高野秀行のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ2018年に読んだ本BEST10
(発行年が2018年というわけではない)
第10位 : 『恋するソマリア / 高野秀行』
・ジャーナリスト高野秀行氏による、アフリカ大陸東部の国「ソマリア」を取材したノンフィクション。
・ソマリアという国は、内戦状態の「南部ソマリア」と、平和な地域「ソマリランド」(国際的には未承認でソマリア連邦共和国の一部)など、独立した地域から構成される。描かれるのは、民主化のために言論で戦うジャーナリストたち、南部ソマリアで命の危険にさらされながらも平然と暮らす市民、それとは対照的に、ソマリランドの平和な家族の食卓など。混乱と平和の隣り合わせ、そのギャップに読み手側の想像力がなかなか追いつかない。そして、過去の民族・国境の歴史的経緯を知ると、今の状況を変えることの難しさに、やるせない気持ちになる。
・世界各国を飛び回る著者曰く、民族・国民を理解するためには人間集団を形作る三大要素「言語」「料理」「音楽(+踊り)」を身に付けること。納得。
・とにかく著者の「謎の国ソマリアを知りたい」「ソマリ人と触れ合いたい」という、知的好奇心・行動力には驚かされる。ただし、ソマリ人たちは彼にそんなに興味ないので、一方通行な片思いなのが切ない。それ程までに著者が恋い焦がれるソマリア。でも、この本を読んでも、ソマリアに行きたいとは一切思わないけど、、、
・この手の海外ルポルタージュを読むと、「我々日本人が理解できない世界の存在」を意識させられる。そして、こちらとあちら、どちらが幸せで、どちらが人間として正しい姿なのか、みたいな俯瞰した視点を持つことが出来る(ような気がする)。 -
Posted by ブクログ
"聞いたこともないような本、読んだことがない本について、二人の専門家が語る奥深い本になっている。「謎の国家ソマリランド」を書いたノンフィクション作家の高橋秀行さんと歴史家である清水克行さんがお互い本を紹介し、一方はその本を読んだうえでの対談となっているようだ。
中には全8巻ある大書もあるので、この対談への準備は並大抵のものではなかったはず。地政学、歴史、文化、言語など様々な考察があり好奇心をくすぐられる。
テーマとなっている書物は以下
「ゾミア」ジェームズ・C・スコット
「世界史のなかの戦国日本」村井章介
「大旅行記」全八巻 イブン・バットゥータ
「将門記」作者不明
「ギケイキ」町田康
「ピダハン」ダニエル・L・エベレット
「列島創世記」松木武彦
「日本語スタンダードの歴史」野村剛史" -
Posted by ブクログ
最高に面白い本だった
世界的に破滅国家として認識されているソマリア。その北部にある自力で政府樹立を果たすも未だ国際社会に認められないソマリランド。筆者がその生活に深く立ち入り、得られた貴重な経験がまとめられている。
ニュースは悪いことしか取り上げない。そのため、我々はアフリカ、その中でもソマリアなどはついついこの世の地獄であるかのような想像をしてしまう。しかし、日本のように衛生的で快適ではないものの、そこには幸せな生活があり、小粋なジョークを飛ばす人々がいる。そんな当たり前なことを深く再認識させてくれる。
また、欧米諸国の力によらず、自力で政府樹立の大きな1つの要因となった氏族文化も非常に興味深い。一見、日本の戦国時代のようであるが、うまく現代社会に適応させている。(ただ、国際社会にそれを認知させられてはいないが…)
現代の日本とは大きく異なった社会制度を、筆者が自ら社会に飛び込むことで解き明かしていく様はまるで冒険小説のようだった。
「その国の人々のことを知るために必要なのは、言葉、料理、音楽である」
これから、旅をする時はこの言葉を胸に刻んでいきたい。 -
Posted by ブクログ
おろしれー。これ読んだらソマリア行きたくなる人8割。カートやりたくなる人5割。けど、やっぱり行く勇気無いなの人が9割9分でしょうね。
高野さんじゃないと無理だよ… 人間性、楽天性、語学力、文化への好奇心
ソマリアと言えば、アフリカの角、海賊、くらいのイメージしかなかったけど、自主的な民主化とかできたとは全く知りませんでした。(たぶんみんな、知らない)
ソマリランドでの一種牧歌的な生活から一変、南部ソマリアでの取材(ある意味軟禁?)はおもしれー、と読んでたら帰り道で一変して命の危険にも晒されるんだけど、なんかそれも面白く感じてしまう。
そして、ハムディを日本に呼ぼうとしたら… のオチもスケールがでかい。
冒険ができないからこそ、冒険記を読むのは楽しい! -
Posted by ブクログ
まずは、2人の知識の膨大さ、引き出しの多さに驚き。
あまり歴史に詳しくないため、下の解説を読みつつ、引用される人や書籍が多かったので、次に読んでみたい本も増えました。
最後の方で、今の日本に住んでいた良かったと思ってしまうのは思考が停止しているとの指摘があり、はっとさせられた。
確かに、世界は広く、住んでるところだけが世界ではない。過去の日本や世界に目を向けて多様性や今の日本を客観視する目は必要だと思った。
◾️村社会の所以。応仁の乱前後からの日本人の同調圧力が強い理由は、年貢を納めるのは村単位だから、個人が納められないと村で負担していた。生命の共同体であった→ミャンマーでは、税は個人単位だから、村の誰が何をしようと知ったこっちゃない
◾️タイ人の流動性。家族、親戚がすぐとこかへいなくなっちゃう。研究者は水の文化と言ってる。タイでは、農民は所得税を払わない。政府が多く税金をとろうとすると、すぐどこかへいなくなっちゃうから。農民が定住民であるとは言い難い。今でも政府がとっているのは企業の法人税や個人で所得の高い人。関税。 -
Posted by ブクログ
いやあ面白かったなあと本篇を読み終え、笑う用意をしながら高野さんによるあとがきを読み出したのだが、まったくこのあとがきは素晴らしかった。感動的ですらあった。教養とは何か、なぜ教養は必要なのか、ということを、これほどわかりやすい言葉で実感をもって語っている文章を他に知らない。
「教養とは、自分がいる『今ここ』を時間と空間のなかに位置づける羅針盤であり、人生の終わりまで必要なもの」
胸にしみ通るような言葉だ。
以前出たお二人の対談本「世界の辺境とハードボイルド室町時代」がとても良かったので、第二弾を期待していたのだが、これは少し趣向を変えた読書会的内容となっている。まあ当然かもしれないが、選書がマニアック。私が既読だったのは「ピダハン」だけ。イブン・バットゥータ「大旅行記」全八巻!なんていうのまである。まず読むことはなかろうという本が次々でてくるのだが、お二人の話を聞いていると読みたくなってくるようでもあり、読んだ気になるようでもあり、とにかく非常に興味深い。
清水さんがまえがきで書いているが、この企画は、自分がこれは!と思った本について、その道の専門家であり、かつ気の置けない人と好き放題語り合う、という「不可能に近い欲求」をかなえたものなのだからして、まあ二人とも楽しそうなこと。取り上げた本の気になった箇所の話から、話題はどんどん広がっていって、知的な興奮に満ちている。
歴史学者である清水さんの博識ぶりは言うまでもないが、その清水さんと対等に渡り合う高野さんの、半端ではない読書量と知識に驚く。辺境に未知動物を探しに行ったり、行動してナンボの人だというイメージもあるけれど、意外や学者肌であることはわかってはいたが、その実力をまざまざと見せつけられた感じ。
へぇ~と感心したり、あ、そういうことかと納得したり、アハハ!と笑ったり、本当に楽しい一冊だった。前の本に続いて、表紙を山口画伯の馬バイクが飾っているのも二重丸。二番煎じはダメだからコンビ解消、なんて言わないで、またの機会があることを期待しています。 -
Posted by ブクログ
辺境滞在に裏打ちされた経験と日本史歴史学者の最新の知識が次々に披露され しかもなんだかリンクしている驚異の対談
ふたりの対談終盤 現代日本が特殊でアジアやアフリカの辺境や室町時代の日本の方が 世界的に普遍性をもった社会なんじゃないか
今生きている社会がすべてとは思わないでほしい
との結論に至る
なんとも憑き物が落ちるような感覚を受ける本
知識としてもっとも意外性があったのは アフリカで日本の中古車が売れる理由
日本の車がすごいということでなく クルマの持ち主が代わった瞬間に、価格が6割に下落する国は日本しかない 中古車輸出ビジネスは日本しか成り立たない それがケガレ意識と関係している
ってところ
ほかにも目から鱗が多数