高野秀行のレビュー一覧

  • 謎のアジア納豆―そして帰ってきた〈日本納豆〉―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    納豆というと、よく、「なんで豆腐が“豆が腐った”で、納豆は“納豆”なんだろう?」と言われるが。
    それは、「納豆は、豆を藁苞に納めるから“納豆”」。
    「豆腐は“腐”が中国で四角く固めるという意味があるから“豆腐”」って聞いて、ずっとそれを信じてたんだけど……、
    そんな話、これっぽっちも出てこない。
    もはや何が何やら…!?(^^;

    東南アジアの山間部で、納豆やコンニャクが食べられていることは知っていた。
    あ―、それって、つまり「照葉樹林文化圏」ってことだよねって、ずっと信じてきたんだけど……、
    この本によれば、それはそれでまた微妙に違うらしい。

    ていうか、現在、日本で食べられている納豆というの

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    2022年02月23日
  • 腰痛探検家

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    探検とは、未知なる秘境に行くことだけを指すのではなく、捉え方次第で何でも探検になるのだと認識させられる一冊。今回『腰痛』という地獄から生還するため、情報を集め、知り合いを頼り、色んな種類の病院や治療院に通い、完治を求め彷徨い歩くその姿はまさに探検。そして行く先々で全て違うことを言われさらに混迷を深め迷走していく様は、申し訳ないけれど笑うしかないというか。特に治療者と患者の関係を恋愛に例えるところが妙に納得できました。決して読んで腰痛治療の参考になるわけではないですが、集中して読んでいる間は腰の痛みを忘れさせてくれるかも?

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    2022年02月17日
  • ワセダ三畳青春記

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    高野さんの文章は「粋」である。

    その時の情景や人の感情をメタで捉えてるから一人称でも客観的で分かりやすいし読者の心の声を先にツッコんでくれるのでクスってしてしまう。そして無駄な重複表現はなく端的でスマートである。

    なので野々村荘の中のトンチキな出来事をまるで天井から眺めているような気分になりワクワクして目が離せない。

    しかし最後の6章だけはテイストが異なる。今までさんざん野々村荘をシニカルに面白おかしく書いていたのに急に「私小説」っぽくなる。もっというと「独白」、いや完全に奥様への「ラブレター」である。

    このラブレターが沁みる。これまでの放蕩生活の代償として世代や世間から取り残されてし

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    2022年02月08日
  • アジア未知動物紀行 ベトナム・奄美・アフガニスタン

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    アジア(ベトナム、奄美、アフガニスタン)で未知の動物、UMAを探すノンフィクション。終始真剣に探索を行い、命の危険もあるような国にまで行き、探すために現地の人と交流し、色んな場所をたらい回しされ、なんなら銃まで向けられるような経験をしているのに、それを面白く書けるところがすごい。そしてUMAについてだけではなく、訪れた国の内情やその国の抱える矛盾まで考えさせられる深い内容でした。

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    2022年01月25日
  • 異国トーキョー漂流記

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    東京も、外国人とすごせば異国"トーキョー"に見えてくる……
    登場する日本で暮らす外国人たちがみな個性的でおもしろいのは、(わざわざ日本に来るような人たちだ、)各人の個性も十分あるだろうが、同時に著者の目線のおもしろさもありそうだ。
    どのエピソードもおもしろく、また興味深いものだった。
    なかなか海外旅行に行けないいま、すこし他人の視点を想像すれば、ここ日本でも異国を感じることができるかも、というワクワクを感じることができた。

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    2022年01月10日
  • 幻のアフリカ納豆を追え!―そして現れた〈サピエンス納豆〉―

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    納豆とは栄養価が高いが食べにくい豆を食べるためにホモサピエンスが生み出した手段だった。前作も面白かったが、今作は唸らされた。

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    2022年01月08日
  • 世界の辺境とハードボイルド室町時代(集英社インターナショナル)

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    辺境作家の高野さんと中世史家の清水さんの対談。最初は、本書の表題のように、それぞれが専門とする室町とソマリランドの生き方が似ているというところから話が始まるが、後半はそこから離れて人生論、作家論、文化比較論、日本人論・・と様々な話題に及んで飽きさせない。お二人の教養の深さも物凄い。

    一つ言えるのは、価値観はもとより多様だが、それは辺境にも転がっているし、過去にも転がっていて同様に面白いし、やはり今の価値観が絶対ではないことを常に相対視できるようにすべきということなんだろうと。

    30年前と今と、かなり価値観は変わってきているが、それもそれ、古代から中世、織田信長を経て江戸、そこから明治、戦前

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    2021年12月26日
  • 謎の独立国家ソマリランド

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    複雑で飲み込むのは難しいが、実際の旅行記と併せてソマリランドについて説明されており,面白かった。
    臨場感があり、登場人物は皆面白い。
    読むのに時間がかかったが,ソマリランドについて知るための貴重な資料だと感じた。

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    2021年11月18日
  • 異国トーキョー漂流記

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    日本に居ながら海外を旅したような気分になれる、高野秀行が出会った面白おかしい『ガイジン』との数々のエピソードを交えた物語。

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    2021年11月17日
  • 移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活

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    寒々としたお話をしばらく読んでいたから、そろそろどこかであったまりたいと思っていたところ。

    普段海外のお料理に対してあまり免疫がなく、おまけに当たり外れも激しそうだからって知っていたり味の想像がつきやすいものにしか手を出さずにいたけど本書に出てくるお料理は冗談抜きにどれも美味しそうで、第一章のタイから垂涎のまなざしだった。
    筆者と並んでテーブルを覗いていると、どの人も笑いかけてくれる。つられて何度も笑みがこぼれた。

    初版は’12年で東日本大震災下の移民についても触れられている。混乱の中で彼らを訪ねて調査を続けようとするのは少し強引にも思たけど、こうして勇気を出してくれる人がいるおかげで普通

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    2021年10月21日
  • 【カラー版】ミャンマーの柳生一族

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    以前はピンとこなかったので、評価が低かったが、クーデターで揺れている現在のミヤンマーについてためになった。

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    2021年08月30日
  • 世界のシワに夢を見ろ!(小学館文庫)

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    2021/08/22
    どの話もヒーだの、うわぁだの、爆笑だの、とにかく楽しく読ませてもらえました。
    三畳青春記の奥様とのエピソードはキューンと読ませていただきましたが、まさかまさかの初体験エピソード、しかも辺境にて!こんなに書いちゃってよいのですか??!(笑)

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    2021年08月23日
  • 【電子特別カラー版】恋するソマリア

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    早大探検部出身、あの「謎の独立国家ソマリランド」を著した高野秀行氏による同著の続編とも言える1冊。
    アフリカ東部に角のように突き出たかつてのソマリア。ソマリア国は1991年に崩壊し、20年以上無政府状態だったその地域に入っていったのが著者の前著だったのですが、本著は更にソマリ世界の深くに入り込んで、どっぷりと浸かっていく印象。
    こうして本として読むとまぁとにかく滅法面白くて、しかもこれはフィクションではなく、著者自身が最前線に立っているノンフィクションなのです。もし自分が著者と同じ状況に置かれたとして、同じ行動が取れるだろうか・・・無理です!

    例えば、戦闘が続くモガディショの滞在には、護衛の

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    2021年08月18日
  • 西南シルクロードは密林に消える

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    久々に面白い本を読んだ。忘れたくない名前がたくさん出てきた。まぁカチンに行くことは一生ないだろうけど、見てみたい、会ってみたい人達がたくさん登場する。エピローグ、あとがき、解説も非常に面白い。ゾウ・リップが生きて出世していることを望む。

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    2021年08月16日
  • 幻獣ムベンベを追え

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    本書には、日本の学生、コンゴ人の学者、役人、現地住民が登場し、ジャングル奥の湖への行き来と滞在の様子が描かれる。

    体力、時間、お金、思考力、仲間、これら全てを兼ね備える大学生の極みのような体験記と思った。


    描かれる人たちは皆それぞれに才気に溢れ、行動力もある優秀な方々なのだが、その時々の目の前の出来事に右往左往しながら反応し、対処していく様子が面白かった。

    日本では、将来に悩み、思い詰めることも数多くある思うが、本書中の登場人物にはそれらが見られず、ある意味で場当たり的に過ごしているようにも見える。しかし、後書きにあるように各位は今も元気に幸せに暮らし、立派な仕事をされている方もいる。

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    2021年08月14日
  • 西南シルクロードは密林に消える

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    中国の成都から、ビルマのカチン州とナガ州を通過し、インドのカルカッタまで、約2ヶ月間の旅の記録書。
    中国とインドは車や列車で移動するが、ビルマでは密林を徒歩で移動する。密林なので、山道で、スコールも降り、ヒルも出て、電気や水道はない。過酷の一言と思うが、そこを日常とし普通に暮らす人々がいる。意外にも環境自体を苦にはしていない。
    大きな問題は周辺国との対立で、特にビルマの2州は人口が少ないので、人口が多く、資金と武器がある周辺国の兵士を日々警戒して暮らしていた。

    自然環境は受け入れることができるが、対人関係は悩み深い。悩みの規模や深刻度は全く違うが、悩みのジャンル自体は日本にも通じるものであり

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    2021年07月22日
  • 謎のアジア納豆―そして帰ってきた〈日本納豆〉―(新潮文庫)

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    どこかで見た作者名、そしてテーマというか本の雰囲気だなと思ったら、以前読んで面白かった「アヘン王国潜入記」の人だ!
    アヘンから納豆とは、随分と庶民な感じになったな、とそのときは思ったが、読み終えて思う、特に変わってない。エナジェティックなままだ。

    あまり納豆買わないが、これを読んでると流石に食べたくなってきて、しかも単にご飯にかけるのではなく、具材として調理したくなる。実際買って食べるとやたらと美味しく感じた。
    納豆のタレを超えた、納豆の調味料がこの本だったのだ。

    すごいな、納豆。
    続編のアフリカ納豆編も読まなければなるまい。

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    2021年07月22日
  • 西南シルクロードは密林に消える

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    著者の本を多く読んでいるが、トップスリーに読み応えのある内容であった。ノンフィクションとしても一級品だが、旅先の文化であったり、人、経済環境等が様々勉強になることが多いので、是非読んでいただきたい一冊。ただ、読み終えるのに8時間程かかるのが難点か。

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    2021年07月19日
  • 【カラー版】アヘン王国潜入記

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     麻薬アヘンを生産する地域、そこに悪人はおらず、控えめで純朴な方々が暮らしていたそう。
     物事の理解には、教書による体系的・理論的な知識に加え、現場の肌感覚が必要と思うが、本書では、立ち入りが極めて困難な地域の現場感を立体的に伝えてくれる類稀な力作と感じました。

     ミャンマーは山岳地域が多い。往来が困難なので、各地域ごとに孤立し独立しやすい。ミャンマーでは自治州民が人口の1/3ほどを占める。多数はビルマ民。
     筆者が滞在した村は30人ほど。準共産制で村民は協力して暮らす。仕事をノルマ的でなく、個人の良心や村内の空気に従い、毎日仕事をしている。小学校のクラス掃除に近いと感じた。近代前の日本もこ

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    2021年07月18日
  • 謎のアジア納豆―そして帰ってきた〈日本納豆〉―(新潮文庫)

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    納豆って日本独自のものじゃなかったんだ!と目から鱗。
    でも考えてみれば、本書にあるようにおそらく最初は偶然の産物、材料も工程もシンプルなものだけに、他の国にはないわけはないのだと、読み終わった後では納得した。
    それにしてもアジア各地(しかも僻地)を納豆のために飛び回る取材力がすごい。

    納豆研究のパイオニアに知ってる教授の名前が出てきて驚いた。

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    2021年07月10日