あらすじ
中国四川省の成都を出発し、ビルマ北部を通って、最後にはインドへ――幻の西南シルクロードに挑む著者の前には、圧倒的なジャングルと反政府少数民族ゲリラの支配する世界屈指の秘境がたちふさがっていた。混迷と困難を極める旅なのに、これほど笑えるのはなぜか。究極のエンタメ・ノンフィクションついに登場。
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Posted by ブクログ
高野秀行、20年ほど前の経験。中国、マレーシア、インド国境を徒歩で、車で、象で行く話。
そして皆に助けられて日本に帰れた話。
凄くハードな経験なのに、笑い飛ばしてしまう(読みながら笑ってしまう)明るさ。
おススメ。
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高野秀行作品は多々読んできたが、その中でも道程の長さとアウトローっぷりは最大級だ。
カチン軍と行動してるときに中国の公安に捕まる場面はハラハラしたし、めちゃくちゃな言い訳に爆笑してしまった。
ナガ人の世話になっているときの大どんでん返しにも笑った。
高野さんが現地人と育んだ友情や、日韓ワールドカップの熱狂、モンゴロイド人の団結といった描写は外国人排斥に熱狂する今の日本のニュースと落差を感じた。
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やっぱり高野秀行は面白いなあ
かなり濃密な旅で、登場人物も入れ替わりがあるがどの人も魅力的。
作者の特徴である牧歌的な筆ながら、
直接的ではないにせよ、後日談で生死不明が入るのはやはりゲリラなんだなと。
なぜゲリラになるかというのは
少女兵士の話が、とても印象深かった。
>彼女にとってはゲリラ生活の方が世間の荒波にもまれるより楽だったのだろう。
あとは新聞紙の紙巻きたばこは、やってみたいな。
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最後の文庫版あとがきが一番びっくりドッキリ。 今読み終わったけど、このびっくりドッキリのせいで、全体の感想はまた今度。 今はこの余韻に浸っておきたい。
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存在がまだ解明されていない西南シルクロードの陸路紀行。中国の成都に始まり、ミャンマーのカチン州、インドのナガランドを経てカルカッタに向かう道中での様々な人との会話や関係を構築していく様子が面白く、高野さんらしさを感じた。「戦後初めて中国からビルマ経由でインドまで運ばれたことを確認された交易品」、と自身を評するさすがの表現力で笑ってしまった。
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こんなに夢中で本を読んだのは久しぶりでした。
圧倒的スケールで描く、ノンフィクション体験記
ビザ無しで中国、ミャンマー、インドを現地(地元ゲリラ)の方と巡る冒険は、本当に読み応えがあった
自分の中では、高野秀行さんの最高傑作だと思う
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白い。
自身の高野さんの著書4冊目だが、一番苦難を乗り越えて探検している感じがした。
実際に生で交流しなければ書けない現地の人々の描写がいい。これが日本でくつろぎながら読むことができるなんてありがたいことだ。
それにしても、今作でも『アヘン』でも思ったが、上梓されてしばらくたってから書かれる文庫版のあとがきを読むに、取材の中で関わった人は殺されたり投獄されたりしていることもあり、この取材・体験はその瞬間の奇跡を手繰り寄せて実現しているんだなと感じた。
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中国からタイ・ミャンマーの「ワ」州を抜け、インドへ。中国の出国手続きもなく、タイ・ミャンマーへの入国も税関を通ってないので、インドへは不法入国状態。「ワ」のあたりを徒歩で制覇していく様子も、インドから奇跡的に日本に帰国するのも、読んでいてワクワクする冒険譚です。アヘン王国と合わせて読むともっと楽しめると思います。
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高野さんの紀行文は、信頼できる。
現地の人たちとの交わり方が、素朴で率直で暖かいからだ。自分が実際に現地に足を運んで、その土地の人と話をしてみたい気持ちにさせられる。
今回の旅で私の印象に残ったのはゾウ・リップとエピキュリ大尉の2人。
今、ミャンマーは本当に大変な事態を迎えている。この本に書かれた旅が行われている時も十分大変だったのだが、それを上回る状況であることが日々ニュースを通して伝わってくる。
願わくば、この旅に登場した人々が幸せに暮らせる時が早く訪れますように。
と願ってはみるものの、対立するゲリラのどちらの人々も高野さんの旅の味方になってくれたわけで、非常に虫の良い浮ついた願い事にしかなりはしないのだけれど。
そういう意味では、綺麗事だけでは成り立たない、人の世の複雑な網目をも感じさせてくれる秀作だと私は思う。
あと、本書を読んだ方には、ぜひ『ミャンマーの柳生一族』もご一読いただきたい。めちゃくちゃ笑えて、勉強になる一冊。なぜスーチーさんではミャンマーが治められないのかが分かるかも。
Posted by ブクログ
久々に面白い本を読んだ。忘れたくない名前がたくさん出てきた。まぁカチンに行くことは一生ないだろうけど、見てみたい、会ってみたい人達がたくさん登場する。エピローグ、あとがき、解説も非常に面白い。ゾウ・リップが生きて出世していることを望む。
Posted by ブクログ
中国の成都から、ビルマのカチン州とナガ州を通過し、インドのカルカッタまで、約2ヶ月間の旅の記録書。
中国とインドは車や列車で移動するが、ビルマでは密林を徒歩で移動する。密林なので、山道で、スコールも降り、ヒルも出て、電気や水道はない。過酷の一言と思うが、そこを日常とし普通に暮らす人々がいる。意外にも環境自体を苦にはしていない。
大きな問題は周辺国との対立で、特にビルマの2州は人口が少ないので、人口が多く、資金と武器がある周辺国の兵士を日々警戒して暮らしていた。
自然環境は受け入れることができるが、対人関係は悩み深い。悩みの規模や深刻度は全く違うが、悩みのジャンル自体は日本にも通じるものであり、場所や環境に依らないなと思った。
日本を出て、知らない場所を旅したい、そんな憧れを抱く一方で度量や活力もなく、加えて仕事や家族を考えると益々そんな旅はできない。こんな自分にとって、本書は現代の冒険譚であり非常にワクワクする本であり、すっかり著者の高野さんのファンになってしまった。
Posted by ブクログ
著者の本を多く読んでいるが、トップスリーに読み応えのある内容であった。ノンフィクションとしても一級品だが、旅先の文化であったり、人、経済環境等が様々勉強になることが多いので、是非読んでいただきたい一冊。ただ、読み終えるのに8時間程かかるのが難点か。
Posted by ブクログ
とっても読み応えのある本。
正直西南シルクロードと言われてもピンと来なかったけどそんな事はどうでも良くてとにかく面白い。
中国からミャンマーへ密入国しジャングルを2ヶ月以上歩いて今度はインドに密入国する。しかもその行程すべてがその土地にいるゲリラにエスコートされながらである。
なのに笑える。ゲリラとの妙な絆にも愛着が湧いてしまう。
まったく知らなかったビルマやインド国境付近のゲリラ達について、少数民族について、国について興味も湧いたしとても勉強にもなった。
今まで読んだノンフィクション物では一番読み応えがあった!
しかしよくぞ陸路で最後まで制したなぁ…
普通途中で諦めちゃいそうなものだけど。
凄い人だなぁ。
Posted by ブクログ
とてもとても面白かった。ユーモアと暖かさのある文章で、もの凄く危険な旅がそれだけじゃない、人々との交流や現地の人々のくらし、文化をとてもわかりやすく、でも時に鋭い考察を交えて、決して押し付けがましくなく、伝わってきた。ホモサピエンス全史の次に読んだという偶然も、より理解が深まってあっという間に読めた。なんだろう。初めて読むタイプのノンフィクション。次の高野秀行さんの本も絶対読む。
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すごくよかった。
著者の人間観察の目が他の著作よりも冴え渡っている。長い旅をともにしたから、その過程で様々な側面を目にしたのだろうか。他の著作より登場人物が多面的で魅力的に描かれている。著者の苦労話や体験記という枠組みは後退し、個性的な人々がリレーのバトンのように著者を運んでゆく。お節介焼き、快楽主義者、未来の独裁者、そして最後には第二世代の若者。。。運ばれるバトンの目を通した群像劇のように思える。そして昔も今も何かが運ばれて目的地に到着するということは本当に感動的なことだ。
Posted by ブクログ
中国四川省からミャンマー北部のカチン軍支配地域、そしてインドナガランドへ、反政府ゲリラを頼って、幻の西南シルクロードを辿る旅の記録。高野秀行氏と言えばソマリランドやミャンマーのアヘン村潜入記での現地事情を手際よく説明する技術に関心することも多いのだが、本書ではその点には不満も残る。なにしろカバーする地域が広いし、情勢も複雑を極めている。だが、それにも増して、冒険への初期衝動という意味では、西南シルクロードを辿るという目的のために中国からミャンマー、ミャンマーからインドと2度の密入国と反政府ゲリラと行動を共にしてジャングルを数か月徒歩とゾウ、車とボートで走破するという行動がぶっとんでおり、頁を繰る手が止まらなくなってしまう。
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これまでに読んだ高野氏の本の中では一番人との繋がりを感じる内容だった。人に助けられ、人手をフルに使って渡り歩き、自らが運ばれるモノとして道筋を体現して見せた。
無鉄砲すぎて現実と思えない上に驚きの連続だったけど、何度吹き出したから分からない。特にジャングルを行く間は読んでいて本当に面白かった。
根っからの善人も悪人もいないのだと思う。どの面を見せているかで印象は変わってくる。壮絶な旅の一端を見せてもらった。
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歴史や他国について無知なのでシルクロードというのも名前しか知らなくて絹を運んだ道ということも初めて知った。道を辿っていく旅なのかと思っていたらほとんど道のないところを歩いていたり国境や派閥などいろいろな問題があり終始ドキドキした。中国公安に捕まった時の適当な会話は思わず笑ってしまった。キリスト教でありながらナッ信仰を語っている場面も面白かった。世界では自分の知らないところで戦争などが起こっていたりたくさんの民族がいたりともっと世界のことを知りたいと思った。
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芒市のホテルでの盗難、盈江での警察署への連行。波乱万丈の出発。ジャングルを行く。眠ると落ちるゾウの上、崩れて落ちる竹の橋、くっついて離れぬヒルの襲来、眠りを覚ます胃痙攣。矢継ぎ早に訪れる危機に、”ハラハラ”も”ドキドキ”も感じない。助かるのはわかっている。”面白く”、”おかしく”は楽しめる。二進も三進も行かない禍は、期が熟したら何故か向こうから消えてくれる。だが、これは創作ではなく紛れもない事実。インドへの不正入国をお咎めなしで帰れたのは運以外の何物でもない。読者がこうして作品を味わえることは奇跡である。
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この人の書く文章は笑いが入ってて引き込まれる。よく文章の書き方の本とか、この人は文才があるね、とかいうけどこれは違うのかもしれない。体験が面白ければ文章は必然的に面白くなる。日本人がわざわざ中国通ってインドまで二ヶ月も歩きっぱなしなんて、聞いたことがない。最高の作家。
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作者は『持っている』としかいいようがない。驚くべき旅の一部始終が記されている。ただ、長すぎるのと、同じような話が続くため(本当にあったことなので仕方ないのだが)、読むのに時間がかかった。
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最初はあまり面白くないなと思ったが後半一気に面白くなった。現地の人との交流やドンデン返しなど面白い面白い。
ミャンマーは色々変な国だな。数年前に行けてよかった。今はもうクーデター&コロナで行けなさそうだし
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国境を密入国で越え、さまざまなゲリラのお世話になり、というまさに奇想天外なノンフィクション。普通の人だったらまず無事に帰って来れないだろう旅路。
旅の道中出会う人々が生き生きと描写されていて、高野さんの、現地で懐に入る力が存分に発揮された1冊だなぁと感じました。もはや旅から20年くらい経っているので、(なかなかあり得ないでしょうけれど)高野さんが今このルートをもう一度通ったらどんな感じなんだろうとも思いました。
Posted by ブクログ
最近、高野さんの作品にハマっている。かなり遅いかもしれないが、「恋するソマリア」を初めて読んでから、その圧倒的な体験と描写のうまさ(臨場感というか自分も探検をしている気にさせてくれ、時にはハラハラし、時にはクスッと笑ってしまう)に惹かれて、同著者の作品(アヘン王国潜入紀、本作)を次々と読んでいるが、どれもぶったまげる内容ばかりだ。非現実的すぎて、ノンフィクションでありながら、一種の「冒険小説」のような楽しみがある。一生に一度こういう冒険をしてみたいと夢想してしまう。
実際は過酷な探検の日々だと思うが、それを感じさせない楽しそうな描写がそう思わせてくれるのかもしれない。
とにかくものすごくおすすめである!
Posted by ブクログ
古代の通商路である西南シルクロードは諸説あるが中国の成都からミャンマー北部を通ってインドへと至るものだそうだ。
古蜀はシルク発祥の地の有力候補でもあるそうで、北方のシルクロードより謎が多くその道を歩いて行ってみる、という計画だそう。
旅のほとんどはジャングル珍道中だ。
だがそこは反政府少数民族ゲリラがいて、その人々や道々…というよりほとんどジャングルの中で出会う人々の姿が描かれる。
納豆が他の国にもあることを知らなかった。東アジア文化圏という言葉が出てくるが、最後に出てくるインドの話と比べてみてもなるほど、共通項が多いのか。
その珍道中ぶりに笑っていると時折その地の情勢だとか、ほとんど廃れてしまっているがほんの少しだけ絹織物を作っている老婆が出てきてこの旅の目的を思い出す。
西南シルクロードが何であったのか、エピローグに著者の視点でまとめられている。
「道」というよりは「地域」であり、北のシルクロードのように荷物を運び通すというより手渡されて移動していくのでは。
歩いて旅したのは自分だが、ゲリラからゲリラへ手渡されて自身が荷物である、というのが面白かった。
東アジア文化圏であり、インド国内にあっても明確に違う文化、というのが興味深かった。
文庫版には7年後の様子がある。今はどうなっているのだろう。
Posted by ブクログ
文章は読みやすく魅力がある
西南シルクロードの謎を解き明かすという意味では不完全燃焼
ゲリラたちの生活や政治情勢をさぐるってテーマのほうがしっくりくる