高野秀行のレビュー一覧
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この本の面白いところは、高野秀行、清水克行、まったく違う分野の二人がそれぞれにお互いの話を超・面白がっているところ。たぶん、読者の存在なんて忘れて、ああ言えばこう言う、そのネタ出せばこのネタ出す、相手の気づきが自分の気づきに、お互いに目から鱗が落ちまくっている興奮が伝わってくる本です。EテレのSWITCHインタビュー 達人たち、と似た形式ですが、得てして、強引に共通項探したり、なんとなくのプロフェッショナル的な姿勢を褒め合ったり、みたいな感じになるのに対して、この二人は圧倒的にディテール攻撃の応酬で、そこから大きな歴史観と社会観が浮かび上がってきます。「おわりに」のページで、清水克行が『「ジャ
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「五代将軍徳川綱吉の犬を殺すな、捨て子をするなという政策は、都市治安対策、人心教科策として、ある程度成功した。秀吉のできなかった銃規制もやっている。」「平安時代あたりから、ミニ中華帝国化をあきらめて、中国との程よい距離感によって、文明から切り離され、中華文明圏の辺境になっていく。」「信長の規律化への志向は変。信長、秀吉、家康の力の論理による支配は、長く続かないので、論理や法による支配を考えないといけない。北条泰時の『御成敗式目』や綱吉の朱子学をベースにしたイデオロギーは、中世的な殺伐とした空気を断ち切った。」「中世から近世にかけては、炊くと増え方が大きい古米のほうが新米より高かった。タイ、ミャ
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いろいろな怪書、驚書を対談で紹介している。「ゾミア」文明から逃げて文字も歴史も捨てた人々「世界史の中の戦国日本」日本の辺境地の海のネットワーク「大旅行記」イブン・バットュータという変なすごいやつ「将門記」土地を奪うのではなく相手方の生産手段と労働力を喪失させる戦い「ギケイキ」武士とヤクザは一体「ピダハン」数もなく左右もなく抽象概念もなく神もない幸せな人々「列島創成期」認知考古学のホントかよ強引じゃねという解釈「日本語スタンダードの歴史」標準語は室町からできたのだし山の手にスタンダード日本語の人々がやってきて住み着いたーどれもこれも今まで信じていたことがひっくり返される本ばかり。
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Posted by ブクログ
中国四川省からミャンマー北部のカチン軍支配地域、そしてインドナガランドへ、反政府ゲリラを頼って、幻の西南シルクロードを辿る旅の記録。高野秀行氏と言えばソマリランドやミャンマーのアヘン村潜入記での現地事情を手際よく説明する技術に関心することも多いのだが、本書ではその点には不満も残る。なにしろカバーする地域が広いし、情勢も複雑を極めている。だが、それにも増して、冒険への初期衝動という意味では、西南シルクロードを辿るという目的のために中国からミャンマー、ミャンマーからインドと2度の密入国と反政府ゲリラと行動を共にしてジャングルを数か月徒歩とゾウ、車とボートで走破するという行動がぶっとんでおり、頁を繰
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ネタバレ2018年に読んだ本BEST10
(発行年が2018年というわけではない)
第10位 : 『恋するソマリア / 高野秀行』
・ジャーナリスト高野秀行氏による、アフリカ大陸東部の国「ソマリア」を取材したノンフィクション。
・ソマリアという国は、内戦状態の「南部ソマリア」と、平和な地域「ソマリランド」(国際的には未承認でソマリア連邦共和国の一部)など、独立した地域から構成される。描かれるのは、民主化のために言論で戦うジャーナリストたち、南部ソマリアで命の危険にさらされながらも平然と暮らす市民、それとは対照的に、ソマリランドの平和な家族の食卓など。混乱と平和の隣り合わせ、そのギャップに読み手側 -
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"聞いたこともないような本、読んだことがない本について、二人の専門家が語る奥深い本になっている。「謎の国家ソマリランド」を書いたノンフィクション作家の高橋秀行さんと歴史家である清水克行さんがお互い本を紹介し、一方はその本を読んだうえでの対談となっているようだ。
中には全8巻ある大書もあるので、この対談への準備は並大抵のものではなかったはず。地政学、歴史、文化、言語など様々な考察があり好奇心をくすぐられる。
テーマとなっている書物は以下
「ゾミア」ジェームズ・C・スコット
「世界史のなかの戦国日本」村井章介
「大旅行記」全八巻 イブン・バットゥータ
「将門記」作者不明
「ギケイキ」町田 -
Posted by ブクログ
最高に面白い本だった
世界的に破滅国家として認識されているソマリア。その北部にある自力で政府樹立を果たすも未だ国際社会に認められないソマリランド。筆者がその生活に深く立ち入り、得られた貴重な経験がまとめられている。
ニュースは悪いことしか取り上げない。そのため、我々はアフリカ、その中でもソマリアなどはついついこの世の地獄であるかのような想像をしてしまう。しかし、日本のように衛生的で快適ではないものの、そこには幸せな生活があり、小粋なジョークを飛ばす人々がいる。そんな当たり前なことを深く再認識させてくれる。
また、欧米諸国の力によらず、自力で政府樹立の大きな1つの要因となった氏族文化も非常 -
Posted by ブクログ
おろしれー。これ読んだらソマリア行きたくなる人8割。カートやりたくなる人5割。けど、やっぱり行く勇気無いなの人が9割9分でしょうね。
高野さんじゃないと無理だよ… 人間性、楽天性、語学力、文化への好奇心
ソマリアと言えば、アフリカの角、海賊、くらいのイメージしかなかったけど、自主的な民主化とかできたとは全く知りませんでした。(たぶんみんな、知らない)
ソマリランドでの一種牧歌的な生活から一変、南部ソマリアでの取材(ある意味軟禁?)はおもしれー、と読んでたら帰り道で一変して命の危険にも晒されるんだけど、なんかそれも面白く感じてしまう。
そして、ハムディを日本に呼ぼうとしたら… のオチもスケールが -