高野秀行のレビュー一覧
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なんの自慢にもならないが、時間に余裕があっても間際にならない
と動き出さないタイプの人間である。まだ真面目に編集者家業をし
ていた頃、締め切りギリギリにならなければ原稿が書けなかった。
明日には先方に渡さないといけないという日の真夜中。ウンウンと
唸りながら資料とにらっめこをしていると、ひらめく一瞬がある。
そこで怒涛の原稿書きに突入する。うんっ、私って天才じゃないか。
これでいいだろう。さぁ、ひと眠り。
起きて自分の書いたものを読み直して愕然とする。腐っているでは
ないか。なんでこんな酷い文章であんなに満足していたのだろう。
あーーーっ、自分のバカバカ~。
このよ -
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ネタバレ東京で出逢った様々な国の外国人達を通して高野さんが異国の「トーキョー」を体感!
改めて高野さんの発想のユニークさに驚いた。
辺境を旅するため、その国の言葉を覚えるには現地出身者に習えばいい、と色々な伝を頼りに東京にいる外国人を探しだし教えてもらう。
相手との考え方や風習の違いなんて何のその!
違う方が面白い、と相手の懐にスルリと入って行く。
ただ受け入れるだけでなく、相手や相手の国の情勢等を冷静に見る目も持っている所もさすがだ。
世界には文字を持たない言語が無数にあること、外国人も実は外国語が苦手なこと、そしてマクドナルドの重要さに驚いた。
思わず大笑いしたりしんみりしたりとこの一冊で私 -
- カート
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試し読み
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購入済み
ユーモアたっぷりミャンマー紀行
過去に許可などなしにミャンマーに侵入し、ゲリラとも交友のある著者であり、本件は軍事政権側の監視の下でのミャンマー行であったから、本来ヤバイはずの紀行であったのに、同行の船戸与一氏と著者の人柄からか、監視の人達も著者らと一緒になって笑う場面が多い。探検家でノンフィクションの作家であるが、面白おかしくがモットーの著者だけに読後感も明るい。本格的な探検紀行を望まれる方には、『西南シルクロードは密林に消える』をお勧めします。
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- カート
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試し読み
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欧米人や日本人の感覚としては、かなり危険を伴うことが予想される東アフリカのソマリアへ、著者が現地へ飛び込み、知り得た情報、現地人とのコミュニケーション、感じたことが綴られた渾身のルポルタージュ。
ソマリアが、北部から南部にかけて、ソマリランド・プントランド・ソマリアの3つに分断されているとは…、この本を読んで初めて知りました。
アメリカ映画の"ブラックホークダウン"程度のフィクションや、たまに伝えられる新聞記事で聞きかじる程度でしたが、この本からソマリアに関する様々な事を学びました。
ソマリアの歴史や現況を知るキーワードとして、"氏族"という概念がありま -
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第8章「トーキョー・ドームの暑い夜」が秀逸でした。著者が知り合った盲目のスーダン人留学生マフディは、プロ野球が大好き。スーダンには野球というスポーツがないから、イメージできないはずなのに、ラジオ中継を聴いて独特の興奮に魅せられたマフディ。ラジオのアナウンサーから学んだ彼の日本語は完璧です。
典型的なアンチ巨人ファンで、世界の誰もが知るヒロシマ、そう広島カープの大ファン。でも松井秀喜のことだけは大好きで、「だって、あんなでかいホームランを打つじゃないですか」と言う。東京外国語大学に驚くなかれ一般入試で入学を果たし、日本語の本も実にたくさん読んでいます。三浦綾子、天童荒太、金城一紀。日本滞在たっ