あらすじ
日本に住む二百万を超える外国人たちは、日頃いったい何を食べているのか? 「誰も行かない所に行き、誰も書かない事を書く」がモットーの著者は、伝手をたどり食卓に潜入していく。ベリーダンサーのイラン人、南三陸町のフィリピン女性、盲目のスーダン人一家……。国内の「秘境」で著者が見たものとは?
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Posted by ブクログ
日本で暮らす外国人ってどんなご飯を食べているのか。
高野さんが各地の外国人のコミュニティで取材し
食べ、味わい尽くした一冊です。
どういう経緯でここに住んでいるのか
外国人を取り巻く状況とか
異国で体験する震災とか…
様々な事情がありつつも、みなさん自国の誇りをもちながら柔軟に明るく暮らしている様子が伝わってきます。
高野さんの人たらしのキャラクターもいいなぁ。
あと、お腹がすく!
Posted by ブクログ
涙なしには読めなかった。
グルメ要素を期待して読むと少しがっかりするかもしれない。
だけど、「あなたの食事事情を教えてください」という最初の入りで、一緒に食事を交わすことで文化や国籍は違えど打ち解けられる。
そして打ち解けることで、本当にその人の事を知れる。
だから他文化に触れたい、日本に住んでいる外国人を知りたい、そんな期待を持ってこの本を読むと、かなり満足度がある。
著者の高野さんの人柄がもっと好きになる本。
盲目の旦那さんとの結婚を機に、スーダンから日本に来た女性、フィリピン女性たち、色んな過酷な状況も乗り越え日本で暮らすイランの女性。
自分の実家が近くにないのはもちろん、母国語ではない国で子育てをしている女性たちに本当に胸が打たれ、その中で仕事も頑張る姿に勇気を沢山もらえた。
Posted by ブクログ
移民―様々な要因や事情によって母国を離れ、日本に移住してきた在留外国人は300万人を超える。その中でも独自の暮らしや文化を異国でも守り続ける人々がおり、また意外なほどに日本の食や習慣を受け容れている人々もいる。そんな日本の中にある外国のお話を各地で取材してまとめたエッセイ集となっている。
取材のタイミングが東日本大震災直後ということもあり、移民たちの中には母国に戻ってしまったり、東日本から西日本に移り住んだりといったケースも多かった。その中でもとくに信仰面では、教会やモスクといった象徴的な建物を異国においても守り続ける姿勢が垣間見える。そしてそこが同胞との接点であり、不安を解消するコミュニティとなっていた。
印象的だったのは、移民第一世代の外国籍の人々が母国の食や文化を大切にする一方で、子や孫の第二世代になると日本食や日本語を日常的に扱うようになる点だ。とくにムスリムやヒンズー教徒のような禁忌の多い宗教でも、肉食が少なく調理が簡単な日本食は好まれるようで、割とどの国の出身者でも寿司やラーメンは好むといった傾向がみられる。
もちろんこういった表には見えない差別や暮らしにくさといった面もあるのかもしれないが、決して深くは混じらずとも表面的に穏便に済ますといった日本社会の特徴は、外国人コミュニティにとっても無難かつ平和に暮らせる場所なのだろう。
Posted by ブクログ
寒々としたお話をしばらく読んでいたから、そろそろどこかであったまりたいと思っていたところ。
普段海外のお料理に対してあまり免疫がなく、おまけに当たり外れも激しそうだからって知っていたり味の想像がつきやすいものにしか手を出さずにいたけど本書に出てくるお料理は冗談抜きにどれも美味しそうで、第一章のタイから垂涎のまなざしだった。
筆者と並んでテーブルを覗いていると、どの人も笑いかけてくれる。つられて何度も笑みがこぼれた。
初版は’12年で東日本大震災下の移民についても触れられている。混乱の中で彼らを訪ねて調査を続けようとするのは少し強引にも思たけど、こうして勇気を出してくれる人がいるおかげで普通なら知り得ないことを知れることは、やっぱり大きい。
各国のデータに在日人口が男女比で記載されているのがまた興味深い!(比率の理由を自分なりに考えてみたり…)
人によるけど、ほとんどが「ー系日本人」に見えてくるくらい皆さん日本に溶け込まれていた。彼らに共通にしているのは今住んでいる場所に一番愛着を感じているところだと思う。
ごはんに加えて筆者の笑いを誘う語り口調と登場した皆さんの屈託のない笑顔に包まれて、今はもう幸福感でお腹いっぱい。気づけばすっかり体温も上がっていた。
Posted by ブクログ
高野さん、久しぶり。独特の視点と思考から紡ぎ出される食紀行は、東日本大震災という歴史的な災害と同時期という偶然も重なり、深みのある作品に仕上がった。在日外国人の普段の食事に焦点を当てたことで、その国の思想、日本観が伝わってくる。成田のタイ寺院は、行こうと思えばすぐ行ける場所にあるのに、全く知らなかった。館林のイスラム・ハラーム、鶴見のブラジル料理もそそられる。「移民」に違和感を覚える欧州人がいたが、著者の言わんとすることも理解できる。外国人が(日本人も)住みやすい日本であってほしいと言う著者に同感!
Posted by ブクログ
ソマリラントが楽しかったので、久しぶりに高野さんの本を読みました。
日本に住んでいる外国人の人たちに料理を振舞ってもらうという楽しい企画。写真もありますが、読んでるだけで本当にお腹すいて来ます。それぞれのコミュニティの人たちが何を思い、どんなふうに日本で暮らしているかもかいまみることができます。
いろんな国でいろんな人たちと体当たりで関わってきた高野さんだけに、文庫版へのあとがきがとても身にしみます。日本が外国の人たちにとってもっともっと住みやすい国になりますように、自分も含めて一人一人がちょっとずつ考えて行けたらいいな。
Posted by ブクログ
ヘイトが溢れる今だからこそ、多くの人に読んでほしい。
「寛容」と「排他的ではない」は違うという言葉にハッとした。
受け入れなくても良い、理解しなくても良い、まずは排除しないことからはじめよう。
様々な価値観、文化、信条があっていい。隣にいても良い。そして、できればいっしょに食事をして、楽しく話ができると良い。それだけで日本人にとっても外国人にとっても住みやすい国になる、とこの本を読んで感じた。
Posted by ブクログ
日本に移り住んだ外国人を食とコミュニティから見るルポ。雑誌で連載してたらしい
相変わらず、他にはないとても興味深い本。
日本に移住している人やコミュニティのルポであり、食をはじめとした様々な文化の紹介であり、2012年の日本の記録でもあり、人間を観察している文学でもある。
色々な国に行ってみたくなった。日本にいる色々な外国人コミュニティにも興味が沸いた。おそらく自分が知らないけど美味しい料理が世界にはたくさんあるんだろうと感じた。
Posted by ブクログ
多分7年くらい前に一度読んでいる。
2011年頃の話でだいぶ時は過ぎているので、日本に住む外国人事情も変わってはいるかと思うけど、やっぱりこの本は面白い。
Posted by ブクログ
単行本の出版から10年経っているので、状況が変わっていることもあるだろうが、とても面白かった。取材は大変だったようだが、読んでるこちらも、異国の人たちのコミュニティに入り込み、料理を食べてるような気分で楽しかった。どの人たちも異国である日本で生き生きとたくましく、大変なこともあるに違いないのに元気に生きておられ、見習わなきゃと思った。
文庫本のあとがきで高野さんが書いておられるように、外国人に対するヘイトは決してなくなるどころかひどくなる一方だ。日本人に自信や余裕がなくなって来たからだとおっしゃってる通りだと思う。
"これから日本が外国の人たちにとって、もっともっと住みやすい国になることを祈って止まない。なぜなら、そういう国は明るく気さくであるはずで、日本人にとっても住みやすいはずだからだ。"
Posted by ブクログ
おもしろかった!
自分では知りえない世界を垣間見えた。
ときどき外国の方で、ルールを破ろうとする人がいる。例えば空港の荷物検査で、持ち込み禁止されたものを取り上げられて食い下がる人たちをテレビで見たことがある。彼らは自分の事情を延々と話し、情に訴えて説き伏せようとする。
理屈を訴えるならわかるけど、そんな事情話したってなにも変わらないのに、と彼らのことを思っていた。図々しいとさえ思っていた。
でもこの本で、公園での焼肉パーティーを怒られたスーダンの人たちの描写を読んで、ああそうか、と腑に落ちた。
「スーダンでは独裁政権がいろんなことを禁止したり強制したりするから、僕らの方も言い訳をしたり、あの手この手でピンチをくぐり抜けるのに慣れてるんだ」
ルールが正しくない可能性を知っていて、自分たちの権利を守らなきゃいけないから、主張するのか。
自分にはない発想だった…。
Posted by ブクログ
高野氏の本を、最近追い続けている・・これで何作目か!?
飽きることなく、氏の唯我独尊的と言えなくもない、足で、口で培った行動力とボギャブラリーに舌を巻いているのである。
これもめっぽう面白い。
執筆時の男女別 日本国内居住数を載せているが、10年余の今、どれくらいの変化があるだろう・・同時に、日本人の国際意識の高まりはプラスか否か、円安の影響は、コロナ危機以降の増減はなど勝手に推測を入れつつ読んだ。
どの民族にも言えるのは【裃を脱いだそこに見える 巣の、裸の人間性】
氏がほかの著作で力説しているように、出されたものを表情変えず、喜んで(はーい)と食べる姿を見せてこそ、「そこに醸し出されて居る空気】と言った騎亜していけるのは論を待つまでもない事。
私がいつも楽しめ、興味を持つのはそこの奥にちらつく、思考の多々。
*国債が10兆を超え、米価が凋落し、区米風の食事が進行して生活習慣病が顕在化した21世紀の日本、欧米はやはりパンが大事、でもあの悲惨な国情を抱えるミャンマーですらコメが常に溢れているという事実。日本の農業はどこへ漂流するのだろう。
*言葉と料理を核とするフランス、国連は移民の定義を定めている・・その範疇にこだわって考えるとこの本の設定自体難儀になってくる・・が私的にはリベラルな認識で了解した。
*弁当事情で~台湾人は「日本人の中で生きて行くことができる子」を育てることに一義を置いている。ブラジル人は自分たちのアイデンティティを「他民族人種の移民国家」と認識している。。
*西葛西にて~インドでは自分と異なるものが同居していることは常態。どれも正しい、それを理解する事が生きて行く上でのスタンス。
*日本ではクリスマスは「アメリカ式!」ロシアのそれはユリウス暦・・1月7日八系ロシア人に抱いてきたファンタジーは何やら謎めいたノスタルジーなんだ。
大和朝廷の時代、朝鮮民族の優秀なものはは漢語ができた・・よって、医学や料理を教え、それは今日の米、味噌、酢、豆腐、種々の医学医術に通じて行っている。
もちろん、アカデミズムのお歴々カラ云えば、反論、談論活発となること大だろうが・・
【日本は平和、住みやすい】という虚の外見の裏に隠れた実を見据える一角になった。
Posted by ブクログ
日本にいる外国人の食事を通してわかったその人となりや文化が興味深い。登場する人たちはそれぞれ魅力的。そして何よりその人たちを描く高野さんの文章が面白く、楽しい時間を過ごせた。
Posted by ブクログ
自分の国に文化を異にする人が暮らしている風景って、とっても豊かで。
そして、とっても楽しいことなんだなぁーと思ってしまった一冊(^^ゞ
一時期、アイリッシュパブによく行ってたことがあるんだけど、それは、客のほとんどが外国の人で。日本人があまりいないその空間に、なんとも言えない開放感があったからだった。
隣にいる人(外国人)とおしゃべりを始めて。お互いの感覚の違いを笑ったり、逆に意外に同じな感覚に驚いたり。
そういえば、中国人と京都に遊びに行った時も、やっぱりそんな感じだったし。
また、自分が海外に行った時は、文化や生活水準が全然違うのに、そこで出会う心象風景が不思議と日本そっくりなことに驚いたりもした。
ただ、昔、歌舞伎町のタイ料理屋に行って、帰り、その店の裏口から出たら辺りがタイ化していて(^^;
タイ人(?)の変なにーちゃんが、タイ語(?)で客引き(たぶんw)してきた時はかなりアセった(爆)
そういえば、最近、新宿や池袋、小岩に「マジ中華店」ていうのが沢山出来ているらしいけど。
そういうとこに行って、皆目見当がつかないメニューに目を回してみたいw
日本という国は、そこに住んでいるのが日本人ばかりだからこそ、おかしなことがイッパイある。
それを指摘出来るのは日本人とは違う見方や考え方を持った外国の人ならではなのだが、でも、今のように移民難民受け入れに後ろ向きな国ではそれをしたくとも出来ない。
なんでも、日本で難民手続きの結果が出るまで、平均4年。長くて10年かかるらしい。
しかも、難民認定率は1%以下なんだそうだ(2022年5月現在)
名古屋入管でスリランカの女性が見殺しにされた件は記憶に新しいが、思い返してみればそんな事件は過去にも何回もあった。
人がいっぱいで、住宅難だった高度成長期ならともかく。
人口減少で将来的には経済が立ち行かなくなる可能性がある今の日本で、移民難民受け入れがこんなにも否定的なのは本当に不思議だ。
「異次元の少子化対策」を悪いとは言わないが(というか、とってもいいことだと思うが)、でも、「少子化対策」だけでは人口減は絶対止められない。
人口減と止めるために「少子化対策」と「移民政策」は両輪のはずなのだが、政府は「移民」なんて言おうものなら、国民の猛反発、そして、選挙に負けて野党に転落するのを恐れて、絶対移民政策をやろうとしない。
選挙を有利にするためなら、国民のお金を韓国に送る組織である統一教会をどんどん優遇するのにね。
移民受け入れというと、日本の文化の保持云々言う人がいる。
でも、それを言ったら、日本の文化にクリスマスもなければ、バレンタインディもハロウィーンもない(^^;
国民食と言われるラーメンは、元は中国の食べ物だし。カレーはインド、ハンバーガーはアメリカだ。
基幹産業である自動車はアメリカで生まれたものだ。
ていうか、日本人自体、大陸の南から北から流入してきた人たちの雑種だ。
血統書付きの日本人なんてもんはいないのだ(^^ゞ
今なら、まだ日本に憧れてくれる外国の人はいる。
と言っても、今はもはや日本よりは台湾で働く方がいいと思う人の方が多いらしい。
また、賃金でも日本と韓国はほぼ同水準(確か去年逆転)になっているらしいし。
さらには、今は例の技能実習生制度が引き起こした様々な事件で、日本で働くのは嫌だという海外の人も増えているらしい。
人口が少なくとも、シンガポール等のように豊かで発展している国はいくらでもあるという人はいる。
でも、日本はシンガポールのような産業構造ではないし。
そもそも、シンガポールのような国は海外から人を受け入れている。
日本は早く移民難民受け入れの門戸を開かないと、どんどん人が少なくなっていって。
西から、北から、あるいは東からだって、外国に領土を侵食されてしまうだろう。
難民を積極的に受け入れたドイツのメルケル(元)首相を、旧東ドイツでベルリンの壁崩壊のきっかけとなる運動を始めたカトリン・ハッテンハウアーは、「“自由な人々による開かれた国”。そのことが私たちの挑戦であり責任なのだ」と応援したらしいが。
今の日本の豊かな暮らしを守り、さらに発展させるためにも、我々日本人も移民難民受け入れに挑戦しなきゃダメだと思う(^^)/
確かに、文化や風習の違う人たちと一緒に住むのは、いろいろ大変なことがあるだろう。
でも、それ以上にイッパイ楽しいことがある。
それは、この本を読めばわかる。
Posted by ブクログ
日本に住む外国人達は普段何を食べているのか?という素朴な疑問を解き明かすために、各外国人コミューンの食事会に参加させてもらう、という潜入?ルポ、というとなんかカッコいい感じがしますが、楽しい食事会エッセイでもあり、でもやっぱり日本のあり方などを考えさせられたりもして、楽しくも真面目な、でも面白い内容でした。外国人が日本に住んで感じたことや、震災の時どうしていたかなど、ハッとさせられることもしばしば。
Posted by ブクログ
『辺境メシ』と内容が少し似ているのではないか、と思っていたご、こちらはめちゃめちゃ美味しそうで自分で料理を作りたくなった。
日本でもこの本で紹介されているようなコミュニティやお店があるのにはわくわくした。
全部の章が印象に残った。
Posted by ブクログ
日本で生活する外国人が、どのような経緯で来日しどんな仕事をして、普段は何を食べているのか、という非常に何気ないが興味深いテーマの作品。
登場する人々は宗教や国籍も様々、もちろん日本に来た理由も人それぞれのドラマがあって面白くて、特に感じたのは女性の強さだった。震災で家を失ったフィリピン女性や、若くして亡くなった姉のダンス教室を継いだイラン人女性など、異国での災難にも負けず明るく暮らしている姿は、とても印象に残った。
もしかすると、数十万年前に生まれた我々人類の祖先が、アフリカを出発し砂漠や海を越えて世界中に広がったのも、こんな女性たちのおかげだったのかなと思う。
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西葛西のインド人コミュニティの話から気になって読んでみた。移民と言っても難民のような深刻な話ではなく、あくまで料理の話。食からいろいろと話が広がり、いろいろと楽しめた。
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他国の人と関わる事がとても少なくなりました。世間的にはグローバル化が滅法進んでいますが、僕の生活ではより一層日本人としか接さないのであります。
そういえば昔はバイト先に外国の方が沢山居たのでいじられたり、一緒にサッカーしたりで結構楽しかったし、友達の奥さんがフィリピン人だったので、友達のフィリピン人たちとみんなで海に行ったりしてとっても楽しかったです。誰も彼も心の垣根が異常に低いのですぐ仲良くなれたのが印象的でした。周囲の人間とと上手くやれなかった頃だったので、とても癒されたのを思い出します。
食べ物は日本向けにアレンジされた物しか食べたことが無いので、きっと口に合わないんだろうなあと漠然と思っていましたが、この本に出てくる料理が異常に美味しそうで読んでいて唾が湧いてきました。
途中「移民」という言葉に対する人々の反応が注記として書かれていましたが、国や個人によって反応がまちまちで、ネガティブな意味も内包している言葉なのだろうと思います。当然日本人でも移民という言葉をハッピーな単語として受け止める人はいないでしょうし。
この本に出てくる人々も色々な事が有ったに違いないのですが、その瞬間瞬間を精一杯生きているなと高野氏の文章からも伝わってきます。色々考え過ぎずチャレンジし、都度都度起こった事に対処していく。いざとなったら仲間やコミュニティー、家族を頼る。健全な人間関係だなと羨望を感じます。
自分自身、失敗しないように迷惑かけないようにと思って生きています。一回失敗すると失地回復出来ないと実は思っています。こういう事をさらに突き詰めて考え過ぎている人がきっと自殺という道を選んでしまうんだと思います。
この本に出ている人達のようにしなやかに生きる事が出来たら、もっと世界は広く、明るく、希望に満ちた物に変わっていくのだろうなと感じています。
ちっぽけな世界で生きている自分も結構好きなんですけどね。
Posted by ブクログ
なんて面白いんだーっ。
日本に住む外国人コミュニティの宴会に潜入! 食べ物、酒、旅、好きなものすべてがそろってる!
国民性、適応のほど、嗜好の多様さよ。それらを尊重し、みんなが住みよい日本でありますように。
Posted by ブクログ
日本に移り住んだ外国人の生活や考え方、その中でも特に食事に焦点をあてた移住者ルポ。
外国人の方々はすっかり日本の日常に溶け込んでいるにも関わらず、いざ生活の姿となると急にモヤがかかったように想像が難しくなります。
日本に住む彼らがどこに集い、どんなものを食べ、どのような考えを持ちながら日本で生活しているか、興味深い世界を覗き見させてもらいました。
成田に鎮座するタイの巨大寺院でお坊さんへのタンブンに勤しむ人々、南三陸で被災者への炊き出しを振る舞う底抜けに明るいフィリピン女性たちなど。
印象的だったのはイランの女性です。イラン人の女性は著者へ、仕込みに17時間を要する絶品の家庭料理を振る舞います。実はイランの外食店の厨房に女性が入ることが許されていません。それゆえ女性たちの手の込んだ美味しい家庭料理は外で提供されることなく、決して美味しいとは言い難い料理がイラン料理として世界に伝わることに、女性はジレンマを感じているようです。
食事を共にする同郷の仲間や祖国の食べ物を通して、その国の文化や現状が伝わってきます。そして時折顔を見せる祖国への想いは、様々な事情や背景が垣間見え、胸がきゅっと締め付けられるような切なさを感じる瞬間も。
食べることはそこで生活を営み、生きること。普段何気なくしている「食べる」という行為の大切さと尊さを改めて実感します。
「日本って良いよね」――日本へ移り住んだ外国の方に思ってもらえるのはもちろん、自分も自信を持って言えるような国で在り続けてほしいと願って止みません。
補足ですが、インタビュー相手への敬意が伝わってくる著者の姿勢が終始とても素敵だと思いました。
Posted by ブクログ
在日外国人の食生活を通して外国人達のリアルな現状を描いた取材記。
タイやイラン、ロシア…様々な在日外国人を追いかける高野さん。
一番驚いたことは多くの外国人曰く「日本食は作るのが簡単でいい」ということ。
取材した国の人達の料理は、下準備等に時間と手間をかけて作るから非常に面倒らしい。
でも日本と違って一度作った料理を何日もかけて食べる。
確かに日本はほぼ毎日違うものを作って食べる。
思いがけず嬉しかったのは『異国トーキョー漂流記』に登場した盲目の野球好きの彼の後日談が読めたこと。
相変わらず飄々としてマイペースな彼だったけれど幸せに暮らしていて良かった!
東日本大震災で被災した外国人達。
日本人以上にパニックに陥る中、フィリピン女性達の逞しさ明るさに救われた。
「移民の宴」はお腹も心も満たしてくれる!
そして「日本」について改めて考えさせられた。
Posted by ブクログ
まず、こんなにたくさんの外国人が日本に住み、それぞれの生活を構築していることに驚いた
日本にいるのに外国にいるような、、、という状況を私は楽しめなかった
これがいつか、当たり前の社会になっていくんだろうなぁ…
高野さんのインタビューの姿勢はとても素敵でした
Posted by ブクログ
久しぶりの高野秀行氏。日本に住む外国人たちは日頃なにを食べているのか様々な国の食卓に、自ら入り込んでいく様はとても楽しく、どれも食べてみたいものばかりだ。ひなのに今回はなぜか入り込み切れなかった。その違和感はあとがきで決定的になってしまった。震災以降、色々ないいことも悪いことも目にして、『おもしろい』と思っていたことが、そうでもなかったと気付いたのと似てる。また変わるかもしれないのでその時を待つことにしよう。
Posted by ブクログ
外国から日本に移住した人たちは普段どんなものを食べているのか。全国の町に溶け込みながら、食を通じて日本と生まれ故郷を行き来する人びとに取材したルポルタージュ。
本文に入る前に口絵の写真を見ているだけでお腹が空く。著者は執筆当時主夫になったばかりで料理の心得がなかったらしく、料理の詳しいレシピが紹介されていないのが惜しい。
取材期間中に東日本大震災が起こり、それが全体を通して大きなトピックになっていく。つてを辿って疎開したり自国に一時帰国する人も多いなか、フィリピン人女性たちが残る東北の漁師町に食材を持っていく章の明るさは泣けてくるほどだ。文化の違いや差別的な視線を乗り越え、長い時間をかけて家族や隣人たちとの関係を築いてきた彼女たちは、家が倒壊しても自分の居場所はここだと言い切る。
それと対極のエピソードもある。中国生まれの朝鮮人マッサージ師は「日本はラク」だという。中国に移住した移民2世だった彼にとって、漢族との軋轢に苦しめられてきた中国よりもしがらみのない日本が気楽だった。
著者は取材を申し込んで各人のソウルフード的な料理を作ってもらうのだが、自分で「ラーメンとカレーは日本の国民食」なんてことを言いながらブラジル人が作るペルー料理に首を傾げ、"らしさ"を求める人間心理を見つめているのが面白い。こんなにいろんなところへ旅している人でもステレオタイプから逃れるのは難しいんだなぁ。
Posted by ブクログ
日本在住の外国人が普段どんな食事をしているかのレポート。
各章で国別になっている。
連続して読んでいると、新鮮味に欠けるので
他の本を1冊読んだら、この本の1章を読むという具合にすると
一層楽しめると思た。
Posted by ブクログ
おもしろかった、日本に住む外国人のコミュニティで食しているものを食すという企画。
2012年に出版されており、取材当時の被災した外国人たちの話しもある。
日本に住む外国人たちを「食」からみた、困難があっても力強く生きる彼らの生きざまに魅かれます。
第1章 成田のタイ寺院
第2章 イラン人のベリーダンサー
第3章 震災下の在日外国人
第4章 南三陸町のフィリピン女性
第5章 神楽坂のフランス人
第6章 中華学校のお弁当
第7章 群馬県館林市のモスク
第8章 鶴見の沖縄系ブラジル人
第9章 西葛西のインド人
Posted by ブクログ
外国人観光客があふれかえる今日この頃。そんな観光客ではなく、日本に移り住んで何年、何十年という外国人に取材、彼らがふだんどんな食事をしているのかが書かれています。食事の話のみならず、彼らが日本に来た経緯、コミュニティの形成、日本の良いとこ悪いとこ。
タイトルに「移民」という言葉を使った理由、その言葉に強い拒絶反応を示して取材を断られたケースもあるという追記も含め、終始興味深く読みました。
とにかく辺境を好む高野さんのこと、取材先に選んだ町やコミュニティが面白い。日本の飲食店のまかないは、たいていの場合、店で出される料理と違うという話など、そんなことないでしょ、ちょっと決めつけすぎではと思わなくもないところが若干ありますが、それでも楽しい高野さん。いっぱい読んで飽きてきたかもと思うけど、まだまだ読めそうです。