高野秀行のレビュー一覧

  • 世にも奇妙なマラソン大会

    Posted by ブクログ

    同僚から筑波山トレイルマラソンに誘われて軽い気持ちで出場し、着ていた加圧スパッツのおかげで太腿が内出血を起こし、ゴール間際で一時うずくまりながらも這う這うの体でゴールし、その後1週間筋肉痛で使い物にならなくなったことを思い出した。「名前変更物語」は声を出して笑ってしまった。「謎のペルシア人」から始まる短編は『世にも奇妙な物語』に通じる怖さを感じた。

    0
    2017年08月26日
  • 腰痛探検家

    Posted by ブクログ

    私も腰痛調査隊。著者ほど時間もお金もないため、地元公立病院の整形外科でMRI検査を受けたり、整骨院通いをする以外には、インドメタシンやフェルビナクなどの薬効を謳った塗り薬を試す調査を行っている。最近では動物用消炎鎮痛剤をネットで購入して使用しているが、私もまた腰痛の密林から出ることができない。腰痛、恐るべし! そんな腰痛を抱えてサハラマラソンに行っていたとは『世にも奇妙なマラソン大会』本編では触れられていず、あとがきを読んで驚いた。

    0
    2017年08月26日
  • 【カラー版】ミャンマーの柳生一族

    Posted by ブクログ

    早大探検部の先輩・船戸氏に随行する形でミャンマー(ビルマ)入りした著者。入国前の審査から船戸氏との扱いに笑えたが、題名のとおり軍事政権の情報部を隠密・柳生一族になぞらえての記述は、まさにエンタメ系ノンフィクションと呼ぶに相応しい。奇しくも2015/11/11現在、ミャンマーでは千姫ことアウン・サン・スー・チー氏率いるNLDが勝利を収める報道が世界を駆け巡った日だったことは偶然にしても出来すぎ(笑)

    0
    2017年08月24日
  • アジア新聞屋台村

    Posted by ブクログ

    ベトナムつながりからエイジアンという不思議な新聞編集に携わることになった著者。良くも悪くも日本の常識が通用せず、始めは著者もそれを楽しんでいたが、後半になりいい加減さに辟易し、だが最後にはアジアの大らかさに気付く。そんな構成が好ましい。しかし、著者と朴さんの淡い恋模様が切ないね。もし恋愛が成就していたら、黒船は現れなかったか? いや、そんなことは無いだろうな〜(笑)

    0
    2017年08月24日
  • 【カラー版】巨流アマゾンを遡れ

    Posted by ブクログ

    『地球の歩き方』から依頼された仕事が「高野が歩いた地球」となって企画ともどもお釈迦になった作品。確かに読者を旅に誘うような書き出しを訝しく思ったものだ。辺境を書かせたらぴか一の著者だと思うし、その理由は解説の浅尾氏が余すところなく書かれている。いつの間にか著者のファンとなり、2015年10、11月は著者の本を続けざまに読んできた。積読本もあと数冊ある。引き続き高野の旅を楽しもう。

    0
    2017年08月23日
  • 怪しいシンドバッド

    Posted by ブクログ

    10年間の冒険を集積した1冊。既に一冊の冒険譚になった章もあったが、脇の話として楽しめた。第六章客家の土楼や第七章の野人は読み応えがあった。カバーデザインがあまりに漫画チックなので、最初は買おうかどうか迷ったが、読後感に影響はなかった。大槻ケンヂ氏の解説も好ましい。同じ1966年生まれだが、大槻氏は早生まれ。著者は私の同級であった。

    0
    2017年08月23日
  • 怪獣記

    Posted by ブクログ

    著者の文庫は集英社か講談社に大別される。そして本書は講談社だ。いきなり巻頭カラーページが充実! 並々ならぬ力の入れ具合は、果たして妥当であったと巻末で納得した。著者のこだわりである未知の未知生物を探すトルコの旅は、いつものように現地の人達との交流の面白さと、民族問題に対する洞察に唸らされた。ワン湖一周の探査を終えようとしたその時、未確認物体(生物であるかも今のところ不明)を目撃するとは驚きだ。解説には、あの宮田珠己氏だったのも最高!

    0
    2017年08月23日
  • 【カラー版】怪魚ウモッカ格闘記 インドへの道

    Posted by ブクログ

    格闘? 葛藤記なんじゃないか。ウモッカはUMAサイトで話題の怪しげな魚の名前。いつものように現地の言語習得を含めた準備に余念のなかった著者だが、『西南シルクロード』で鬼門とも言うべきインドのビザが取れたことから運命の針が探検から180度逆に振れてしまった。著者も本書で書いているが、カルカッタの空港で入国を拒まれロビーでの生活をする様はまさに映画『ターミナル』の世界だ。既に別の著作で読んだ「名前変更物語」がウモッカ探しに端を発していることを知り思わずニヤリ。インド行きの悲願はとうとう神頼みだ。

    0
    2017年08月23日
  • アジア未知動物紀行 ベトナム・奄美・アフガニスタン

    Posted by ブクログ

    短編、と言うべきか。ベトナム、奄美、アフガニスタンでのUMA探索が集積され、比較して読みながら楽しむ機会を与えてくれた。奄美のケンモンは『神に頼って走れ!』でその一端を読んでいたので、一粒で二度おいしいと言ったところか? 本書のカバーは、それを思うと笑ってしまう。9・11後のアフガニスタンと言えば命の危険が伴う場所だ。無事に帰国できたことは本書を読めば判るのだが、ホッとする。ペシャクパラングの考察もなかなか面白い。

    0
    2017年08月23日
  • 世にも奇妙なマラソン大会

    Posted by ブクログ

    なんの自慢にもならないが、時間に余裕があっても間際にならない
    と動き出さないタイプの人間である。まだ真面目に編集者家業をし
    ていた頃、締め切りギリギリにならなければ原稿が書けなかった。

    明日には先方に渡さないといけないという日の真夜中。ウンウンと
    唸りながら資料とにらっめこをしていると、ひらめく一瞬がある。

    そこで怒涛の原稿書きに突入する。うんっ、私って天才じゃないか。
    これでいいだろう。さぁ、ひと眠り。

    起きて自分の書いたものを読み直して愕然とする。腐っているでは
    ないか。なんでこんな酷い文章であんなに満足していたのだろう。
    あーーーっ、自分のバカバカ~。

    このよ

    0
    2017年08月23日
  • 【カラー版】辺境中毒!

    Posted by ブクログ

    不思議な書籍『本の雑誌』に掲載されたエッセイ、対談等の集大成。初めは著者の辺境紀行番外編かと思って読み進めたが、あにはからんや著者の奥深さや新鮮な面が見られてとても良かった。本書で紹介された本や作家にとても興味がわき、またしても読みたい本が増えてしまった。書評「辺境読書」の充実度がすごい。自分も旅に文庫本を携行するが、旅先の宿でも読書してしまうのは、旅の目的地に対して集中していないのかな~?

    0
    2017年08月21日
  • 移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活

    Posted by ブクログ

    高野さん、久しぶり。独特の視点と思考から紡ぎ出される食紀行は、東日本大震災という歴史的な災害と同時期という偶然も重なり、深みのある作品に仕上がった。在日外国人の普段の食事に焦点を当てたことで、その国の思想、日本観が伝わってくる。成田のタイ寺院は、行こうと思えばすぐ行ける場所にあるのに、全く知らなかった。館林のイスラム・ハラーム、鶴見のブラジル料理もそそられる。「移民」に違和感を覚える欧州人がいたが、著者の言わんとすることも理解できる。外国人が(日本人も)住みやすい日本であってほしいと言う著者に同感!

    0
    2017年08月20日
  • 異国トーキョー漂流記

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    東京で出逢った様々な国の外国人達を通して高野さんが異国の「トーキョー」を体感!

    改めて高野さんの発想のユニークさに驚いた。
    辺境を旅するため、その国の言葉を覚えるには現地出身者に習えばいい、と色々な伝を頼りに東京にいる外国人を探しだし教えてもらう。
    相手との考え方や風習の違いなんて何のその!
    違う方が面白い、と相手の懐にスルリと入って行く。
    ただ受け入れるだけでなく、相手や相手の国の情勢等を冷静に見る目も持っている所もさすがだ。

    世界には文字を持たない言語が無数にあること、外国人も実は外国語が苦手なこと、そしてマクドナルドの重要さに驚いた。

    思わず大笑いしたりしんみりしたりとこの一冊で私

    0
    2017年08月17日
  • 【カラー版】ミャンマーの柳生一族

    Posted by ブクログ

    掛け値無しに面白すぎる!
    クレイジージャーニーで見かけたヤバイ人だぁと思って読み始めたけど、ヤバさはそのままにミャンマーの体制や人びとの濃い部分を描き出している。
    人を観察する視線はフラットで、そのフラットさが激ヤバな状況でもそのままだからこそのおもしろさ。

    0
    2017年06月29日
  • 移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活

    Posted by ブクログ

    ソマリラントが楽しかったので、久しぶりに高野さんの本を読みました。
    日本に住んでいる外国人の人たちに料理を振舞ってもらうという楽しい企画。写真もありますが、読んでるだけで本当にお腹すいて来ます。それぞれのコミュニティの人たちが何を思い、どんなふうに日本で暮らしているかもかいまみることができます。
    いろんな国でいろんな人たちと体当たりで関わってきた高野さんだけに、文庫版へのあとがきがとても身にしみます。日本が外国の人たちにとってもっともっと住みやすい国になりますように、自分も含めて一人一人がちょっとずつ考えて行けたらいいな。

    0
    2017年06月08日
  • 【電子特別カラー版】恋するソマリア

    Posted by ブクログ

    謎の独立国家ソマリランドに続けて読破。
    この度は南部ソマリアの村の暮らしまで体験しているので、「ソマリランド」ではなく「ソマリア」というタイトルになったのかな。わずかな期間で社内の様子が激変したテレビ局を例に、民主主義になった方が宗教色が濃くなるなど、ははぁなるほど…と勉強になる個所がしばしば。やはりただの旅人ではなくジャーナリストの著作。
    ソマリ人はもともと遊牧民なので、気楽に海外で暮らすし難民申請にも抵抗がなく、異国でもソマリ人同士でコミュニティをつくって暮らしているというのもなるほど…と唸るしかない。

    0
    2017年05月25日
  • 謎の独立国家ソマリランド

    Posted by ブクログ

    これは、面白い!!
    なかなかボリュームのある一冊だけど退屈とは無縁の読書タイム!ただの物珍しい・楽しい旅行記とは一線を画している。というのもソマリア(ソマリランド・プントランド・南部ソマリア)の歴史や氏族の仕組みなどを文献にあたるだけではなく現地でカート中毒になりながら質問に質問を重ねて詳しく調べ上げているあたり、著書の並々ならぬソマリランド愛を感じる。氏族を日本の戦国武将にたとえて説明してくれるのはナイスアイディアで大変わかりやすい!これがないと絶対挫折してた…。

    0
    2017年05月25日
  • 【カラー版】ミャンマーの柳生一族

    購入済み

    ユーモアたっぷりミャンマー紀行

    過去に許可などなしにミャンマーに侵入し、ゲリラとも交友のある著者であり、本件は軍事政権側の監視の下でのミャンマー行であったから、本来ヤバイはずの紀行であったのに、同行の船戸与一氏と著者の人柄からか、監視の人達も著者らと一緒になって笑う場面が多い。探検家でノンフィクションの作家であるが、面白おかしくがモットーの著者だけに読後感も明るい。本格的な探検紀行を望まれる方には、『西南シルクロードは密林に消える』をお勧めします。

    0
    2017年05月24日
  • 謎の独立国家ソマリランド

    Posted by ブクログ

    欧米人や日本人の感覚としては、かなり危険を伴うことが予想される東アフリカのソマリアへ、著者が現地へ飛び込み、知り得た情報、現地人とのコミュニケーション、感じたことが綴られた渾身のルポルタージュ。
    ソマリアが、北部から南部にかけて、ソマリランド・プントランド・ソマリアの3つに分断されているとは…、この本を読んで初めて知りました。
    アメリカ映画の"ブラックホークダウン"程度のフィクションや、たまに伝えられる新聞記事で聞きかじる程度でしたが、この本からソマリアに関する様々な事を学びました。
    ソマリアの歴史や現況を知るキーワードとして、"氏族"という概念がありま

    0
    2017年05月07日
  • 異国トーキョー漂流記

    Posted by ブクログ

    第8章「トーキョー・ドームの暑い夜」が秀逸でした。著者が知り合った盲目のスーダン人留学生マフディは、プロ野球が大好き。スーダンには野球というスポーツがないから、イメージできないはずなのに、ラジオ中継を聴いて独特の興奮に魅せられたマフディ。ラジオのアナウンサーから学んだ彼の日本語は完璧です。

    典型的なアンチ巨人ファンで、世界の誰もが知るヒロシマ、そう広島カープの大ファン。でも松井秀喜のことだけは大好きで、「だって、あんなでかいホームランを打つじゃないですか」と言う。東京外国語大学に驚くなかれ一般入試で入学を果たし、日本語の本も実にたくさん読んでいます。三浦綾子、天童荒太、金城一紀。日本滞在たっ

    0
    2017年04月26日