒学的だ"と批判されているが、「えっ、この本こそ…」と突っ込んでしまったのは私だけだろうか?
「どうしていい歳をした大人が、『読書感想文』を粉飾したような作品内在解釈にいそしんでいるんでしょう、それが『高級』だという価値観を維持してるんでしょう。」
「ASDがあると凝り性になって、ADHDがあると飽き性の傾向になるんですよね。」
「自分を研究や観察の対象として見つめて、必要があれば他者と共有していいんだという考え方に、すごく大きな扉が開かれた気がしました。」
「最近は認知科学が進んできて、多くの定型発達者でも、疲れたり不調だったりすると、衝動性が増したり、鬱っぽくなったりして、発達障害的なグラデーションの中を生きていることがわかってきました。発達障害者はある部分の特性が強烈に出ているだけで、相対的な違いに過ぎない。」
「分刻みでアポ取って動いている人なんか誰もいない。一時間ぐらい遅刻しても誰も何も言わないし、みんなで車で出かけて三十分走ったころに「忘れ物した!」と言っても、「ああそうか」って平然と取りに帰ってくれる。そういう世界って、楽ですよね。」
「とにかく自分を信用しちゃいけないというのは合言葉ですね。」
「自分は自分を裏切りますからね。体も心も裏切りますからね。」
「子どもの頃の価値観からあまり変わってないんですよね、自閉スペクトラム症(ASD)の「同一性保持」という特性です。
文学にとって、賢くない人たちを描く世界は未開の地で、そこに可能性がいっぱいあると思います。」
「ASD者は身体的にも精神的にも成熟してなお幼児のような印象を与えることが知られている。」 -
Posted by ブクログ
地理とか文化とか登場人物が全然頭に入ってこないのは100%私の読解力のせいです。
名前が似てる人多過ぎて全然覚えられない…
ミャンマーの中のワ州というところでアヘンを作る集落があり、そこが周辺地域諸国から孤立気味で、独自の文化の中アヘン栽培をしていることの調査ルポ、であってるかな?
高野さんが英語の先生?になって現地の子供達にブチギレながら授業してるところに爆笑してしまいました。
自分はビルマ語全然喋れないくせに、なかなか発音を覚えない子供達に大人気なくイラついてて面白過ぎる。
自分もアヘンをやって当たり前に依存し、なんなら集落の人にアヘンをやるな!と怒られ。しっかりと集落の人々に染まった生活をおくっているのも大変におかしかったです。
頭には入ってこないけど…めちゃくちゃ面白かった!
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Posted by ブクログ
表紙の写真がかっこいい。
面白かったが思った以上の分量と読み応えがあり、読み始めると止まらないがそれでも読み終わるまで時間がかかった。
高野さんは相変わらず面白い冒険をやっている。中々知りえないイラクの土地や文化、実際にその地で生活している人たちの様子が詳しく書かれている。イラクに湿地帯があることも初めて知った。
とりあえずやってみる。それでダメならそこで初めて別の方法を考える。といったプリコラージュ的なイラクのアフワール人のやり方もとても興味深かった。
見通しや段取りせず、見切り発車とその場しのぎのやり方は、計画や規則を重視する日本人の方法と全く異なるけれど、そのノリの軽さというか、問題が起きたら対処する対応力の高さと初動の早さは見習いたいと思った。 -
Posted by ブクログ
いつもどおり高野さんの本は面白い
四万十の上流仁淀川でSUPをする前日に読み終えた
旅の相棒、川旅の師匠山田隊長が四万十中村の出身というのもあってなんだか親しみが湧く
高野さんのこれまでの本のように誰もしないことをする感が少し薄いかなあ
有名なチグリス・ユーフラテス川を川旅というのは面白いけれども、こんなとこだったのか!という驚きみたいなのがそれほどではなかった
観光地化する前の街や美しい川、料理の美味しそうな描写は魅力的
発酵食品の文化は日本だけじゃなく世界の村々にある
村上春樹の遠い太鼓を思い出す
あれもトルコだったか?
あちらはワインの描写だったけれども
カブルカは美味しそう
十条のクルド料理店メソポタミアが閉店したのは残念、食べてみたかった