高野秀行のレビュー一覧
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謎の独立国家ソマリランドの続編のような位置づけ。そこで書き残した事や、その後の渡航内容が綴られている。この人のソマリランド愛はすごいなー。ここまで一つの地域を愛し興味を掘り下げる情熱を傾けられる場所を見つけた著者は幸せだ。誰よりも、日本で一番この国を理解していたいと言う希望は、帰国後ビジネスをすると言うアイデアにも行くが、この人は「お金儲け」が目的になってない(イヤそりゃ少しはある)ソマリランド発展に為、そして母国日本と愛するソマリランドとのパイプ作りの為、と言うのが好ましい。
一般的な生活を体験する、料理を習う、郊外を見る等外国人には困難な事を実現させて行くのは、著者の情熱と友好心と出会った -
- カート
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試し読み
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Posted by ブクログ
【「ここではない何処か」を時間(歴史)と空間(旅もしくは辺境)という二つの軸で追求していくことは「ここが今どこなのか」を把握するために最も有力な手段なのだ。その体系的な知識と方法論を人は教養と呼ぶのではなかろうか。】(文中より引用)
それぞれ「周辺」と「中世日本史」に惹かれ続ける2名の碩学が、何冊かの本を手がかりに縦横無尽に議論を試みた作品。著者は、前作の『世界の辺境とハードボイルド室町時代』も話題を読んだ高野秀行と清水克行。
まず読書合戦のために選ばれている著作からしてかなりマニアック。そこからさらにマニアックな話を展開していくわけですから、刺さる人にはたまらない内容になっているかと。気 -
Posted by ブクログ
とっても読み応えのある本。
正直西南シルクロードと言われてもピンと来なかったけどそんな事はどうでも良くてとにかく面白い。
中国からミャンマーへ密入国しジャングルを2ヶ月以上歩いて今度はインドに密入国する。しかもその行程すべてがその土地にいるゲリラにエスコートされながらである。
なのに笑える。ゲリラとの妙な絆にも愛着が湧いてしまう。
まったく知らなかったビルマやインド国境付近のゲリラ達について、少数民族について、国について興味も湧いたしとても勉強にもなった。
今まで読んだノンフィクション物では一番読み応えがあった!
しかしよくぞ陸路で最後まで制したなぁ…
普通途中で諦めちゃいそうなものだけど。 -
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在日外国人との交流を通し、著者のペーソスがかたられる。
著者の得意な冒険記的な作品ではなく、命を預ける相手という濃ゆい付き合いではない。東京という大都市の中で袖擦り合う程度の淡麗な関係であるため、外国人諸氏との付き合いも淡麗である。何度か一緒に飲んだことがある痴人と友達の間くらいの関係、といった程度の濃度である。
長い人生の中で少しの間交わった外国人たちとの交友がテーマであるため、著者の関心は2つに絞られる。在日外国人の東京における生き方と、在日外国人との交友を通した著者自身の生き方である。
個人的には、日本野球に詳しい盲目の青年の話が印象的だった。障害という日本で生活するためのハンデを笑い飛 -
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”本の雑誌40年特集"から、かな。それは置いても、筆者の他作品はとても楽しませてもらったし、本作も読んでみたい度は高い。そしてUMA。一時期かなり興味あったな~、みたいな感傷に耽りながらも、そういえば最近はめっきり縁遠くなったもんだ、と思いつつ読み進めた次第。8割方読み進めるまでは殆どがスカで、すったもんだはあったけど、結局見つかりませんでした的な、バタバタ劇を楽しむ本かと思い始めたところで、核心に迫る事態が出来する。遭遇を抜きにしても十分楽しませてもらったし、笑わせてもらったけど、クライマックスで興奮もひとしお。怪獣っているんですね。ワクワクする。
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ネタバレいやー、すごく面白かった。最初の書き出しから事件の匂いがして惹き付けられた。最後まで面白かった。絶対に自分が行かないところにいって、絶対にやらないことに時間を使ってくれる人。
自分の目で、確かめたい!という気持ちがすごい。夢のある怪獣を追っているはずが、すごくホットな政治やいざこざの話に直面してしまったり、異文化の暮らしに感銘を受けたり、ものすごく人間くさいところを「意図せず」拾ってしまっているのも、彼の信念がそうさせているのだろうと思う。
なんかそのお土産が、今回すげーでかくね、って思ったけど、それだけでかい獲物だったのだろう、ジャナ。
そういう、未確認生物っていうのは、なんかそれだけ -
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【ノンフィクションは事実を積み上げていって真実に近づければいいものだと思うんですけど、小説は事実の積み上げもなくて真実を書かなくちゃいけないというイメージがあるんですよ】(文中より引用)
探検家と作家という二つの顔を持つ高野秀行と角幡唯介による対談録。早稲田大学探検部での活動に加え、ソマリアや北極への渡航、そして自身の経験を書き記すことの意義について語り尽くした一冊です。
思った以上に「書くこと」論やノンフィクション論にページが割かれている印象を受けました。ただそれが、探検というテーマを目的として読み始めた人にも「なるほど」と思わせてくれるほどに興味深い点が嬉しい驚き。結果としては幅広い楽