高野秀行のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
文章には人柄が出るということがわかった。それぞれの作者(何人かの本は読んだことがあるけど)の素性は一切わからないけど、質問に答えていく回答文自体が自己紹介をしているようだった。
そして、私が普段よく思っていることが、忠実に言語化されていて勝手に爽快な自分を味わった。
個人的には、「人と人とが関係を結ぶときは、もしかしたら美点によってかもしれない。けれどその関係を深めていくのは、美点ではなく欠点なのではなかろうか。また、私たちが人間くささを感じるのは、どういうわけだか美点ではなく欠点である。」
「私は今現在『早めに終わらせ、夏休み最後まで何度も見直す派』なのだが、もちろんそんなことは言わな -
- カート
-
試し読み
Posted by ブクログ
ネタバレ「およそ真実の探索者は、塵芥より控え目でなくてはならない。」 (ガンジー 『ガンジー自伝』)
読み終わると冒頭のこの一節が本当にその通りだなと痛感する。
これまで生きていた中でなんとなく"常識"として自分の中に埋め込まれてきたことが一歩外に出ると全然そうでなくて、ソマリアの人はソマリアの仕組みで生きてる。だからこそ外から介入があるとその仕組みは維持できなくなる恐れがある。そんな中で自分たちで上手く築き上げてきた奇跡のような国(認められてないが)がソマリランド。
ソマリランドとして平和を維持できているのが、農業や産業が盛んな南部ではなく、"何もない"北 -
Posted by ブクログ
日本が世界に誇る、と言っても過言ではないと個人的には思っているノンフィクション・ライターの高野秀行がその初期に記して高い評価を得たルポルタージュ。
なんと言ってもミャンマー北部、アヘンの密生地として知られる”ゴールデン・トライアングル”に潜入するという本書の面白さは、やはりその旅の中でのあまりにもスリリングな出来事の連続と、そんな中でも魅力的な現地の人々との邂逅にある。
かなりの作品数がありながらも、高野秀行の作品に駄作はなく、常に読者を驚かせてワクワクさせるような作品ばかりだが、本書もご多分に漏れず、次に何が起きるのかとワクワクしながらページを繰り続けた。 -
Posted by ブクログ
おもしろかった!
自分では知りえない世界を垣間見えた。
ときどき外国の方で、ルールを破ろうとする人がいる。例えば空港の荷物検査で、持ち込み禁止されたものを取り上げられて食い下がる人たちをテレビで見たことがある。彼らは自分の事情を延々と話し、情に訴えて説き伏せようとする。
理屈を訴えるならわかるけど、そんな事情話したってなにも変わらないのに、と彼らのことを思っていた。図々しいとさえ思っていた。
でもこの本で、公園での焼肉パーティーを怒られたスーダンの人たちの描写を読んで、ああそうか、と腑に落ちた。
「スーダンでは独裁政権がいろんなことを禁止したり強制したりするから、僕らの方も言い訳をしたり、あ -
Posted by ブクログ
ネタバレ編集者さんの思惑では「オンリーワンを目指す人々のための指南書」という地点から始まっているはずなのだけれど、そこは高野さんだからありきたりな内容にはならない。持論が面白かった。
高野さんがこれまで体験した面白い出会いや出来事、それらに繋がるまでの過程が書かれているが、やはり誰もやってないことをしているという感が強い。真似しようとしてもここには辿り着けないんじゃないだろうか。ご自身を普通の人間と仰るけれども、全然普通じゃない。いい意味で。
大学の非常勤講師をやっているとき、学生が授業に癒しを感じているらしいという話があったが、読者としてもそうかもしれない。知らない土地と人のことを聞いていて単純に面 -
Posted by ブクログ
高野氏の本を、最近追い続けている・・これで何作目か!?
飽きることなく、氏の唯我独尊的と言えなくもない、足で、口で培った行動力とボギャブラリーに舌を巻いているのである。
これもめっぽう面白い。
執筆時の男女別 日本国内居住数を載せているが、10年余の今、どれくらいの変化があるだろう・・同時に、日本人の国際意識の高まりはプラスか否か、円安の影響は、コロナ危機以降の増減はなど勝手に推測を入れつつ読んだ。
どの民族にも言えるのは【裃を脱いだそこに見える 巣の、裸の人間性】
氏がほかの著作で力説しているように、出されたものを表情変えず、喜んで(はーい)と食べる姿を見せてこそ、「そこに醸し出されて居