高野秀行のレビュー一覧
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期待していた以上に面白かった。
面白かったというのは、酒を主食とする人々、が面白いというのもあるが、高野先生が面白い。
面白いことをするわけでも面白いことを言うわけでもないのだが、淡々とした文章が、裏表ないシロウトっぽさがくすぐられるように面白い。
本当に酒を主食にしている民族があるんや。
もちろん酒には栄養もカロリーもある。ビールがそもそも、ピラミッド建設に従事する労働者の健康維持のために配られたことを考えても間違いない。
しかし、アルコールは脳に直接影響を及ぼすことを考えたり、中毒性があることを勘案したら相当信じがたい。なんせ、水の代わりにワインを飲み続けるフランスでも、大人になって交 -
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「イラク水滸伝」で高野先生のファンになったので何か別の著書を読んでみたいと、こちらで検索してたどりつきました。星の数の多いもの…くらいのチェックで選んだので旅行記的なものかと思ってたのですが語学に特化したものなんですね。確かにタイトルに「語学」ってついてましたね。でも、とても面白かったです。
本作は先生がいろいろな語学を学ばれる話ですが、読んでいたら自分が大学でイタリア語を学んだ時のことを思い出しました。自分はイタリアが好きでイタリアに行ったらイタリア語で話したい!と当時思ってて、大学の講義にイタリア語があるのを見つけてラッキー!とばかりに履修したところ、授業に出て気づいたのですが先生がネイ -
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結構前に読んだ。読書メモだけ残してたので、感想として投稿。
まず初っ端に、インドで身ぐるみ剥がされる話。実はマザー・テレサに出会っていたのにただのおばあさんだと思っていた話。十分すぎるツカミなのにほんの序の口だった。それもそのはずで、この本は語学をキーに集められた、一つひとつが濃い内容の辺境旅をギュッと圧縮したものだ。そう言えば、インド英語ってなんか勢いが良くて好き。
著者の語学習得への取り組みは、まずは自宅近くでネイティブを探すことから始まる。彼(or彼女)が先生として優秀かどうかは関係ない。ダメ教師でもとにかく会話を録音して復習しまくる。
たしかにこれは良い。私も自分と先生の会話を録 -
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「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」高野秀行さんの新作ノンフィクションルポ。
今回の訪問国は「アフリカの京都」ことエチオピア。他のアフリカ諸国とは異なる伝統と文化を持つという。特に南部エチオピアは、ユニークな民族がひしめく秘境。今回、「酒を主食とする民族」は実在するのか?をテーマに取材。いつものように高野さん単独取材ではなく、TV(クレイジージャーニー)取材班も同行。それが故にすったもんだのトラブルが発生してしまうのだが、詳細は読んでからのお楽しみ。ギャラ事情にも驚いた…。高野さんをますますリスペクト。
高野さんが行く所って、自分では絶対に行かない行けない -
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20代〜30代前半の高野秀行作品は恋やら愛やらが出てきて趣が違う。ゲラゲラとバカ笑いさせられる中でもちょっと泣けたりする。スペイン語教師の話はムズムズする内容だった。笑
外国人に積極的に関わることでどれだけの人が救われてきたのか。差別や分断に対抗する人の優しさが身に沁みる。
特にイラク人との話では交流の中で「もうこれ以上立ち入れない」という局面に至る。彼の様子からイラク社会が恐怖に満ちていたことが見て取れる。国際的な問題の困難さに打ちひしがれる場面だ。
それでも、次の盲目のスーダン人とプロ野球を見る話では、高野秀行の優しさが彼を助けている。世界平和を実現するためにはこれしかないのだ。 -
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とても興味深い。だけど、テレビ局との取材ということで、なんだかいろんなことがスムーズですね。いや、『デラシャ劇場』とか『虫問題』とか『インジェラアレルギー?』とかはありつつも、いつもの高野さんの旅がバックパッカー自由旅だとしたら、今回のは豪華ツアーだな、と。
それでも、高野さんの視点はおもしろい。お酒飲んでばかりなのに(笑)ちゃんと人間関係とかお酒の作り方とか原材料の育て方と貯蔵のしかたとか、それぞれの土地のお酒の味の違いとか、飲むとき食べるときの作法とか、よくたった二週間でこれだけ見て聞いてできるものだなぁと思う。誰でも行ってみたらわかるってもんでもないから、やっぱりすごい。 -
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牧歌的な農村と官僚主義・強権的な軍事組織が、アヘンの栽培を基底として共存している。ゴールデントライアングルのワ州はその構造自体も奇妙な三角形だ。
ただ本書でわかるのは個々に名前があり、そこに実際に生きている人々のリアルな暮らしぶりで、その生活は意外に普通、ただアヘンを育てていて軍の支配下にあるという奇妙なバランスを保っている。
高野秀行は相手を下に見たり、過剰に気を遣ったりしない。あらゆる人にがっぷり四つで対するから、自然な反応が現れる。大いに喜ぶし、泣くし、怒るし、笑う。世界のどんなところにも普通の人間が住んでいるということを思い出させてくれる。 -
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以下の2条件に当てはまる人には読むタイミングを考えた方がいいと思う。
① お酒が好きな人
② 暫くお酒を飲めない環境に行く人
①も②も当てはまる私はとても悶々としながらこの本を読み進めた。逆に言えば、悶々としながらでも読みたくなる本だ。
この本は言わば、お酒が入りにくい場所で何とか酒を見つけ、めちゃくちゃ美味しく楽しんだっていうルポ。
私は酒が好きなのにも関わらず、規則で飲んじゃいけない場所(宗教と言うよりは現場の規律維持のため)、且、インドネシアの暑い場所に滞在していたため、著者の酒にありつくサクセスストーリーを読めば読む程、喉の渇きが強くなっていくのを覚えた。目を瞑れば浮かぶの、水 -
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この間読んだ高野秀行がめちゃくちゃ面白かったので、読んでみた。やっぱり面白い。専門は違うがバックグラウンドは似ている2人。ものすごい知識量だけど、それを感じさせないフランクさ。
濃い内容の対談集。
お二人の率直な会話から、それぞれ自分からは言わないような個人的な話なんかが聞けるのもめちゃ面白かった。
教養主義の死に絶えた時代だけど、やはり、「ものごとを普遍化して考える能力は文字を読むことで高まる」「抽象的にものごとを考えるには読み書きができないとだめ」「経済発展のきばんは人々の教養」
という言葉に励まされる。この本がでて10年、ますますみんな文字から離れてるけど、本を読む啓蒙が広がるといいなぁ -
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⸺納豆て、日本の専売特許じゃない!
高野さんは今まで納豆本を2冊出している(第二集の方は未読)。この絵本はおそらく、それを足してエッセンスを取り出してスケラッコさんの絵で小学生にもわかるものにしたものだと思う。
高野本の魅力は、ひとつはその饒舌の文体にあるのだけど、今回は封印している。でも、おそらくそのお陰で高野本史上最高にわかりやすくなっている。いや、今までもわかりやすかったんだけど、回りくどい面白いエピソードは省略して結論だけを述べる潔さと、全てカラー写真とはいかない高野本の欠点を補うかのようにカラーのイラストが対象国の風俗を如実に説明して、何よりも写真よりもイラストの方が遥かに料理の