高野秀行のレビュー一覧
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イラクの湿地帯=アフワールについて書かれた本。世界史上にはレジスタンスあるいはアナーキー的な湿地帯が存在するらしく、その中の一つである中国の水滸伝になぞらえ「イラク水滸伝」と題されている。
「湿地帯の恐ろしさは、その境界があいまいなところにある。(…)鈍色の雲が地平線まで垂れ込めた空の下、どこまでも続く湿地とも荒れ地ともつかない土地を走っていると、なんだか世界の始まる前の原初の状態にいるような感覚にとらわれる。」
と書かれてるけど、回想やイラクに関する歴史について脱線が多い序盤は今どこにいるんだっけ?と自身が湿地帯に迷い込んだように感じることがしばしば…翌日とか何時とか、時間経過を示したり示さなかったりするし(ちまちま読み進めたのが悪かったのかも)。
第1章〜第3章
:2018年1月 イラク初訪問
第5章
:2019年5月 アフワール再訪 いよいよ舟造り
第6章
:2019年の秋 舟旅決行が山田隊長の誤診で中止
→ 来春に決行の予定がコロナ禍で中止
2020年10月 マーシュアラブを知る
2022年3月 アフワール再訪
チバーイシュ町周辺でタラーデに
乗る(表紙の写真)
ブリコラージュという単語が何度も出てくるけどその場しのぎかもしれない、でもその試行錯誤で最終目標としていた舟旅に漕ぎ着けたことがすごい。
あとがきにある通り「思いつくかぎり何でもやった」が故のボリュームで、イラクそしてアフワールの魅力が描き出されている。ゲーマルやマスムータを食べてみたいと思うと同時にイラク戦争などイラクの歴史もちゃんと勉強したいと思った。
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Posted by ブクログ
三畳一間と言わないまでも、昔ながらの下宿の様子がわかる自伝的作品として、藤子不二雄A『まんが道』や吾妻ひでお『地を這う魚』などがあげられるが、本書にはこれらの作品とはまた違った趣きがありむちゃくちゃに楽しませてもらった。
なにせ登場人物達が面白い。パンの耳を貰ってきて毎朝食べるほど異常なほどケチな上、寝返りをうつ音にすら苦情をいれる「守銭奴」、弁護士目指して熱量MAXで他人に世話を焼いて迷惑をかけまくる「ケンゾウさん」、また探検部関係者では宇宙旅行を本気で提唱し始めたり、チョウセンアサガオをどこかから掻っ払ってきた先輩の「加藤さん」、そして盟友のイシカワやキタといった多種多様な奇人変人たちが集まる野々村荘とはなんなのか、そしてそこに溶け込む高野秀行とはどれほどまでにぶっ飛んでいる(良い意味で)のか、と考えているうちにどんどん次のページをめくってしまう。まさに読む手を止められなくなってしまう。
所々常識的に問題があるのでは?といった場面もあるが、そんな些細なことを気にしていてはこの本を楽しめない。限りなく自由な人たちを自由な気持ちで眺めてみれば良い。気づけば腹を抱えて笑っている自分自身に気づくことであろう。日々の疲れやストレスを吹っ飛ばすのに最適な「読む抗鬱剤」、それが『ワセダ三畳青春記』である。 -
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高野氏の著作に関しては飲酒に目覚めた後の少しおちゃらけた文章に慣れていたので、本書の真面目で鋭い語り口には度肝を抜かれた。一般的には知られていないであろう、少数民族を無数に抱えたビルマという国が英国に好き放題にされた後独立国家として目覚め、その統治の難しさから軍事独裁政権に踏み切った実情をしっかりと語り、中国共産党の息のかかったビルマ共産党に侵略され、そこから独立したにも関わらず中国的官僚制度や文化から抜け出すことができず、麻薬に関係した場合は死刑になるという厳罰で持ってこの植物に臨む中国に対してヘロインを密輸する奇妙で矛盾に満ちたワ州という反軍事政権の暗部を日の元にさらけ出し、この汚いビジネスに加担する中国の公安を掻い潜りワ州の上層部を説き伏せて実際にアヘン栽培を行う村に潜入するという、多くのジャーナリストでも忌避するであろう道を突き進んでいく著者の行動は、刊行された当時多くの人の胸を打ったであろう。発売当初にこの書物を知らなかったことが悔やまれる。
それにしてもアヘンの効果とは恐ろしいものである。悪性腫瘍からくるものも含むどんな体の不調ですら一時的に緩和し、本人が自覚症状を感じる間もなく中毒症状へ誘っていく。多くの孤立した軍事政権が薬物売買によって戦費を稼ぐ理由がよくわかる。しかしその収入は本書で記されているように薬物の密輸ルートを維持し幹部の私腹を肥やすために使われ、末端で栽培する人々にはまったく還元されない。我々の知らない場所でこのようなえげつない行為が行われることを、本書は改めて思い起こさせてくれるのである。 -
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積極的に謎の企画を立ち上げて海外にいってアホをやらかしてくる多言語話者で貧乏な著者が、逆に様々な境遇で日本にやってくる外国人と東京を歩き、それぞれの国の文化や価値観、そして「トーキョー」という外国人から見た都会を見つめ直していく、笑いあり涙ありのノンフィクション。アメリカを非難しつつもマクドナルドを美味そうに平らげるイラク人や、暗黒舞踏に憧れて貧乏生活を送るフランス人など多種多様な人々と著者が織りなす台本のない喜劇に腹を抱えて笑い、時に鋭い指摘に極東に位置する日本という国の異様さにもハッとさせられる。一筋縄では行かないのに読みやすく、世界についての扉を開いてくれる良著である。
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世界の納豆をめぐる探検
- カート
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試し読み
Posted by ブクログ
著者の納豆への熱ーーい想いが伝わって突き抜けていく!
数日かけて読み聞かせた文章量!!
絵本だけど熱量が半端ない!
納豆って日本だけのものだと思ってたのよ。
だって、外国の人って納豆食べられないイメージが強いじゃない。
そしたらアジアどころかアフリカにまであるなんて!!!
そしてアフリカにまで行って納豆作ってもらって食べてくるんだもん、びっくりよ笑
挙げ句の果てには縄文人も納豆食べてたんじゃないかって自分で縄文時代の納豆(本当にあったのかどうかは不明だけど)作って食べるんだもん。
納豆への愛が凄まじい。
それにしても、日本の納豆菌とアジアの納豆菌の遺伝子がほぼ同じっていうのには驚いたなぁ。
納豆菌は世界共通なのね。
食べ方や作り方は様々だけど、納豆を愛する民として、いつか我らの愛する納豆と彼らの愛する納豆を食べ合い、語り合ってみたいなぁ。 -
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白い。
高野秀行が日本の生活について書くということは、彼の実力が発揮されるアジア・アフリカの辺境エリアとは真逆のステージを書くことになるため、地味な作品となることを予想したところ、それは大きな間違いであった。
浮世離れした高野秀行が居る場所は全て辺境と化すのであり、そこがゴールデントライアングルであろうとソマリランドであろうと日本であろうとも彼の周りでは訳の分からない面白いことが起こり続けるのだ。それどころか生活の話となると内容の濃さが段違いに上がり、高野作品の中でも最高傑作と呼んで差し支えない面白さだ。
私が特に好きなのは「プールへ行こう!」で、区民大会に出て名前を呼ばれるくだりはゲラゲラ笑って読んだ。
終盤にかけてノワール映画を見ているかのようなノスタルジーに襲われ、最後には泣いていた。高野作品で泣かされたのは初めてだ。 -
世界の納豆をめぐる探検
- カート
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試し読み
Posted by ブクログ
ネタバレ納豆は日本だけの食文化という「常識」を吹き飛ばしてくれる。
高野秀行『謎のアジア納豆』『幻のアフリカ納豆を追え!』をもとにした、子ども向け納豆解説。ふだんのノンフィクションのスピード感はない代わりに、発見のエッセンスが詰まっている。
納豆に類するものがほかの文化にもあるのか。それは、実際に世界中を旅して食べてみないことにはわからない。かくして著者は納豆探検の旅に出る。韓国のチョングッチャンに始まり、ミャンマーのせんべい納豆、ネパールのキネマ、中国ミャオ族のガオヨウ、ナイジェリアのダワダワ、ブルキナファソのバオバブ納豆、etc。納豆は世界中にある。
しかし、納豆はいつどこで始まったのか。おそらくかなり古く、それぞれの地域で発明・発見されたものなのかもしれない。そこで実験をひとつ。縄文人の食料ツルマメを煮て、トチの木の葉でくるんで、温度を42度に保って、数日寝かす。そうすると、ちゃんと納豆ができあがった。 -
購入済み
高野さんが若い!
10代後半から20代後半、体力と探求心に満ち溢れた高野さんの10年間の冒険....面白くってあっという間に読んでしまいました。心からオススメさせて頂きます^_^
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購入済み
高野さんの意外な一面
この本を読んでますます高野秀行という人間が好きになりました。僕も腰痛持ちなので高野さんの境遇や考え方には深く共感できる部分があり、高野秀行という人間がより一層身近に感じられるようになりました。ただしっかりとご自身の苦しかった経験を読んでいて人を楽しませるエンタメに昇華させている部分に高野さんの作家としての実力の高さを感じました^_^
心からオススメさせて頂きます^_^