高野秀行のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
イラン水滸伝から高野秀行作品を読むようになって、今ではすっかり高野秀行ファンになっている。
自分にはいろんな意味(モチベーション、勇気、体力、時間、お金)で経験できないことを、高野さんは経験し、それを本という形で表現してくれる。まさに本の醍醐味である。この作品は現実の世界での実際の体験記なのだが、今自分が生活している世界からかけ離れすぎていて非常にシュールなのである。日本人がこれまで行ったことのない、ミャンマーのワ州僻地にあるアヘンを栽培している村に長期間滞在して、自分もアヘン中毒になってしまう。現実は小説より奇なりであるが、ノンフィクションは現実より奇なりである。著者はどうなってしまうんだろ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ2009年と2011年のソマリア--ソマリランド、プントランド、当時の暫定政権が一部を統治していた南部ソマリア--取材旅行をまとめた本。遠慮が無くカネにうるさく氏族を中心に考えるソマリ社会に著者同様に驚き呆れることの連続だった。
本書では主にソマリランドを中心に話が展開する。2度の内戦を経験しながら他のソマリ地域より平和で民主的な「国家」たり得ているソマリランドの歴史と政治体制は興味深い。氏族主義が浸透しているからこそ氏族単位では扱いきれない政治からは距離を置きつつ、氏族の長老たちが政治家たちを監視するシステムは画期的だが合理的だ。本書で幾度も触れるソマリ人の実利を重んじる性分にも合ってい -
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Posted by ブクログ
'語学の天才まで1億光年'を読んで、すっかり、この著者の作風や破天荒な内容に魅了された。
本作は、この著者の原点とも言うべき、早稲田で過ごした11年間の驚きの生活や、そこに下宿している奇妙な人々の記録である。探検部の後輩からの紹介で、実家からこの下宿に転がり込む。
三畳一間で鍵はない。誰でも自由に出入りする。太っ腹な下宿のおかみさん、司法試験浪人という不動の地位の住人、ドケチも超がつく非日常的な動きをする住人など、世間離れした人物が集う異空間。エピソード形式で綴られていく世界が、ウソ?と思える連続で、読むほどに味わいがでてくる。最後に下宿を出る話になるが、何だかほんのりとし -
Posted by ブクログ
雨の日に数時間で一気読みしてしまった。高野さんの人生体験、人生観、モットーといったものが展開されている。
最初から奇人変人だったのかと思いきや、高校まではどこにでもいる品行方正な優等生。早稲田に入って周りの高い才能に気付いてこれと伍していくために奇襲作戦を常にとるようになったとか。そして行き着いたところが、人が行かないところに行き、やらないことをやり、それを面白おかしく書くことがモットーになったという。
彼のモットー10条に沿って話が展開され、どれもこれも面白いが、あとがきで、更に煎じ詰めると、
以下の3点、とりわけ③に尽きると言う。
①とにかくやること
②手段を選ばないこと
③正しいかど -
Posted by ブクログ
最高。なんか、泣ける。
高野秀行氏と言えば、いつも無茶苦茶なことに自ら突っ込んだり時に巻き込まれたりして大変な思いをしつつ、それを面白さに変換しながら、やりたいことをやって、したたかに生きる人だ。
簡単に言えば、自由で柔軟な人。読者は、そこに憧れるんだと思う。ほんとうは私だってこんなふうに生きてみたい、と。
本書は、著者の自伝的一冊で、タカノ青年があるアジア系新聞社"エイジアン"で働くことになった数年の顛末を描いている。スタッフはほとんどがアジア系のメンバーで、著者以上に自由でしたたかで驚くほどいい加減である。そもそも読者にとって高野秀行氏こそがもっとも変で魅力的な生き