高野秀行のレビュー一覧
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ネタバレ納豆というと、よく、「なんで豆腐が“豆が腐った”で、納豆は“納豆”なんだろう?」と言われるが。
それは、「納豆は、豆を藁苞に納めるから“納豆”」。
「豆腐は“腐”が中国で四角く固めるという意味があるから“豆腐”」って聞いて、ずっとそれを信じてたんだけど……、
そんな話、これっぽっちも出てこない。
もはや何が何やら…!?(^^;
東南アジアの山間部で、納豆やコンニャクが食べられていることは知っていた。
あ―、それって、つまり「照葉樹林文化圏」ってことだよねって、ずっと信じてきたんだけど……、
この本によれば、それはそれでまた微妙に違うらしい。
ていうか、現在、日本で食べられている納豆というの -
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高野さんの文章は「粋」である。
その時の情景や人の感情をメタで捉えてるから一人称でも客観的で分かりやすいし読者の心の声を先にツッコんでくれるのでクスってしてしまう。そして無駄な重複表現はなく端的でスマートである。
なので野々村荘の中のトンチキな出来事をまるで天井から眺めているような気分になりワクワクして目が離せない。
しかし最後の6章だけはテイストが異なる。今までさんざん野々村荘をシニカルに面白おかしく書いていたのに急に「私小説」っぽくなる。もっというと「独白」、いや完全に奥様への「ラブレター」である。
このラブレターが沁みる。これまでの放蕩生活の代償として世代や世間から取り残されてし -
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辺境作家の高野さんと中世史家の清水さんの対談。最初は、本書の表題のように、それぞれが専門とする室町とソマリランドの生き方が似ているというところから話が始まるが、後半はそこから離れて人生論、作家論、文化比較論、日本人論・・と様々な話題に及んで飽きさせない。お二人の教養の深さも物凄い。
一つ言えるのは、価値観はもとより多様だが、それは辺境にも転がっているし、過去にも転がっていて同様に面白いし、やはり今の価値観が絶対ではないことを常に相対視できるようにすべきということなんだろうと。
30年前と今と、かなり価値観は変わってきているが、それもそれ、古代から中世、織田信長を経て江戸、そこから明治、戦前 -
- カート
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試し読み
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寒々としたお話をしばらく読んでいたから、そろそろどこかであったまりたいと思っていたところ。
普段海外のお料理に対してあまり免疫がなく、おまけに当たり外れも激しそうだからって知っていたり味の想像がつきやすいものにしか手を出さずにいたけど本書に出てくるお料理は冗談抜きにどれも美味しそうで、第一章のタイから垂涎のまなざしだった。
筆者と並んでテーブルを覗いていると、どの人も笑いかけてくれる。つられて何度も笑みがこぼれた。
初版は’12年で東日本大震災下の移民についても触れられている。混乱の中で彼らを訪ねて調査を続けようとするのは少し強引にも思たけど、こうして勇気を出してくれる人がいるおかげで普通 -
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早大探検部出身、あの「謎の独立国家ソマリランド」を著した高野秀行氏による同著の続編とも言える1冊。
アフリカ東部に角のように突き出たかつてのソマリア。ソマリア国は1991年に崩壊し、20年以上無政府状態だったその地域に入っていったのが著者の前著だったのですが、本著は更にソマリ世界の深くに入り込んで、どっぷりと浸かっていく印象。
こうして本として読むとまぁとにかく滅法面白くて、しかもこれはフィクションではなく、著者自身が最前線に立っているノンフィクションなのです。もし自分が著者と同じ状況に置かれたとして、同じ行動が取れるだろうか・・・無理です!
例えば、戦闘が続くモガディショの滞在には、護衛の -
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本書には、日本の学生、コンゴ人の学者、役人、現地住民が登場し、ジャングル奥の湖への行き来と滞在の様子が描かれる。
体力、時間、お金、思考力、仲間、これら全てを兼ね備える大学生の極みのような体験記と思った。
描かれる人たちは皆それぞれに才気に溢れ、行動力もある優秀な方々なのだが、その時々の目の前の出来事に右往左往しながら反応し、対処していく様子が面白かった。
日本では、将来に悩み、思い詰めることも数多くある思うが、本書中の登場人物にはそれらが見られず、ある意味で場当たり的に過ごしているようにも見える。しかし、後書きにあるように各位は今も元気に幸せに暮らし、立派な仕事をされている方もいる。 -
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中国の成都から、ビルマのカチン州とナガ州を通過し、インドのカルカッタまで、約2ヶ月間の旅の記録書。
中国とインドは車や列車で移動するが、ビルマでは密林を徒歩で移動する。密林なので、山道で、スコールも降り、ヒルも出て、電気や水道はない。過酷の一言と思うが、そこを日常とし普通に暮らす人々がいる。意外にも環境自体を苦にはしていない。
大きな問題は周辺国との対立で、特にビルマの2州は人口が少ないので、人口が多く、資金と武器がある周辺国の兵士を日々警戒して暮らしていた。
自然環境は受け入れることができるが、対人関係は悩み深い。悩みの規模や深刻度は全く違うが、悩みのジャンル自体は日本にも通じるものであり -
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麻薬アヘンを生産する地域、そこに悪人はおらず、控えめで純朴な方々が暮らしていたそう。
物事の理解には、教書による体系的・理論的な知識に加え、現場の肌感覚が必要と思うが、本書では、立ち入りが極めて困難な地域の現場感を立体的に伝えてくれる類稀な力作と感じました。
ミャンマーは山岳地域が多い。往来が困難なので、各地域ごとに孤立し独立しやすい。ミャンマーでは自治州民が人口の1/3ほどを占める。多数はビルマ民。
筆者が滞在した村は30人ほど。準共産制で村民は協力して暮らす。仕事をノルマ的でなく、個人の良心や村内の空気に従い、毎日仕事をしている。小学校のクラス掃除に近いと感じた。近代前の日本もこ