高野秀行のレビュー一覧
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著者が早稲田大学の探検部で、コンゴのテレ湖で見かけられたという幻の怪獣(ムベンベと命名)を確認すべく、プロジェクトメンバーを募り果敢に挙行する非日常的な大冒険談である。
そもそもコンゴは日本と国交がなく双方の大使館も無いなか、ビザの取得から苦労し、途方に暮れそうな行程で目的地のテレ湖をめざす。飛行機で行けるのはコンゴの大きな町までで、その後は道があるのは100km先にある村までで、そこからは丸木舟で100km先にある村を目指し、その後は湿地帯のジャングルの中を60km進む。ようやく辿りついたテレ湖は変化に乏しい単調な湖であり、果たしてムベンベが現れるのか、一瞬たりとも目が離せない状況から、3交代で24時間監視体制を組む。カワウソやゴリラなど尋常じゃない物を食しながら、マラリアに罹ったり生死が危うい環境のなか、めげる事なく監視活動を続ける。ムベンベは見つかるのか、その正体は何か、結論は出るのだろうか、半信半疑で読み進める。巻末には早稲田大学探検部のプロジェクトメンバー総勢9名の顔写真と本人からのコメント、またその後の人生が紹介されている。本書のなかでは、それぞれの人物像がくっきり表現されており、著者の類稀な描写力に感心させられる。こんな無謀なことにチャレンジする学生魂が紙面を通して伝わってくる。 -
Posted by ブクログ
イラン水滸伝から高野秀行作品を読むようになって、今ではすっかり高野秀行ファンになっている。
自分にはいろんな意味(モチベーション、勇気、体力、時間、お金)で経験できないことを、高野さんは経験し、それを本という形で表現してくれる。まさに本の醍醐味である。この作品は現実の世界での実際の体験記なのだが、今自分が生活している世界からかけ離れすぎていて非常にシュールなのである。日本人がこれまで行ったことのない、ミャンマーのワ州僻地にあるアヘンを栽培している村に長期間滞在して、自分もアヘン中毒になってしまう。現実は小説より奇なりであるが、ノンフィクションは現実より奇なりである。著者はどうなってしまうんだろうとワクワクドキドキさせるエンターテイメントであり、世界にはこんなところもあるんだとか、ミャンマーの歴史ってそうだったのかなど勉強にもなる作品である。 -
謎の独立国家ソマリランド
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謎の独立国家ソマリランド
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ネタバレ2009年と2011年のソマリア--ソマリランド、プントランド、当時の暫定政権が一部を統治していた南部ソマリア--取材旅行をまとめた本。遠慮が無くカネにうるさく氏族を中心に考えるソマリ社会に著者同様に驚き呆れることの連続だった。
本書では主にソマリランドを中心に話が展開する。2度の内戦を経験しながら他のソマリ地域より平和で民主的な「国家」たり得ているソマリランドの歴史と政治体制は興味深い。氏族主義が浸透しているからこそ氏族単位では扱いきれない政治からは距離を置きつつ、氏族の長老たちが政治家たちを監視するシステムは画期的だが合理的だ。本書で幾度も触れるソマリ人の実利を重んじる性分にも合っているのだろう。
プントランドにて著者が半ば本気で海賊行為を立案し試算してみたり、言動や考え方が知らず知らずのうちに“ソマリ化”していたりとクスリと笑える箇所も多数。また、次の表現は本書で特に言い得て妙だと思った。
(前略)私が思うに、国際社会、もっと端的に言えば国連というのは、「高級な
会員制クラブ」みたいなものではないか。
人類普遍の理念に基づいた公平な組織と勘違いされることもあるが、実際には民
主主義とも人権とも直接関係がない。
なにしろ、このクラブは5人の理事の権限がひじょうに強く、理事の一人が反対
すれば、どんな素晴らしい提案も却下されてしまう。そこからして反民主主義的
だ。それに理事の一人である中国自体が人権や民主主義とは無縁だし、会員にも非
民主主義国家がたくさんある。
それはしょうがない。なんせ、第二次大戦の戦勝国によって任意に作られた会員
制クラブなのだから。公平や正義を期すほうが無理である。(後略)
※第7章8
2020年代のソマリ地域--ソマリランド、プントランド、ソマリアはどのようになっているのか、著者には引き続き取材してもらいたい。 -
謎の独立国家ソマリランド
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